ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

QC的問題解決法⑧

2007-05-31 | ISO外論
その問題のオーナーは誰ですか?
問題解決の最大の障害は誰がオーナーか曖昧なことである。
責任をとるべき人が明確になってない。
組織上は明確なはずが、担当者にその自覚がない。
自覚はあるが上位者から問題解決のための権限が与えられない。
指示や支援が得られない。

いまどきの組織、問題解決に対して曖昧であるし無防備である。
問題の再発防止のためシステムを作るのではなく、あるべき論でシステムを作るからである。そのようなシステムは外部に報告する時には良いが問題解決には役立たない。そのようなシステムは現実の問題に目をつむり、システムが機能しているように見せることで官僚的になる。赤信号みんなで渡れば怖くない、というシステムを作り上げてしまう。

一度その生ぬるさを覚えるとそこから出ることを忘れてしまう。
「ゆでがえる」の例を出すまでもない。
香山リカは「なぜ日本人は劣化したか」のなかで、変化といわず「劣化」と言う。

責任とは人をおもいやる能力である。
その自覚を取り戻そう。
最近、俺がやらねば誰がやる、なんて言葉は聞けなくなった。
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QC的問題解決法⑦

2007-05-30 | ISO外論
なぜなぜ分析の限界
なぜなぜ分析はトヨタで企業文化として普及した。トヨタでは原因を明確にする時、なぜを5回も繰り返す。「5回も繰り返せば確かでない原因は排除されるからだ。」と聞いた記憶がある。ものごとの本質や原因を曖昧にしない姿勢がすばらしいと思った。

その時、なぜか聖書の話を思い出した。キリストがはりつけになる前の日、つまり最後の晩餐での話と記憶しているが、猜疑心は強いが信仰心も強いトマスにむかい、いまは私のそばにいるが、明け方の「鶏がなく前に、私を知らないと3度言うだろう」といわれる。
その夜、キリストは十字架につけられるため役人につかまる。近くにいた弟子は皆恐ろしくなり逃げた。トマスも尋問されるが「その人は知らない」と逃げる。ちょうど3度目に知らないと言ったとき、鶏が朝を告げた。という話である。
東洋にも1日に3回反省しなさいという話がある。
3回でも十分なのに、5回も繰り返すのはすごい。しかもそれが企業文化になっている会社はすごいと思う。

さて、最近はなぜなぜ分析が自動車業界で普及している。ISO/TS16949の審査の是正処置にも使われフォーマットになっている。是正処置にはなぜなぜ分析をすればよいということが定着している。
誰もが機械的になぜなぜをやってのける。
三省も5回のなぜなぜもいとも簡単にこなす。
ひどいのは、最後の対策を考え逆になぜなぜを作る。

初め思いついた創造性が手法になり、フォーマットになると、反省も原因の追求も適当になる。いきすぎた標準化の怖いところは、人間をバカにすることである。
せめて、日に三省したいと思う。
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QC的問題解決法⑥

2007-05-29 | ISO外論
ウソをつかない標準化
いまどきの標準、人に見せるための標準が多い。
ためしに、協力会社や購入先の会社のための品質管理のマニュアルを見るとよい。
あなたの会社にも出来てないことが要求されている。現実の日常の対応とギャップがあることが多い。日常はコストダウンのみ要求しながら、マニュアルでは品質保証を要求する。また協力会社をどう育てるかの方針をもとに書かれているのでない。そのマニュアルであなたの会社を評価してみると良い。恐らく要求に対して出来てないことが多く発見されるだろうが、良くなるためには何をしたら良いか、参考になる提示は少ない。

このようなことを考えると、ISOの審査を無事に済ませることは書かれているが、現状の問題を解決する方法が不足している。
目的と手段を取り違えていることが多い。

現場の作業標準は、より安全な作業を確実にかつ効率的に行うことが目的である。
品質を工程で作りこむためには、従来の不良の再発防止のために、このように作業をしないと不良になることが明確に記載されてなければならない。また現場で働く人が実行できる範囲で書かれるべきであるから、詳細な説明よりも重点のみに留めるべきである。
当然実務に着く前には、教育訓練するので教育用のテキストは詳細な説明が必要である。
最近の様に人の移動が多い場合は、教育用と実務者用を区別したほうが便利かもしれない。そのような標準があると業務の引継には便利であろう。
誰が見てもわかるようにというが、誰が見てもわかるものは教育用名は必要だが実務者には役に立たない。

標準の目的は何かを考えて、役に立つ標準にすべきである。
標準でウソを書く習慣があるから、最近の不祥事があるのかもしれない。
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QC的問題解決法⑤

2007-05-28 | ISO外論
「2段階の解析」を徹底しよう。
多くの品質問題の第1次原因は固有技術に関わる原因である。その原因を列挙するため、いわゆる現場の神様や固有技術のエキスパートの経験を使えばよい。ただし、この段階は、特性要因図に考えられる原因を列挙したにすぎない。この先は、前回紹介した解析の方法を駆使して、原因の深堀を行なう。そこで得られるのは固有技術的原因であるが、品質問題の氷山で説明したように、その奥にはマネジメントの問題、システムの問題などの管理技術的原因がある。

問題の原因を深堀することが品質管理の定石であるが、ISO導入移行、解析の考えが極めて曖昧になっている。欧米流の二原論の影響か,顕在化している品質問題とシステムの問題が分離して検討されている。本来、共通する基盤にある品質問題を分離して検討しようとするから無理が出来て役に立たない品質管理になる。ISOの審査員は現状を知らないからISO規格を頼りに審査するのもやむを得ないこととして、内部監査員までその真似をするからおかしくなる。事実と遊離したシステム作りが嘘で固めたシステムを作ることになる。

ある自動車会社の社長は社長監査と称して現場の管理者の教育を徹底していた。
「この不良は作業者が標準を守らなかったことが原因です」では、社長は了解しない。
「私の作業標準の指導に不備がありました」。その原因は何で、どう対策をとるのかが問われる。管理上の不良を追求することが管理者の役割であることを社長監査で社長自ら指導している。同じような話を何回も聞くことになるが、その社長は忍耐強く、じっくり聞いている。これが、社長と現場の管理者の信頼関係を強めている。うらやましい限りである。

さて、2段階の解析である。固有技術的原因であきらめないから、組織が強くなる。
そろそろ、ISOも見直したい。
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QC的問題解決法④

2007-05-27 | ISO外論
解析の計画をたてる。
問題解決するためには、問題の原因がわかってなければならない。問題の原因は多くあるので、どの原因の影響が多いか知る必要がある。従来の経験から原因を決めつけるのは解析とはいえない。「勘と経験と度胸」は一概に悪いとは言えないが、既に仕事にそれが織り込まれていて問題がおきるのは何か別の原因が働いたものと考えるのが普通である。

話はそれるが、標準化の進んでない会社には、現場の神様や技術のエキスパートがいる。
何か問題がおきたときにはその人達の出番があるので、本来日常行う標準化は神様たちの仕事になってない。悩みがある人の前にだけ現れる神様に似ている。悩まないですむ様な指導や予防はしてくれない。神様側から弁明すると、なぜもっと早く呼んでくれなかったの、ということになる。

解析には3つの方法がある。
1. 過去のデータによる解析
2. 層別してとったデータによる解析
3. 実験とその解析
一般に調査といわれるものの多くは、過去のデータによる解析であることが多い。データの履歴が明確でないことが欠点である。そのような時には、作業の条件はそのままにしてデータを取るときに原因別に層別する。作業の条件を変えてデータをとるのが実験である。
実験はお金がかかるので、作業の慣れや求めたい原因の効果が分離できるように計画的に進める必要がある。このための方法が実験計画法である。

これら3つの方法の違いを理解して、解析の計画を作成すべきである。
優れた解析計画は問題解決の効率に影響するばかりでなく、新しい技術の発見にも役立つことを理解すべきである。
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QC的問題解決法③

2007-05-26 | ISO外論
問題解決の基本はものごとを正しく「みる」ことである。
決して先入観にとらわれることなく子供のような目で真っ直ぐに「みる」ことである。
少しばかりの技術がじゃまをして、正しく原因がつかめないことは多い。また、自分の過去の経験から対策を決めつけたため、現状把握が偏ることがある。いわゆる、やぶ医者では、正しい診断が出来ないため病気を治すことが出来ない。
一方、生きている現場ではたえず技術進歩されているため古臭い技術では対処できなくなっているのが普通である。そのような現場で、起きる問題はたえず新たな問題であることを理解しておかねばならない。

「みる」を整理しておこう。
見る:現象を見る、現場で見る等の現状把握
観る:因果関係をみる、なぜだろうという気持ちでみる観察
診る:多くの原因の中から特定の原因を断定する診断
看る:対策の効果を見守る、看護するための管理
みる:これら全てをトータルにみる
これらはPDCAと同様でどこから始めてもよいが、すべての「みる」のプロセスを通してトータルに見ることが出来るという意味で、「みるみるマンダラ」と名付けている。

さて、こだわりやとらわれをなくして、正しく「みる」ことも技術である。
このような技術に管理技術、統計的方法、QC的問題解決などがある。
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QC的問題解決②

2007-05-25 | ISO外論
組織的現状把握
品質管理をまともにしている組織かどうか見分けるには、各階層、各部門がそれぞれの役割に応じた品質問題を取り上げ改善しているか見ればよい。
にせものの品質管理は、上位者は目標を示すのみで自分が進んで問題解決しようとしないから、いつも忙しいのは、第一線ということになる。このような品質管理は長続きしない。

品質問題という氷山については、何度もふれている。
海面から顔を出している部分は顕在問題で現場第一線が取組むべき問題である。この多くは技術的に未熟なためおきる問題である。
その下の部分に潜在的で慢性的問題がある。これは管理上の問題やシステムの問題などで主に管理者が解決する問題である。
その奥の底の部分に経営上の問題や近未来に大きな問題として発生が予測されるリスクなどがある。
これらが組織階層でバランスよく問題として検討され、解決されていくことが大切である。
組織は発展と共に新たな問題が発生するが、氷山の一番上の問題のみ関心を示すだけでは、根本原因に手がつけられないため、氷山は大きくなるばかりである。

問題の再発防止は氷山の同じゾーンで解決できることは少なく、より深くに真の原因があることが多い。技術的問題の奥には組織やシステムの問題がある。問題の再発防止は、氷山を深く探索することで得られる。
問題解決のできない組織のパターンは、技術の問題は技術の専門家に任せ、システムの問題はISOが担当するというように、一つの問題が別々に取り扱われることである。
これでは解析の能力が身につかないばかりか、技術自体も深くならない。
ものづくりの現場は問題の顕在化されるところだが、問題解決の習慣がないため問題を報告しようとしなくなる。

問題解決を組織ぐるみで実践しないから、組織ぐるみで嘘や品質問題の隠蔽をすることになる。現在多くの企業で抱える大問題である。
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QC的問題解決①

2007-05-24 | ISO外論
現状把握のポイント
漫然と見ていることと現状把握は違う。
バカな管理者が組織をだめにするのは、「見ているつもり」で決めつけるからである。
例えば科学的考え方の基本は、研ぎ澄まされた仮説により多くの現象から事実を引き出すことから始まる。仮説にも自信があるわけではない。もし仮説が成り立たない時はどのような考えをしなければならないかを考えながら、対立仮説(帰無仮説)を用意する。対立仮説は仮説が採択されない時の逃げ道ではない。仮説設定段階での対話のためにある。
このようなプロセスを経て現状把握が出来る。

昔の人が「あなた方は目があるのに見ず、耳があるのに聞こうとしない」と嘆くのは、現状を正しく認識してないことに対する警告である。
もう一つの警告を紹介したい。
「少し目を覚ましなさい。自分の言語パターンから目を覚ますのだ。言葉に酔いしれるのはやめなさい。そうすればものごとはとても簡単になる。ものごとはほんとうに易しい。ものごとは非常に単純だ。真理は単純そのもの、あなたが複雑なだけだ。真理はいまここにある。あなたが遠く離れ、言葉、経典、理論、体系、哲学のなかにわれを失っているだけだ。」

現状把握の仕方で改善の方向が見えてくる。
そのためには、問題の現状把握をすべきである。また、同時に優れた点、強い点を把握することも忘れないようにしよう。
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言い訳事例集作成のすすめ

2007-05-23 | ISO外論
「人間は出来ない理由を探す名人である。」
こんな言葉がある。誰が言い出した言葉か知らない。何回も壁にぶつかりながら反省した時の独り言かも知れない。少なくとも、自分が言い訳の名人なことは理解できる。

人にはいうが自分で実行してないことに、「言い訳事例集」がある。
どんな状況の時、どんな言い訳をするか知っていると役に立つ。
たとえば、「ストーブが売れなかったのは、今年の冬が暖冬だったからです。」というのはどうだろう。暖冬とわかっていたら打つべき手はなかったのか。このような言い訳は前もって対策しておくべきである。

不本意な目標を示された時、誰でも目標の達成が難しいことの言い訳を考える。この言い訳が本質を突いた言い訳なら、これを解決することにより目標を達成するための対策となる。

QCの大先輩から、問題解決にあたっては、まず目標達成の障害を明確にすることが大切であると聞いた。
本質的な言い訳は目標達成の障害である。
目標と現状のギャップを問題点というが、程度の差こそあれ、言い訳、障害、問題点には共通性がある。
注意すべきことは、自分で解決できることか、自分の範囲を超えるものかを整理することが大切である。

「なせばなる、なさねばならぬなにごとも、ならぬは人のなさぬなりけり」
という言葉を思い出した。
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革新をはばむもの

2007-05-22 | ISO外論
自分の正しいと思っていることに現状を変えることは革新ではない。
自分は革新と思っているが、他から見ればエゴを通しているに過ぎないということはよくある。組織を変えるためには、まず自分が変わらなければならない。
それぞれの人が正しいと思うことを実践している・・・はずである。
本当は正しいと思わないが、上がそうしているからという程度の人は、気の弱い人で回りが変わればどうにでもなる人だから、放置しておいてもよい。
自分は正しいと思っている人には、それ以上の正しい道を示さなければ、従来の方法から変えようとはしない。
このように、革新の最大の障害となるのは人の気持ちである。

人は自分の属す社会の価値観や常識をもとにまわりを見るために、新しい価値観や常識を受け入れることはできない。
この価値観や常識をパラダイムとよぶが、革新のためにはパラダイムシフトが必要である。
パラダイムシフトをおこすためには、従来のパラダイムが無意味になるくらいの新しいパラダイムを創造する必要がある。
これを実践するのは自分自身である。
この意味で、革新をはばむのは自分自身であることを自覚することが大切であろう。
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