崖っぷちロー

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「中世ヨーロッパを生きる」を買ってみた

2009-04-02 00:25:35 | 小説・本
大学の生協で、なんとなく目に入ったので買ってみた。
まだ最初の方しか読んでいない。

甚野尚志・堀越宏一編「中世ヨーロッパを生きる」東京大学出版会

本書は、日本の研究者人が一般の読者に向けて書いたもの。
様々なテーマについての(平易な)小論文の集まりといった感じ。
テーマを適当にピックアップしてみると、
「水車は領主のものか?」「騎士の住む城、暖炉のある農家」「遺言にみる中世人の世界」
「職人兄弟団」「書簡とコミュニケーション」「写本絵画の物語叙述とコンテクスト」などなど。

私のような、学問として歴史を学んだことのない素人でも「読み物」として愉しめる。
それに、それぞれのテーマについてより深く知りたいと言う人の為には、
参考にすべき文献がコメント付で紹介されている。

「大聖堂」や「狼と香辛料」が好きな人ならば、興味をもって読むことができるのではないだろうか?


***
例えば、堀越宏一「水車は領主のものか? -ひとつの公共性の誕生」では、
中世のエネルギー事情から始まり、水車の技術的完成と普及の社会的制約の問題、
領主による水車の独占と農民への使用強制の問題、その背景などが述べられている。

そして、章末の参照文献においては、水車研究の論文や書籍が紹介されると共に、
本稿で述べられなかったものとして「粉挽き」についても言及している。

「粉挽きは、バナリテの水車の管理人であり、領主のエージェントであると同時に、
 村落共同体から離れて住む独立した存在だったために、しばしば村人の反感の対象になりました。」

などなど。

これなど、「狼と香辛料」第4巻に出てくる粉挽きのエヴァンの立ち位置に通じるものがあり、
なにやらニヤニヤしてしまうものがある。
(「狼と香辛料」はちゃんと資料を参照しているのだから当たり前といえばそうなのだが)

そこで触れられている参考文献に手を出したくもあり、
とはいえ、冷静に考えると手を出さずに踏みとどまるべきだとも思えてきて……。



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