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マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マレーシアマイセカンドホームセンターで質問した結果明らかになったこと - その3

2012年03月11日 | 規定・条件及びその解説

マレーシアマイセカンドホームプログラムの公式サイト及びその発行文書を読んだだけではよくわからない点や不明確な点が少なからずあることは、これまでにも当ブログで度々指摘したことです。ですから公式サイトの基準である英語ページや発行文書(英文)をそのまま訳しただけでは不充分ですし、いくら精緻に原文を読んでも解決しない点がでてきます。。
さらに読者からの質問の中にはイントラアジアでは答えきれない事もあります。

このことを説明しておきます。なぜなら公式サイト及びその発行文書は緻密な条件・規定を網羅したものではなく、世界各国からの申請者・申請希望者に対して最大公約数的に対応するためのものであり、運用上はマレーシアマイセカンドホーム当局内の審査委員会が審査して判断するというあり方です。

経時変化としての審査のぶれもあるまたは起こりえるでしょう。また申請者の国籍は様々ですからその個人事情とお国事情は異なる、よってその申請書類の記載内容において微妙な点や条件・規定で触れていない点をどう判断するかは審査委員会にかかっています。これはある意味では仕方のないことだとも言えます。

このような経緯から、2012年2月下旬に Putrajaya にある観光省本庁内のマレーシアマイセカンドホームセンターを訪問して、いくつかの質問をしてセンター側から返答と説明を得ました。イントラアジアに対応したセンターの係官は、係官自身だけでは判断できない点はその都度上司や同僚に確認しながら答えてくれました。

イントラアジアの Putrajaya に移転した後のセンター訪問は、昨年の2回に続いて今回で3回目です。

読者の皆さんはあらかじめ、当ブログの『マイセカンドホームプログラムの規定・条件の一部文章改定に合わせた、訳文とその解説』-20011年3月3日付け- 記事を参照してください。記述された文章の意味と単語の説明はその記事でしてあるからです。

なおここでは50歳以上の申請者の場合に絞りますが、解説する内容は50歳未満の申請者の場合にも同様の趣旨で適用されます。

該当するマレーシアマイセカンドホームプログラムの規定と条件は次のようになっています。

【申請に際して:】
2) 50歳以上の申請者は、流動資産が RM 35万あり及びマレーシア国外を源泉とする月収が RM 1万あることを示す条件に適合しなければなりません。

申請者は経済状況の証明として現在の預金口座の認証謄本を提出する必要があります。そのために直近3ヶ月間の口座取引明細書を提出し、その際各月の口座残高が RM 350,000 (35万リンギット)を下回らないことが必要です。

すでに引退された方は、政府認証の基金から月額 RM 1万(1万リンギット)の年金を受領することを証明する必要があります。

追記の注
公式サイトに後日追加されたお知らせに次のような文言が載っている:
2012年7月12日以降の全てのマレーシアマイセカンドホームプログラム申請には、月々の収入としてまたは政府認証の年金の受取りとして、直近3ヶ月間の預入れを示す口座取引明細書を提出しなければなりません。
2012年7月12日より前に受け取りが完了した申請にはこの規則は適用されません。

なお月々の収入として、給料、賃貸収入、受取り利子、株式(からの配当という意味でしょう)などが列挙してある。



【 1.流動資産の範疇を説明】

まず初めに、マレーシアマイセカンドホームプログラムでは、株式( stock/equity) 、債券とりわけ国債(government bond) を流動資産(liquid assets)として認めるのか、という質問をしました。

結論を先に言いますと、株式は認めない、国債は認めがたい、という返答でした。
国債に関しては、補助的に認めなくもないが、確約はできない、最終的にはマレーシアマイセカンドホームセンター内の審査委員会が判断することである、というものです。

マレーシアマイセカンドホームセンター係官の立場からは、流動資産とは銀行に預けた普通預金と定期預金のことだという理解がなされている、ことがわかりました。

例えば銀行預金でRM 30万相当、国債でRM5万相当、保有するプログラム申請者が参加申請した場合というイントラアジアの質問に対して、係官の返事は、申請を受け付けるかも知れないが、判断は全て審査委員会が下すので保証は全くできないという返事です。

印象として、国債(government bond) というものがよく理解されていないことを感じましたが、センターの基本的立場は、あくまでも流動資産とは銀行預金であるというものです。読者の方々はこのことを承知しておいてください。

センターの立場からは、国債ですら認めがたいという認識ですので、株式や社債を流動資産と認めて欲しいという要求はかなり難しいと思われます。


【 2.マレーシア国外を源泉とする所得(off shore income)の範疇を明確化】

プログラムの規定・条件では上記のように、「マレーシア国外を源泉とする月収が RM 1万あること」です。

イントラアジアの質問趣旨は、このマレーシア国外を源泉とする所得の範疇を明確にしたいということです。給与所得者の場合は明確ですからここでは問題とはなりません。そこで給与所得以外の種種の所得について尋ねた結果、次のことが明確になりました:

* マレーシアマイセカンドホームセンターが認める収入の種類
部屋や家の賃貸料(room/house rent income)、土地の賃貸料(land rent income)、店や商売から得る事業所得(business income)、

* 農民、漁民、自営業者など被雇用者ではない人たちの所得も、その所得を証明することさえすれば、もちろんこの範疇に入ります。

* マレーシアマイセカンドホームセンターが要求するものは、所得を公式に証明するものです。税務署の発行する確定申告後の所得及び税額決定書類や自治体の発行する所得証明書類が、日本人の場合はこれに該当すると言えるでしょう。もちろん原本書類とその英語翻訳の提出が必要となる。

注:マレーシアでは個人が前年度の所得を申告してそれが確定し税金額が決定されることを Income tax return と呼びます。つまりこのIncome tax return の書類に当たるものをマレーシアマイセカンドホームセンターに提出すればいいわけです。

* 農民、漁民、自営業者、フリーランサーなどは給与所得者層と違って、毎月の所得に変動が起きがちなことを、マレーシアマイセカンドホームセンターは承知しているので、直近の1年間における平均月額で規定額の RM 1万を満たせばよい、という説明兼返答でした。



上記で言及した日本の当局の発行する公的書類は年度を基準にしていますので、月平均所得は容易に算出できますね。

ところで株式配当(stock dividend)、債券配当などによる配当所得(dividend income)をマレーシアマイセカンドホームセンターは積極的に認めないようですが、日本の書類では所得項目がいろいろと分かれていても最終的には総所得としていくら、という形で公式書類が発行されますよね(イントラアジアが昔日本で暮らしていた当時の記憶ではそうでしたので、現在でも変わっていないことでしょう)。ですから所得の一部として配当所得があっても構わないと理解できます。

2012年4月の追記:上記から関係部分だけを抜き出します、”月々の収入として、給料、賃貸収入、受取り利子、株式(からの配当という意味でしょう)など” 
つまり、お知らせの中で株式の配当を例にあげていることから、所得に含めて問題ないと理解されますし、そう主張できますね。



そこで、例えば部屋賃貸料、事業所得、配当所得、これらを合計した年間所得を12ヶ月で割った月平均所得が RM 1万相当を満たせば、この部分でのプログラムの規定と条件を満たすことになると判断することができます。


【 3.企業年金に対するマレーシアマイセカンドホームセンター側の認識】

上記で載せましたように、定年などのために被雇用状態でなくなった、商売を止めたなどによる引退者・退職者の場合は、政府認証の基金から受け取る年金月額が RM 1万相当あることが、規定での条件になります。

厚生年金と国民年金はいうまでもなく国の年金ですから、疑問は全く発生しませんね。
それでは一部の被雇用者が掛けている企業年金(corporate pension) をマレーシアマイセカンドホームプログラム当局はどう判断するのでしょうか?
イントラアジアはこの点について尋ねました。

マレーシアにこの企業年金仕組みはほぼありませんし、恐らく世界で企業年金制度がある国は少ないはずですから、マレーシアマイセカンドホームセンターはよく理解していないとがわかりました。

そこで、企業年金は日本政府の認定下に企業年金基金 (corporate pension fund) を設立することで運営されている、つまり政府認証基金の一種であり、厚生年金額に上乗せする形で保険料を納め、後年に受領するというイントラアジアの説明に、マレーシアマイセカンドホーム係官はかなり納得したように思えました。

年金月額が RM 1万相当あることという条件を満たすために、厚生・国民年金額に加えて企業年金額を申請される方は、このことからプログラム当局が合計額で認めてくれると期待できるでしょう。ただし最終的な判断を下す権限をマレーシアマイセカンドホームセンターの審査委員会が握っていることだけは、よくご承知おきください。

なお政府認証とは無関係な民間年金は名称如何に関わらずプログラムでは対象外だということは明白です。

3月27日の追記:

ニュースで、AIJ投資顧問による企業年金資産の消失が大きな問題になっていることを知りました。明らかになりつつあるそうな事件の原因や経緯はここでは関係ありません。
外報通信社を通して海外にも報じられていることから、マレーシアマイセカンドホームプログラム当局に日本の企業年金は政府認証でもきちんと保証されたものではないというような理解を持たれると、企業年金を申請に加えようという方にはやっかいなことになりかねませんね。



上記の説明文中に括弧書きした英単語は重要語彙なので、関係する方は覚えておきましょう。なお係官はほとんど全員がマレー人であり且つ官庁なので、イントラアジアは常にマレーシア語で問答と会話を行い、不充分な点は英語語彙で補うというあり方です。

以上の問答から、この分野において一部の読者から提起された質問及びイントラアジアの疑問点がほぼ片付きました。


以下は別分野に関する質問と返答によって明らかになったことです。

【 4.更新に関する疑問点についての問答の結果】

2011年12月21日の当ログ記事 『マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者は期間10年の社会訪問パスがもらえる』 でイントラアジアは次の疑問点を指摘しました:

【追記:疑問または不明瞭な点がある】
”更新というページには次のように載っている:
更新 - 5年経過後
a. (更新する)申請者は本人が Imgigresen本庁または最初に承認を出したその Imigresen州本部へ行かなければなりません。
b. 必要書類と料金はここでは省略します(Intraasia注)

更新 - 10年経過後
a. (更新する)申請者は本人が Imgigresen本庁へ行かなければなりません。
b. 必要書類と料金はここでは省略します(Intraasia注)

「(授与した)社会訪問パスは当初10年間になる、そしてその社会訪問パスは更新することができる。」と公式サイトに掲げ、且つパスポートの変更・更新を説明したページでは、社会訪問パスは最長10年と書いておきながら、別の箇所である”更新”ページでは 上記のように ”更新 - 5年経過後” と書かかれている。

マレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトにおける、この矛盾したともいえる不明瞭な記述は、プログラムに興味を持つまたは直接申請を考えている人たちに疑問、困惑を与えることになります。
以上

イントラアジアがこの点について疑問を呈した際の、マレーシアマイセカンドホームセンターの説明です:

「マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者に与える社会訪問パスの期間が以前は5年間であった。そのため”更新というページに 5年経過後という項目を載せている。しかし現在では全て、社会訪問パスの期間は当初10年間になるので、5年経過後という項目は関係ない。」

これで”更新 - 5年経過後”という疑問点は解決しました。
いつもながらマレーシアマイセカンドホームプログラムの公式サイト及び文書にみられる、不充分または不親切な文章構成です。ひとこと、例えば「昔社会訪問パスの授与期間が5年だった頃のプログラム参加者については」というようなことを書き加えておけば済むことですね。

なお社会訪問パスの当初授与期間は10年ですが、承認を受けた参加者が手続をする際に、そのパスポートの有効期限が10年に満たない場合は、社会訪問パスの当初授与年数はその有効期限の年数になります。このことは、2011年12月21日の当ログ記事でも説明してあります。:
15.社会訪問パスの料金は1年あたり RM 90:社会訪問パスはパスポートの有効期限に基いて与えます(最長10年)。

例えば、保持するパスポートの残り有効期限が 6年3ヶ月であれば、社会訪問パスの当初授与年数は6年になり、収める料金は RM 90 X 6 =RM 540ということです。
そしてパスポートを更新し、それに基づいてImgigresen本庁でパスポート変更手続をする際に、残り4年分の社会訪問パスが授与されることになる。


【 5.片親だけを帯同する場合の必要書類についての問答の結果】

2012年01月15日付けの当ブログ記事 『マレーシアマイセカンドホームプログラムで各種申請と手続きに必要な書類と指針の一覧』において、C. (注:マレーシアマイセカンドホームプログラムで帯同する)親用の社会訪問パスを発行してもらうための申請指針 内の1つの項目記述に関して、イントラアジアは疑問点を書きました。:

「8. 両親の結婚証明書とその複写に関してです。両親ではなく、片親だけを帯同する場合はこれは必要ではないと思いますが、原資料にはその旨が書かれていません。さらに一方の親が既に死亡しているような場合は結婚証明書の発行自体は無理ですよね。原資料の説明不備といえるでしょう。」
以上

この点をマレーシアマイセカンドホームセンターの係官に確かめました。その結果、イントラアジアが指摘したとおり、片親だけを帯同する場合は両親の結婚証明書は必要ない、との返答を得ました。


以上今回のマレーシアマイセカンドホームセンター訪問ではいくつかの疑問点や質問がほぼ解決しました。

承知しておくべき重要なこと -2012年4月追記

ただしこの場で述べたようなことに関しても上記で書きましたように、審査のぶれもあるまたは起こりえるでょうから、申請直前に窓口でよく確かめるとか、申請時に丁寧に頼んでみることは無駄ではないと思います。”申請書類の内容を承認されやすい観点にして上手に記述する”ということも大事でしょう(虚偽ということではありませんよ、誤解なきように)。

マレーシアマイセカンドホームプログラム当局は、当然ながら申請事例集のようなものを発表していません。そこで同じような申請内容である人は承認されたが、ある人は承認されなかったということは起こりえます。それが巷で、「Aさんが承認されたんだから私も必ず承認されるはずとか、Cさんの場合はダメだったので私もきっとダメだろう」というように、関心を持つ人たちの間で膾炙しているようですね。申請者において記載内容が他者と全く同一なんてことはありえませんから、あくまでも判断の参考、推測の材料だと捉えるべきです。

上記で書きました、「公式サイト及びその発行文書は緻密な条件・規定を網羅したものではない・・・」から始まる下線部分を再度強調しておきます。この約10年の間にマレーシアマイセカンドホームプログラムの規定は変更と修正がありましたし、政府及び観光省のマレーシアマイセカンドホームプログラム奨励姿勢にも幾分の変化があります。つまり、例えば3年前の申請事例が今年も全く同様の基準と姿勢で審査される可能性はあるともないとも言えるのです。

誰が見ても明らかに必要条件を満たしていない場合は試してみるまでもないですが、玉虫色の申請内容であれば、試してみる価値はあるでしょう

 

少し説明しておきましょう。
変更の代表的な例をあげれば、2011年に直近3ヶ月間の口座取引明細書の提出が必要条件になりましたね。なぜこういう条件が加わったかは容易に推測できます。マレーシアマイセカンドホームプログラムの対象は世界中の多種多様な人たちです、そしてマレーシア長期滞在の名目に利用したい人たちもいます。口座残高の人為的調整ぐらいはできてできないことではない人たちもいることでしょう。当局はとりあえず3ヶ月という幅を要求したということです。この期間が十分か十分ではないかは、申請者側が関知するところではありません。
当局がマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者の増加を奨励することは変わらなくても、規定や判断や態度に揺れなり変化は起きています。さらに成文規定そのものの不十分さとあいまいさは当ブログで指摘してきましたね。



ところで今回マレーシアマイセカンドホームセンターを訪ねた時、訪問者の姿が目立ちました。イントラアジアがセンターにいた間の出入り人数を合計すれば軽く10人を越えました。その中には申請者または問い合わせの人、業者またはその使いの者が混じっていたことでしょう。

イントラアジアが訪れた昨年の1回目よりも2回目、2回目よりも今年の3回目と、Putrajayaのマレーシアマイセカンドホームセンターを訪問する人の数が増えていることを感じました。ただバスを利用して訪問する人には未だ乗り合わせていませんね。観光省前のバス停で降りる人も待つ人もいませんから。どの訪問者も自動車かタクシー利用のようです。



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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2012-03-11 20:00:49
こんにちは。
私は、申請した資産のほとんどが株式ですが、仮承認をもらえました。普通とちょっと違うのが、株式があるのが証券会社ではなく、香港の銀行です。(香港では、銀行で株式の取引ができます)おそらく、流動資産かどうかは銀行口座で管理されているかどうかで判断されているという印象を持ちました。
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