ライスさん、
キングオブコント2016、優勝本当に、本当に、おめでとうございます。
こんな日が来てほしいと、ずっと思っていた。
でもなかなか来なかった。
こんな日って、本当に来るんですね。
ライスのネタも、結果発表部分も、何度も見返したのに、間違いなく優勝を見届けたのに、
未だに実感がなくてふわふわしていますが、
取り急ぎ、今思っていることを書いてみますね。
あんま整ってなくて、だいぶ雑多なメモのようになると思いますが、
よろしければお付き合いください。
ずっと優勝してほしいと思っていた。報われてほしいと思っていた。
ずっとこんな日が来てほしいと思っていた。
けれど、「優勝してほしい」と口にするのは抵抗があった。
優勝できるだけの実力がある、そして今までそれに見合う努力をしてきたのを知っている。
けれどその一方で、努力を重ねて、全力を尽くしても、上手くいかなかった2人を見続けてきたのも事実で。
私はいつの間にか、信じることが怖くなってしまったのかもしれない。
だから決勝前も、いっぱい保険をかけて、「本番ではどうなるかわからない」と言ったりして。
「結果は一回置いておいて、とにかくウケますように」ということだけを祈っていた。
でも2人は、一切怯まずに、本気で優勝を獲りに行ったね。
すごかった。
すごい気迫で、でもその一方で、どこか余裕も感じられる出来だった。
優勝を信じられなかったダメなファンでごめんね。
お笑いは残酷な面がある。
その日ウケるかどうかなんて、誰にもわからない。
その日までどんなにネタを磨いて努力しても、ウケるかどうかは、それとは全く別の次元の問題。
そんな中で、この日のお客さんの空気をしっかりと掴んで、
みんなが納得するウケ方で優勝できたことが、本当に素晴らしいです。
この結果を残せたのはきっと、今まで積み重ねてきた一つひとつが、自信になっていたからですよね。
いい意見ばかりではないとわかりつつ、ついつい色々な方の感想を検索して見てしまうのですが、
今回の大会について、「子供だましのネタばかり」とか「レベルが低い」的な意見が散見されて。
うーん、まぁ確かに、そういうご意見もわかります。言いたいことはわかります。
私も正直に言って、セミファイナリスト芸人審査員時代のキングオブコントの方が、どちらかと言うと好きでした。
でも今、この審査員及び客層で、2013年や14年のようなネタを求めても、ウケ辛いのは事実だと思うのです。
かつてのKOCは、性格が悪かったり、発想が飛んでたり、斬新で見たことないようなネタが評価されていた。
それはセミファイナリスト審査員達が現役で戦っている芸人だから、最先端の人達だから、
どうしても、自分達が思いつかなかったような角度のネタに唸らされ、高く評価をしていたのだと思うのです。
しかし、2015年からは、セミファイナリスト達は客席にいなくなり、
その代わり、普段お笑いライブに足を運ばないような若いお客さんばかり。
その方達には、ベタ寄りで、何度も繰り返していくフレーズがあるようなネタがウケやすい。
それはもう、客層の変化、及び運営側の方針だから、残念だけど仕方がないと思うのです。
どちらがいいか悪いかとかではなく、とりあえずは受け入れるしかない。
だから、近年、このお客さん達に照準を合わせていったライスはすごいと思うのです。
だって、今回のライスのネタ(特に2本目)について、ネット上の厳しい意見では、
「子供向けのネタだな」とか「こんなの素人にも思いつくわ」とか「浅い」とか言われているけれども、
昔のライスを知っている人達からしたら、こんなこと言われる日が来るなんて、想像もつかないですものね。
今回、ライスというコンビを初めて見た方には信じられないかもしれませんが、
昔のライスは、エロ・グロ・ブラック・シュールっていう言葉が、代名詞みたいな人達だったんですよ。
和食屋の大将が、材料がなくなってお客さんに提供する料理がなくなっちゃったから、
自分の頭を切って開いて、客に自分の思い出を食べさせる
……なんていう、だいぶ狂気なネタやっていたりしたんですよ(笑)
だから逆に、昔AGEAGE黄金時代にライスを見ていて、けれども少し離れてしまって、
今回久しぶりにライスの姿を見た方の中は、
なんかライスすごく変わったな、って思われた方もいるんじゃないかなって思います。
つい数年前まで、「ポップ」とか「子供向け」とか「単純なネタ」とか、
そんな言葉とは無縁だった人達が、そんな言葉を言われているんです。
その対極にいた人達が、そんな批判を受けているんです。
だからこういうご意見があるということ自体が、ライスが変わったっていう、
何よりの証拠なのじゃないかと思ったのです。
キングオブコントという大会として、
セミファイナリストのようなお客さんがいいか、今回のようなお客さんがいいかというのは、一旦置いておきます。
けれど、今回のようなお客さんにもウケるように鍛えていたから、だから勝てたんだ。
では、なぜ変わることができたのか。
決勝前の「お笑いファブクリップ」というサイトのインタビューで、2人がその一因を明かしてくれていました。
ライス「やっと戦いの舞台が用意できた」同期しずるに挑戦状!?
――7〜8年位前に、ヨシモト∞ホールでよくライスさんのコントを拝見していました。
今はどの劇場に出られているんでしょうか?
関町:今は幕張(千葉県)とか大宮(埼玉県)の劇場とかですね。
最近、東京でネタやる機会があんまなくなってますね(笑)。
でも、一見のお客さんの前でネタをやる機会が多かったのが幸いしたと思うんですよ。
田所:僕らのことを全く知らない人に笑ってもらうという環境、
例えば幕張だったらデバートで買い物をするお客さんが来たりする。
そこでネタをやって、「ここウケたな」というところを調整できたのが、
強みになったのかもしれないですね。
――感覚がお笑いファンに向けてではなく、一般の方向けになってきたんですね?
二人:そうですね!
田所:ヨシモト∞ホールに出ている時は、お客さんが僕らのことを知っている状態の方が多かったんですよ。
――その時、お客さんがビックリするようなネタをされていましたよね?
関町:そうですね。そういう風に思ってもらおうという気持ちでやっていた時期もあったんですけど、
初めて見る方からすれば受け入れられないんです。
その部分を知り調整するうちに、鍛えられたかなと思います!
ライスが主に無限大ホールにいた時代。
同世代の若手芸人が集まって、みんなで仲良くわいわいコーナーライブやって、会場はいつもいっぱいで。
一番私がお笑いに没頭していた時期。毎日本当に楽しかった。
けれど、「~期以上は一斉卒業」という制度によって、彼らは無限大ホールのレギュラーライブに出られなくなり
その結果、今までのような同世代でわいわいやるようなライブは極端に減った。
ライブが追加されたと思ったら、幕張や大宮の寄席ばっかり。
この時期に心折れて、ライブ通いをやめてしまった方も多いと思います。
いくら好きでも、供給が少なくなってしまったら、こちらの熱量を保つのは難しいよ。
私は、自分の好きなタイプのライブが少なくなってしまったこと、通常の寄席の出番ばっかり入れられること、
っていうか遠い場所でばかりライブをやるので通いづらいこと、どんどん不満が募ってしまいました。
今までのように、無限大で、仲いい芸人でわちゃわちゃやってて、
客席も埋まって、配信で見る方もいるから地方のファンの方もいて、
それで十分だったじゃないか。
彼らの何が悪かったんだ?
……ただその一方で、「これ以上どうなれば彼らにとって幸せなんだろう」と思い始めていた頃だというのも事実で。
グランジのDVD1万枚を売る挑戦を見ていて、
私達の世界で人気があっても、それを外の人に伝えるのは本当に大変なんだと感じて。
ライスもそう。実力は申し分ないとあちこちから言われる。
ライスが企画するライブにハズレなしと言われる(本当はそこそこありますけども・笑)
東京グローブ座という、700人キャパの、お笑いでは最大規模の会場での単独ライブも成功させた。
それなのに、どこか感じる、行き詰まり感、閉塞感。
私自身、ファン向けの世界だけでわいわいやってくれているところが見れればそれでいいのにと思いつつ、
外の世界に発信していかないと、彼らは次のステージに行けないのではないかと思い始めていました。
そんな中でライスも、幕張の出番が増え、
必然的に「自分達を見に来たわけではない」人達の前でやらなければならなくなった。
外の人達の目を意識しなければならなくなった。
私はあまり幕張や大宮の寄席には行っていませんが、
でもこの頃から、2人の人間性が見えてくるようなネタが増えたというか、
「どんな場でもお客さんを巻き込む強さ」みたいなものを感じられるようになってきた気がしました。
通常寄席のお客さんは、普段からそんなにお笑いライブに足を運ぶ人達ではない、
まさに今回の決勝観覧のお客さんと同じような人達だった。
「幕張に飛ばされた」って、いっぱい文句言ってごめんね。
今でも、AGEAGE時代が一番楽しかったって思いは、正直あるよ。
けれどきっと、その時代のライスでは勝てなかった。
今までのライスらしさを大切にしつつも、「外の目」を意識するようになったからこそ、変われたんだよね。
変われなかったらきっと、今回のお客さんの前ではウケをとることができなかった。
今だからこそ言えることだとはわかっているけれども、
大きな環境の変化も、結果が出なくてもがいた日々も、全部無駄ではないね。
全部、今に繋がっているんだね。
これからどんな未来が待っているだろう。
まあね、平場でのコメントがあんまり得意じゃないだろうことはわかっているので…(笑)
もちろんね、頑張ってほしいです。
ロケとか行かせてもらえるような、
「バラエティタレント」的なお仕事のチャンスが頂けるなら、全力でやってほしい。
田所さんに「関町は死にかけが一番面白い」って言われてるけど、
ケガしない程度に体を張ってほしい(笑)
けれども、それだけじゃなくてね。
ENGEIグランドスラムとか、お正月の爆笑ヒットパレードとか、
そういう、超人気芸人さん達が出るネタ番組に、呼ばれる日が来るのが、とても楽しみなんだ。
今回のKOCでの2本がハマらなかったという人も、もちろんいるでしょうが、
そういう方にもぜひ別のネタを見てもらいたいな。
そして、ライスの単独DVDを出してもらいたいな。
私はライスに出会って、人生変わったんですよね。
今回のKOCで初めてライスを見て、恋に落ちた方にも、楽しめるようなDVDを。
あと、どうやら流れちゃったらしいシチサンライブのDVD-BOXの話!
お願いだから復活して!売ってください!!
…今まで、どうにもしようがない閉塞感でできなかったこと、
全部全部、やってください。
だって、チャンピオンなんですもの。
次のチャンピオンに、お笑い界に、仲間達に、夢をつないでください。
ライス「ネタには自信あった」一番いいパフォーマンスで掴んだKOC優勝
関町「ハングリー精神がなくて、(ここまで)時間がかかっちゃったのかも。楽観的なんです。
でも面白い芸人がどんどんやめてっちゃってて、俺たちもいずれこうやってやめるときが来るのかなって。
本当に面白い人がやめてっちゃってたので、焦りもありました。」
上手くいかない焦りを感じながら、
自分たちもいつかは辞める日が来るのかもしれないと思いながら、
でもそれを表には出さずに、なんでもないようなフリをして、
ずっと頑張ってきてくれてありがとう。
きっとファンの見えるところには出てこない、
苦しいことも、悔しいことも、理不尽なことも、一杯あったと思うけれど、
それでもずっと頑張ってきてくれてありがとう。
本当におめでとう。
ライスが好きだ、大好きだ。
心の底から幸せだ。
今までありがとう、
そしてこれからも、よろしくね。