ISO成功法

ISOと継続的改善を両立させよう。ISOは継続的改善のための、基盤整備に役立つ。基盤整備と継続的改善のコツを整理したい。

20.顧客重視ということ

2006-10-14 | 継続的改善52
7.2:顧客関連のプロセスは、顧客の要求を知り、実現できることを確約するプロセスである。

今は、忘れられているが、日本の品質管理がマネジメントの重要な道具になったときから、日本では顧客重視の考えがあった。導入段階で品質管理の指導をしたデミング博士は市場調査の専門家であった。「プロダクトアウトでなくマーケットインを」という日本語英語は生産者重視でなく顧客重視という当時からの品質管理の基本的考えである。
当時は、海外に輸出した製品のクレーム・返品の山に対応することが、顧客重視であった。
やがて、クレームも落ち着くと、次の段階は市場での海外の製品との競争がはじまる。
キャタピラ社のブルドーザを日本で迎えうつために、社運をかけて品質管理をした小松が日本で苦労の末、品質目標を達成すると、本場のアメリカに乗り込んでいく話は、余りにも有名である。
内外の競合メーカとの競争を通して、品質はますます向上する。品質管理の大先輩である第1次南極越冬隊長の西堀博士はそれを「励ましあいの競走」と表現したが、このことも高度成長の要因である。

その後、海外から批判された日本流の系列という、買い手と売り手の関係の強化がなされる。特に自動車業界での国際化と企業統合にあわせて、自動車産業に特化したQS9000やISO/TS16949ができると、従来、系列を非難した海外からは、あらためて、買い手と売り手の関係の強化が要求されるようになる。
事故や安全性に対する品質問題が顕在化している現状を考えると、真の顧客の要求をつかむということは、品質管理という狭い分野のみの問題でなく永遠のテーマなのかもしれない。「歴史は繰り返す」というが、今の日本のものづくりを立て直すためには、もう一度原点に立ち戻って、考え、行動することが大切である。


T.レビットは「システムが複雑になると、・・・売り手は期待価値を最優先させる。」と示唆している。潜在的要求に答えるとなると、顧客との関係の強化がますます重要になっていくだろう。T.レビットの示唆したことは、既に起きていることも含めた近未来の予測でもある。
「取引の最初から買い手との関係をうまく管理し、買い手の不満やニーズにうまく対応することが迫られてくる。売り手と買い手は相互依存の関係となるから、売り手はこれを理解し、管理についてのプランを用意しておかなければならない。両者の関係をあたためてふくらませていけば、売り手にとっては単なる金銭以上の価値を手中にできることは間違いない。」
引用が少し長くなったが、今のISOの必要性に対する示唆である。
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