ぶらぶら★アフリック

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コンゴ民主共和国独立記念日に思う(1)~蝕まれた巨像

2014-06-30 07:30:10 | アフリカ情勢
きょう6月30日はコンゴ民主共和国の54回目の独立記念日だ。

(独立記念の日・ベルギー国王ボードワン二世とジョセフ・カサブブ大統領)


この国の独立を巡ってはあまりに残念で悲しいエピソードがつきまとう。その顛末は、昨年の独立記念日、またその後も折に触れて書き綴ってきた。是非こちらをご覧いただきたい。

◆独立にまつわるエピソード
第一話~レオポルト二世の支配とベルギー統治
第二話~独立の混乱、そしてコンゴ動乱
第三話~ルムンバの殺害から独裁者モブツの誕生

シネマアフリカ2013(3)~キューバのアフリカ遠征(コンゴ編)

◆コンゴとベルギー
前編~ベルギー統治がもたらしたもの
後編~二つの国を結ぶ切れない関係
続編~アンゴラ領カビンダのお話

◆国家英雄を讃えて
第一話 ローラン・デジレ・カビラ
第二話 パトリス・ルムンバ

◆コンゴ,カタンガ州
前編
後編


コンゴの歴史には独立のみならず、その後も逸話に事欠かない。コンゴ動乱、モブツの独裁、シャバ戦争。そして特に80年台後半から進行した「大湖地方」の問題は、今日もいまだ続く根深い問題である。

大湖地方の定義はいろいろなスコープとって論じることができるが、ここでは特に狭義にコンゴ、ルワンダ、ブルンジの三カ国を中心とする世界としておこう。特に今年、ルワンダの虐殺から20年を迎え、そのことばかりがハイライトされているが、この歴史の光と影を捉えておく必要があるとンボテは常々思っている。

昨年の独立記念日から今年にかけて、大きな変化は、この大湖地方の問題が、国際社会で表沙汰にされてきたことにあると思う。それはルワンダのカガメ政権がコンゴ東部の紛争に深く関与し、加担していることを、国際社会も看過、放置しきれなくなってきたということだ。

これまで、当事国や、この問題にさらに深く関与してきた大国たちの思惑もあり、こんな大きな問題が、正面から議論されずに進行してきたのだ。何もこれはルワンダだけのせいではない。

昨年、国連コンゴ安定化ミッション(MONUSCO)のマンデートが修正され、国連部隊に強制力が付与された。これにより、武装勢力の掃討作戦に、国連ミッションが直接乗り出すことが可能となった。

(MONUSCO部隊に強制力が付与された。写真は'emiradamo.com'より)


初めの攻撃目標は、ツチ系武装勢力でルワンダ政権の関与が半ば公然の事実となっていたM23であった。そしてその次はフツ系武装勢力で虐殺にも関与した首謀者が含まれているとされるFDLRである。

いずれの作戦も、カガメ政権にとっては都合の悪いものだ。なぜか?そしてなぜルワンダはそんなにコンゴにちょっかいを出すのだろうか。こちらを是非ご覧いただきたい↓

◆ルワンダ虐殺記念日~切っても切れないコンゴとの深い関係
第一話~闇の奥で進んだオセロゲーム
第二話~コンゴとルワンダの非対称「ルワンダにとってコンゴが必要なこれだけの理由」


国連ミッションの強制力を伴う介入は、これまでいずれも一定の作戦成果があったとされている。しかし軍事的アプローチだけでは恒久的な解決は臨めない。この地にはまだ解決のための最適解が発見されていない。それだけ深刻な人道危機を生み、きょうこの日もそれは継続しているのだ。

昨今、大湖地方のニュースは、数ある国際社会の報道の中で、めっきり影を潜めるようになってしまった。これはコンゴ政府自体のガバナンスや改革努力によるところにも責任があると思う。何れにせよ、国際社会にとって重大な危機であり、リスクである大湖地方問題へのモメンタムの低下は、非常に気になるところだ。

難解な方程式ではあるが、当事国はもとより、国際社会はこれを解くことをやめてはいけない。そして無関心、無知識こそが問題を助長するのだ。


コンゴ独立の日に、どうしても暗い話題が続いてしまった。明日は明るい、ンボテの大好きなコンゴについて、少し触れたいと思う。




(おわり)

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