まっさきに思いついたのが、
美味しんぼ
「もてなしの心」
漫画の本は実家に置いてあって、今すぐには見られないので、数年前に再放送されたのを録画してあったアニメの美味しんぼを、「マイ・アーカイブ」から引っ張り出してきました。こんなこともあろうかと、資料として保存しておいたものです。なんてね。
唐山陶人が、何十歳も歳の差がある若い女性と結婚。そのお祝いの席で、ひょんなことから、山岡と雄山が料理対決することになる。作る料理は、ご飯とみそ汁。
山岡 「バカな!飯とみそ汁は日本料理の基本だ。そんな簡単なことができないだと!くだらんいいがかりも、休み休み言え!」
雄山 「おお、簡単なこととぬかしたな。今の一言で、おまえが本当にうまい飯とみそ汁をつくれぬことがはっきりしたわ」
山岡 「飯を上手に炊くことが難しいことは承知しているよ。手のこんだ料理にくらべて簡単だといってるだけだ!」
雄山 「語れば語るほど自らのおろかさをさらけだしよるわ。手のこんだ料理より簡単だと?!」
結果は・・・
陶人「ぬぉ!?こ、この飯は!?」
栗田「山岡さんが炊いたご飯より、おいしいわ」
~
陶人 「舌触りにむらがある。羽毛ぶとんと固い綿布団ほどの差がある」
~
陶人 「士郎のみそ汁は、まだ生臭い」
で、そのあげく
雄山 「士郎、この差はどうしてできたと思う。言ってみろ」
山岡 「材料の差だ!米も味噌もしじみも、金の力に物を言わせて最上のものを集めたんだろう。へっ、あんたのやりそうなことだ」
あー、あー、あー、・・・ もう山岡さん、最悪。ボロボロですね。
雄山の料理を作ったのは本村さんという方。かつて雄山が本村さんのお宅を訪問したとき、本村さんは豪華な料理でもてなすことなどできなかったので、米を一粒ずつよりわけたり、自分ができる最大限のことをつくして、来客である雄山をもてなしをした。今回は、そのときの料理を再現。そのもてなしの心が、結果としてでてきたんだよ、っていう、わかりやすいストーリー。
だいたいですね、山岡さん。あなた、おそらく30歳以上は年上の本村さんのことを、「本村じゃないかぁ」と、呼び捨てにするなんて。しかも相手は「士郎様」と様付けなのに・・・完全に、「いいとこのボンボン」じゃないですか。
ところで、料理中、山岡側では、水をポリタンクに入れてあったけど、本村さん側では、木桶にくんでありましたね。ポリタンクじゃ、水ににおいが移ってしまうと思うのですが、とくにそれには言及していませんでした。アニメオリジナルの演出だったのかな?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
もう1つ、美味しんぼでの、おもてなしに関するストーリーとして、これは外せないですね。
鮎のふるさと
京都の億万長者、京極さんが、文化部の富井副部長に飲みにつれまわされ、そのあげく、階段を踏み外し、足を怪我して入院。いつもながら、副部長のトラブルメーカーぷりには、あきれます。
京極さんは、退院したときには、山岡に「鮎のてんぷら」をご馳走してもらう、との約束をする。そこへ、海原雄山の登場(BGMにはダースベーダーのテーマがあいそうなシーンでした)。
山岡 「ふざけるな!てんぷらのあげかたくらい、十分に勉強している。鮎だってどんな鮎がうまいか、十分研究している。最良の材料と最高の技術。それ以上、何が必要だと言うんだ!」
雄山 「どうやらまた大事なことがわかっていないようだな」
あーあーあー・・・山岡さん、またですか。雄山の挑発にひっかかってしまったのは仕方ないとしても、また、そんなセリフはいて。ご飯とみそ汁のときに、学習したんじゃなかったんですか?
で、結果は・・・あの名セリフ!
京極 「なんちゅうもんを食わせてくれたんや。なんちゅうもんを・・・こんなうまいもんは食べたことはない。いや、そやない。何十年か昔に食べたおぼえがある。懐かしい味や。うまい。本当にうまい。山岡はんのとは比べ物にならん」
この名セリフは、日常会話にもよく登場するほどですが(ウソ)、このエピソードは、それくらい記憶に残る、名作ですね。
京極さんの出身地である四万十川の鮎をもってきた雄山。
雄山 「料理は、人の心を感動させて、はじめて芸術たりうる。たが、今のお前は、どんな料理を作ったところで、材料自慢、腕自慢の、低俗な見せびらかし料理で終わるだろう。そんなおまえが究極のメニュー作りなどと。笑わせるな!」
もうね、雄山、あんたの圧勝だよ・・・あんた、最高!
吼えまくる雄山。ああ、あのころの雄山はすごかった。連載当初は、イヤミたっぷりのいや~な奴だったけど、すぐにキャラがいい形に定まってきた。この2つのエピソードのころが、脂がたっぷりのった、一番エネルギッシュなころだったんじゃないかな。
もう最近は、息子の嫁にいいように扱われ、孫も生まれて、すっかり枯れたおじいちゃんだね・・・