甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

ちょっと早いこの夏の終わりに寄せて

2015-08-21 03:57:22 | お笑い全般
みなさんこんばんは。
以前からこのブログに来て下さっている方は、お久しぶりです。
とは言っても、あまりに間が空き過ぎてしまいましたね。
一応更新するのは今年初めてではありませんが、2月に更新した記事は、他の記事の紹介だったので、
実質的には今年初ということになるかもしれません。
2015年に入ってから、仕事の状況が目まぐるしく変わり、びっくりするくらい時間が取れなくなってしまって、
ライブにはちょこちょこと行っていたのですが、落ち着いて感想を書く時間もなくなってしまいました。
そんな私が、久しぶりに書く話がこんな話で申し訳ないのですが…。
本日発表された、キングオブコント2015準決勝進出者。
そこに、ライスの名前はありませんでした。
私にとっての2015年の夏は、ここで一回終わってしまったので、
今日はとりあえずその話を。
本当は、もう少し時間が経ってから落ち着いて自分の気持ちを整理したかったのですが、
全然眠れなくなってしまったので、今日中に全部書いちゃいますね。
よろしければお付き合いください。


私は、8月19日のKOC2回戦、ライスが出場する日を見に行きました。
その時のライスの印象を、率直に書いてみたいと思います。
敗者にムチ打つような感じになってしまったら申し訳ないのですが、
決して彼らを責める目的で書くわけではないので、できるだけそうならないように気をつけます。
自分の感覚を冷静に言葉にしておくことで、後から見た時に何らかの役に立つかもしれないので。
(何の役に立つかは分からないんですが)

まず申し上げたいのは、ライスさんは決してウケていなかった訳ではないこと、
準決勝に行ってもおかしくない、行っても文句は言われないだろう出来だったと思うということです。
その上で、私が気になったこと二点。
一点目は、もっと、ストーリー性や登場人物の人間性が表れているようなネタをやってもよかったのではないかと。
今回ライスがかけたネタは、「気になる」というコントで、
田所さんが「長年付き合ってた彼女と結婚した」と切り出し、指輪を見せるのですが、
それを見た関町さんは、それよりも気になるところがあって…というコント。
このネタは、確か今年1月のライスドキャストで初めてかけたネタなのですが、
実は私はその時、新年一発目からすごいネタを見れたなぁと思ったのです。
私がすごく好きなタイプのネタで、客席もすごく沸いていて、
さらに、その客席の笑い声に押されて、舞台上の田所さんと関町さんもどんどん乗って行って、
2人は本当に楽しそうにネタをやっていて、その相乗効果でさらに面白くなる感じがして。
すごくカッコつけて言うと、グルーヴ感?お笑いでグルーヴ感なんて言わないかなぁ?(笑)
でもそれくらい、演者と観客が一体となって、お互いの熱を高めあう感覚を味わった。
こういう瞬間に立ち会えるのがライブの醍醐味だなって、
新年一発目から、今年の勝負ネタになりそうなネタが生まれるなんて、すごいなと思ったのです。
ただ、その後も色々なネタを試していたので、正直今回の2回戦にこれで来るとは思っていなかった。
だから、ライスの出番になって、明転して、このネタだとわかった時、ちょっとびっくりしたけど嬉しかったんですよね。
これ、客席の空気を掴んで、上手く波に乗れたらあるかもしれないと。
でも今回、あの初めて見た時のような一体感や高揚感は、残念だけどちょっと足りなかったかも。
何が原因かはわからないけれども、その一因として考えられるのは、
最近のKOCでは「ストーリー性」や「人で笑わせる」ということが求められているのではないかということ。
以前、こちらの去年12月のライスドキャストの感想のところにも書きましたが、
KOCの審査員の先生方は、いくらコントのシステムやパターンが優れているネタでも、
その中に登場人物の人間性や、バックグラウンドが含まれているようなネタでなければ、あまり評価しないんではないかと思うのです。
具体例を挙げさせて頂くと。
今回、19日の出演者の中で、私の好みに一番合致して、
「もう大好き!」と叫びたいくらいツボなコントを見せてくれたのは、夜ふかしの会でした。
私は正直に言って、夜ふかしさんは、KOC2012のコントも、またその後に他のライブで見た時も、
あまりツボにハマるコントではなかったんです。
彼らのコント、「システムは面白いなー」と思うけれども、
それ以上に心を掴まれる何かがほしいなぁと思ってしまっていて。
それが、この19日のKOC2回戦で見せてくれた彼らの「フルーツバスケット」のネタが本当に良かったんです。
コントの基本となるシステムも面白かった上に、
コントの登場人物それぞれにしっかりとキャラがついていて、5人でいる意味が限りなく表現できている。
ちょっとかわいそうになっちゃうような人もいて、その登場人物のバックグラウンドまでこちらに想像させる余地があり、
「バカだなぁ」と思いつつもそのキャラが愛しくなってくる感じ。
まさに、「システム」と「人で笑わせる」ということを両立させていて、どちらが好きな人も満足できるようなネタ。
加えて、コント内の4分間で、話が急展開するような場面もあり、
起承転結が美しくて、ストーリーとしても楽しめる。
あの夜ふかしさん本当にいいコントだったなぁ。もう一回見たい。
また、この日イチのウケをとったGAG少年楽団も、コントのストーリー自体が面白いんですよ。
そういうコントって、やっぱりインパクトがあるし、心に残る。
その点、ライスの「気になる」のネタは、システムはすごくいいんだけども、
パターンだけを連発している印象になってしまい、登場人物の人柄が見えてくるようなコントではなかったかも。
ライスはきっと、やろうと思えばそういうネタだってあると思うんです。
個人的には、システムだけで勝負するストロングスタイルも好きなんです。
(というか、多分初期のライスは、あえてそういうコントを狙っていた感じがする。
 登場人物の人柄を出さず徹底的に無機質な人間を演じることで、システムに注目させるような)
ただ、KOCの審査員先生方のお好みには合わないのかもしれないなぁと思ったのでした。

二点目。
どんな状況でも、文句ないくらいウケることが出来るか、ということ。
先ほど、「この日イチのウケをとったGAG」と書いたのですが、
そのGAGのいるグループが、ライスの出番のグループと同じだったんです。
そして、この【ザンゼンジ→GAG少年楽団→馬鹿よ貴方は→ライス】という4組の流れが、
この日一番の盛り上がりだったんじゃないかというくらい、強いグループだったんですよね。
最初のザンゼンジがとてもよくウケる、
次の出番のGAGがそれをさらに超えるくらいウケる、
さらにその次の出番の馬鹿よ貴方はも、テンポはゆったりでも一つひとつ爆発的にウケる……
といった感じで。
その流れの中で出てきたライスは、正直、3組と比べるとウケ具合は一段階落ちてしまっていたかもしれない。
加えて、おそらく2人もこの前3組のウケ具合が明らかに本日トップクラスであることを感じとっていて、
どうしても意識してしまって、本来の間でできなくなってしまったんじゃないかとも感じるのです。
ネタの導入がねー、2人ともすっごい早口だったし、あと関町さんの声のトーンが入りから高かった。
その2人のテンションに、客席がついていけてない感じがした。
見ながら私は、あぁ、もうちょっとテンポ緩めていいのに…とちょっとハラハラしてしまいました。

KOC予選の審査というのは、一組ずつ合格か不合格かを決めるようなオンバト形式ではありません。
5人か6人の審査員の先生達が、それぞれ持ち点100点を持っていて、一組ずつ点数をつけていきます。
それを単純に合計して、順位が上の組から合格させるという審査方法だそうです。
つまり何が言いたいかというと、前の3組が爆発的にウケていたら、
相対的に4組目の点数はどうしても下げたくなってしまうかもしれない。
4組連続で同じような点数をつけるのは、人間の心理的にちょっと抵抗があるかもしれない。
例えば他の組に95点つけていた審査員が、90点にするとなると、
一人の審査員にとってはちょっとした差でも、全体になると大きな差になるということです。
これが例えば、全然ウケていないグループに入れられていた場合点数が違ってきたかもしれない…
なんて考えてしまうのです。
でも、仮定の話をしても仕方がないですよね。
結局、厳しいけど、しんどいけど、どんな状況でも文句ないウケを取れるくらい、強くなるしかないんですよね。
どんな状況でも、いつもの自分達のようにやれるようになるしかないんですよね。
ライスはここ数年で本当に変わったと思います。観客を巻き込む力が格段に上がった。
それでも、まだあと一歩足りなかったということなんですよね。
厳しいけれど、それが現実なんですよね。
けれど、それはもっともっとのびる部分だと思うし、
日々の舞台を一つひとつ丁寧にやっていくことが、その近道なんじゃないかなって、勝手に感じます。



今年のライスは、「money」というコントライブを立ち上げて、
他事務所のコント師さんを呼んだり、コントを愛する先輩芸人さんを呼んでトークしたり、
3月から7月までの4ヶ月間、計4回そういうライブを行いました。
その初回、KOC初代チャンピオンのバッファロー吾郎・竹若さんがトークゲストの時。
竹若さんはライスに「こういうライブをやるってことは、チャンピオンになりたいと?」とストレートに聞き、
ライスは2人揃って、しっかりと「はい」と答えました。
(ただその後、2人揃って「なんか恥ずかしいですねー」とか言ってヘラヘラしていたんですけども・笑)
私はこの時、涙が出るかと思うくらい嬉しかったです。
ライスは今まで、「芸人たるもの努力を見せるのはカッコ悪い」というスタンスで、
ガツガツしているところを見せるよりも、余裕があるように見せる方がいい、その方がお客さんも笑いやすい、と考える人たちでした。
それはそれでいいといと思うし、そのポリシーに口を出すつもりはなかった。
けれど、今年初めて、ライスははっきりと口にした。
このままじゃダメだ、チャンピオンになりたい、決勝行きたい、変わりたいと。
変わりたいとハッキリ口にするのは、怖いことだと思う。
そう公言することで、プレッシャーも高まる。
けれど、そのリスクを負ってでも変わりたいと表に出したライスのことを、
私は嬉しく思った。かっこいいと思った。
その通りに、moneyで他事務所芸人さんのファンもいるなかで毎回爆笑を取ってたこと、
本当に本当に、好きだなって思ったんだ。
だからお願い、自分達のことをだらしないなんて言わないで。
今シーズンのライスが、大好きでした。


私、3年前、2012年にライスが準決勝に行けなかった年、こんなことを書きました。
   どうせ、どうせ
……今読んでも恐ろしく暗い(笑)

この時に私は、「ファンが面白いって書いても何の意味もない、世間に何の影響もない」と嘆いていました。
でも、今年の私の気持ちは、少し違うかも。
ファンが面白いって書いても、世間に何の影響もないなら、じゃあ、書こう。
ファンが好きって言っても、世間に何の影響もないなら、じゃあ、言おう。
私がそうしたいから。私がそうしたら嬉しいから。
……そして、どうせ何の影響もないことはわかってるけど、
私が好きって言うことで、もし、ほんの少しの可能性でも、
何かが変わったら嬉しいから。
誰かにライスのことを知ってもらえたら嬉しいから。
ファンが自分の好きな芸人のことを、好きだって、面白いって言う当たり前のことを、
どうして私は、そんなに躊躇していたのかなぁ。
どうせほとんど世間に影響もないんだから、思い切って言おう!

ライスが好きだ、大好きだ!
ライスのコントが大好きだ!
今シーズンのライスが、本当に、本当に、大好きだったよ!
幸せだったよ、ありがとう!
わがままを言わせてもらうと、
また来年も、頑張る2人のことを
応援させてもらえたら嬉しいな!


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