ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

水平展開という過剰防衛

2006-06-30 | ボトムアップ・マネジメント
ISOは注意しないと、うそを作るシステムになる。
監査員をからかうくらいの余裕があればよいが、たいがいの場合、防衛に徹することになるから、審査員の無理な要求を聞くことになる。
この常日頃の過剰防衛の一つが水平展開である。
審査で(内部監査も含むが)指摘を受けたことは何でも水平展開する。「一を聞いて、十を知る」というように物分りが良いなら別だが、単なるお付き合いで対応する。この過剰反応、過剰防衛が過剰なシステムを作る。
これに対抗するのが、昨日書いた「システム破り」である。
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上位者の無理な要求にどう対応するか

2006-06-29 | ボトムアップ・マネジメント
先日、このBLOGの読者の方から、ボトムアップを考えるなら、上位者をどう動かすか、しかも、上位者の無理で誤った指示にどう対応したらよいかにも触れるべきであるとの、ご意見をいただいた。合わせて、ご質問もいただいたが、その概略を紹介すると、
「設計の図面どおりに製造してクレームがでた。図面の間違いであるが、作る前に図面をチェックして間違いのないものを作るようにという指示である。誰が聞いてもおかしい指示であるが、設計担当の役員の指示に誰も反対できないとのこと。このような、間違った上位の要求にどう対応したらよいか。」とのことである。

このような間違いを放置して置いたら会社がおかしくなる。しかし、どんなにおかしいことでも、やらなければならないことがある。指示の間違いに気付かせるために、一番いい方法は、指示の通り実行してみることである。それも、ごまかしでなく、正確に堂々と実行すべきである。

間違ったシステムや硬直した習慣に対応し、システムの柔軟性を高めるために、「システム破り」という対応の仕方があると聞いたことがある。今書きながら、気の付いたことであるが、「一休さんのとんち」なども、「システム破り」といえるかもしれない。
いずれにせよ、正面きって喧嘩せず、問題を解決する方法のひとつである。
ただし、創造性もユーモアもない組織には通じないこともあるので、作戦を立てて対応策を考えるべきである。

さて、ご質問に対する対応、じっくり時間をかけて実行すべきである。
設計の図面審査を製造でするので、初めから、設計に押しかけてトレーニングを受けて、要求に対応すべきである。これはある種の遵法闘争であるが、使いようによっては良い「システム破り」の方法である。
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ジーコ監督の自信

2006-06-28 | ボトムアップ・マネジメント
記者会見でジーコ監督は「どんな強いチームにも気後れしない自信を植え付けることができた」と話していた。

ポルトガル語で「気後れしない」をなんと言うかわからないが、どんな相手にも気後れしないことは大切なことである。気負いすぎては実力を出せないだろうから。実力を出すにはリラックスしてかつ集中することが大切と聞く。適度のプレッシャーも大切でそれを味方にするなど、いろいろ聞く。スポーツにまつわるいろいろな実力発揮法の中で、「気後れしない」という表現は新鮮であり、日本人に対するアドバイスとしては、核心を突いたものと思う。

安心感を示す言葉に、SECUREがある。
デミング博士の本に書いてあることだが、SEはないこと、CUREは気後れだそうだ。
安心感とは気後れがないことである。組織の上下の関係は、「気後れがなく自分の意見を言えること」が大切ということを、デミング博士の14の原則の中で述べている。

実はこの気後れがないコミュニケーション、上位者の器量が問われる。上位者は何人もの意見を聞かなければならない。それに丁寧に答えるのはいつもしっかり考えている必要がある。そのためには、自分の上位者に対して、気後れがなく意見を言える関係になってなければならない。多くの矛盾を受け止めて地に足をつけて立っていられるのは、「腹がすわって」なければならない。

スポーツ連盟やマスコミなどの思惑に流されることなく、しっかりした自分を確立してなければ、選手たちに示しがつかない。ジーコ監督の自信はそこにあるのだろう。
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リーダーシップとは、なにをどうすることか(2)

2006-06-27 | ボトムアップ・マネジメント
ISO/TS16949:6.2.2.4の動機付けの項目には、
「品質目標を達成し、継続的改善を行い、革新を推し進める環境を創造すること」
があり、その中で、革新を推し進める環境とは、革新し続ける体制、システム、その運用がそろってなければできないことである。そのために必要なことは組織の現状で異なるが、共通するところをまとめると
 トップダウンとボトムアップの融合を図ること。
重要問題、慢性問題の解析を行い部門間連携を強めること。
強い文化を創ること。
新しい価値観、世界観を手に入れて、大人の組織になること。
となる。今日はその続きを検討したい。

経営の基本は、トップダウンである。組織の規模が適当で意思疎通が取れていれば、意思決定が早く無駄がない。組織が大きくなり、情報伝達が悪くなると、本当のことがトップに届かなくなる。組織の階層を少なくするか、イエスマンを排除するか、ボトムアップを強化することである。三現主義や慢性問題の解析も実態を把握するのに役に立つので、ボトムアップであるが、トップがその気にならなければ何も生まれない。

ついで、重要問題や慢性問題は部門間に問題がある。部門間調整は上級管理者の役割である。「こんな筈ではなかった」とか「最近、実力を出し切ってない」という事が続くのは、部門間、階層間に問題があることが多い。

革新を進めるには、従来できてない慢性問題や重要問題に手を打つことである。
それを行い易くするのはリーダーの役割である。
問題は明日の改善の種である。問題を隠すのでなく、進んで上にあげる「強い文化」を創らなければならない。
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リーダーシップとは、なにをどうすることか

2006-06-26 | ボトムアップ・マネジメント
          
明日、現場の若いリーダーに集まってもらい、リーダーシップの話をすることになった。
以前、このBLOGでも書いたが、もう一度まとめておきたい。

まず、ISOから定義を探してみる。
ISOはマネジメントの規格であるから、読む人が自分のリーダーシップに役立つところを引き出してくれればよいが、そのような読み方をする人は少ないだろうから、私の参考になるところをまとめることにする。

ISOの(品質)マネジメントの8つの原則にリーダーシップがある。
「リーダーは、組織の目的及び方向を一致させる。リーダーは、人々が組織の目標を達成することに十分に参画できる内部環境を創りだし維持すべきである。」

このリーダーシップの原則をより具体化したのが、ISO/TS16949の6.2.2.4の「従業員の動機付け及びエンパワーメント」である。そこで述べられていることは、人々を動機付けるリーダーの具体的活動のあり方を示唆している。ISOの規格の中では、珍しく革新的な項目である。
「品質目標を達成し、継続的改善を行い、革新を推し進める環境を創造すること」

この3点について実行するのがリーダーシップである。

品質目標の達成
 組織の目標と個人の目標の差をうめながら、ベクトルを合わせ相乗効果をあげること。
組織の目標は、利益中心の量的目標であることが多い。
個人の目標は、仕事を通じた生きがい(職業生活の質:QWL)であることが多い。
上位のリーダーは組織の目標について組織に徹底させる説明責任がある。リーダーは個人の目標と組織の目標をどう結びつけて成果をあげるか、十分話し合う必要がある。方針のキャッチボールとは、十分話し合い矛盾を解消することである。これがリーダーのまず解決すべき課題である。

継続的改善活動
 顕在化する問題の解決のために、改善活動を繰り返すこと。
飽くなき品質の追求のためには、現場、現実、現状を基本に運営される小集団の活動がのぞましい。その活動を文化になるまで繰り返すことが継続的改善である。個々の問題解決の成果は小さくても、それを水平展開することにより成果を大きくすることができる。これがリーダーの役割である。

革新を推し進める環境を創造すること
 トップダウンとボトムアップの融合を図ること。
重要問題、慢性問題の解析を行い部門間連携を強めること。
強い文化を創ること。
新しい価値観、世界観を手に入れて、大人の組織になること。

この説明は明日にしたい。
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「みる」ことによる改善(1)

2006-06-25 | ボトムアップ・マネジメント
長い間、品質管理をしてきて、もの見方が少しは成長しているのだろうか。
確かに多くの人が気付かないことに気付くことがある。

たとえば、バラツキを発見したとき。
しめた、何か改善のヒントが得られる、とおもう。
ところが、多くの人は、こんな筈はない、たまたま起きた事だと思いたがる。
「もう一度測定し、何もなかったら、さっきのは間違いと判断しよう」という具合である。
こちらが改善のヒントと考えていたことが、いつの間にか消えてしまう。
こんな、やりとりが長く続く、品質管理は忍耐力と我慢比べである。

先日、あったことである。
同じ作業をしているのに、生産性が3倍以上違う。
作業の段取り、作業手順が明らかに違うのだが、一方はベテラン、もう一方は新米で片付けてしまう。事実を見ようとしないのである。

さて、必要最小限の考え方を駆使してこの問題を解決してみたい。
できるだけ自分の考えを押し付けず、生産性1/3の作業者にどのように気付いてもらうか考えたい。
経過は、ライブで報告するので、時々チェックしていただきたい。
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作業効率の決め手

2006-06-24 | ボトムアップ・マネジメント
作業効率や生産性というと時間当たりの生産数のように、分母と分子で判断するが、それで良いのか疑問である。

まず職場環境のこと。
働く職場の雰囲気がよいか。そこにいる人の動きを見れば解るような気がする。
明るくキビキビしているところと、重い雰囲気で仕事をしているところでは、測定するまでもなく、効率が異なる。

文化人類学の梅棹忠夫先生の著書に次のようなことが書かれていたのを覚えている。「生産性というと技術論では、分母と分子で判断するが、本当はいかにイライラをなくすかという問題である。」
いろいろな職場を見ていると、ペースメーカーとなる人がいて職場の雰囲気を楽しくし、活気に満ちたものにしている。注意深く観察していると、雰囲気を盛り上げる名人に気付く。どうしてあんなに場の雰囲気をコントロールできるのか不思議に思うが、当人は、いとも簡単にそれをやっている。
反対に場を作るのが苦手な人がいる。苦手なことが周りにわかっていればよいが、そのような人は自分の思いを人に伝えるのも苦手だから、周りから誤解されていることが多い。
このような人が集まって職場が成り立っているから、生産性という一言では解決できないことが多い。

現状把握が不十分のまま、効率を考えていることがある。
ある特殊鋼のプレス作業の生産性向上がテーマにあげられていた。現場の課長は品質管理を知っている人で、作業工数のばらつきを把握するため、過去のデータを使い管理図を書いていた。管理図は管理状態で安定していたが、工場長方針である生産性の向上に取り組みたいという。その課長は管理図を見せてここまで管理しているので、これ以上は無理ということをいいたかったらしい。「こんなときこれ以上生産性をあげるには、どうしたらいいのか」と聞くので、作業を見なければ何とも答えようがないので、「次回きたとき現場をじっくり見せてほしい。また作業している人の意見も聞きたいのでその時間を作ってほしいと依頼した」工場長も同行してもらうことになり、一週間後現場を見ることになった。
工場長が同行したこともあり、多少緊張した作業者の説明があり、作業を開始した。真っ赤に焼けた鋼材をクレーンのようなプレス機を使い大きな部品に仕上げる作業は、始めてみる作業であった。両手両足を使う熟練を要求される作業であった。
作業が終わったあとに課長は首を曲げおかしいと話す。今まで、こんな良い結果はなかった。これなら、目標を大幅に上回る結果だという。
工場長も久しぶりに見にくるというので、気合を入れて準備したに違いない。このようなことは良くあることである。しかし、これを見落としていたり、悪い状態の場合は再発防止をしても良い状態のときは放置することが多い。まことにもったいないことである。
改善よりいい状態の維持の方が難しいことがおおい。
この現場は3交代の現場だったので、3交代の作業のビデオを取りかく交代の意見を聞くために現場事務所に特性要因図を書き、意見を書き込んでもらうことにした。このことでまた少し作業の生産性があがり交代による差もなくなったという。
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CAPDのプロセス

2006-06-23 | ボトムアップ・マネジメント
C:チェックの段階で現状把握して、現状をより深く理解するため解析する。
  現状の優れた点、問題点とその原因は何かを知ることにより、優れた点は継続させ、問題点はぜせいすることができる。
A:アクションの段階で自分がすることと、他の協力を得ることの全体を整理して、割り切りをつける。また、必要な意思決定と人、時間、予算の確保を考える。
  自分が十分できることは標準化して、他の人もできるようにしておくとよい。
  部下がいるなら部下に任せるのも良い。これが権限の委譲である。
P:CとAの出来栄えによりプランがより実現可能性のある計画になる。つまり品質のよい計画になる。

これが、PDを繰り返すだけでなく、CAというプロセスを取り入れることの効果である。
デミング賞のチェックリストには、方針の管理に統計的解析の活用がされているかという項目があるが、CAのプロセスで解析をすることにより、より質の高いPDCAを実践することができる。スパイラルアップのらせん状の活動になる。

この組織で自分がやりたいことはなにか。
それを元に、他の人の協力を得る方針・ビジョンをつくれ。
新たな目標に向けて活動するために、安心して人に任せられることは何か。
CAPDのプロセスは、目標達成と共に権限委譲のプロセスでもある。
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注意深く考えること(2)

2006-06-22 | ボトムアップ・マネジメント
新しいことを始めようとする時、改善や革新を考える時、共通の考え方がある。

まず「注意深く考え」現状把握すること。
次ぎに先入観や思い込みを捨てて「知らない眼でみる」こと
できない理由を考えず、できる方法を考えること
ここまでできたら、できる限りの力を出して実行してみること
この繰り返しをすること

何か進める時、現状把握ができてないため、何のためにするのか、どのような意味があるのか、なぜいまそれをしなければならないのか、など、理解できないことがある。
そのようなときには、注意深く考えて現状把握してみることが大切である。

道に迷った時は、いまどこにいるのか、どこに行こうとしているのか、何をすればよいのか(目的は何か)、再び同じことを繰り返さないように、次の一歩をどちらに向ければよいのか、など瞬間のうちに考える。
志賀高原に「お頼み申す」という場所がある。冬山でツアーなどしていると何回も同じ場所を通るところがある。そのような時にはあわてず、山の神様に大きな声で「お頼み申す」と叫べば、通してくれるそうである。このお頼み申すの一呼吸が現状把握と思えばよい。

先入観で同じ間違いを繰り返すことがある。知らない目で始めてみるような気持ちでみるとわかることが多い。子供のような純粋な目でみることである。まず純粋な目で見てからいろいろな工夫をしてみるとよい。見る、観る、診る、看るというが品質管理の解析のプロセスはこのような見方である。

われわれは、できない理由を探す名人である。やりたくない時は特にその名人になる。
自分がやりたくない時、どんな言い訳を考えるか「言い訳事例集」を作っておくとよい。
半歩でも前に進みたい時は、できない理由でなく、できる方法を考えよう。

ここまでくれば、実行してこれらのプロセスを繰り返せばよい。
これがPDCAといっているマネジメントの基本である。
PDCAはサイクルであるから、どこからはじめてもよい。
人により違いがあると思うが、現状把握から初め、CAPDとした方が解りやすいこともある。
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注意深く考えること

2006-06-21 | ボトムアップ・マネジメント
大先輩から聞いた話である。
OR:オペレーション・リサーチで有名なチャーチマン博士が日本の技術者を集めセミナーを開催した。話の初めに何か質問はないかの問いかけに、どのようにしたらORを組織に導入できるか、の質問に対して、「注意深く考えること」が答えであった。
ORを体系的に整理して確立させた大家に対する質問である。すぐ役に立つ回答が得られるものと期待した聴講者に対して、「注意深く考えること」が回答である。大半の聴講者はこの回答を気にも留めなかったものと思う。
しかし、自分で苦労した経験のある聴講者には役立つ、アドバイスであった。

何か新しいことをしようとか、新しい環境に飛び込もうとした時、何を考えたらよいだろうか。
まず「注意深く考え」周りをよく現状把握すること。
次ぎに先入観や思い込みを捨てて「知らない眼でみる」こと
できない理由を考えず、できる方法を考えること
ここまでできたら、できる限りの力を出して実行してみること
このくり返しをすること
である。

思い込みをすてることは難しい。知らない目で見る、始めてみるような見方をしないために、発見できるはずのものも、見落としてしまうことが多い。
仮説を立ててそれを検定するのが科学的方法だが、自分の狭い知識や先入観にこだわっていると、我田引水の仮説しか立てられない。これでは、仮説を立てた意味はない。得られる結果も解りきっていて、陳腐である。
次ぎに行動に移すことを考えるが、どうせ役に立たないと諦めていると、できない理由を並び立てることになる。
実行するにしても、力がでない。

このような悪循環をなくすため、まず「注意深く考える」ことが大切である。
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