ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

バーチャルの所有

2006-01-21 | コラム
最近おきている証券取引法違反の事件について考えてみた。

ビジネスはハイリスク・ハイリターンにチャレンジするものだ。
それが自分の器量でコントロールできる範囲ならあまり問題はおきない。
自分の範囲を超えたとき何が起こるかが今回の事件である。

今回の事件から、ある物語を思い出した。
富める若者が、どうすれば救われるかを救い主といわれる男に相談に来る。それに対する答えは、「金持ちが天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るより難しい。」というものだ。当然これは比喩であり、ラクダが針の穴といわれる狭い町の門をくぐるように不可能という話だが、富める若者の苦悩が見えてくる。金で何でも買えると考えた若者が、一番切望した安らぎは買えなかった悲劇である。

ものが余っても、なおも欲しがるのが人間なのかもしれない。
具体的ものが目の前にあり、それが欲しいというならわかる気がする。
しかしそれが、金であったり、証券であると、ものを飛び越え増やし持ち続けることのみが目的になる。バーチャルを所有し続けることになる。まして、その確保の手段のビジネスモデルがスリルに富んだものであれば、ゲームはやめられないだろう。

ゲームの仕掛け人と多くの参加者の今回の事件の顛末については、しばらくまたなければならない。
しかし、バーチャルを所有することの意味は、しっかり学習したい。このようなゲームは
今後も続くだろうから。

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制約を外す

2006-01-20 | 高シナジー経営
制約を外して考えることが大切である。人間は成長の過程で多くのことをプログラムされているので、それをはずして考えてみる、というのを、diprogramingというのだそうである。


以前アメリカの教育学者と企業教育についての研究をした。彼は心理学者で日本では欲求の段階で有名なW.マズローの弟子で潜在意識の研究をしていたが、人間の成長にとって、制約から外に出ることが大切であるという理論を構築していた。

人間は生まれたときから多くのことを学ぶがそれが制約となり、能力を限定することがある。制約から外に飛び出すことは多くのリスクを伴うが、そこから学ばないと成長しないというのが、彼の人間の成長モデルである。

この理論を聞きながら、西堀先生の「人間の能力は面積でない」というのを思い出した。奥行きが深いが間口が狭い、逆に、間口は広いが奥行きは浅いという同じ面積で考えがちである。
間口を広く奥行きを深くすることが可能ということである。

企業も人間の集まりであるから正しく成長することができるのに、そのチャンスを限定することがある。システムや規則もあまり細部のことを決めすぎると制約になり成長を抑えることになる。何事も多少の遊びが必要である。

システムにはフレキシビリティーーが必要、書類作成のみの行き過ぎたISOには注意が必要。
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開発ということ

2006-01-19 | 高シナジー経営
言葉の意味がわからないとき英語で考えてみると意外な発見がある。
たとえば「発見」のdiscoverは、「カバーをはずす」という意味、いままで覆われていたものを外すから発見とわかる。

自分のことをはなすと、英語コンプレックスである。コンプレックスだから逆に英語が気になる。むかし、言葉の堪能な知り合いがいて、ギリシャ語やラテン語で意味を説明してくれた。ついで、第1回のデミング賞本賞の受賞者である統計学者の増山元三郎博士は語学が趣味だった。ISOも日本語では難解だが、英語の対訳を見ると理解できることが多い。

さて開発である。developmentは囲まれたところ(velop)から、外へ出る(de)ことのようだ。

いまいる場所は居心地がいいかもしれない。誰かに守られているのをいつも感じていたい。自分の部屋なら薄暗くても安心できる。そのようなところから、外に飛び出してみる。それがdevelopmentの意味らしい。

昔の冒険家が大海に乗り出した勇気を思い出したい。そのようなDNAは、我々の中に流れているように思う。
大海に乗り出した冒険家は、大海の果てまで行けば、海から落ちてしまう不安を抱える保守的な船員をどう導いたか、考えてほしい。

開発者はいつもそのリスクに立ち向かっている。
人には、それぞれ役割があるから、開発者がリスクに恐れその対応を考えなければ、よい製品は生まれない。生産に従事する人が、革新的にまり過ぎて守りが出来なければ、製品はいつまでたっても安定しない。

開発者たるもの、生産者の不安を引き受けて新しい方向を目指す勇気を持ってほしい。
そのためにまず、必要なのは先を信じる洞察力と人を導くビジョンである。
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「QCをすると不良が増える」

2006-01-18 | 高シナジー経営
「QCをすると不良が増える」
ある先輩から聞いた言葉である。

デミング賞の審査では、具体的成果が求められるが総合効果のなかには、不良の推移がある。本物の品質管理を実施した会社かどうか見分けるには、品質管理を導入した直後の不良の変化を見るのだそうである。

導入初期には、潜在化していた不良が顕在化することにより不良が増える。その時期がしばらく続いてから不良が減っていく。富士山のように不良が推移するのが本物の証拠であるという。

興味ある見識と思う。
私の知るかぎりでも、ごくわずかの経営者が隠さず不良を報告しろとの導入宣言をした例がある。その社長は不良の報告を進んで聞き、報告者に感謝したそうである。そのような会社は成果をあげる会社である。

よい製品は技術が作る。
よい技術は組織が育てる。
よい組織は人が作る。
その人は、PDCAという燃える情熱がつくる。

失敗を恥じる気持ちがあっても、失敗を隠していては技術は向上しない。
品質管理をするということは、不良を恥じるから、不良の再発防止、予防が出来る。
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継続的教育.2

2006-01-17 | 高シナジー経営
改善が進むと、いままで隠れていた問題が顕在化されるだけでなく潜在的問題にも注目するようになる。

潜在的問題は慢性不良のような現象として顕在化したり、組織における制約や諦めとなっていることが多い。開発の初期には不良が多く発生するとか、初期流動の段階で設計変更が多いので、変更するのはその段階まで待とうなど、組織の常識や慣習になっているものさえある。

組織の実態を理解しているというのがこのようなことだと、改善の邪魔にこそなれ、役に立たない常識といえる。さて、このような積み重ねが、経営の意思決定を鈍らせ前向きに発展するチャンスを抑えることになる。経営の機会損失である。

このような理由から、潜在問題は「負のシナジー」の原因になる。
潜在問題の多くは組織の多くの人がうすうす気付いているため、解決することでどのような効果が期待できるかを示せば、協力が得られることが多い。
これが、「高シナジー」につながる。

潜在意識に気付くことが、人を成長させることと同じように、組織も潜在問題を解決することにより品格が高まる。そのような潜在問題は、「間」に隠れていることが多いので、部門間、階層間、開発のプロセス間などの解析が必要である。

これらの「間」の問題解決には、コミュニケーション論、経営組織論などあるが、方針管理、品質保証等の品質管理と結びつけて、実務的な教育を考える必要がある。継続的改善活動の推進にあわせた継続的教育が必要な理由はここにある。教育部門の品質管理はそのようなことを検討して社内独自の教育を開発することである。
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継続的教育.1

2006-01-16 | 高シナジー経営
継続的改善のためには継続的教育が不可欠である。

最近は教育予算が削除されているが、人材育成を目的とした教育は長期的な投資であることが忘れてはならない。

継続的改善の教育は、ワークショップのような実務を中心とする教育とすべきであり、成果をあげながら進める工夫が必要である。社外の教育で基礎の知識を理解しておくことは大切だが、社内の教育を考える場合は、社外教育のカリキュラムをそのまま持ってくるのでなく、実務、現状を考慮した教育にすべきである。

特に改善は、問題を直すことに加え、成果をあげるために、長所、強い点を引き出しそれを実行することが大切である。良い点の水平展開は上位者の仕事である。上位者が理解してない改善は長続きしない。このようなことがないように組織で取り組み、組織が理解し組織で実践する教育でなければならない。

少し具体的に検討したい。
例えば、QCサークルに対する教育を考える。現場第一線のみが、QC手法やQCストーリーといわれるQC的問題解決を理解すればいいのでなく、管理者がQCサークルの意義をよく理解して指導できなければ成功しない。特に、管理者には成功事例を水平展開する役割がある。このことを考えれば、QCサークルの教育は、まず管理者から行う必要がある。

同様に、リーダシップの教育は、リーダーに対して行うのはあたりまえのこと、メンバーに対しても行えば、レーダに対する協力が得られる。

このようにあたりまえのことが、理解されてないため、教育を無駄な時間の投資にしている。
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異質の協力

2006-01-15 | 高シナジー経営
ここ何回か心に残った言葉をもとにして書いている。

言葉は不思議なものでそれを話した人が見えないと何も感じない。今引き合いに出すこともないと思うが、ISOの標準や規程は無味無臭、本来人間的なにおいが必要なのに何も感じられない。心が入ってないからなのだろうか。

詩人の佐藤春夫が、詩を書く極意は、と聞かれ、「言葉は浅く、心は深く」と話したことは前に書いた。組織の全体に通用する文書を書くとき、このような心構えが必要である。

さて、ここしばらくのテーマは、「高シナジー経営」である。

最近起きている組織犯罪は、「悪貨は良貨を駆逐する」の言葉にあるように、「ことなかれ主義」や「やすきに流れる」考えが、負のシナジー効果を生み,とどまるところを知らない。「やせ我慢」が足りないことは、前回書いた。

今回はあの西堀榮三郎先生(第1次南極越冬隊長)の「異質の協力」という言葉を考えたい。始めてこの言葉を聞いたときは、国際化の幕開けの時代このような考えが必要なことを感じた。改めて考えると、世代のギャップ、考え方の多様性など抱える、いまの日本の組織には、異質の協力が必要なことがわかる。

一つ一つを正誤や善悪で分けるのでなく、異質だからこそ協力するといういう考えで、理解しようという融通をきかせた「異質の協力」が必要である。

そのためにも、異質を包み込む心の広いビジョンや方針が待たれる。
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やせ我慢ということ

2006-01-14 | ISO成功法

作家の山本一力があの姉歯事件を評して、最近の人はやせ我慢をしなくなった。やせ我慢をしなかったので、悪いことをしてしまった。その悪をかくすために、悪いことを繰り返した。さすが、鋭い指摘である。

正しいか、誤りか最終的に自分が決めなければならないときがある。たとえ、自分にとって、不利な意思決定となろうが、我慢して正しいと思うことを選ぶ、これが「やせ我慢」である。自分にとってこの決定が正しいと言い聞かせ、後で後悔しないと確認する。

人生に一度や二度はこのような決断をしなければならないことがある。
「やせ我慢」の反対は、「事なかれ主義」、もっと積極的には「長いものには巻かれろ」となる。最近、このような、余り感心しない処世術が蔓延しているから、悪いことが連鎖するのだろうか。

組織ぐるみの犯罪や問題かくしは、「事なかれ主義」からおきる。

一人一人が少しの勇気を持って、決断すれば、問題が大きくなる前に押さえられる。
この決断をするのが怖い、という「決断恐怖症」が本当の病原かもしれない。

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後戻りしないこと

2006-01-13 | 高シナジー経営
品質管理は後戻りしないことがすごいと聞いたことがある。
よほど熱心に品質管理を実施している企業だろうと思う。

継続的改善について、いろいろな説明がされる。維持、改善を繰り返すこと、改善、改善また改善など。「後戻りしないこと」というのもいい。

継続的改善は理屈や手法でなく「飽くなき品質の追求」というj実務者の熱意であるから、一度ハードルを越える経験をしないうちは、いつでも後戻りする。

QCサークル活動を例に考えると、すぐテーマが種切れになる。自分の周りには多くの問題があるのに、成果の大きなものを求めだすと無理が出てくる。成果は事例を水平展開して大きくすればよい。これをするのは、管理者の役割である。QCサークル活動は職場が活性化して、みんなの能力が高まればよい。

管理図を書いている工程で、管理図の活用によりバラツキが少なくなり工程能力が上がる。次にすべきことは、よい状態の維持と同時に、工程のスピードアップや材料の変更によるコストダウンである。それを検討しながら、管理図を使いバラツキが大きくならないように監視する。スピードアップが成功すれば、またばらつきの低減にチャレンジする。このような繰り返しが継続的改善である。

後戻りしないことは組織を活性化させる。
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現状把握と診断

2006-01-12 | 高シナジー経営
新しいことを始める筋道を整理しておこう。
(従来書いたことも参照していただけるとありがたい)

新しいことを始めるためには、まず
これからしようとすることはどんなことなのか?
そこに、希望の光りを見出すのが、ビジョンである。

ビジョンを実現する原動力となるのは、「燃える情熱」を基本としたPDCAであることは、前回のべた。

つぎに、PDCAという活動をしながら、現状から何を学ぶかを理解しなければならない。何かを学ぶためには、曇りのない目で現状をみることである。

「みる」ということを考えてみよう。いろいろな見方がある。
見る:何かあるという気付きの気持ちで、現象をみること
観る:結果である現象から、その奥の原因を見ること。解析することである。
診る:診断というように結果に影響する多くの原因の中の特定の原因を断定すること
看る:看護するように、優しい気持ちでみること。管理である。

現状把握は、このような見方が必要である。
問題の発見、解析、診断、管理である。

内部監査などで、今後の発展のための強い点(長所)やそれを引き出す問題点を発見するためには、多面的に現状把握することが必要であろう。
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