ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

事例:3ポイント運動から品質保証活動一覧表まで

2009-02-28 | ISO外論
ヒューマンエラーという人に起因する問題の解決をどのように進めたらいいだろうか。
多くの場合、エラーを犯す個人より、その人に自分の仕事の目的は何か、基本的に守らなければならないことは何か、してはいけないことは何か、などについて正しく教えているか、などの教育や管理上の問題である。
また、問題の本当の原因はチームワークやコミュニケーションなどの部門間にあることが多い。つまり、システムに問題がある。
システムは作るだけでなく、運用管理が正しく行われないと、形骸化、陳腐化、官僚化する。ISOでシステムの改善を強調するのはこのようなことを防ぐためである。このように、宝の山は部門間にある。

事例:3(スリー)ポイント運動
 ある工場を案内してもらった時のことである。工場長がしきりに作業者に話しかけてほしいと催促する。「あなたの仕事のポイントはなんですか」と聞いてほしいという。作業を中断させてはわるいと思ったが、何人かに聞いてみた。すると誰もが即座に3つのポイントを答えてくれる。しばらく聞いていて共通のパターンに気がついた。自分の作業の前工程との引継ぎをどうするのか、後工程(次工程)へ何を保証するのか、そのための自分の仕事のポイントは何かという3ポイントである。これはシステムの基本でもある。あまりにも見事に答えてくれるので、作業の連続する何人かに聞いてみた。ラインがコンベアでつながっているのはわかるが、ここでは人の気持ちが3ポイントでつながっていて、ラインが活きているように思えた。また、工場長が日頃の教育効果の確認と現場の人の動機づけに外部からきた客をうまく使うことにも感心させられた。

前工程、後工程を考え仕事をするのは、基本であるがそれが理解されてないことが多い。
少し複雑なシステムにおいても、インプット、アウトプットそれを結びつける帳票を整理すれば、システムはできる。品質保証システムにおいてそれを整理したものが、品質保証活動一覧表である。
まず、品質保証を大まかな段階にわける。設計、生産準備、製造と言う具合である。大まか過ぎるなら、基本設計、詳細設計、工程設計のように分けてもよい。最終的には個々の品質保証活動の単位まで分ける。このように目的とする仕事の機能を分けることを、品質機能展開という。これができたら、個々の品質保証活動の目的を考え、そのためのインプット、アウトプットを整理すればよい。このようにして、開発から製造、販売、サービスまでの全体をまとめた表を品質保証活動一覧表とよぶ。

責任権限を明確にして、部門間のコミュニケーションをよくするために、まず品質保証活動から着手すべきである。品質保証の現状の問題を明確にし、問題の大きいところから責任、権限を明確にしていけばよい。
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14.コミュニケーションと責任権限  

2009-02-27 | 継続的改善52
5.5:責任権限を組織に周知すること、および、内部コミュニケーションを良くすること
は経営者の責任である。

活性化した組織においては、責任権限を明確にすることはコミュニケーションを良くすることにつながる。自分の仕事の前工程、後工程がわかり、自分が何をしたらよいか明確になるからである。「後工程はお客様」というのは品質管理の基本である。お客様のことを考えて仕事をするのであって、自分の都合で仕事をするわけではない。責任権限を組織に周知することはコミュニケーションを良くするため行うことであり、仕事の基本を教育することでもある。

この基本が理解されてないから、部門間の壁が厚く、部門間連携の悪い組織になる。
くどいようだが基本的な教育の不足である。
この原因は、教育する側に問題があることは言うまでもない。
教育する側の思い違い、無知であることを強調しておく。
例えば、次のような思い違いはないはないですか。
責任権限は職務分掌で明確にすればよい。
責任とは自己責任であり本人の自覚に待つよりほかにない。
部門間連携は会議でできる。
等々あげたらきりがないが、この間違いが常識となっている。
ISOや社内監査などこの間違いが多いのに驚かされる。

組織やシステムを長い間放置しておくと、責任権限を必要以上に複雑にして自分の責任を曖昧にする。システムの官僚化である。この原因は経営幹部の思いつきの組織いじりである。組織を細分化しておいて、指示命令を徹底させるために、どんな細かいことでも報告しろと指示する。「報連相」を自主性に任せるのでなく、上から下に要求するという古臭いシステムである。
これが時に、秘密警官のような機能を果たす。信頼によって組織が成り立つのではなく、不信感が蔓延する。経営幹部の器量と恐怖感がそのまま組織に反映されるからである。
ドラッカーがこのことを指摘していたと思うが、組織がだめになる前兆である。これにもう一つ品質問題隠しが追加されれば、悪循環が組織に蔓延する。

ISOは本来このようなことをなくすために、システムの継続的改善を要求している。
システム作成段階から、成果のあがるシステムを考えるべきである。
1+1を2にするだけならシステムはいらない。システムとは部分の和より全体を大きくすることである。シナジー効果をあげるのがシステムの目的である。

たとえば中小企業、少ない人員で仕事をオーバーラップしているから、うまくいく。
組織が複雑になり、責任権限が細分化されたのでは、うまくいくはずはない。こんなあたり前のことが理解されてない。
文書化のみ考えて、取り付かれたように文書を作ると、硬直化したシステムになる。システムは両刃の剣であることを忘れてはいけない。
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13.責任・権限の設定方法  

2009-02-26 | 継続的改善52
5.5:責任権限が設定され組織に周知されること。これは経営者の責任である。


「責任とは達成すべき目標であり、権限は目標達成のための条件である。」
この定義は非常に明快である。
責任を自覚するためには自分が達成すべき目標が明確でなければならない。
言葉を逆にして考える。
自分の達成すべき目標に対して責任を自覚すべきである。
目標が大きければ、目標達成の障害となる問題のあるのが普通のことである。
目的意識と問題意識は同じである。問題意識のない人は目的意識もない。

組織で自分の目標があることは、自分の役割や使命感を自覚していることである。
「人間は自分の欲するところのものになる」という言葉があったが、欲するところという目標を持つべきである。しかし、高すぎる目標をかかげるあまり目標の達成をごまかすことのないようにすべきである。自分自身を偽ることは、自分の品位を失うことである。
最近の企業ぐるみのうそは自分自身を偽ることが原因である。

「自分の欲することを為し得ぬ者は、おのれの為し得ることを欲せよ」とはダ・ヴィンチの言葉である。
目標の設定について上位者の指導と支援が必要である。広い意味での教育である。
広義のといった理由は、社会生活を営む上での責任や目標は子供の頃からの家庭教育に根ざしている。この範囲にさかのぼって教育を考えなければならないので大変である。

上位者は部下の能力をいつも把握しており、能力に応じた目標を与えるべきである。
責任の重要性を自覚するには、責任権限の委譲が正しく行われなければならない。
たとえば「誰も手が空かないので穴埋めに頼む」という仕事と「君の能力を見込んでこれを頼みたい」というのでは、責任の重さが違う。責任の受け取り方が違うのである。
誰でも普段見せないが、大きな可能性、潜在的な力を持っている。
いざという時、力が出せるのは俗に言うところの「火事場の馬鹿力」である。

ほんの少しの思いやりと動機付けで、人の能力を引き出すことができる。
このためには、人の気持ちを感じそれに答える能力が要求される。
応答(Response)できる能力(Ability)がRESPONSIBILITY(責任)である。

方針管理や目標管理というものは人を動機付け、人と人の気持ちをつなぐ為にある。
最近技術論が先行し、そのような管理を目標管理規定なる文書を作ればこと足れリとするばか者が増えたので、組織がぎくしゃくする。

チャレンジ目標という言葉があるが、チャレンジしなくて済むことは目標の名に値しない。
チャレンジする目標があるから、目標達成の段階で混乱しないために責任権限を決めておいたほうがよい。
責任権限を検討することは、部下と上司の双方が動機付けられるコミュニケーションの機会であることを自覚し、たえず実践すべきである。

自分の達成すべき目標が責任、そのため使える条件が権限。
責任権限は重要なものから決める。そのためには方針による改善活動の結果から責任権限を決める。改善、成果の標準化をおこない、部下に任せたい仕事から権限委譲する。このように品質管理を理解していれば、正しく責任、権限を整理できる。
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方針と目標

2009-02-25 | ISO外論
方針が当り前のスローガンであり、目標がいつも未達成なのになにも手が打たれてないようなら、方針や目標をすぐに撤去すべきである。
方針や目標は、ないよりある方がいいというものではない。
ある方が悪い場合が多い。このことに気付くことは大切である。
目標が単にスローガンで誰も責任を持たない場合、いつも目標未達成の気持ちを味わう。

高度成長期は外部環境が目標達成の後押しをした。何も実行しなくても成長することがあった。何をやってもうまくいった。実力以上の成果が得られた。結果のみでなく実力さえも思い違いする。バブルの実態である。
何をしてもうまくいかない時代には、目標未達成がチャレンジ精神を育てるのでなく「負け犬」をつくる。これもまた、バブルである。しかも、こんな怖いバブルはない。
組織のやる気をなくす。

わずかな進歩であっても、望ましい方向に進んでいることが実感できる場合は、人はその方向を目指そうとする。
そのような現実的で実現可能な目標をあげるべきである。
力が付いたら進んでチャレンジ目標をあげ、それを目指すべきである。

このためには、方針、目標の設定のため現状を良く見極め(現状把握)、目標が達成できる実行計画に展開されなければならない。実行計画はたえず確認されよい方向に向かうための処置がとられなければならない。成果のあがったことは評価され、よい点は水平展開することにより成果をあげることができる。このようなPDCAのプロセス全体を方針管理や目標管理という。

人は正しい道が示され、動機付けられると想像以上の力を出す。
動機付けというとすぐ教えることを考えるが、良い点を引き出し(教えられ)それを評価して、水平展開することが何よりも大切である。
組織のリーダーは動機付けの名人であって欲しい。

「実現に程遠く、困難な、はるか離れた微かな光を、情熱の炎に燃え上がらせることができる、これは疑いもなく人間の生命源泉における大きな力である」 オルテガ
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12.品質方針の管理

2009-02-24 | 継続的改善52
5.3,5.4 品質方針、品質目標を設定し、各部門、階層に展開すること。
また、方針、目標が実施され、成果をあげるプロセス全体を管理すること。

 方針は組織の方向を示すものであり、経営者の力の入れ方を示すものである。
時に経営者の人格さえ反映するため、品格を疑うような方針は出すべきでない。
誰もが理解できることは大切だが、あたり前すぎて誰も実行しないようでは困る。
経営者ともなれば人前で話す機会は多いが、必ずしも話し上手とは限らない。
立て板に水のように美辞麗句を並べるより、下手は下手なりに心に響くことを聞きたい。

人格がにじみ出た言葉には力がある。
どこかで聞いた言葉を自分の言葉のように話すのでなく、はじめてその言葉を聞いて心が動かされたその気持ちを話せばよい。いい言葉には力がある。自分もやってみようという気持ちになる。
「学ぶとはまねぶ」と聞いたことがある。
まねぶ技術は生産技術であり、技術がないと真似できないということを、以前、松下の重役から聞いた。「松下工業はまねした工業である」とその重役は自社の生産技術の優位性を強調していた。このような話を聞いて育った社員はうらやましい。松下幸之助さんは神様と言われた人だから、人を育てる名人だったのだろう。

方針が、人を動機付け、発奮させ、経営に参画する意識を植え付けることによって総合力を引き出す力になる。
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顧客要求と技術

2009-02-23 | ISO外論
顧客の要求から組織の経営資源を点検してみる。
自社の保有技術は何か、不足している技術は何かを評価するために、顧客要求を使う。
当然のこと顧客要求は現在の要求ばかりでなく、将来の要求の変化も考えておく必要がある。市場の長期予測に基ずいた顧客要求で技術を評価することが肝要である。

あまり難しく考えると何事も進まない。
技術を評価することで、従来気がついてなかったことが見つかればいい。
そんな軽い気持ちで進めてみよう。
創造性が必要な時には受け身で考えるのは禁物である。

たとえば、次のように考えて進めてみよう。
顧客要求の達成を目的として、その手段を考える。その手段を目的とするとその目的を達成する手段に展開できる。このように顧客要求を展開するとその目的を達成するための技術に展開できる。技術が多くの目的と関連する場合は技術も展開するとよい。
顧客要求の展開を「要求品質表」と名付けた。
一方、技術の展開を「技術表」とよぶ。技術を設計技術と生産技術に分けて、「技術表Ⅰ」「技術表Ⅱ」のように区別しても良いだろう。

また、要求品質と技術のマトリックスを作ると自社の技術の分布がみえる。
顧客要求の中で今後の動向を予測した場合、自社の保有技術は十分か、不足している技術はなにか。今後の技術開発の重点はどこか、などが整理できる。
ポートフォリオも市場と技術のマトリックスだが、顧客要求、要求品質はもう一段階技術の中に入り込んだ指標である。
このように意味ある比較をすることにより今まで見えなかったものが見えてくる。

設計が図面だけでは表現できない品質保証上の重点をまとめたものを、QA表とよぶことがある。
自動車のような組立て業の場合は「部品QA表」「組立てQA表」と区別する場合もある。
ついでこのQA表を製造工程に展開したものが「QC工程表」である。

このような展開を品質管理では品質機能展開:QFDとよぶが。これらは問題発見の道具として、まず活用すると多くの問題の発見に役立つ。
蛇足しておこう。QFDは始め問題発見や問題の予防のために開発された道具である。
しかし、それを形式的に真似るだけでは役に立たないばかりか、余分な仕事が増えるだけのことである。形を作って魂を入れることを忘れてはならない。
「仏作って魂いれず」ではご利益が得られない。
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11.顧客重視で成果をあげる   

2009-02-22 | 継続的改善52
5.2: 顧客重視とは顧客要求事項が満たされ、顧客満足が向上していることを経営者が確認している状態をいう。

「経営者が確認している状態」ここまで厳密に要求されてはごまかしはきかない。
こう思う、考えている、そのようにありたい、などはどこの経営者でもいえることだろうが、経営者自らが確認している状態ということは、明確にそれができていることである。

曖昧と建前はわれわれの専売特許である。
われわれはといったが自分の、私の、といえばもっとはっきりする。
自分の生き方として、ビジョンとして、曖昧、建前と離れて行動しなくてはならない時がある。
人生の大事な局面で妥協して自分を見失うことのないようにしたい。
経営においても同じである。
自分だけでなく多くの人が関わっているだけに責任が重い。

顧客重視とは、顧客の言いなりになることではない。欧米は契約で買い手と売り手の関係が成り立つから基本的に同等の関係である。そのため顧客の要求に対して約束できる範囲を決めること、つまり確約することが契約の第一歩になる。
ところが日本のような親子や系列の関係ではこれが難しい。
ISOでこれが是正されることを期待したが、無理であった。特に日本の場合、審査員は大会社の出身者であることが多い。審査機関も大手企業が集まり出資している例が多い。
ISOは顧客側から企業に要求できる範囲に限定しているため受身の体制になる。
ISO/TSに至っては規格自体が買い手に偏っているため、顧客重視、売り手無視のようにさえ見える。この関係を直さない限り、大人のISOにはならないのだが、これが難しい。

さて、注文が決まってから納入までの短期間では、技術開発する時間は十分ではない。技術者はこのことを理解しているが、注文を取る営業や売上重視の経営者は、自社の技術力に過剰の期待をする。
短い開発期間にしなくてはならないことは、保有する技術を組み合わせて顧客の要求を満たす最高の品質を設計すること、その品質が設計され、部品が購入され、製造された製品の品質確認・品質保証に十分な時間をとること、等である。

当然こちらの都合だけ主張していては注文は取れない。そのため、無理して注文をとるための不良やクレーム、リコールがあとを絶たない。実力以上の売上重視、利益優先の弊害であろうか。買い手でも、多くの不良やクレーム、リコールの原因がいわゆる「外注部品」に起因することが多いことはわかっている。このため、ISOで学んだ監査の考えを使って
「外注指導を目的とした監査」をおこなう。この監査、もたれあいとだましあいのくり返しである。この悪循環を少しでも是正するのは、審査機関なのだが、審査員にその力や意識のある人はいない。結局のところ、売り手が考えるより手はない。

このような悪循環の品質問題を防ぐため、顧客や市場の変化を予測して、要求に答えられるように技術開発の時間を十分とって検討すべきである。

個別受注生産のM造船では、受注から引渡しまでの管理を番船管理とよび、それを支援する技術の開発や改善を部門別管理とよび、両管理を区別して運用していた。番線管理の課題はいかに短期間に品質問題の無い船を作れるかという品質保証を中心とする体制である。なお、品質問題の多くは、品質情報の伝達に問題があることをつきとめ、品質機能展開を開発した。また、部門別管理は方針管理を活用して、従来発生した品質問題の解析により、品質改善や生産技術の改善などに取組んだ。

このように売り手としては事業の重点や特色を考えた管理技術とシステムを開発すべきである。
本音と建前をシステムにするのは難しい。
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10.事業戦略を品質で見直す  

2009-02-21 | 継続的改善52
5.1: 経営者は品質マネジメントシステムの構築、実施、継続的改善に対するコミットメントを行うこと。

なぜ事業を品質で管理するのか考えてみよう。
事業で利益を追求するのは当然のことであるが、なぜ利益が必要かを考えてみる必要がある。利益は事業に配分されて目的と結びつく。
最近の事件を考えてみよう。本来手段であるべき利益が目的となり、得られた利益は事業の推進に結びついてない。

ISOでは資源の運用管理という項目がある。方針の達成のため、人的資源と作業環境・インフラ整備などの運用管理を実施すべきである。
この事業プロセスを品質で管理するのが品質管理である。品質とは顧客のメリットだから顧客の利益としての顧客要求、顧客満足を重視したシステムを運用すべきである。

品質で事業を見直すことにより、今まで見えてなかった「宝の山」が見えてくる。
利益は定量的に処理できる便利な指標だが、結果の指標である。
品質は利益の先行指標または代用特性として優れている。
不良の多い製造工程からは利益は得られない。
「仏作って魂入れず」という言葉がある。製品という形を作っても、心である品質がその中に込められてなければ、魅力ある製品とはいえない。市場でのクレームやリコールは品質を忘れた設計や製造が原因である。

このような単純なことが理解できてないのは、欲深い裸の王様が自分の貯金通帳を見る時間に追われ現場を見ていないからである。
品質管理をするということは、品質をしっかり見ます、現場から学びますというコミットメントをすることである。これが出来て初めて「事業を品質で見直す」ことが出来る。
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文書化のコツ

2009-02-20 | ISO外論
文書化のコツをまとめる。
標準化はだれが読んでもわかることという原則があるが、対象とする一定レベルを決めそれ以上を考えないと、解説が多くなり、実務に役に立たない文書になりかねない。
会社には採用基準があり、教育期間も設定されているべきで、その基準に合う人が理解できればよい。誰が読んでも理解できると考えると、誰が読んでも理解できない文書になりがちである。そのようなことを前提に文書化のポイントをまとめる。

1、「マニュアルは標準語で、その他の文書は方言で書いても良い」
  ある審査機関の代表者から聞いた。マニュアルはお客様にも見せるので、わかりやすく書くべきである。社内で見る文書は、社内に通用する表現でよいということである。
  審査と言うと文書のあら探しのようになるが、理解するよう努力するのが審査員の役割である。

2.「である」調で書くと文書がぞんざいになる。「です」調で書くと親切な文書になる。
  マニュアルはお客様に見せることを考えて、丁寧に書きたい。普段から文書を書きなれている人ならよいだろうが、「である」調で書くと自分が偉くなったような気がして、よい文章がかけないことがある。

3.ISO審査の対象になる文書には、すでに出来ていることしか書かない。
当然のことかもしれないが、文書を作成する段階に気付くことは多く、つい必要以上のことも書きたくなる。多くの場合、文書作成者は文書を読む人より理解している人だろうから、つい余計なことまで書きたくなる。この誘惑に勝てないと、実力以上の文書になるため、守りにくい文書になる。
こうしたいと言う文書は別に解説書のような形で書くべきである。

4.解析や再発防止のプロセスを大切にして書く。
  「始めに文書ありき」はよくない。また、文書にしなくても誰でもできることは、文書にすべきでない。これを守らないとどんな問題がおきるかを中心に書くべきである。
  解析や改善のプロセスにそって書くのがよい。いわゆるQCストーリーが一番わかりやすいはずである。

5.手順はフローチャートで書くとわかりやすい。
  フローチャートは前後の工程が明確になるし、少し解説を加えれば帳票や記録のインプットとアウトプットの関係がつきやすい。従来から品質管理を実施している会社で使われている、品質保証体系図や品質保証活動一覧表など活用すべきである。

6.誰によんでもらうか考えて書くこと。
  誰が読んでも理解できること、という考えは捨てたほうがいい。そんなに丁寧に書いたものは、実務に慣れている人が日常使うのにはふさわしくない。
  誰が読んでもわかるように書くのは教育用のテキストである。
  実務者に必要なのは、手軽に見られる注意書きでよい。
  教育用と実務用を混同しないようにしないと、役に立つ文書にならない。

7.一番大切なことは、標準化とは標準を作って終わりではないということである。
  作ったものは徹底して教育訓練すべきである。もし教育訓練の時間が取れない程度のことを標準などにすべきではない。
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文書化の世界

2009-02-19 | ISO外論
「口角泡を飛ばす」という言葉がある。
これでもかというくらいに議論する、言葉や文書にこだわる。欧米の特徴である。
むかし友人の映画監督に教えられた。シナリオを読む。日本人の会話は全てを言いきらないそうだ。余韻があるというか余韻を残さないとシナリオにならない。
そこで、韓流、すべてを話してくれるから楽しい。異性からこう言われたいと思っていることを聞く心地よさがある。言い過ぎで恥ずかしい気もするが。
あんな歯の浮くようなことは、昔の男は言わなかった。
言わなかったから、話す言葉に重みがあった。
日本男子をひ弱にしたのは韓流ドラマと関西の漫才である。
脱線した。

詩人の佐藤春夫が詩を書く心得を聞かれて「言葉は浅くこころは深く」とこたえた。
山頭火「言ひすぎは言ひ足らないよりもよくない」。

日本人は形と心を別のものとは考えない。
長年かけて心を形に変える。茶道、華道などはそれにあたる。
ISOでやたらに文書を作っても決して形はできない。心のないものには形はない。

ではどうしたらよいだろうか。
改善のプロセスを考えてみよう。現状把握して問題の原因を見つけ、それに手を打って成果を確認してから、歯止め標準化する。
当然標準化とは、良い点や問題の再発防止の標準を作ることと、その教育訓練をしてよい状態を維持することである。これが出来たら次の問題を探し改善を繰り返す。
問題を見つけ良くしたいと思うから、心がはいる。

さて、ISOを作ったEUのように外国人労働者の多い国では、作業者の訓練のための作業標準のような文書は必要である。スタッフは苦労して標準をつくり、徹底して守らせ、また守る努力をする。「始めに言葉ありき」の世界である。
最近のように、海外の労働者の多い日本で学ぶべきことも多い。
ただし、日本のよさを生かした標準化に取組むことが大切である。

日本には「守破離」という形を学ぶプロセスがある。
まず、形から学ぶ、次ぎに形を破る、そして全てから離れてみる。その後、自分なりの形を作りそのくり返しをするというプロセスである。
PDCAと「守破離」を結びつけること。これが大切である。
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