ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

外論 改善を文化にする

2005-06-30 | ISO外論
新しいものに取組むとき、我々は過剰に期待し、構え過ぎるため受身の態度をとることが多い。根が真面目だからリラックッスして受け取れないのだ。新入社員の5月病もこれが原因と思う。新入社員教育でまずリラクゼイションを教えるべきである。
ISOは顧客の要求を約束(契約)として文書化したシステムである。ISOを活用して、顧客・市場の信用拡大、契約の簡素化という成果をあげるべく努力すべきである。また、成果をあげるには、外部からの要求を把握し、組織内部の経営基盤の整備および体質強化を進めるの継続的改善が必要不可欠である。
 KAIZENという言葉は国際的に通用する日本語であり、日本の品質文化を象徴する代名詞でもある。改善は不良や不具合を解析し原因を特定し再発防止の処置をとることであるが、改善に慣れてくると、目標と現状のギャップや慢性的問題など、より積極的に問題を発見できるようになる。このような、問題発見能力、解析能力および解決能力を組織の多くの人が組織的かつ体系的学習により共有することにより組織の力となる。
体力を強化する場合、エクササイズを繰り返すことが大切なように、改善活動を組織の習慣にすること、つまり文化にすることは大切である。改善は正しく実践すれば体力強化ができ、決して体をこわすことはないという優れものである。ただしそのためには継続することが大切である。初期の効果でエクササイズをサボるから、リバウンドがくる。
継続的改善のためには、継続的教育を忘れてはならない。
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コラム プロセス指向の意義

2005-06-29 | コラム
「結果良ければすべて良し」という言葉がある。苦労して、その結果が良ければ本当にうれしい。偶然に良いことがあったときのうれしさとは、深みが違う。
「品質は検査で作るのではない。品質を工程(プロセス)でつくる。」という言葉は日本の品質管理を象徴している。4半期毎の結果で、短期的に経営者の評価を考える海外の経営に対し、日本は長期的に評価するプロセス重視だった。成果主義というアメリカ流の経営手法もあるが、やがて誤りに気が付くだろう。プロセスが良くなければ、結果が良くても、成果としないという徹底した会社もあった。そのような会社が今世界の一流企業になっている。
ISO9000のマネジメントの原則にプロセス指向がある。本来、マネジメントは、プロセス指向である。例えば、原価管理とは、原価を計画(コストプランニング)し、計画通りに実施して、計画とのずれを原価低減するというPDCAのプロセスである。原価を把握するには、原価計算すればよい。原価計算する部門を原価管理というからおかしくなる。   
しかし、プロセスの段階では結果である原価は把握できないことがある。このためプロセスで管理するためには原価以外の代用特性で管理することが大切である。健康を管理するため、体重や血圧を計ることが大切である。特に子供には体重はよい代用特性となる。
 ある会社では方針について3つの指標を作るようにしていた。結果(目標)に対する現状、プロセスで把握できる代用特性、それに、スケジュール管理である。方針管理という方針のプロセス管理のための工夫である。
プロセスを管理できるようにすること、そうすれば、「結果良ければ・・・」と結果の出る前から楽しみにできる。

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成功事例.2 協力会社の提案が革新を生む

2005-06-28 | ISO成功法
 縦割りの開発体制、部門別の責任体制では、新製品にトラブルが多く、品質問題が顕在化しない。技術進歩の激しい時代には、組織の総合力を活かす部門間連携や外部ネットワークの活用がないと技術は陳腐化する。
 
新製品開発で大幅なコスト低減と品質向上を達成したE社の事例を紹介する。
1)E社の従来の問題点
部品メーカE社は大手納入先のコスト低減および厳しい品質要求の対応に追われている。このような会社は、納入先の指導で一応の管理体制はあるが受身体質でもある。この体質を改善するため納入先の開発計画と別に新製品開発プロジェクトを立ち上げることにした。
2)プロジェクトの裏話
 プロジェクト発足時、コスト低減と品質向上の目標を設定した。目標は、従来の製品原価の1/2,品質は開発完了時点で世界一、手直し、クレームは従来の1/2と設定した。
 目標設定後、設計、生産技術、製造などの部門で改善案が出されたが、どれも目標達成は無理というものであった。経営者も諦めかけていたとき、購買部門が外注先のVE提案から未実施の提案を集め、材質の変更などを加え目標コストが達成可能な案を提出した。従来、提案が採用されなかったのは、品質問題の発生の心配から設計に反対されていたからである。
 そこで、コストダウン案が実施された場合、予測される品質問題は何か、その予防のための試験方法を含む品質保証の計画を検討した。この検討をCR-QA表(コストリダクション-品質保証)にまとめた。これは、設計品質および生産技術の検討を製品開発の各段階で行うのに役立った。CR-QAはコストダウンを目的として品質保証をするという逆の発想である。しかし、このために確実に品質保証ができたことも事実である。
3)プロジェクトの成功要因
(ア) 厳しい目標設定により、不足技術や品質保証を計画することができた。
(イ) プロジェクトには全員が参加した。特に計画段階に全部門が参画した。
(ウ) プロジェクトは多少遠回りをしても、品質保証のルールに沿って進めた。
(エ) 他製品事業部でも同種プロジェクトを進め全社的プロジェクトになった。

これらの活動により、品質、原価共に目標を達成した。また、手直しおよびクレームは目標の1/2に対して1/10と目標を達成した。これは、CR-QAという品質保証を計画段階から検討したからである。    
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成功事例.1 顧客の力をかりて売上を2倍に

2005-06-27 | ISO成功法
「優れた企業は顧客のにおいがする」といわれる。意思決定に顧客の要求が考慮される。顧客のメリットを重視した製品やサービスがある。最近は、ISOの普及で顧客との長期的信頼関係(契約関係)が事業継続の基本要件になっている。

改善活動は社内の成果だけでなく、顧客の要求や成果と結びつくことが望ましい。Y社の営業所長は、営業所を顧客要求に対応できる体制に変革することを考えた。そこで、①お客様中心の改善ができないか、②営業所の全員が本気で積極的に参加する改善活動をおこなう、という方針を設定し改善活動を始めた。以下はその概要である。
1)顧客への訪問を繰返し顧客の要望と顧客から見た営業所のよい点をまとめた。
2)営業所の優れた点は何か、改善すべき点は何か、を営業所の全員でまとめた。
顧客の生の声、営業所の全員のアンケートを品質機能展開の手法を使いまとめた。この結果、顧客の要求が大きく、営業所でも長所と思っていることが、活かされてないことや、要求が大きくないのに一生懸命だったりしていることが、発見された。
3)調査結果による改善活動を順次実施した。調査結果と改善の計画は顧客にも説明して、改善に着手した。所長のリーダシップのもとに、管理者、営業マン、女性のQCサークル活動なども行われた。はじめは本気にしてくれなかった顧客も、繰返される訪問と改善活動の報告から、営業所の活動に次第に協力的になってきた。
4)顧客をまきこんだ改善
  顧客要求を方針に反映させたこと。改善の評価に顧客の協力を得たことで、PDCA
  のPとCに顧客をまきこんだ改善である。 
5)成果のまとめと顧客への報告  
6)顧客との信頼関係の維持 
これらの活動の効果として、1年後売上げが2倍になった。しかし、この前向きな所長が強調している成果は、営業やサービスが顧客の要求に答えられる業務の全面的見直しができたことや、顧客との定期的な情報交換が行えるようになったことなどである。

一見、簡単に思えることが、本当は難しい。従来の枠(パラダイム)にこだわっている限りこのようなことはできない。
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コラム 外から総合的にみる

2005-06-26 | コラム
以前から「外論」という名の付く本を書きたいと思っています。概論というのは、その分野の権威者が原理原則を考えながら普遍的に書く本ですから、教科書などに使われます。
そのような資格はないので、思い切って外から全体を見たら何が解るかをまとめたいと思っています。それとちょっぴり、ひがみかもしれませんが、最近の実用書のように、借り物や寄せ集めの知識でまとめる器用さも持ち合わせていません。
外から全体をみると発見があり本質が見えます。宇宙から見た青く美しい地球の写真はガイア生命圏の危うさと環境問題の重要性を訴えました。
全体を見ず自分の側だけのご都合を考えていると進路を見失うことがあります。今の日本は、バブルや空洞化という言葉に守りを固め過ぎたため、ものづくり文化や日本的経営の良さを忘れて自信をなくしています。
企業も内部指向が強くなると外部に欠点がでてきます。組織や経営のシステムも長く放置しておくと陳腐化します。責任権限を明確にする必要もあるでしょうが、責任回避の方法を固め過ぎるといわゆる官僚的システムになります。だから、ISOは顧客の視点で外から経営システムを見直すことを要求しているのです。
これから、概論や解説は権威者にまかせて、「ISO外論」の立場で、外から全体をみながら日本の元気を考えたいと思います。ご意見、ご提案をお待ちしています。
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コラム リスクマネジメントについて

2005-06-25 | コラム
リスクという言葉は、大航海時代のスペインやポルトガルで「海図なき航海」を意味する言葉だそうである。多くの冒険家が新大陸の発見を夢見て航海に出るためには、スポンサーを説得し,乗組員を集め、強固な船を建造するなど準備周到でなければならない。多くの危険、恐怖などに勝つ準備が必要である。このように従来の枠から外に飛び出すために危機に対応するための予防管理をリスクマネジメントという。
 経営にリスクはつきものである。外部環境の変化で内部の体制を見直す必要が出てくる。企業の抱える問題という氷山の底の部分をリスクゾーンと名付けたのは、昨日まで組織を支えていた基盤が明日には陳腐化することがある。リスクを予測して予防の手を打つことが大切である。事故や問題がでてから対処するだけでは前向きでない。
リスクは排除できないし、排除すべきでもない。ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンという言葉のとおり、リスクこそが利益の源泉である。リスクはマネジメントするもので、ビジネス・リスクをマネージする組織が企業である。
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ポイント7.対策、治療は大切だが、正しい診断技術があって役立つ

2005-06-24 | ISO成功法
 問題が起きると対策をとらねばならない。ただし、そのためには正しい対策・治療でなければならない。正しい治療のためには、正しい診断が必要である。対策・治療は固有技術であり、診断は管理技術である。診断ができてないため正しい治療ができないことがある。優れた技術がありながらその活用ができないのは、「宝のもちぐされ」である。
 技術はたえず進歩する。市場で競争に勝つためには、現在保有する最高技術を使う必要があるから、問題が起きると古い技術では対応できないことが多い。このためにも診断技術が必要である。
 これと同じことが、経営という組織運営にも言える。正しい現状把握をしないで対策をとるから成果が出ない。ISOの内部監査は、ISO規格と現状の適合を見る診断のひとつの方法である。日本には従来から、経営者による診断があった。診断は自社の問題点のみでなく、優れた点・特色などの現状把握をするのが目的である。この診断は、PDCAのCでこれにより、方針Pに反映させるのが、経営のPDCAである。
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ポイント6.それぞれの階層で解決すべき問題がある。階層間の協力が大切。

2005-06-23 | ISO成功法
企業の問題を氷山に例えると顕在化しているのは一部分で、大部分が潜在化している。また多くの問題のうち標準化・システム化できる部分とできない部分を重ね合わせると、問題という氷山は3つの部分に分けられる。
顕在化している部分は、規格や基準があり問題の収集と報告のシステムがあるから顕在化する。
潜在的な部分で誰もがうすうす気がついていながら諦めている部分は慢性的問題である。これは正しく自覚すれば改善できる部分である。
 氷山の一番底の部分に手に触れられない問題領域がある。これは経営上の問題であり、組織の文化やタブーになっている部分である。行動の基準や制約条件、パラダイム等であるので、経営革新や新規の事業を展開するためには、経営上の英断が必要である。この部分をリスクゾーンと名付けたら良いだろう。真のリスクマネジメントはこの部分に踏み込んだ活動である。
 この3つの部分により問題解決の役割がある。顕在化している問題は、基準、問題解決の方法、協力体制など決まっていることが多いだろうから、第一線の業務担当で問題解決が可能である。慢性的問題の多くは組織上、管理上の問題であることが多いので、管理者が部門間連携を取りながら問題解決することができる。慢性的問題に踏み込めるかどうかは改善の成否および成果にかかわってくる。リスクゾーンについては別にまとめたい。
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ポイント5.製品や事業の成否は上流、源流段階に総合力を結集することで決まる。

2005-06-22 | ISO成功法

思い違いや誤解をまとめている。これらは誰もが知っているようで知らないため、成功の障害になる。
製品開発のプロセスを考えてみよう。ISO9001では、製品実現という部分にまとめられている。プロセスはインプットをアウトプットに変換する流れであるが、実務を無視したフローチャートを書くとやたらに長い直線的システムになる。ISOの要求事項にあるチェックを入れると目標とする開発期間の2倍になるようなシステムになる。その通り運用しようとは誰も思わないので、後でISOのための書類作りの作業をしなければならなくなる。当然、ISOでそのようなシステムを要求しているわけではない。
 システムを作成するには、まず従来の開発の反省と現状把握が大切である。開発のどこに問題があったのか、問題の原因は、本来どの段階で問題を発見することができるか等々、
解析してシステムを作らねばならない。ここで大切なのは、ポイント4でまとめた部門間連携である。トラブル処理に部門間連携をするのは当然であるが、できれば予防管理に連携の力を発揮したい。
 生産以降発見されるトラブル、品質問題の80%は設計に起因するといわれる。設計部門が問題ということでなく、真の問題は設計段階での部門間連携のまずさである。上流、源流段階に総合力を結集させるのは、経営者の指導のもとでのシステムの作成と運用である。
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ポイント4.問題は部門内よりも、部門間連携のまずさの方が大きい。

2005-06-21 | ISO成功法


管理者は自分の担当部門が成果をあげることに責任を持っている。職務分掌も部門別に書かれている。組織図も従来の習慣から部門を縦割りに書いていく。これらが慣習となっているから、責任権限を明確化するのも、縦割り枝分かれ式の発想で考える。部門間の壁ということがいわれる。部門の利益を優先させるため部門間に問題が山積され壁となる。
この組織の問題を是正するため部門間連携の活動が必要になる。品質保証や原価管理などの「機能別管理」は部門間連携活動である。
ISOのシステムも部門間連携を規格にしたものである。それを従来の部門中心の考えで対応しようとするから効果がでない。また、文書化されたシステムだけでなく実践的活動から得られた成果がシステムに反映されなければ役に立たない。
このため、従来の部門における改善の成果を部門間に水平展開して成果に結びつける活動にすることが大切である。これは、管理者の実践する改善活動である。本来、管理者には、部門間調整という大きな責任があることを忘れてはならない。
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