ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

ポイント.17

2005-08-31 | 継続的改善52
経営資源の配分と管理

適切な経営資源の配分がないと,目標も達成できない。
多額な投資が伴うときは,チェックはそれなりに行うが、
一度決まったことには,あまり関心がないことが多い。
また,現在の人材,設備,技術などの経営資源が正しく現状把握されていることもぎもんがある。

経営資源の棚卸を定期的に行うことは大切である。

また,新たなことに取り組むときに、現在の仕事でしなくていいことを明確にすることは大切である。

このような、PDCAの管理ができてないため,万年人材不足ということになる。
システム化,文書化で仕事が簡略化されるならよいが、大体が複雑,高度化する。

このような問題解決のために、方針・目標の管理やISOのような基盤整備が役に立つのだが
現状は逆になることが多い。

経営資源の棚卸をして、配分と管理を総点検すべきである。
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本当の成果

2005-08-29 | ISO外論
以前、先輩に聞きました。
ある会社の不良率のグラフを見ているとき、
QCを導入してすぐの成果にその先輩は、もうしばらくして本当のことがわかると
耳打ちしてくれました。
案の定、それからしばらく、導入初期の不良低減の勢いはありません。

しばらくたった社長監査の時、ある製造部が勇気を出して、
成果の出ないグラフを示しました。
よく見ると不良は増えてます。
社長から雷が落ちる直前、
その先輩の先生は「よくやりました。不良が増えたのは、
今まで隠していた不良がでたためで、この部門はすぐ成果が上がるでしょう」とほめ
「社長はどう思われますか」さすがの社長もけなすわけには行かなくなって、
「他の部門も見習うように」とまで、フォローしてくれました。

社長も頭がいい人だったので、それから、その会社では、本気になって、
QCをすることができました。

本当の成果は、不良を出し切ることで始まる。
ということを知りました。

今は、このような骨のある会社が少なくなってきたようです。
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「燃える情熱」

2005-08-26 | ISO外論
何か新しいことに取り組むとき、心がけたいことがあるとしたら、新しい環境から、自分の将来に役立つことを多く学ぶための方法を身につけることではないでしょうか。

このとき邪魔になるのは、従来の古い考え方で新しい環境を見ることでしょう。
「新しい酒を古い皮袋に入れるな」という言葉が聖書にあったように思いますが、従来の考えにこだわっていては、新しい環境に批判的になるばかりで、新しいことを学ぶことは難しくなります。

それと同時に、受け入れ側の環境でも、ある程度の説明が必要でしょう。企業では、新入社員の教育がありますが、最近では、即業務で役立つことが考えられているためか、あまり時間がかけられないようです。組織変更の場合にも、同じような考えが必要です。

改善や革新を行う場合、大切なことは、共通なビジョンを持つことです。このビジョンは従来の価値観を新しい価値観にどう変えるか、それはなぜか、それによりどうなるのか等のことです。

このようなことがあまり重視されないのは、どうしてでしょうか。

製品の品質はよい技術が作ります。
よい技術はよい組織、システムが作ります。
その組織、システムは、人が作ります。
このため、人の品質が重要になります。

人がどのような価値観・パラダイムを持つか。

デミング博士は、日本での初めての講義のときから、管理の基本であるデミングサイクルの根底に、「品質を重視する観念」「品質に対する責任感」をおいています。特に、品質を重視する観念について、講義録をみると、「燃えるような情熱(A burning desire)」という言葉を使って強調しています。講義の熱気が伝わってくるようです。日本の産業人や学者が、デミング博士の理想を受け継いで、後に日本独自の品質文化を築いたのは、日本を良くしようという燃える情熱があったからにほかなりません。
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目から鱗.5

2005-08-25 | ISO外論
品質管理の誕生

R.A.Fisherという名前を聞いたことがありますか。
ロンドン郊外のロザムステッド農事試験所の技師で、近代統計学の誕生、発展に貢献した人です。

農事試験所の技師ですから、おそらく作物の品種改良などに取り組んでいたのでしょう。
Fisherはある日従来の実験について重大な誤りを発見します。われわれ凡人なら批判はするが自分の問題としてとらえないため、何も発見せず通り過ぎてしまいますが、ことをなす人は違います。

「われわれの行う実験は、ある理想的な集団の標本にすぎない。」技師の言うことですから多少難しいのですが、Fisherに怒られるのを覚悟に意訳しますと、「従来の実験は、ある限定された範囲の実験にすぎない」ということになります。

それから、Fisherは、
どうすれば、現実に近い状況で実験が可能か。
また、いかに少ない試料(データ)で、全体(母集団)を推定できるだろうか。
を考えます。農作物は、1年に一度しか収穫できません。また、天候、土地、作物の品種、肥料などの条件は多く、無限の組み合わせが考えられます。

この難問を解決するためFisherは、推測統計学・推計学という分野を開発しました。
この推計学の応用分野として、品質管理が発展します。

われわれが不良対策をするときも、多くの要因があるのに、一部の要因を決めつけて検討しがちです。これは、小さいときから学校で習っていることに原因がありそうです。

日本の品質管理の技術者にもこのことに気が付いた人がいました。
「従来の工業教育において「科学」は教えられたかも知れないが、「技術」は教えられてない。科学については理想化されたモデルの追求を行うに過ぎないが、技術については理想化されてない現実の姿が対象である。科学の目的は真であるが、技術の目標はプロセスであり、品質であり、経済性である。」

この違いに気付くことが、品質管理を理解し問題解決や改善に取り組むときに必要なことと思います。
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ポイント.16

2005-08-24 | 継続的改善52
コンカレントエンジニアリング

量産段階になっても工程が安定せず、トラブルが多く発生するのは、上流段階の不具合です。上流段階の後工程である生産や検査やサービスが前段階に参加してで問題解決のため協力することが大切です。TS16949では「部門横断的アプローチ」とよんでいます。いわば、部門間連携のことです。

古くはNASAで開発された考え方でコンカレントエンジニアリングとよんでいます。開発の全体の時間を短縮するには、上流段階で多くの関係者が集まり問題解決を行うことで、結果として全体の時間を短縮できるという経験に基づいた手法です。

日本の機械工業ではこのことを理解していて、実践していました。それを体系的に整理したのが、品質機能展開:QFDです。QFDは上流から下流へ展開する手法ですが、その逆に問題の解析によって、下流から上流にさかのぼる方法が、一般的な解析の考えです。

例えば、開発のムダは、問題発生による手戻りということは、開発の経験者なら誰でも経験していることです。また、後になればなるほど問題は大きくなります。それを問題の小さなうちに直しておこうということです。手戻りを上流段階でおさえることは効果のあることです。

開発段階の代表的問題に設計変更があります。このため、設計変更を前向きにとらえて、改善すべき問題として、その問題をいかに前倒しして予防できるか、また、次の段階で
低減できるかを解析した結果、開発の上流段階での部門間連携が大切であることを明らかにして、品質保証体制に組み入れたのが、日本流のコンカレントエンジニアリングです。

このように、日本では問題の解決がきっかけになり、管理手法を開発したため、全員がそれを理解して取り組むことができたようです。

ISOなどは、借り物の手法を導入することで、効率的に思えますが、反面、管理手法開発の努力をしてないため、全員参加に工夫がいるようです。
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ポイント.15

2005-08-23 | 継続的改善52
生産準備段階の体制整備

生産工程の例で生産準備のプロセスを考えます。
生産工程は4つのMで構成されています。
人:MAN
機械:MACHIN
材料:MATERIALS
方法:METHOD

工程設計とは、最適な4Mの組み合わせを求めることです。
当然、生産工程には、目標とする品質を目標とする原価で作る使命がありますから、そのための4Mの組み合わせとともに、4Mに対してどのような管理をするかの計画も必要になります。これを、プロダクトプラン、工程管理計画などとよびます。QC工程表はこれにあたります。

この工程管理計画も従来の実績が整理されているところでは、管理の方法、管理限界、異常処置の方法、工程能力などがわかっていますので、管理計画に従っていかに品質をつくり込むかが重点になります。あとは、改善を繰り返すことです。

量産に移行するということは、安定生産を宣言することです。
量産に移行してからもトラブルが多いのは、前の段階での不具合に手が打たれてないからです。
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ポイント.14

2005-08-22 | 継続的改善52
重要品質問題の展開と改善・管理

致命的欠陥につながること、安全性に影響すること、環境の法律や規制に関連すること、
顧客からの特別な要求や顧客満足に関わること、他社との差別化のための重要項目等々、企業で重点管理しなければならない項目はますます多くなっています。これらを製品開発の上流段階から、もれなく行うため日本で開発された手法が品質機能展開:QFDです。

また、自動車会社では多くの安全性に影響する故障の予測と管理が必要ですが、故障解析の手法として、FTAやFMEAなどの手法があります。

一方、現実に起きた不良やクレームなどの品質問題から、重要な問題を選定してその改善を行い、再発防止の管理を行うことも大切です。

この顧客の要求からの展開と、起きた問題からの改善の両方が必要です。
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ISOで補強すべき3点

2005-08-21 | ISO外論
ISOは基盤整備が目的ですから、きめ細かで一般的な要求項目を中心にまとめています。当然、運用は組織にまかされています。

わが社は、規律がなっちゃないから、「報連相」を徹底したいと経営者が考えるなら、文面どおりにISOを進めればいいでしょう。そんな硬い会社ばかり増えても困りますが。さて、今回はISOで補強すべき点をまとめます。

どうしても補強したいことは、次の3点です。これらはまた、実務とISOを別物にしないためにも理解したいことです。

重要品質問題の展開と改善、管理
生産準備段階の体制整備
コンカレントエンジニアリング

重点指向は品質管理の原則です。重要なことを確実に行い、重要でないことには目をつぶるというのが原則です。人によっては、品質管理は怠け者の方法と表現します。本当は「度胸と要領がいる仕事」です。だから、重点指向して大きな問題の発生を防止することが大切です。

ISOでは、不思議なことに、生産準備段階の管理が抜けています。日本が一番力を入れたこのことがなぜISOに入ってないのか不明です。ところが、後のISO/TS96949という自動車業界用のTS(技術仕様書)には加えられています。これで少し安心しましたが、すべてのもの作りの開発工程で、生産準備の時間を取ることが、品質問題の予防と目標原価の確保に役に立つことです。

次のコンカレントとは、同時並行で連携を取りながら開発をすすめることを言います。生産部門も、生産技術部門も開発の上流段階から参画して、問題を未然防止することがねらいです。

この3点の運用次第で成果が出るかどうかの分かれ目といえます。
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ポイント.13

2005-08-20 | 継続的改善52
データを解析や管理に使いシステムを整備する

以前、人間の脳の話を聞いた事がある。いつも情報が伝達される回路は、伝達が正確に行われるようになっているそうである。

システムを作っても、作りっぱなしで運用がいい加減だと、いざというとき正しく機能しない。システムを作ったら、まず教育をして実行できるようにしておいてから、しばらく試行してみる。成果を確かめ、問題があったら直す。

以前ある自動車会社で、看板方式の導入段階で、大きな会議テーブルを使い、管理者やスタッフが集まり、多くのプラモデルの自動車と看板の帳票を流してみて問題がないか検討していた。今考えれば、あのような積み重ねが看板方式を作り上げたように思う。

さて、システムは情報を流し使いこなしていかないと役に立つシステムとはならない。
データが解析され管理に役立つとシステムも元気になってくる。

フローチャートを見ると多くの線で結ばれているが、本来太い線も細い線もあるが、それが見えるようでなければ本物とはいえないだろう。
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ポイント.12

2005-08-19 | 継続的改善52
検査と評価というプロセスの区切り

確約、確保、確認という品質保証の3ポイントの中で、確認は、次のプロセスに進んで良いかどうかを判断するチェックポイントである。検査は製品やロットに対して合否を決め先に進んで良いかを決めることである。評価は製品実現プロセスの先に仕事を進めるか、否かを決める重要なチェックポイントである。

ISOでは、検査以外にも設計審査、検証、妥当性確認、レビュー、監査など紛らわしい言葉が多い。これらを区別して、チェックポイントの前後に何をするか決めておき、それが正しく実行されてなければならない。当然、無駄なチェックは工程の遅れの要因となるし、運用をルーズにする言い訳に使われる。

ほかで検査を行い検査の方法が良いか確認するだけなら、検査ではない。工程内で工程の管理状態を見る目的でデータを取るのも検査ではない。ただし、得られたデータは目的に合わせてフィードバックすべきである。
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