ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

審査の限界

2006-03-31 | ISO外論
ISOで難しいのは、認証取得の後だという話を聞く。
半年ごとにある審査機関の査察の準備をしなければならない。
審査の後には必ず是正要求が出る。

実に馬鹿げたことだが、審査機関の方針があり、審査員1人当たり何件の指摘をするという決まりがある。
いうまでもなくこれは、審査の質を反映しない量的目標である。
この指摘により会社がどうよくなるかは関係ない。

指摘を増やすために、ISO規格の解釈が複雑になる。
審査員の言葉が難しくなることと、会社が良くなることは、全く関係ない。

以前、ある会社で認証取得後、ある推進者から、これだけ努力して達成感が感じられないのはなぜだろうか、と聞かれて答えにつまったことがある。
会社がよくなるということが見えないのである。

ISOを活用して、会社を良くするためには、内部監査と是正処置の質を高めることである。
これにより成果があったということを審査員に示すことで、ISOの質を高めたいものだ。
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生産設計段階の品質の作りこみ

2006-03-30 | 高シナジー経営
設計の最終プロセスが生産のための設計である。
設計の機能は要求品質の具体化であるが、企業にあっては経済的生産が可能でなければ意味が無い。品質が安定し、安定的生産が可能で、経済性が確保できた生産設計をするには、設計者が製造を熟知してなければならない。

設計と製造の橋渡しをするのは、生産技術であるが、この部門に十分なスタッフ力はない。
大企業では、生産技術は製造部門の能力が高まり、独立した部門としての存在価値がなくなったというのが、理由と聞いたことがあるが、本当にこれで今後も大丈夫かということには、疑問がある。

生産準備段階の目的は、安定した品質と原価目標を達成する、設備、材料、人、方法の4つのMについての最適な組み合わせを保証できる工程設計を行い、その管理の方法を「QC工程図」などに示すことである。

この生産準備段階の管理を部門間連携で切り抜けるのが、日本のものづくりのお家芸であった。部門間連携ができるのは、各部門に力があるからできることである。業務が分散化しすぎて力のない部門が集まっても、力がでない。

何れにせよ、本生産とか量産のような本格的生産に移行する前までに、品質の作りこみと経済的生産の達成可能性の確認が終了していることが望ましい。これができてないから、量産に入ってからの不具合処理が多くなる。


最近、管理の工程図でないQC工程図が増えたように思う。
これが空洞化の象徴でなければよいのだが。
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デザインレビュー

2006-03-29 | 高シナジー経営
7.3.4:設計開発の期間は長い。そのため設計開発をいくつかの区切りに分けて、その区切りでチェックして先に進むというPDCAを繰り返す。要求を満たす設計開発になっているか、問題はないか、あればどのような処置をとるか、これを体系的に行うのがデザインレビューである。

設計の区切りは業種によりことなる。基本設計、詳細設計、工程設計などの何段階に分かれるが、その区切りで前に進んでいいかどうかを決めるのが設計審査である。

基本設計が完了したかどうかは、次工程の詳細設計がはじめられるかどうかで判断できる。つまり、詳細設計の受入検査に合格して、受け取ってもらえるかどうかで、基本設計の出来栄えは決まることになる。このように、設計審査は次工程への出荷検査、次工程からみた受入検査といえる。

同様に詳細設計の出来栄えという品質は、生産可能な設計になったことで評価できる。当然、前段階から引き継いだ顧客の要求に応えてなければならない。

このようなことをシステム的に行うのが、設計審査・デザインレビューである。
 
設計の工程に他部門が入り込んで審査するのは革新的なことである。特に品質問題の80%は設計段階に起因していると云われるから、この段階での問題解決がたいせつである。

多くの産業で、設計段階に各部門が集まり協力する体制をとっている。部門間連携というとすぐ会議を考えるが、多くの会議がそうであるように、ただ集まり情報を伝達する場にするのでなく、実務的に各部門が連携するシステムを考えるべきである。この部門間連携の成果を把握するのが設計審査である。

このような機能があることを確認する必要があろう。
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『人の振り見て、わが振りなおせ」

2006-03-28 | 高シナジー経営
小さな子供は、新しいことを学ぶとき、何でもその通り真似してみる。
「まねぶ」が「学ぶ」になったと聞いたことがある。
あの子供の純粋な濁りのない目なら何でも学ぶことが出来るに違いない。
母親に抱かれて信頼しきっている赤ちゃんのあの真っ直ぐな目に、自分の全てを見透かされた気がして、思わず、目をそむけた経験はないだろうか。

「みる」とはあのような目で見ることを言うのだろう。
大人になると、その目が曇ってくる。
純粋にみるのではなく、今までの経験を通してみるから、本当のことが見えなくなる。

名所旧跡や海外に行くと、案内書を読み、帰ってきたら何と説明しようか、という見方をする。始めてみるものなのに、あの本に書いてあったとおりだ、という見方になる。
素直に感動できない。

「人の振り見て」というのは、学ぶ心で、人の振りを見るから学べるのだろう。
欠点が目に付くような見方をしていては、学ぶことは出来ない。

さて、ISOの内部監査員や審査員は大変な仕事だと思う。
良い点を見るのでなく、欠点を見るのが役割になっている。

学ぶ心をいつまでも見失いたくない。
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「反省だけならサルでもできる」は本当か。

2006-03-27 | 高シナジー経営
だいぶ前のことであるが、テレビで有名になった反省ザル。
サルに反省が出来るのだろうか。
もし反省が出来るなら、人間以上の能力といえる。

動物園のサルを見ていて、面白いのは、サルも一生懸命に人間を見ていることである。
群れの中の何匹かは、人間の動きを警戒するようにみている。
彼らは、常に警戒しており休む暇もなく、外界からの変化や、自分たちに危害を与えないか注意している。

この常に自分の外におきる「他者」に注意を奪われて行動していると、自分に振り返って考える暇がなくなる。
リーダーサルはたえず自分の次を狙うサルの攻撃に備えなければならない。
中には自分の地位をつくろうと、にじり寄ってくるサルもいる。
これらの全てに対応しながら、常に危険にさらされていると、自分の内面を振り返って生きていく事は出来なくなる。

自分の内面に入って考えることが「反省」である。
深く考えることを「思索する」とか「瞑想する」という。
疎外感を感じ、外からの働きかけに恐怖心を持っていると、自分の内面に入っていくことは出来ない。

「反省」はPDCAのチェックだから、PDCAがまわらない。
今までPDCAを軽く考えていたわけではないが、自ら計画や目標というプラン(P)を決め、実行(ドゥー:D)し、その結果を反省(チェック:C)して、計画に反映させるというアクション(A)は、簡単に出来ることではない。

「反省だけならサルでもできる」から人間たるもの、PDCAを回せというつもりはないが、外に気をつけるばかりでなく、自分の内面に入り考えてみるという意味で反省しているかについて考え直してみたいと思う。
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設計開発のインプット・アウトプット

2006-03-26 | 高シナジー経営
ISOでは、インプットをアウトプットに変換する仕組みをプロセスという。
プロセスは仕事や機能、目的など意味するから、設計開発の目的は規格で説明されているインプットを要求されるアウトプットに変換することである。

7.3.2、 7.3.3:アウトプットから説明したい。要求を満たす。設計の後工程に情報を提供する。製品の合否判定基準を示す。製品が安全に適切に使えるように仕様を明確にする。
これが設計開発という仕事の目的である。このためのインプットとして、製品に対する要求や法律、規制。以前の設計の情報や設計開発に必要な情報などである。

当然製品開発は組織の将来の利益を得る投資であるから、品質要求のみでなく原価の目標も達成しなければならない。

特に設計開発段階の原価管理は原価企画といわれる部分であるが、ここでの問題が多い。
またこの段階での品質設計の不具合は後工程で原価アップとなってくる。
そのためには、品質と同期化した原価管理がなされなければならない。
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設計・開発の上流段階に組織を結集させる

2006-03-25 | 高シナジー経営
7.3.1; 設計開発にあたって計画を決めその管理をすること。その計画には、どのようなステップ(区切り)で設計開発を行うか。その区切りでレビュウ、検証、妥当性確認などをどう効果的に実施するか。設計開発の責任権限を決めること。など非常に親切に書いてある。人の台所まで心配していただき恐縮する、などと言いたくなる。

ISOでは、その後でもっと親切に、組織の運営について忠告してくれる。
効果的なコミュニケーションのための責任の割り当てること。
設計開発段階の各部門のインタフェースを運営管理すること。

さて、ISOではなぜここまで心配してくれるのだろうか。
欧米の企業にとって、開発の上流段階に各部門が集まり問題解決するというのは革新的出来事に違いない。
まず、設計の技術者が製造のスタッフの意見を聞くことすら、従来はなかったことと思う。
日本と違って設計者と製造のメンバーとでは、給料すら違う。

以前、イギリスに進出した日本の工場長から、現地の優秀な工場スタッフを募集する難しさを聞いたことがある。
設計者はいくらでもいい人が集まるが、製造のスタッフは集まらないとのことである。
そのくらい仕事に対する価値観が違うようである。

日本では、過去の「安かろう悪かろう」から立ち上がるために「全社一丸となって」品質の向上に取り組んだ。
これを日本では、全社的とか総合的品質管理といった。TQCである。
この成果を見た海外からの訪問者が日本の方式を、QS9000 やISO/TSに「部門横断的アプローチ」なる名前で紹介している。
日本では機能別管理といって品質保証や原価管理などは部門間連携の活動としてあたり前に、実施していた。

最近は,日本も国際化して、これを意識しないと、部門間の連携が取れないこともあるようだ。
50年前の品質管理を知っている人は嘆かわしく思うことだろう。
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顧客重視ということ

2006-03-24 | 高シナジー経営
ISO7.2 顧客関連のプロセスは、顧客の要求を知り、実現できることを確約するプロセスである。

今は、忘れられているが、日本の品質管理がマネジメントの重要な道具になったときから、日本では顧客重視の考えがあった。導入段階で品質管理の指導をしたデミング博士は市場調査の専門家であった。「プロダクトアウトでなくマーケットインを」という生産者重視でなく顧客重視が品質管理の基本概念であった。

当時は、海外に輸出した製品のクレーム・返品の山に対応することが、顧客重視であった。
やがて、クレームも落ち着くと、次の段階は市場での海外の製品との競争がはじまる。

キャタピラ社のブルドーザを日本で迎えうつために、社運をかけて品質管理をした小松が日本で苦労の末、品質目標を達成すると、本場のアメリカに乗り込んでいく話は、余りにも有名である。

内外の競合メーカとの競争をとうして、品質はますます向上する。品質管理の大先輩である第1次南極越冬隊長の西堀先生はそれを「励ましあいの競走」と表現したが、このことも高度成長の要因である。

その後、海外から批判された日本流の系列という、買い手と売り手の関係の強化がなされる。特に自動車業界での国際化と企業統合にあわせて、自動車産業に特化したQS9000やISO/TS16949ができると、従来、系列を非難した海外からは、あらためて、買い手と売り手の関係の強化が要求されるようになる。

事故や安全性に対する品質問題が顕在化している現状を考えると、真の顧客の要求をつかむということは、品質管理という狭い分野のみの問題でなく永遠のテーマなのかもしれない。

「歴史は繰り返す」というが、今の日本のものづくりを立て直すためには、もう一度原点に立ち戻って、考え、行動することが大切である。
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製品実現の計画(個別製品企画)

2006-03-23 | 高シナジー経営
ISO9001,7.1は製品の開発から生産、サービスにいたるプロセスについての計画について書かれている。

9001の特徴は、製品開発のプロセスの具体的手順がかかれていることで、この7章の「製品実現」に9001の要求事項を全て集約して考えると具体性が出てくる。
たとえば、5の経営者の責任は品質方針についての要求があるが、この品質方針は、製品実現のプロセスに展開されて具体化される。
当然、6の資源の運用についても、製品実現のために、人、もの、金などの経営資源をどう投入するか、かんがえられなければならない。

経営資源の運営というと、資源を投入することばかり考えるが、もっと大事なことは、資源を使わないことである。
例えば、何か新しいことを始める場合は、今までの仕事を点検して、しなくて良いことを
決めることである。新たな仕事が追加されて、今までの仕事が見直されないことが多い。特に、ISOのような次々新しい仕事が増える時には、今までの仕事が見直されなければ、改善のはずが効果が出ないことになる。
この意味で、ISOは事業再構築(本来の意味でのリストラ)の手段であるがこれがあまり考えられてない。総合製品企画という発想がないからだろう。

つぎに新製品開発のような時間が勝負の仕事では、開発のプロセスですべきことと、日常することを整理して取り組むことが大切である。

このような当たり前のことが出来てないのは、個別製品企画という計画段階で、現状把握をせず理想的な計画を作るからである。

PDCAというがCAPDで考えることが、計画作成段階では大切である。
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品質戦略に気付く

2006-03-22 | 高シナジー経営

ある素材メーカのことである。客先ニーズに合わせて素材を供給していた会社が,市場の変化で販売量が低下したので,新市場の開拓を考えた。
自社の得意な技術を活用して,新市場の製品に素材を供給できるか,検討をすすめた。

いままでの顧客は素材のことにもなれていたため、あまり突飛なクレームもない。
ところが,新しい顧客は、この素材に慣れてないため,考えられないようなクレームがおきる。このように、製品によって,開発の品質保証の重点が異なることを経験した。

これらの開発を通して、従来型の製品開発を「市場先行型」、保有技術を生かす開発を
「技術先行型」と区別して開発を進めることとした.


洗剤や化粧品などの家庭用品を扱うL社では、海外との積極的技術提携により製品グループを充実してきた。
この会社では、技術の新規性,市場の新規性を現有から新規まで3段階に分け,3×3のマトリックスを作り,開発のパターンを整理している。
製品を開発するはじめの段階で、まず,その製品がどのパターンに属するのかを評価して,開発スケジュールの概略を作成する。

品質保証システム,品質システムは一種類作成してすべての製品を当てはめるのはむりが多い。非常に類似性のある製品でも、品質方針や技術の新規性により管理するポイントがことなるので、運用管理に際して工夫がいる。
新製品に応じた、層別管理、重点管理できる工夫が必要である。この段階での戦略の不足が企業にとっての一番の損失である。
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