作家の山本一力があの姉歯事件を評して、最近の人はやせ我慢をしなくなった。やせ我慢をしなかったので、悪いことをしてしまった。その悪をかくすために、悪いことを繰り返した。さすが、鋭い指摘である。
正しいか、誤りか最終的に自分が決めなければならないときがある。たとえ、自分にとって、不利な意思決定となろうが、我慢して正しいと思うことを選ぶ、これが「やせ我慢」である。自分にとってこの決定が正しいと言い聞かせ、後で後悔しないと確認する。
人生に一度や二度はこのような決断をしなければならないことがある。
「やせ我慢」の反対は、「事なかれ主義」、もっと積極的には「長いものには巻かれろ」となる。最近、このような、余り感心しない処世術が蔓延しているから、悪いことが連鎖するのだろうか。
組織ぐるみの犯罪や問題かくしは、「事なかれ主義」からおきる。
一人一人が少しの勇気を持って、決断すれば、問題が大きくなる前に押さえられる。
この決断をするのが怖い、という「決断恐怖症」が本当の病原かもしれない。