ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

49. マネジメントと人の問題

2007-01-31 | 継続的改善52
ISO/TS16949 には、従業員を動機付け活性化するプロセスを持つこと、との要求事項がある。継続的改善を行うこと。品質目標を達成すること。革新を行う環境を創造すること。これらの動機付けと活性化のプロセスをもつことが要求である。

保守的なISOで「革新」という言葉が出てくるのは、ここぐらいである。
ISOは顧客と約束することを前提とした文書であるから、確実に実行できること、実行していることしか書けない。ISOの認証取得の難しさは今後したいことを文書にできないことである。これが、手かせ足かせになり、革新と程遠い消極的な対応しか出来なくなる。
この危険性はいくら強調しても強調しすぎることはないが、現実には多くの企業がこのわなにはまっている。

このような消極的で静的なプロセスから脱皮するためには、ダイナミックな活動を中心としたプロセスが必要である。
これが、動機付けと活性化のプロセスである。
品質目標を達成する活動をおこなうこと。
継続的改善という活動をおこなうこと。
従業員一人一人が革新に主体的に取組めるように意識を変革すること。

品質管理の活動の基本はPDCAというデミングのサイクルである。
このPDCAはダイナミックな活動そのものである。
品質目標のPDCA。
継続的改善のPDCA。
革新を行う環境を創造するPDCA。

活動の良さはトップダウンとボトムアップの双方向なことである。
双方向だとそこから新しいものが生まれる。

どのような「教育」が動機付けに役立つ教育なのだろうか。
教えるものと教えられるものが固定している教育では双方向になりにくい。
OJTといわれる現場教育は、教えるものも学びながら教えるので、共に成長することができる。その意味からも、現場教育、実務教育は継続的に進めなければならない。
継続的改善のためには継続的教育が不可欠である。
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48. ハイリスク・ハイリターン

2007-01-30 | 継続的改善52
リスクとは「海図なき航海」を意味するポルトガルやスペインの言葉が語源だそうである。当時の冒険家はリスクを承知で敢えて大海にのり出した。地球の果てに行くと海が滝のように落ちていると信じる船員を説得しての冒険である。不安と新しい発見、名誉を得ることへの期待で冒険を繰り返した。そのためにできる限りの準備も惜しまなかった。スポンサーは国王や貴族であるが、成功すれば、新しい植民地や貿易の拠点が開発できる。そのようなものが、リスク管理の本質である。

何回も繰り返すが、品質問題において目に見える部分は氷山の一角である。
海面から出ている部分は顕在問題、海面下の次の層は慢性問題、一番底の部分をリスクゾーンと名前をつけたが、潜在的で組織によってはタブーや制約とされている分野である。大人の社会では不要な規則や規律があり、品質管理で言う管理でなく自主性を尊重しない統制という管理があり、あきらめと否定形の企業文化があり、裸の王様がいる。
ISOや最近流行のコンプライアンスも運用を間違うと、元気のないネガティブな文化をつくる。ISOで実力以上のシステムを作り、コンプライアンスで内部告発を恐れるあまり秘密警察網を作れば成長しない組織の完成である。

このようなリスクゾーンは組織が成長する過程で負の遺産として蓄積される。そのため定期的にリスクゾーンから現状打破することが必要である。PDCAや守破離といわれる活動は人間や組織が精神的に脱皮するため必要なプロセスである。そのためにこそ継続的改善を活用しよう。
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47.工程の実力:工程能力研究

2007-01-28 | 継続的改善52
工程能力は製造工程の品質をつくる実力を示す指標である。
製造工程の実力は機械、人、方法、材料などの多くの原因の集まりとそれらの複雑な相互関係で成り立つ。それらの原因と相互関連を明確にすることで工程の実力を向上させることができる。この実力を改善する手段が工程能力研究である。

本来工程能力は工程に特別な異常原因による変動がなく管理状態にあるときの品質レベルをいうが(純正工程能力とよぶことがある)、管理状態にするために工程能力研究がおこなわれる。
工程能力を示す品質レベルは、工程を管理するための特性である品質特性のある期間の平均値と変動であるばらつきであらわす。この変動と規格の上限、下限の巾との比較によって不合格がでるかどうか、その程度はどうかを知るためにCpやCpkという指標を使う。

指標は便利で使いやすく一応の基準が作られているが、工程が管理状態でない時にはサンプリングによりデータはばらつきをもつ。このばらつきの状態をあらわすのに度数分布(ヒストグラム)が使われる。
また、ばらつきの時間的変動を見るために管理図が使われる。
このような工程の改善のための総合的検討を工程能力研究という。
工程能力指数は工程の実力を示す便利な指標であるが、工程能力指数を求めるのは工程能力研究の入り口に入った段階である事を忘れてはならない。
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チェックリストの効用

2007-01-27 | 継続的改善52
現状把握するためにチェックリストを作ることはよくある。
食品の安全性の事故があってから、ある会社で安全管理の現状を審査するため委員会を作りチェックリストを作成した。委員会は役員のもと,社内から優秀な人が集められチェック項目の検討を行った。さすが優秀な人だけあって1000近い項目があげられた。
しばらくたって、そのチェックリストの意味が明らかになった。
株主総会で社長から安全管理についての報告がなされた。
わが社では1000のチェック項目で監査して3点の問題が発見され、直ちに手を打ちました。今後ともきめ細かな監査を繰り返す所存です。

これ以上はその監査に触れないことにする。
「木を見て森を見ず」という言葉がある。
品質管理は問題指向、重点指向するのが特色である。
問題のありそうなところを重点的に見るから効率的改善ができる。
頭のいい連中が集まって問題や事実から目をそらすチェックリストを作るからおかしくなる。
現場、現物、現実から目をそらさないでほしい。
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46.創造的破壊をしよう

2007-01-26 | 継続的改善52
現状打破、経営革新とは、従来の殻を破ることである。
人間の成長について考える。人は生まれながら大きな能力と可能性をもっているが、成長の過程で多くの制約条件を学習させられるため、能力が限定されてくる。
成長するためには、その制約から外に飛び出し、新しい領域を手に入れることで能力を身につけていく。

人間も成長するためには精神的に脱皮しなければならない。最近大人が少なくなった。
大人の企業も少なくなったように思う。現状打破や脱皮を経験せず体だけ大きくなったからである。

何回も繰り返すが、問題という氷山を考えてみよう。
海面から出ている部分は顕在問題、海面下の次の層は慢性問題、一番底の部分をリスクゾーンと名前をつけたが、潜在的で組織によってはタブーや制約とされている分野である。大人の社会では不要な規則や規律があり、品質管理で言う管理でなく自主性を尊重しない統制という管理があり、あきらめと否定形の企業文化があり、裸の王様がいる。
ISOや最近流行のコンプライアンスも運用を間違うと、元気のないネガティブな文化をつくる。ISOで実力以上のシステムを作り、コンプライアンスで内部告発を恐れるあまり秘密警察網を作れば成長しない組織の完成である。

このようなリスクゾーンから現状打破しよう。精神的に脱皮しよう。そのためにこそ継続的改善を活用しよう。
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 シナジー効果をあげる継続的改善

2007-01-25 | 継続的改善52
日本の改善活動を高く評価したのはドラッカーである。「改善とは強い点をより強くすることである」と解説した。弱い点や問題点を直すことが改善であるが、それを繰り返すうちにいつの間にか強くなっているのも改善活動の良さである。ドラッカーがPDCAを繰り返す飽くなき改善を理解したうえでの解説である。
さすが時代の潮流を洞察する人の言葉は違う。そのドラッカーがマネジメントを定義して「強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである」といっている。これも深い。
結局のところマネジメントは実践的活動であり、PDCAを繰り返す改善の積み上げである。

あなたの組織の強い点、優れた点はなんですか。
または強くしたい点、改善したい点はなんですか。
その強さをますます強くする工夫や活動がありますか。
それを顧客や社会にどのように説明していますか。

人間は自分の長所や強さを自覚してないことが多いが、組織も強みを自覚してないことが多い。
強さを自覚してないから強くするための工夫や方法がわからない。
スポーツの選手を考えても、一流の選手は一流の目標を持っている。
子供が一流になりたいという夢を持つのは大切だが、環境や愛情を持って育てる人がいなくては、努力が継続しない。

強さを自覚するため、教育、方針や目標など多くの方法があるが、それが活かさせていない。たとえば、方針が抽象的で、何をどのように強くしたいかという具体的目標がないことが多い。
デミングのサイクルでは、品質に関する意識と責任感をベースにPDCAという継続的活動が繰り返される。

教育、方針管理、継続的改善などは優れた経営の道具であるが、強くしたい方針、目標と目標達成の気構えがなくては何も生み出さない。
まず、現状の組織の強い点を自覚できる人を育てること。
強くしたい点と問題点を発見し継続的改善を実践できる人を育てること。
それらの人を中心として組織にシナジー効果(相乗効果)をあげるため継続的改善活動にとり組む必要がある。
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45.予防の原則

2007-01-24 | 継続的改善52
品質管理は予防管理であるといわれる。いまある問題の処置をするのはあたりまえのことであるが、再発防止により問題の予防をすることが品質管理である。また、問題を予測してそれが起きないように手を打っておくことも予防である。
予防は目に見えないことをするので、方針を決め計画的に進めるべきである。

予防をどう定義するか、どの範囲の予防から進めるかは企業で決めることである。
氷山の一角といわれる品質問題の山を思い浮かべて欲しい。
規格、基準という海面から外にでている部分が顕在問題である。
海面の下の潜在問題には、管理上の問題である慢性問題がある。
その下の一番底の部分には、経営上の問題である機会損失がある。

顕在問題に手を打つことは当然であるが、組織の中で問題が共有化されてないと問題の発見部署から問題の原因部署に伝わるのは一部分になる。当然上位者には全て報告されるのはまれであろうから問題の全てが顕在化しているわけではない。
潜在問題になるとこの存在に気がついている人は少なくなる。
氷山の一番底で面積の広い部分をしめる機会損失を明確にするのは難しい。
これは従来の制約を変えるなどの創造的破壊をしようとしない限り問題は見えてこない。
当然制約を変えることにより多くのリスクを伴う。経営者が先頭に立って、ハイリスク・ハイリターンを実践する度胸があるか。そのための創造力、洞察力があるかである。
このようなことは、そうざらにあることではない。自分の経営者としての使命感で踏み切れるかである。

機会損失はやってみないと気付かないことである。
企業ぐるみの隠蔽や不祥事は好き好んでしているわけではない。
その存在にうすうす気が付いていながら、まだ何とかなると油断している気持ちから生まれる。意思決定の不足や戦略指向のなさ決断の先送りなどが原因である。
経営者が自ら品質管理を実践するのはこの部分に対してであるが、経営者が品質管理を理解してないとこの問題は顕在化されない。
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43.なぜいま是正処置か

2007-01-23 | 継続的改善52
品質を無視したコスト優先が大きな問題になっている。
なぜ品質を無視するのか考えたい。
ケチなコストダウンをして、会社が苦境に立たされることがわかっていたら、そこまでしなかったろう。
安全な期間の過ぎた材料を使うことで得られる利益と無駄な期間を在庫したコストの比較ができれば、何が正しいか理解できるはずである。
追い詰められると人間、目先しか見えなくなるらしい。
洞察力というか想像力というか、そんな大袈裟なことでなくとも、常識で考えればわかることができなくなる。
組織がパニックになる。集団ヒステリー状態になり正しい意思決定ができなくなる。
いま我慢すればなんとかなる。とにかく自分が傷つかずこの苦境を切り抜けたい。
こんな気持ちが優先して目の前が見えなくなる。

企業の社会的責任、法令遵守など冷静な人や部門が先を見て取組まなければならない。
多くの問題からテーマを選び是正と再発防止に取組まなければならない。
やればできるということを経営者や組織に示すことが大切である。
パニックになると、「バカにつける薬はない」の状態になる。
いま役に立つ薬の一つに是正処置がある。
あなたはこの薬を飲みますか。
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42、継続的改善

2007-01-22 | 継続的改善52
本稿のテーマである継続的改善について考える。
継続は力という言葉のとおり、繰り返すことにより学べることは多い。
茶道、華道などは繰り返し作法をならうことで、はじめぎこちなかった動きが無駄のない美しい動きに変化していく。
教え方にもよるが、理屈から入る場合と実行から入る場合がある。

以前写経教室に何回か通ったことがある。
写経とはなにかという理屈を一度も聞いたことはないが、あの静かな雰囲気は思い出せる。
もう少し続ければ別のことがわかったかも知れない。
「品質管理は実践を通して身につけるもの」という言葉がある。
言葉や理屈にしないと先に進めない欧米人の考えと比較すると面白い。

継続的には連続的とか段階的という意味がある。
計画的に進めることも良いができることからはじめるのもよい。
とにかく継続することのようだ。
自分で問題を探せるようになると継続の意味が理解できてくる。
PDCAは継続的活動である。
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42. データの分析

2007-01-21 | 継続的改善52
システムの不具合を発見してそれに手を打つためには、システムを作成する以上の創造性が必要である。継続的改善というが自分のつくったシステムを改善することは難しい。システムをつくる時は後で改善することなど考えてない。いまできる最善のものをつくっているはずである。自分が努力して作り上げたことを直せということである。

「守破離」という日本古来のプロセスで考えると、システムを作るのは「守」の入り口の段階である。その先に、努力して身につける段階を経て、「作法」が一通りできるようになる。ただしこれで本当に自分の身についたわけではない。これを次の段階で破れといわれるわけである。大部分の人はこの「破」の段階には進めない。自分の覚えたことに執着するからである。
「創造的破壊」と言ったのはシュンペーターだと思うが、これが難しい。
創造できることがわかって破壊するのではないから、破壊には勇気が伴う。
しかし「破」のプロセスを通して予想以上の成果が得られることがある。これが現状打破であり、革新である。制約条件を捨てて前に進む発想が必要である。

いままで自分が大切にしているものを捨てるのは難しい。
人間も脱皮しなければ成長しないと前に書いた。
聖書にも「親兄弟を捨てて私についてきなさい」とキリストは弟子に要求する。
「金持ちが天国に入るのは、駱駝が針の穴を通るより難しい」というのも、執着を捨てられない人間の弱さを例えに言っている。親兄弟、お金という形あるものから自由にならなさい、執着を捨てなさいというのが「道」を極める極意である。

「守破離」にもどる。
多くのISOの失敗は、「守」を繰り返すに過ぎないからである。
「守」から先に進むためには、現状を把握することが大切であり、その一つの手段として、データが必要になる。データを分析することは「道」の入り口を見つけることである。
そのため。どのようなデータを収集するか、どのように分析するかは人に関わることである。
願わくは創造性のある人にデータの収集、分析をまかせたい。
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