「ヴァリャーギ ビザンツの北欧人親衛隊」マッツ・G. ラーション著、荒川明久訳
ヴァリャーギというのは、副題にもあるように、歴代のビザンツの皇帝に親衛隊として仕えた北欧人達のこと。
中世の北欧人というと西ヨーロッパを中心に暴れ回ったヴァイキングというイメージがあるが、本書はその北欧人たちが遥か東方のビザンツへと旅立ち、そこで様々な活躍をしていたことを描き出している。原著者はビザンツの資料・年代記と北欧の各地に点在する石碑(ルーン文字)、各地に残っているサガを丹念に比較検討し、北欧人たちの生き様を浮かび上がらせることに成功している。
本書の後半70ページほどは、スウェーデンに散在しているルーン文字の石碑の資料となっていて、石碑の写真・画に加えて、ルーン文字の書き起こし、ラテン語訳、古北欧語訳、日本語訳が併記されている。
私には言語的なことはさっぱり分からないが、写真や画を眺めているだけでも楽しいし、日本語訳を読めば亡き家族を思う心は今も昔も変わらないことが分かる。
また、本書については、翻訳された荒川明久さんの功績も特筆されるべきだろう。日本語訳をするにあたっての入り組んだ作業はもちろん、細かな部分にまで異常なほどに(主に語学的な)注釈がなされている。
(上記の石碑の写真・画の収録も日本語版を出すにあたって荒川氏が行ったらしい)
***
当時のヴァリャーギたちの様子を伝える文献が少なく、断片的な情報から推量していかねばならないことから、ヴァリャーギたちの組織・編成・生活などについての細かな情報を読み取ることはできないし、ある時点においてヴァリャーギたちがビザンツ帝国内にどれくらいいたかということも分からないようだ。
それでも、皇帝を警護する様子、警戒のために武装したまま寝ること、大酒のみで騒がしい様子、斧や盾を装備して勇猛果敢に戦う様子、ビザンツでの勤めを終えて故郷に錦を飾る際の晴れ晴れとした様などが記述されている。
私としては、研究が深まり、ヴァリャーギたちの生活の様子が細部にわたるまで明らかになることを期待する。
戦場で反乱軍と交渉する皇帝を警護する様子 92頁(プロセースによる描写)
この戦士らは(皇帝を囲むように)円陣を組み、長槍や片刃の闘斧で武装していた。斧は肩に担ぎ、投げ槍は目の前に並べてあるため、まるで屋根が組まれたような光景でった。
野営地で皇帝を警護するヴァリャーギが寝るときの様子 142頁
ヴァリャーギは夜通し交代で皇帝の身辺警護の任に当たっていた。警護を終えると横になって休むことができたが、完全武装のままであった。ソノッリによれば、彼らは頭に兜を冠ったまま盾で身体を覆い、剣を枕代わりに寝るのが慣わしであった。そして、右手は剣の柄を握るのが決まりであった。
***
世界各国・各時代の親衛隊や近衛隊を厚かった通史的な本を探していたが上手く見つからず、「武装SS全史Ⅰ」(歴史群像欧州戦史シリーズ)に収録されている「『親衛隊』の世界史」という記事ぐらいしか無く、そこで紹介されている親衛隊の各論を探してもいまいちという結果に。
(もちろんナチスのSSは別)
なにか良い本がないものか……
ヴァリャーギというのは、副題にもあるように、歴代のビザンツの皇帝に親衛隊として仕えた北欧人達のこと。
中世の北欧人というと西ヨーロッパを中心に暴れ回ったヴァイキングというイメージがあるが、本書はその北欧人たちが遥か東方のビザンツへと旅立ち、そこで様々な活躍をしていたことを描き出している。原著者はビザンツの資料・年代記と北欧の各地に点在する石碑(ルーン文字)、各地に残っているサガを丹念に比較検討し、北欧人たちの生き様を浮かび上がらせることに成功している。
本書の後半70ページほどは、スウェーデンに散在しているルーン文字の石碑の資料となっていて、石碑の写真・画に加えて、ルーン文字の書き起こし、ラテン語訳、古北欧語訳、日本語訳が併記されている。
私には言語的なことはさっぱり分からないが、写真や画を眺めているだけでも楽しいし、日本語訳を読めば亡き家族を思う心は今も昔も変わらないことが分かる。
また、本書については、翻訳された荒川明久さんの功績も特筆されるべきだろう。日本語訳をするにあたっての入り組んだ作業はもちろん、細かな部分にまで異常なほどに(主に語学的な)注釈がなされている。
(上記の石碑の写真・画の収録も日本語版を出すにあたって荒川氏が行ったらしい)
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当時のヴァリャーギたちの様子を伝える文献が少なく、断片的な情報から推量していかねばならないことから、ヴァリャーギたちの組織・編成・生活などについての細かな情報を読み取ることはできないし、ある時点においてヴァリャーギたちがビザンツ帝国内にどれくらいいたかということも分からないようだ。
それでも、皇帝を警護する様子、警戒のために武装したまま寝ること、大酒のみで騒がしい様子、斧や盾を装備して勇猛果敢に戦う様子、ビザンツでの勤めを終えて故郷に錦を飾る際の晴れ晴れとした様などが記述されている。
私としては、研究が深まり、ヴァリャーギたちの生活の様子が細部にわたるまで明らかになることを期待する。
戦場で反乱軍と交渉する皇帝を警護する様子 92頁(プロセースによる描写)
この戦士らは(皇帝を囲むように)円陣を組み、長槍や片刃の闘斧で武装していた。斧は肩に担ぎ、投げ槍は目の前に並べてあるため、まるで屋根が組まれたような光景でった。
野営地で皇帝を警護するヴァリャーギが寝るときの様子 142頁
ヴァリャーギは夜通し交代で皇帝の身辺警護の任に当たっていた。警護を終えると横になって休むことができたが、完全武装のままであった。ソノッリによれば、彼らは頭に兜を冠ったまま盾で身体を覆い、剣を枕代わりに寝るのが慣わしであった。そして、右手は剣の柄を握るのが決まりであった。
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世界各国・各時代の親衛隊や近衛隊を厚かった通史的な本を探していたが上手く見つからず、「武装SS全史Ⅰ」(歴史群像欧州戦史シリーズ)に収録されている「『親衛隊』の世界史」という記事ぐらいしか無く、そこで紹介されている親衛隊の各論を探してもいまいちという結果に。
(もちろんナチスのSSは別)
なにか良い本がないものか……
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