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東京都青少年健全育成条例と表現の自由問題4(条文判例などまとめ)

2010-12-12 03:29:41 | ニュース系

東京都青少年健全育成条例の問題については「まとめサイト」が機能していて、情報量も豊富なのですが、豊富すぎて初めて見る人は基礎的な情報にたどり着きにくいのではないかとも思い、まとめてみました。

1.条文・改正案・質疑応答
(1)現行都条例『東京都青少年の健全な育成に関する条例』 
  現行規則『東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則』(PDF)

(2)3月改正案(「非実在青少年」が問題なった改正案)
  ・条文:このブログにあります→番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載
 
  ・質疑応答:東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集(PDF)
 
(3)11月改正案
  ・条文:このブログにあります
      →第156号議案「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」の条文
  ・質疑応答:このブログにあります
        →12/8 吉田康一郎都議(民主党)の質問と倉田潤(東京都青少年・治安対策本部部長)の答弁
        →平成二十二年東京都議会会議録第十七号〔速報版〕(12月19日追加)

(4)平成22年12月22日公布版(12月23日追加)
 公式に公開された条例の概要、条例、条例規則等
 東京都のHP→東京都青少年の健全な育成に関する条例及び規則について 

2.基本判例
チャタレー事件判旨PDF(最高裁判決昭和32年3月13日)
  刑法175条の猥褻とは「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」
 「芸術性と猥褻性とは別異の次元に属する概念であり、両立し得ないものではない。」
 「性的秩序を守り、最少限度の性道徳を維持することが公共の福祉の内容をなすことについて疑問の余地がない」

悪徳の栄え事件判旨PDF(最高裁判決昭和44年10月15日)
「文書がもつ芸術性・思想性が、文書の内容である性的描写による性的刺激を減少・緩和させて、刑法が処罰の対象とする程度以下に猥褻性を解消させる場合があることは考えられるが、右のような程度に猥褻性が解消されないかぎり、芸術的・思想的価値のある文書であつても、猥褻の文書としての取扱いを免れることはできない。」
 「文書の個々の章句の部分は、全体としての文書の一部として意味をもつものであるから、その章句の部分の猥褻性の有無は、文書全体との関連において判断されなければならないものである」

四畳半襖の下張事件判旨PDF(最高裁判決昭和55年11月28日)
「文書のわいせつ性の判断にあたつては、当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法、右描写叙述の文書全体に占める比重、文書に表現された思想等と右描写叙述との関連性、文書の構成や展開、さらには芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、これらの観点から該文書を全体としてみたときに、主として、読者の好色的興味にうつたえるものと認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、これらの事情を総合し」て判断。

松文館事件控訴審判決(平成17年6月16日)
 上記のような猥褻の判断方法は、「文書だけでなく、本件のような漫画本を含め図画にも妥当する」
  ※いわゆるエロ漫画が問題になった事件であり、今回の都条例問題でも精力的に活動されている山口弁護士が携わった事件です。

岐阜県青少年保護育成条例事件判旨PDF(最高裁判決平成元年9月19日)
 「本条例の定めるような有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであつて、青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通の認識になつている」

 伊藤正己裁判官の補足意見
 有害図書が「青少年非行を誘発するおそれがあるとか青少年の精神的成熟を害するおそれのあること」については、「青少年保護のための有害図書の規制が合憲であるためには、青少年非行などの害悪を生ずる相当の蓋然性のあることをもって足りる
 「有害図書が青少年の非行を誘発したり、その他の害悪を生ずることの厳密な科学的証明を欠くからといって、その制約が直ちに知る自由への制限として違憲なものとなるとすることは相当でない。


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