甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

しずる単独ライブ「風の色を見た」 (20/2/14)

2020-02-14 23:30:00 | 単独ライブ
***
しずる単独ライブ「風の色を見た」
20/2/14 19:30~ @ルミネtheよしもと

OPコント
OPVTR
レコーディング
凶悪犯
ダンスレッスン
銀行強盗
ご注文
特別捜査本部
バッタリ
絵描き
EDロール
ED

***


しずる単独「風の色を見た」に行ってきました。
毎年恒例となった、村上純さん完全作・演出の冬単独。
へりくつやら、偏見やら、性格の悪さやら、メタに振り切れたネタやら(笑)強烈な個性が溢れている。
そんなコントばかり作っているのに、彼の中心を貫いているのはやっぱり人間愛。
こんなにカッコ悪くて泥臭く生きている人達でも、なんだか可愛くて、愛しくて。
そうやって、巷に生きる人々の、小さいけれど大きな物語を、一つ一つ拾い上げて美しく瑞々しく描き出す。
それがまさに、村上純の作品だという何よりの証左なのだと、改めて感じることとなりました。

本当にいいコントばかりだったのですが、やっぱり最後の「絵描き」は、村上さんが大好きなトレンディドラマ感にあふれていて、
だけど扱う題材はくだらなくて本当に素晴らしかったです。
今回の単独では、村上さんの女装しているコントがこの1本しかなくて、そうして絞っていたのも効果的だったように感じられました。
エンディングトークで、池田さんに「どれだけ宮沢りえさんのマネするの?」と言われていた村上さんだったのですが(笑)、
トレンディドラマ感がすごい女性役、大好きです(笑)
これぞ冬単独!と言いたくなるような作品。

また、今回の単独は何だか、過去のコントのセルフオマージュのような側面があるように思えて。
例えば、「レコーディング」で、ピュアな池田さんが村上さんに言いくるめられていく様子は「枠」を彷彿とさせられたし、
「特別捜査本部」は3年前の村上単独の、リッツとルヴァンの系譜を継いでいますよね(笑)
何より「特別捜査本部」は、「ばかばかしいことを真剣に語り合う」「2人とも変な人でツッコミが入らない」という、
それこそ、レッドカーペットで青春コントやってた頃から彼らがやってきたこと。
それが、何年経っても単独ライブで引き継がれてきているというのが、本当にエモーショナルに感じられました。
……セルフオマージュというのは私が勝手に考えていることなので、ご本人の意図がどうだったかはわからないのですが……(笑)
ただ、もし意図していなくても、受け手の私がそう感じさせられるほど、村上さんのコントの核は強固なのだなあということにも萌えるので、
どちらにしても嬉しいです(笑)

そして、しずるというコンビの面白さについて。
OPコントで優しいお兄ちゃん、1本目でピュアな青年の役をやった池田さん。
ところが、2本目の「凶悪犯」では、一転してサイコパスな犯罪者役。
丁寧な語り口なのに狂っているところが素晴らしく、池田さんにこういう役をやらせたら右に出る者はいないですね。
最初の2本のキャラと一気に変わるという落差もあって、本当に見ごたえがありました。
このコントに限らず、今回の単独は本当に池田さんのキャラが、今までより一層際立って光っているように感じられて。
9つあるコントの登場人物、どれ一つとして似通ったものはなくて、それぞれ人物像がかけ離れている。
本当に別の人物がそこに存在しているように思える。
それを全て違和感なく演じ切る、池田さんの実力のすごさを思い知らされます。
そして、そういう池田さんのポテンシャルを当たり前のように引き出している村上さんも、
相方にどういうことをやらせたら輝くのかということを熟知しているのでしょうね。
毎年毎年、冬単独を見るたびに思うのですが、こうやって全く別のタイプなのに、
お互いがお互いのことを本当によく理解していて、唯一無二のパートナーだというところが、しずるのすごいところだなと思います。

最後に、村上純のこだわりから、「ライブ」というものの意義を感じたという話をさせていただきます。
今回の冬単独後も、村上さんが単独で使っていた曲のセットリストをアップしてくれました。こちら
村上単独の楽しみの一つは、この村上さんの選曲でもありますよね。
今回は、今までよりも一層、コントの内容と幕間の曲の内容をリンクさせてきたように思います。
刑事がテーマの「特別捜査本部」のコントでかかっていたのは、Love Somebody。
前のコントと繋がるコントの前に流れたのは、「繰り繰り返す 繰り繰り返す」という歌詞が印象的な、フレデリックのリリリピート。
雷をテーマにしたコントでは、「天気の子」の主題歌、「愛にできることはまだあるかい」。
これが、曲の前にかかるというのがまたいいんですよね。
それが流れている時には、次のコントがどんな内容かわからないので、思い返してみてそのこだわりに気が付くというのが。
その中でも、特に印象的だったのは2本目のコントの上げ囃子。
King Gnuの「白日」が流れ出し、
『時には誰かを 知らず知らずのうちに
 傷つけてしまったり
 失ったりして初めて
 犯した罪を知る』
まで聞いたところで、モニターに青バックに白文字で、コントのタイトルが浮かび上がるんです。
『凶悪犯』
この流れを体感した時、あまりにも感動して心が震えました。
コントタイトルはもちろん、それに合わせてどの曲を選ぶか、どういう魅せ方をするかまで、
本当に細部までこだわってるんだなって、この一瞬で感じられた。
こういう、心震える瞬間に立ち会うために、私はライブに通ってるんだなと改めて。
近年は、芸人さんがYouTubeチャンネルを開設し、ネタをアップすることが当たり前になってきて、
私はこの流れがとても嬉しく、いつでも見られるのはありがたくて。
でもじゃあ、なぜライブに行くのかって言ったら、こういう、
単発のネタ動画を見るだけでは味わえない体感をしに行きたいからなのだなと思います。

このブログがアップされている日時は単独当日になっていますが、日付を操作していますので、
これを実際にアップしている現在は、3月中旬。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の政府方針により、ライブイベントの自粛要請があり、
お笑いライブも軒並み中止になってしまっている頃です。
そのため、私にとっては、このしずる単独が、自粛要請前の最後のライブとなってしまいました。
一体いつこの流れが終わるのかわからなくて、本当に不安で心もとない日々を過ごしていますが、
それは客の立場である私よりも、実際にエンタメをお仕事としている、芸人さんやスタッフさん達の方がさらに深刻な問題ですよね。
最近は、生配信や、過去の映像解放などをしてくださっていて、本当にありがたいことなのですが、
でもやっぱり、ライブ体験というのは、替えの利かないものだと思うのです。
自粛前最後に行ったライブで、そういう体験をしたからこそ、その思いを消えずに大切に持ち続けて行きたいと思います。
村上単独、今年も最高でした。


しずるワンマンライブ 『SHIZZLE IN JAPAN FES.2018 〜2日目〜』(18/2/23)

2018-02-23 23:30:00 | 単独ライブ
***
『SHIZZLE IN JAPAN FES.2018 〜2日目〜』
18/2/23 19:30~ @ルミネtheよしもと

・漫才①
・記憶ほとんど喪失
・一緒に踊ろう
・コインらんどりー
・漫才②
・踏み切りだけの距離
・ジャズライブ
・卒業式 ~屋上にて~


(ネタタイトルは、終演後にお客さん全員に配られたセットリストより)
***

今年も、しずる単独ライブ『SHIZZLE IN JAPAN FES.2018 〜2日目〜』に行ってきました。
村上純が全編作・演出の冬単独。
去年よりもさらに、濃くて深い、生々しい人間ドラマ。
衝撃を受け続けながらも、最後はなぜか「人生って美しい」と思わされてしまうコントの数々。圧巻です。
暴走する偏見、過剰なデフォルメ、悪意ある切り口。
「シンプルに性格が悪い!」と言いたくなる場面もあったけれど(笑)、
それでも、溢れるほどに伝わってくる、村上さんの愛。
どうしようもないくらい、人間を愛しているんだなあって。
そんなこと感じられるライブって、なかなかない。
彼が書くコントの世界の登場人物は、みんななんだか上手くいかなくて、カッコ悪くて、滑稽で。
それでも、必死で生きている。
だから美しい、だから尊い。ありのままの姿が、宝物のようにキラキラしている。
そんなことを感じさせてくれる、コントの数々だった。

私がしずるを初めて知った時は、2008年ごろ。
その頃は、彼らのコントの「型」とか「パターン」とか、そういうものが新鮮で斬新で、それに惹かれたんだと思います。
当時の代表作のコントといえば、フォークダンスとか、再会とか、腹黒い男とか。
でも最近は、コントの型ではなく、人間ドラマそのものを描くようになってきてるなと感じるのです。
それはしずるだけじゃなくて、犬の心とか、ライスとかにも言えることなんだけれど。
そういう、いわゆるAGEAGE世代のコント師達が、「人」そのものを描くようになったなあと。
彼らも年齢を重ねて、色々と感じるところもあって、表現したいものも変わってきているのかもしれないなって。
ライスも数年前から、だいぶ「型」にとらわれず、人のキャラクターをぐっと前に出すようになってきたなと思ってるんですが、
それでも村上純のスピードに比べたら、彼らはまだまだ、現実感がないなと思いました。
ライスって意外と、結構ファンタジックなのかもしれない。あるいは、二次元っぽいというか。
どちらがいいとか悪いとかではなくて、2組を比べると、それぞれの特徴が際立って見えてくるような気がするのでした。

とにかくどのコントも本当に濃かったのですが、中でもコインらんどりーのコントはすごかったなあ。強烈だった。
感情の起伏も派手な展開もない、ただただひたすら二人の会話劇で持って行く。
なんか、文学の世界を見たようでした。村上春樹かな?あるいは坂元裕二かな?褒めすぎ?(笑)
このコントについて、エンディングで池田さんが、
「相方が言うのもなんだけど、こんなコント見たことない。自分でも思うでしょ?こんなもの見たことないって」という感じで言っていて、とてつもなくエモーショナルでした。
ずっと一緒にいて、それでもまだ、こんなに相方に驚かされることがあるなんて。
ずっと芸人やってきて、「こんなコント見たことない」って思わされるのが、相方の作ったコントなんて。本当に面白いコンビだなぁ。

そしてもう一つ、すごいなと思うのが、こんなに挑戦的なコントばかりなのに、この単独をルミネという場所で続けていこうとしているところです。
ルミネという、大きくて、有名で、気軽に行きやすい劇場でやっているところです。
本来、コインらんどりーなんて、どう考えてもこのキャパでやるコントじゃないよ(笑)。
もっと小さい劇場で見てみたい。どこがいいかなあ。下北の小劇場B1とかかなあ(笑)
それでも、ルミネで続けることに意義があると思います。
ライトな人も来ることができる場所で、ここまで濃い内容をやるからこそ、
彼らがコントの文化を、守り、受け継ぎ、底上げを続けていくんだなって、そう思うのです。

そういえば、エンディング。
すべてのコントが終わって、エンドロールが流れて、素の2人が登場した時に、
突然客席から男性が立ち上がり、舞台上の2人に花束を渡しに行く。
ちょっと本当にヤバい人なのかと思ったら、村上さんが「叔父です……」って(笑)。
何と本物の村上さんのおじさんが登場!!
面白がって舞台に上げる池田さん(笑)。
結果、しずると叔父さんの3人が舞台上にいるという意味不明な時間帯があったけれど(笑)、
叔父さんがすごい熱量で「良かったよ良かったよ!!」とか言うので、
なんだか、我々観客のこの感情を代弁して伝えてくれてるような気もして、妙に感傷的になったのでした。
ライブが終わった直後に、演者に客が「よかったよ」って言える機会なんてないので、
それを直接伝えてくれて、それを受けている2人の表情が見れたというのも、貴重な機会ですね。
しかし、ああやって、お客さんが突然舞台上に乱入してくるというのは、私にとっては、どうやったってライスシチサンを思い出してしまうのでした(笑)


最後のコントが高校生男女のコントだったんですが、
一筋縄ではいかない、人間の複雑な感情をありのままに表現、でも最後には笑いに変える。
オチの性格の悪さったらなかった(笑)
でもそれが、まあ綺麗なオチで、とにかく見事。
『甘酸っぱい青春コント』と言われていた彼らが、さらに一癖も二癖もある青春コントをやっている事実に胸がいっぱいだった。
年齢と経験を重ねたからこそ表現できるものがある。
それなのに、村上さんがこのライブのエンディングに選んだ曲には、強烈なフレーズがあった。



『永遠なんてどこにもないんだろ』
『夢の半分は夢で終わるのさ』

Hump Back-星丘公園 Music Video




その通りの歌詞だ、その通りなんだけれど、そんな現実を前にしてでも、
彼らがこれからもずっと、好きなことをできる環境にいられますようにって、
永遠を願わずにはいられない。

彼らだからこそできる、人間の愛しさを映し出したコントを、これからも見続けたいんだ。

犬の心単独ライブ『冬犬』 (14/12/11)

2014-12-13 23:30:13 | 単独ライブ
***
犬の心単独ライブ『冬犬」
12月11日(木) 19:00~
@座・高円寺2


・OPコント 殉職

・思っていたより

・日本の冬

・出社

・自分の身体

・人生最高の日

・新世代

・エンディング

***



今年、KOC決勝に進出し、大きく飛躍の年となった、犬の心の単独ライブ、初日に行ってまいりました。
これがもう、本当に本当に素晴らしい単独でしたので、
私のつたなくて大して中身が無い感想ですが、勢いで書きのこしてみようと思います。
詳しいレポートは、お笑いナタリーさんの取材が入っていたのでこちらでご覧下さい。
  KOCファイナリスト犬の心が単独ライブで変化のコントを披露

ここのブログでは、本当はひとネタずつ感想を書いていきたいところなのですが、
今回は特に、何か感想を言いたいと思ったらそのネタの肝の部分に触れてネタバレしてしまいそうなので、
詳しい感想は書かずに、単独全体の印象を少しずつ。
よろしければお付き合いください。



とにもかくにも、今回、見終わった後の満足感が半端ではありませんでした。
上質なコントを沢山見ることができて、本当に幸せで満ちたりた気持ちで帰路につきました。
一つひとつのコントが長尺で(15分くらいやっていたと思う)、そのコントの世界にじっくり浸ることができて、
そして、2人の世界に引き込むパワーが尋常じゃなくて。
座・高円寺は、きれいで広めで、客席も段差が大きくてかなり天井が高い会場なんですが、
全然舞台との距離感を感じませんでした。
それが実現したのは、コントのコント自体の面白さと、2人の演技力が両立しているから。
双方について書いていきたいのですが、まずはコントの本としての面白さについて。

私が犬の心を犬の心として認識して、しっかり見るようになったのは2008年の後半からなんですが、
その頃の犬の心と言えば、AGEAGEライブで「オシャレ空手選手権」「八曲署」「ローレライ」とかをバリバリやっていた時期。
特に、「犬の心の押見です」「池谷です」のショートコントを初めて見た時の衝撃は今でも忘れられない。
あんなコント、一度たりとも見たことなかった。
「常識」や「前提」「枠組み」、みたいなものを全部ぶん投げて、自分達のコントを作り上げていた。
シュールと一言で言えば簡単で、本当に理解不能なところも諸々あったけど(笑)、
それでも、斬新な設定を披露しつつ、観客にちゃんと理解させる余地を与えるところが本当に好きでした。
そこから時間は流れ。
今回の単独は、そういう、設定から斬新で飛んでるものはほとんどなかった。
ナタリーさんの記事で、押見さん自身が語っていたように、
いわゆる、「パターンで笑わせる」ものではなく、「人間性で笑わせる」という感じ。
一見普通の人に見えるいけやさんが変な人で、それをなだめる押見さんも実は変な人で、それに反抗するいけやさんもやっぱり変な人だった、みたいな(笑)
入口は、日常にありそうな普通の風景なのに、全く予想もつかない方向にどんどん進んでいく。
もちろん昔のテイストのコントも大好きですが、今回のも本当に面白くて。
芸歴17年目の彼らが、色々なコントを、色々な環境を経験したのちに辿りついた、
年を重ねたからこそ表現できる、哀愁や嫉妬、駆け引き、憎しみ、
そしてそれら全てが笑いに昇華される人間ドラマ。
今だからこそ表現できるものだと感じたのです。

もう一歩、コントの構造的な話をするとすれば。
今回、改めて思ったのが、犬の心はコントのその15分だけを表現しているのではないということ。
コントの登場人物が、本当にこの世の中に存在していて、
その人物の長い人生の一部を、切り取って見せてもらっている、という感覚。
例えば、KOCで披露した「手品」も、あの池谷さんと押見先輩の2人の間には、過去に告白した側された側という複雑な事情があって、
それが、本人達の「当たり前」のテンションの中、絶妙なタイミングで差し込まれてくるから、観客は大いに笑う。
ただ、観客からしたらすごい事実だけど、コントの中の当人達には共通認識だから取り立てて言うことでもない。
だから最初からそれが明かされるわけではなく、何かのきっかけで明らかになる、というリアリティ。
今回の単独でも、そういう構成面の妙を大いに堪能することができました。


そしてもう一つ、2人の演技力について。
犬の心の演技力がすごいなんて、今さらわざわざ言うことでもないし、みんなわかっているし、
それでも、改めて本当にすごいなぁと思わされた。
何がすごいのかを言葉で表現するのは難しいんだけど、間とか抑揚とか、テンションの上がり方、上がるタイミングとか。
特に今回の単独は、「犬の心」なんだけど、押見泰憲といけや賢二という、2人の個人の真剣勝負という感じがして。
自分がどんな演技をしても、どれだけ振り切っても、
相手がきちんとそれを拾って返してくれる、という絶大な信頼感があるように感じられて。
それがあるからこそ、双方が高めあっていく演技ができる。
そんな瞬間が垣間見えて、かっこよかった。



エンディングでは、「今日は何曜日でしたっけ?」と何気なく聞いた押見さんに、
いけやさんが「木曜日です。病院が休みの日ですね!!」と明るく答えて、会場微妙な空気に……
押見「……長年連れ添ってますけど、こういう時、本当に上手くいかない」(笑)
さっきまで、あんなに息ぴったりのコントを見せてくれたコント師とは思えない(笑)
その事実にも笑ったけど、「長年連れ添ってる」っていう押見さんのワード選びにも笑ってしまった。夫婦か!(笑)
……それと同時に、ふと心に浮かんだのは、
今年解散を発表した多くのコンビのこと。
彼らのように17年目を迎えることが出来なかった、私が今までよく見ていた多くのコンビのこと。

犬の心と同じように年月を重ねることができるコンビばかりではない。
家族の事情もあるだろうし、それまで気持ちが続かないコンビだってたくさんいるだろう。
そんな中で、解散をしたコンビや、解散を考えているコンビに、
葛藤している芸人さんを前に、犬の心を例に挙げて、
「いつかはああなれるから頑張れ」なんて、
「いつか賞レースの決勝に行けると思うから頑張れ」なんて、
そんな無責任なことは言えない。
言えないけど……これだけは言える。
売れなくてもがいた日々も、上手くいかなくて試行錯誤した日々も、
きっと無駄ではない。
そういう道なき道を通ったからこそ、今表現できるものがある。
犬の心はそれを見せてくれたから。
進化を続ける17年目の犬の心は、
今が一番、かっこいい。


「冬犬」は、凍てつくような冬の朝に、一筋の陽の光が差してきて、
心がじんわりと温かくなるような、
そんな、柔らかくて、幸せな満足感で心が満たされる単独ライブでした。


うしろシティ第5回単独ライブ『それにしてもへんな花』 (14/5/24)

2014-06-15 00:30:50 | 単独ライブ
***
うしろシティ第5回単独ライブ 『それにしてもへんな花』
5/24(土) 18:00~ @シアターサンモール
***

うしろシティの5回目の単独ライブ、東京初日に行ってきました。
今回の会場はシアターサンモール。
キャパ294の大きくてきれいなホール。
たぶん私がここに行ったのは、愛の賛歌以来だったと思います。すっごい懐かしかった。
会場に入ると、各局の番組や著名人からの色とりどりのお花でロビーが華やかに彩られ、
まるでそれは、非日常の世界への入口のようでした。
今回の単独は、全てのコントも、幕間VTRも含めて、全体が一つの作品だなぁという感覚がすごく強くて。
この現実世界と並行してどこかにあるパラレルワールドへ行ったような気持ちになった。
とてもとても素敵な単独でした。

毎度の事ながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、基本は感想だけになっています。
また、コントのタイトルは私が勝手につけています。
カメラも入っていたようなので、DVDになるか、どこかのサービスで配信されるようになるかもしれません。
ネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。



・OPコント 契約
<……これか?>
一発目からとても好きでした!
日常的な設定なのにファンタジック、
かわいらしい設定なのにバカバカしい部分もあり(笑)
もう少し尺を長めにして、展開を多めにした状態でも見てみたい。


☆OPVTR
公園でシャボン玉を吹いたり、フリスビーをしたり、枝をバットにして野球をしたり……
ナチュラルに楽しそうな2人の笑顔が印象的。


・5分遅刻
<すみません、電車が遅れて……>
すーっごいよかった!楽しかった!
こういうコントって、種明かしをしないというか、なんでそういうことになるのかという理由を明かさない場合が多い気がするのですが、
それを明かして、しかも最初はそこそこ納得できてしまうというのがとてもいい。
後半からおかしくなってくるけども(笑)
オチも良かったなぁ。この後、このコントのストーリーはまだまだ続いて行くんだろうなってところで終わらせるところ。


・彼女の話
<ほら、俺も彼女いるから!>
かなり初期の話シティで、理想の女子はどんな女子だとイメージを膨らませあっていた、
そのトークがそのままネタになったような感じ。
ネタの冒頭では可愛らしかったのに、途中から静かな狂気を帯びてくる金子さん、とってもいいですね。
強烈な破壊力の名前ボケは相変わらず健在(笑)


☆ブリッジVTR 相方の趣味をやってみよう!金子編
スカッシュをやる金子と阿諏訪。
阿諏訪がヘタすぎるので金子にハンデとして枷をつけることに。
しかし、だんだんなぜか2人とも枷をして色々なものをつけながらスカッシュ(笑)


・喫茶店
<店長には内緒で……>
あー!うしろシティだー、これぞうしろシティだなー!!
それぞれの状況は日常でもよく見る光景。
それなのに、2つの光景が同時に起こってしまうと、リアリティがありつつも一気に非日常的な世界に放り込まれる感じ。
あー、さすがうしろシティだ、これぞうしろシティだなー。
……と、一番強く思わされたネタでした。
余談ですが、今回の単独が終演した後に流れる、いわゆる客出しの音楽で、ブラックビスケッツの「タイミング」が流れてたんです。
懐かしすぎる(笑)
この曲がリアルタイムでわかるの、私くらいの年齢がギリギリなんじゃない?
私でも小学校低学年だった頃の曲だと思うから、今の中学生とか絶対わかんないでしょ(笑)
で、そこで聴いたので、家に帰って改めて聴いてみたら、
なんだか、うしろシティにぴったりな曲だなぁと思いました。

 ズレた間の悪さも それも君の“タイミング”
 僕のココロ和ます なんてフシギなチカラ


・あぁ、そうだよ!
これが本当に本当に、最高に好きでした!!
なんていいコントなんだろう。
こんなパターンのコント見たことない。本当に面白かったー。
金子さんの負担が大き過ぎるし(笑)、阿諏訪さんほとんど喋ってないし(笑)、なかなか他の場じゃできないだろうけど、
もう本当に本当に好きだったよー。
何度やっても、同じ口調で同じ表情で、素敵な笑顔を浮かべられる阿諏訪さんに心奪われたし、
金子さんの淡々としてる調子で、平然と話が進んでいく感じも本当に楽しかった。


☆ブリッジVTR 相方の趣味をやってみよう!阿諏訪編①
阿諏訪の趣味である料理、ギョウザ作りに挑戦。
阿諏訪と金子が交互に工程をこなしていくが、相方が何をやっているかは見る事ができない。
ギョウザの皮が見つからず、ライスペーパーを並べる金子(笑)


・銀行強盗
<500億を盗みに行く!>
前回の単独ライブ、「うれしい人間」の監禁のコントに出てきた、ボスと部下の続編のようなストーリー。
なんとかして自分の希望を通そうとする、ちょっと可愛らしくてとぼけてるボス。


☆ブリッジVTR 相方の趣味をやってみよう!阿諏訪編②
金子の工程の時に使えるように、水溶き片栗粉を用意しておいてあげる阿諏訪。
しかし金子は意味がわからず捨てる→このくだりを2回(笑)
ライスペーパーにそのまま具を乗っけて包んだため、やたらでっかくて、およそギョウザとは呼べないものが完成。
でも食べてみると……
阿諏訪「うまいね」
金子「うん、うまい」
味は普通においしかった模様(笑)


・清掃のアルバイト
<ぶっ込みます!>
これもすっごく面白かったなー!
金子さんが一切ブレることなくピュアで、その真っ直ぐさが恐ろしくなってくる(笑)
起承転結がすごくきれいで、肝となる一つの部分を貫いているのに、全く飽きることなく最後まで楽しめる展開も見事でした。
それにしても2人とも役に入り込む深度が本当にすごい。金子さんの幸薄そうな青年っぷり素晴らしすぎる。
そこからの「ぶっこみます!」が最高(笑)


☆ブリッジVTR manabuのファッションコーデ
ちょうちん、タケノコなど、とんでもないものをmanabuはどうファッションに取り入れ、着こなすのか?
真面目にバカバカしいことをやってるのがとってもよかった(笑)
しかし、スーツを着た金子さんが、ばっちりキマっててどぎまぎしてしまいました。普通にかっこよかったなー。


・リンゴ
今回の単独で一番物議をかもした、衝撃の問題作(笑)
ただただシュール極まりないし、色んな意味で恐ろしすぎる。
もう怖すぎて、この次のコントの冒頭の内容が、頭の中にあまり入ってきませんでした。
簡単に言うと、「うしろシティがこんなコントやっちゃダメー!」っていう感じ(笑)
とにかく不条理で、なんの説明もなくて、ただただひたすら進んでいく。
私、2700のキリンスマッシュを初めて見た時に、「10年先のコントを見てしまったような気持ち」って書いたんですが、
今回も同じようなこと感じました(笑)
でも、こういう、奇抜でちょっと怖面白いようなネタがあるからこそ、全体のバランスもぐっと引き立つし、
さらに単独としてのパッケージ感、満足感が高まって、とてもよかったんじゃないでしょうか。
ひゃーひゃー悲鳴を上げながら見るのも、そういう観客のリアクションも込みで楽しめる感じがして。
これまた見たい。通常のライブじゃ絶対できないことはわかってるけど(笑)


☆ブリッジVTR うしろシティバトルカードのCM
今回の単独グッズである、バトルカードの茶番CM(笑)
これもすっごいよかったなぁ。
あらゆるものをエンターテイメントとして取り入れて楽しんでしまう感じがさすがです。
ブリッジVの感想はだいぶあっさり書いてしまいましたが、
このCMだけではなく全体的に、うしろシティならではの良さが溢れていてとても好きでした。
どこかにロケに行ったり、派手にお金を使ったり、という感じではないけれど、
こうやって2人の好きなこと、キャラに焦点を当てれば、満足度の高いものが出来あがるんだなと感じました。


・旅行先
<いいですよ、ゆっくりしに来たんで>
「とにかく間が悪い」「無邪気な金子に振り回される阿諏訪」といった、うしろシティらしさがふんだんに詰まったコント。
とても自由に楽しそうにやっている2人。
単独の最後にふさわしい、ほのぼのとした感じでした。


・EDコント
銀行強盗を実行した、あのボスと部下のその後……








今回の単独は、私としては今までの中で一番好きだなぁと思っております。
それぞれのネタが、まだまだ「そんな切り口あったのか!」「こんなパターンあったのか!」と驚かされるようなものばかり。
私は以前から、それこそがうしろシティの魅力だと感じていたということを、
改めて思い起こさせてくれました。
うしろシティと言えば、ポップでかわいらしくて、純粋でハートフル、そんなイメージがあるけれど。
でも今回の単独では、「あのうしろシティがこんな怖いコントやっちゃダメ!!」みたいなネタもあって(笑)
そうやって、常にいろんなパターンを見せてくれて、
「うしろシティらしさ」の創造と破壊を、平然と一緒にやってしまうことこそが、
うしろシティらしさなのかもしれない。

私は個人的に、前回の「うれしい人間」が、一つひとつのネタは面白かったのに、どこか不完全燃焼だったように感じていて。
ちょっと二人のやりたいことを自由につめこみすぎているんじゃないかなぁなんて思っていました。
それぞれのネタで、体感としてちょっと尺が長いように思ったところがあったし、
オチの一個前で落ちてるように感じたのに、あれまだ続くの?という感じで、間延びしていると感じたんです。
それに、テーマが似たようなネタもあったりして。
その点、今回の単独は、様々なネタがバランスよく配置されていたと感じました。
長いネタ、短いネタ、ポップ、シュール、楽しさ、かわいらしさ、恐ろしさ……(笑)
単独ライブというものには、2つのパターンがあるなんてよく聞きます。
ひたすら新ネタをやっていくというものと、単独全体で一つの作品になっているというもの。
前者のような単独も、もちろんそれは芸人側も見に行く側もそういうものだと理解しているからいいんですけれども、
こうやって、様々なネタを見ることができると、あー単独見たなぁってすごく思います。
明らかにテレビじゃできないようなネタもあり(笑)、また一方が全然しゃべらないから他のライブではやりづらいようなネタもあり、
でもこういうことができるのが、単独ライブだよなぁと。
今は、オンバトもレッドカーペットも、地上波のネタ番組が何もなくなってしまった。
本当に残念だけど、それならそれとして、ぜひDVDを出してもらって、
この単独ライブそのものを一つの作品として、一つのパッケージとして、多くの人のもとに届けて、多くの人に楽しんでほしいって思います。
今回のライブに来られなかった方は、ぜひDVDを見て頂きたいし、
見る際には、ゆっくり時間があるお休みの日に、一気に続けて見て、作品全体を味わうのが一番楽しいんじゃないかなって思います。
そして、芸人さんの単独ライブというものが、もっともっと市民権を得て、世間的な知名度も高くなって、
一つの文化として認められるようになってほしい。
「テレビに出れない売れない芸人がやっている」ではなくて。
「ライブはいつかテレビ芸人になるための踏み台」ではなくて。
コントを大切に作り上げている人達が、今ここにいるのだから。

今、若手お笑いの中で人気のコンビを挙げろと言われたら、間違いなくその筆頭に挙げられるコンビ。
だけど、華やかなイメージとは裏腹に、もちろんいつもいつも順調というわけにはいかなかったコンビ。
「若い女子に人気急上昇中のイケメンコンビ!」といったようなハードル高い煽りフレーズがつけられ、
うがった見方をする人からは顔ファンしかいないと言われ、
未だにKOC2013の8位をイジリ倒され(これはオイシイ面もあるけどね)、
鳴り物入りで始まったはずのバチエレは半年で終了し、
松竹芸能からはあらゆる期待を一身に背負わされ、
その割に3月の給料は7万。
それでも、その全てを乗り越えて、明るく強く笑い飛ばして、
うしろシティは今日もゆく。
自分達にできることはいいコントをするだけだと、その姿から力強く表明するかのように、
うしろシティは、混沌としたお笑い界の中を、今日もゆく。






うしろシティ単独ライブ「それにしてもへんな花」[DVD]
アニプレックス



さらば青春の光全国コントツアー 『外回り ツアーファイナル ~帰社~』 (14/5/10,11)

2014-05-12 23:00:00 | 単独ライブ
***
さらば青春の光全国コントツアー『外回り ツアーファイナル ~帰社~』
5/10(土) 19:00~
 11(日) 14:00~ 19:00~
@シアターモリエール
***


全国10ヶ所を周り、単独ツアーを行ったさらば青春の光。
そのツアーファイナルである、東京公演の「帰社」に行ってまいりました。
毎度のことながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、感想だけを書きます。
あまりネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。
また今回は、ちょっと読みづらいかもしれないのですが、土日合わせて3公演、その時々で起こったハプニング等を、
時系列はバラバラで、ネタ順に合わせて書いていきたいと思います。

加えて…今までも私のブログは、好き勝手なことを書いてきていますが、
今回の感想は、それに輪をかけて好き勝手書いております。
ネタについて色々と私の意見を述べているので、すごく評論かぶってしまってると思われるかもしれませんが、
そうではなくて、個人的な感想なので、私がハマらなかったからといって≒ダメなネタという訳ではないことはご理解頂けると幸いです。
「ここをこうしてほしい」とか「直してほしい」みたいなことも結構書いていますが、
例えさらばご本人達がここを読んだとしても、自分達のポリシーに反するところは、いくら言われたって直さないだろうしね。
そう思っているので、私も好きなこと書いてる、という前提です。
前置きが長くなってすみません。
では、初日である土曜日の開演前に起きたハプニングから。



[土曜]
19時開演の予定なのですが、時間になってもなかなか開演しない。
5分くらい押したところでまだ動きがなく、これはしばらく押すだろうなぁと思っていたら、
突如、「どうも~」と言って、舞台上に登場するさらばの2人!
何が起きたのかわからずびっくりしていると、森田さんから説明が。
なんと、映像を流すためのプロジェクターが開演2分前に故障!!(笑)
全く動かなくなってしまって、どうにもならないので、今から新しいものをスタッフさんが買いに行くと。
だから、「その間、お前ら前説で繋げ!」ということで舞台に放り出されたそうです(笑)
そんな状態なので、衣装は1本目のコントのスーツで出てきた2人。
そのプロジェクターは、全国ツアーを一緒に回ってきたもので、今まで調子が悪くなったことはなかったのに、
ついさっき突然壊れたという。
「ホンマ呪われてるとしか思えない」などと言い出す森田さん。
森田「よう考えたら、去年くらいからずっと呪われてたわー!!」
東口さんばちこーん。

以前の事務所の時には、前説に行かせてもらう機会が全然なかったので、前説というものがほぼ初めてだそう。
そこで前説に憧れている森田さんが、客席に拍手をやらせたり、掛け声をやらせては、
「声がちいさ~い」とニヤニヤしながら言ってみたりする(笑)
プロジェクターを買ったスタッフさんが帰ってきて、セッティングをして、
やっと準備が整い、帰社スタート!



・OPコント 帰社
若手社員(森田)と、外回りから帰って来た副社長(東口)。
森田「外回り!?外回り行ってたんですか!?
   ……社長と2人で?一ヶ月も?」(笑)
東口「まあ、初めは静岡行ったやろ、それで、名古屋…大阪……」
という感じで、全国ツアーの思い出をなぞっていくようなコントでした。
そして最後は散々佐賀をいじって終わる(笑)


・OPVTR
全国ツアー中の舞台裏、そして帰社までの全10公演の最後に撮った写真を取り入れた映像を、
ザ・ハイロウズのミサイルマンにのせて。



・催眠術
<僕はねー、かかりにくいタイプだと思うんですよー>
うーん…しつこいのが持ち味だし、この尺でねちねちやるからこその良さがあるとは思うんだけど、
それにしてもさすがに、ちょっと展開がなさすぎるし、一つひとつに時間かけすぎてる。
森田さんの最初のツッコミ、もうひとくだり早く来てほしかったなぁ。
ネタの冒頭から、客席みんな笑ってるけど、ずっと笑いきれないもやもやというか、森田さんのツッコミ待ちなところがあったのに、
そのツッコミに行くまでにもうひとくだりたっぷりやるから、客席の笑いたい気持ちが一回ピーク超えちゃってるんだよなぁ。
あと、この森田さんの役がなんでそこまでやるのかという理由が見えてこないというか。
後半の2人ともヤケになってくるところになって、やっと勢いついてきた感じがしました。
***
[日曜昼]
OPコントが終わった後、OP映像が出るはずだったのに、その映像が出ない(笑)
暗闇の中で曲だけが流れているという事態に。
そこから明転して、この催眠術のコントは、「テレビのトーク番組」という設定。
司会者役である森田さんの、「森ちゃんのウキウキトーキングー!!」という台詞から始まるのですが、
森田「まぁ、あの、本当は、さっきOP映像が出るはずだったんですけどね!昨日も、開始2分前にプロジェクターが壊れるということがあったばかりなんですけど!!」
客席ざわざわ。
そして、催眠術師役の東口さんが、
東口「ちょっと、この番組、大丈夫なの?」
ここでドカンと笑いが(笑)
こういうのを自然に組み込んで、そしてさっと本筋に戻せる2人の力を目の当たりに。


・美食家
<テレビで紹介すると言ってるんだよ?>
これも個人的にはハマらなかったなぁ…。
やりたいことはわかる、肝となる部分をここにしたいんだなということもわかる、
でも、その部分に納得がいかない。
さらばのコントというのは、そのコントを端的に表すキーポイントがあると思うんですが、
その箇所に対して自分が納得いかないと、そのあとずーっとハマらなくなってしまうんだなぁと改めて感じた。
今回も、キーポイントに対して、「それとそれって関係ある…?」と思ってしまって。
ただそんな中でも、結構緻密な仕掛けを組み込んで、重層的な展開にしているところはとても好きでした。
海外のくだりとか最高だったなー。
「そういうことか!」とストンと理解したときの気持ちよさ。
***
[日曜夜]
このコントの森田さんの役名が「こばやし」なのに、東口さんが普通に「森田さんは~」と言ってしまう超凡ミス(笑)
思わず森田さんが素で、「今回の単独、一回も(全て)うまくいったことがなかった!!」と叫んでしまう(笑)
***
ここからは超個人的な話なんですけども。
初日である土曜にこのコントを見た時に、ちょっと気になったところがありました。
このコントの終盤に、美食家である森田さんが、東口さん店長のレストランの外観を褒め、内装を褒め、料理の盛り付けを褒め……というくだりがあるのですが、
そこで森田さんが料理に対して、「この食欲をそそるにおい」と言ったんです。
それがどうにもこうにも気になってしまって。
でも、そんな細かいこと指摘したら嫌われるかなと思って(笑)、土曜はスル―したんですけれども、
次の日の日曜昼に見てもやっぱり引っ掛かって、もう嫌われてもいいやと思って、アンケートに書いてみたんです。
「料理に対して『におい』っていうのはおかしい。『香り』にした方がいいと思う」って。
そうしたら、日曜夜の公演では、この部分を「食欲をそそる香り」と言い換えていました。
びっくりした。そして嬉しかった。
もちろん、きっと同じような指摘が他にもあったんだろうとは思うんです。さすがに一人の意見じゃスル―するだろうなと。
だから別に私が言ったからって訳じゃないとは思うんですが、それでも嬉しかった。
それは、私の意見を取り入れてくれたからとかではなくて。
私は、コントの中で、本人達の意図するところ以外で不自然な箇所を作って欲しくないんです。
あくまでも日常でありそうな自然なシチュエーションのコントが見たい。
だから、笑いどころ以外での演技は、徹底的に丁寧にやってほしいし、
話の流れとして辻褄が合わないところは直してほしい。
言葉の選び方にも注意を払ってほしい。
そしてきっと、向こうもコントに対してそういうことを思っているから、直してくれたんだと思う。
コントに対して求める物が同じだと感じられた、それが嬉しかった。


☆ブリッジVTR 全国ツアー記録① 「タイムリミット」
今回の幕間は、ツアーでの印象的な出来事をまとめたものでした。
さらばの2人、作家の廣川さん、渡辺さんの4人が乗る、名古屋公演に向かう車内での出来事。
深夜4時までに、東名高速の料金所に入らなければいけないため、車をかっとばす運転手の東口さん。
さらに、記録用のビデオテープの残り時間も同時に迫ってくるという、二重のタイムリミット。
スイッチが入ってしまい、ガンガンに飛ばしていく東口さんに対し、
渡辺「東口、無理せんでええから!ここで死にたくない!!」
本当にごもっとも(笑)
最終的に、料金所を通過するのも、ビデオテープの時間も間に合った。
感想を求められた東口さん、
東口「思った以上に笑顔やな」
……???


・島
<この島、人口100人ちょいの小さい島や>
すっごい好きなネタです。
この前の2本が個人的にハマらなかった上、ちょっとギスギスした攻撃的な感じだったので(笑)、
このタイミングでのほのぼのネタはとても心が温まって、なんだかリラックスして見れました。
おっさんと警官の2人が、ゆったりしたテンポでやいやい言い合っていく感じ。ゆっくり時間が流れていく感じ。
だらだら喋っているだけにも思えるのに、そこからどんどん話が展開していくのがさすが。
そして、いまいちつかめない警官のキャラクターが、オチ前の一言で全部明らかになるのもすごい。
可愛らしいコントだな、みたいなほのぼのとした気持ちを一蹴する性格の悪さ(笑)


・試食
<新商品のお菓子なんです~いかがですか?>
今回の単独で私が一番好きだったのは、もう断トツでこのネタです。
他のネタもみんな面白いんだけど、ちょっともうレベルが違う。本当に本当に面白かった。
ネタの肝となる部分は本当にシンプルで、こんなシンプルなことでよく一本のコントに仕上げられるなぁって驚かされるんだけど、
とにかく巧みで予想を裏切り続ける展開と、森田さんの表情の勢い(笑)と、東口さんの飄々とした感じのコントラストで
最初から最後まで全く飽きさせずに駆け抜けていく感じ。
コントの登場人物には、その行動をしなければいけない理由をつけてほしいと思っている私ですが、
それも森田さんのセリフの中に「俺も何でこんなことせなあかんのかわからんけど」という一言があるからすごく納得する。
それ自体が笑いになるのと同時に、「確かに、なんでこんなくだらないことでって思うことに熱中しちゃうことあるよね」みたいな、
妙なあるあるネタのようになるのも最高です(笑)
いやー本当に面白かった。
コントでこんなに笑ったことって、本当に久しぶりかもしれない。
どうしてもコントって、「すごいなー!」「そうきたかー」みたいに構えて見てしまう性格の悪い客なのですが、
今回はそんなのを思うヒマもなく、呼吸困難になって涙あふれてくるくらい笑ってしまいました。
***
[土曜]
初日である土曜夜の公演では、なんと東口さんが、試食のお菓子(マシュマロ)が入っているお皿を傾けてしまい、
中に入っていたマシュマロを全部ぶちまけてしまうというハプニング(笑)
森田「呪われとるなー」(笑)


☆ブリッジVTR 全国ツアー記録② 「北海道で…」
簡単に言うと、北海道公演において、森田さんが食べた海鮮丼が、
微妙だった、ハズレだったとただただグチるVTR(笑)



・謝罪
<オレはな!オカンとか、妹とか……>
これも好きだったなぁ。とってもいいネタ。
「謝罪」というタイトルなのに、実際は謝罪ではなく、謝罪を受けた側の話になっているのがとても面白い。
ただ、それが本質のテーマではないことはわかっているにしても、「医療ミス」ということが若干引っかかって笑いづらい気もしないでもない。仕方ないことなんですが。


・打ち上げ
<お笑い芸人なんやったらさぁ、おもろいことやってーや>
なんて性格の悪いネタ!!
あらゆる方面への悪意に満ち溢れてる!!(笑)
そして、「ここが仕掛けなのか」ということが判明した時の衝撃というかカタルシスみたいなものは、
このネタが一番あったような気がしました。
帰社の3回公演の中で、一番改良を加えていたのがこのネタで、
初日に見た時はちょっとだれてるなと感じたのですが、回を重ねるごとにわかりやすくなっていました。
でもちょっと気になったのが、普通こうやって飲み屋で酔っ払いが絡んできた時って、お店の人が止めに入ったりしない?
それじゃなくとも、テレビ番組の打ち上げという設定なんだから、下っ端の若手のADさんがその役割をやるとか。
どうして誰も止めに入らないんだろう。それがわからないから、笑いどころに至る前に本気でイライラしてしまう。
その理由がほしい。


☆ブリッジVTR 全国ツアー記録③ 「謎多き男 東口インタビュー」


・出待ち
<じゅげむ、時そば、饅頭怖い……>
東口さんのピンと来てないキャラは、時に恐怖を感じさせますね(笑)
森田さんと一緒に、伝わらないもどかしさを味わって面白がる感。


・放課後
<先生は、このクラスにいじめがあるのは、ご存知ですか…?>
このネタは昨年12月のごっそりでやっていたネタで、最近ライブでよくやっているんですけども、
個人的な印象では、「12月のあの5本からこれを残すかーそっかー」って感じ。ちょっと意外でした。
このネタは後半、森田さんが東口さんをずっと泳がせ続け、なかなかツッコまないなんてところもあったりして(笑)、
これはこれで面白いんですけど、なんていうか…すごく……軸がぶれてるように感じる。
さらばのコントって、
例えばオカリナだったら「契約で社長をおだてたいのにオカリナの相場がわからない」とか、
Rockだったら「尖ってる歌詞を書く青年に説教」とか、一言で表せるような軸があると思うんですが、
このコントはなんか、軸がぶれてきて、「結局どういうテーマなんだっけ?」ってなってしまう感。
こういうコントがあってもいいとは思うのですが、
なんか印象に残らないというか、すーっと通りすぎるような気がしてしまうんですよね。
面白いのに、どことなく感じる薄味感。
ただ、今回はオチを今までと変えていて、それがバカバカしくてすこーんと気持ちよく終わったので、
そこで一気に回収した感じもありました。


・EDVTR
スタッフロールが流れる中、右端には、全国ツアー各地の感想をつぶやいた、一般の方のツイッター画面が映し出されるという!
いい映像だったなー。やっぱり、実際に見に行った人の感想以上に感動が伝わってくるものってないよね。
最後に画面の中央にでかでかと映し出されたのは、

  制作
 ザ・森東

という文字。
そういえば、去年8月の「野良野良」の時には、まだ事務所立ち上げてなかったから、
これをエンドロールで見るのは初めてだった。
色々と思うところはあるけれど、
とりあえず、森東としての初の大仕事、本当にお疲れさまでした。


・エンディング



今回の「帰社」はほぼオール新ネタで臨むということは事前に聞いていて、
始まる前は、もう賞レースに照準を合わせるのかなとびっくりしたのですが、
始まってみると、今回はまだそこまでではなさそうな感じでした。
尺が長いネタや遊ぶネタも結構多くて、賞レースというよりは、自分達の今やりたいことを形にしてみたという感じ。
フラットな気持ちで楽しめる感覚でした。
ここから、残すネタは残して、細かく磨いて打率を上げていってほしいですね。
賞レースに向けてギアを入れるのは、もう少し後になりそうだ。


土曜初日の、ハプニングからの前説のことが、なんだかとても印象に残っています。
普通、どんなライブでも、開演する時って、
客電消える→BGM大きくなる→暗転→明転→コント始まる
って流れだと思うのですが、
そういう流れが一切なく、客電がガンガンについているところに、いきなりさらばの2人が現れたもんだから。
完全に気を抜いていたので、思わず「え!?なに!?」と、声が出てしまったことを反省します(笑)
その時に見たさらばは、何だか、いつものさらばじゃないように感じました。
それは、不意打ちで登場したからというのもあるんですが、それだけじゃないような気がしていて。
後から何でそう思ったのか冷静に考えてみてわかりました。
スーツだ。

さらば青春の光は、基本的に、客席と対峙する状態で、スーツを着るコンビじゃありません。
もちろん、スーツを着るコントは色々ありますが、その時は、コントの中の人物を演じている状態。
そして漫才もしますが、その時は、漫才師が着るようなスーツを着てネタをやるコンビではありません。
東口さんがちょっとジャケットを羽織るくらいかな。森田さんはだいたいTシャツに短パン。
何が言いたいかと言うと、「さらば青春の光」の「森田」と「東口」という状態で、
スーツを着て観客の前に出ていくことは、ほとんどないということです。
だから、あのハプニングがあって、急遽前説と言われて、OPコントのスーツの衣装のまま出なくてはいけなくて…という、
様々な状況が重なったからの、あの状態だったんだなということ。
本当に、すごかったですよ。
スーツ着て舞台上でトークしてるさらば青春の光。
たったそれだけなのに、華があるというのはこういうことなんだ、って、強烈に見せつけられた。
色んなことがあっても、この2人は、自分達の体ひとつで、強烈に人々を惹きつけてしまう魅力と引力があって、
だからこそ、全国を回って、各地の人に楽しんでもらうことができたのかなって思った。
それを改めて思い知らされた。
普段、30人とか50人キャパのトークライブで、ラフな格好してリラックスして喋ってるさらばの2人は、
アットホームな感じがあって、それはそれでいいんですけど、
なんか、視覚的には、その辺りを歩いてるおもろい兄ちゃんと大差ない感じがしたりして(笑)
最近、森田さんもトークライブの冒頭なんて、
「僕らのライブに初めて来たって方いますか?まあ、もう大体顔見知りな感じなんですかね」
と、固定客に飽き始めているんじゃないかというような発言するし(笑)
私もその距離感に慣れ始めていたけれど、今回の単独で、それは感覚がマヒしてるんだって思った。
土曜はちょっと後ろの席から引いて見ていたんですが、そこから見た前説のさらば青春の光は、
その辺のおもろい兄ちゃんではなくて、華しかないテレビスターだった。
私とさらば青春の光の距離感は、本当は、これが正解なんじゃないか。
今は無理なことはわかっている。
でも、何年かかってもいいから、
この人達は、お笑い界のセンターにいるべきだ。
一度、足を踏み入れたはずの場所に、もう一回戻るべきだ。
何年かかるか、わかんないけど。


「面白ければ何とかなる」「面白い芸人はいつか必ず売れる」
みたいな言葉が嫌いだ。
どんなに面白くても、どんなに頑張っていても、何ともならない人達をたくさん見てきた。
こんな言葉を無条件に信じているとしたら、ちょっと甘過ぎる。
……面白くたって、何ともならないっつーの。
でも、今の彼らには面白いコントをやることしか選択肢がない。
他の場面で信頼できないことも、頭に来ることも多いけれど、
単独の翌月に新ネタ5本のライブやるとか言うし、
1ヶ月に渡る全国ツアーを5月に終えたのにまた8月に単独やるとか言うし、
その努力を見ていたら、甘かろうが、青くさかろうが、信じざるをえなくなる。
「面白ければ何とかなる」みたいな言葉は、一切信じていないけれど、
その可能性を最後に賭けるなら、あなた達だと思ってる。


彼らの面白さが、魂が、熱量が、沢山のお客さんに届いたなら、
きっとそれが何よりだと思います。
全国13公演、本当にお疲れさまでした。

さらば青春の光 全国コントツアー『外回り』 静岡公演 (14/3/29)

2014-04-05 03:47:39 | 単独ライブ
***
さらば青春の光 全国コントツアー 『外回り』
3月29日(土) 19:00~ @アトリエみるめ(静岡県)
***


フリーになって初めての単独「野良」から約一年。
今回は、「事務所を立ち上げたあいさつ回りに行く」というコンセプトで、全国10ヶ所を回るコントツアーを企画したさらば青春の光。
その幕開けである、静岡公演に行ってきてしまいました…。
もう本当に。なんで自分がこんなにアクティブに動いているのかわからん。
でも、初日見たくなっちゃって……。
それに、東京公演の「帰社」まで待てなくて……。
そんなこんなで行ってきてしまいました。
ツアーは始まったばかり、まだまだ今後たくさんの場所を回りますので、
コントの内容には触れないことにします。
なので、セットリスト…お笑いでセットリストって言うのかな?
ネタ順、の方がしっくりくるかしら(笑)
ネタ順は書きません。
全体の印象だけ、ざくっと、ふわっと。


さらばは去年、ほぼ毎月、新ネタ5本を披露するライブ「まっさら」「ごっそり」をやっていた訳ですが、
今年に入ってからはツアーがあるからなのか、その主催ライブは行われておらず。
なので、久しぶりにさらばのコントをがっつり見れたなぁという感じでした。
ネタは最近のものもあれば、昔よく見ていたものもあれば、見たことないものもあったりして、
でもその全てが、さらば青春の光とはこういう人達です、というのを全面に出している感じがして。
そして、ただただ、衝撃と感嘆。
一つひとつのネタが、「よくこんなところ見つけたなぁ」「そしてよく仕上げたなぁ」とうならされるものばかり。
終わった後、すごいなぁという感想しか出てこなかった。
そして、幸せだった。
ずっとさらばのコントに溺れていたいという訳わからない感情すらわきあがってきた。
こんなすごい人達がいるって、今気付いてよかった。
こんなすごい人達のコントを見る機会を、逃さなくてよかった。

ネタ以外のところで言うと、一つとても印象に残っているシーンがあります。
今回も、「野良野良」の時と同じように、ブリッジを漫才でやったんですが、
その漫才の2本目。
「どうもー」と登場し、サンパチマイクの前に立った森田さんの言葉。
森田「いやー、みなさん、どうなんすかね。楽しんでくれてるんですかーね?」
それを受けて東口さんが、今言うことじゃないやろ、という感じのことを言って、
二人で笑いあってた時の表情。
楽しくて仕方ない、って感じの顔してた。
当たり前なんだけど、どの芸人さんに対しても思うことなんだけど、でもやっぱり、
単独の時のさらば青春の光は、一段と輝いているように見える。
当たり前なんだけど、でもやっぱり、
この二人は絶対に舞台の上から降りてはいけない人達だと思う。


「辞めなくて済むなら辞めない方がよかったと思う」と今でも常々言っている私ですが、
でもこうやって大規模なツアーを行うことができるのは、
自分達で全て決められるからだと思います。
辞めなきゃできなかったこと、の一つなんだと思います。
だから、というのも変ですが、
お近くにさらばが来られる方は、ぜひこの機会に、見に行って頂きたいなーと思います。
もし今まで、KOCとか、オンバトとかレカペとか、色々な機会でさらばを見てきて、
全くハマらない、何が面白いのか全然わからないという人は、無理にとは言いません(笑)
私も少し前まで、どちらかと言えばそちらだったので気持ちはわかる(笑)
でも、もし少しでも引っかかるものがあったなら、「あっ面白いな」と思ったことがあるなら、ぜひ見て頂きたいな。
生で見なきゃ伝わらないものがきっとある。
彼らの熱量を、間近で受け取ってほしいです。

なんか、こんなこと書いてると、お前何様だと、
あるいはさらばの回し者なんじゃないかと思われるかもしれないですが、そんなことないですよ。
私がここで色々書いても、社長と副社長からは一円ももらえません(笑)
むしろ静岡への遠征費で預金残高はかつかつです(笑)
でも、少しでも多くの人とこの気持ちを共有したいなと、勝手ながら思っているので。

さらばのことが大好きな人、
数回見たことがあるだけの人、
頻繁にライブに行く人、
今まで一度もお笑いライブに行ったことがない人、
演劇的観点からお芝居を楽しみたい人、
難しいことを考えずにとにかく笑いたい人、
今まで味わったことない斬新な切り口に刺激を受けたい人、
あるいは…こんなにスキャンダルを起こすコンビがどんな奴らだとゲスい興味がある人…も、この際いいか(笑)
いや、本当はよくないけど(笑)
とにかく、状況や目的は何でもいいと思う。
たくさんの人が、あぁ面白かった、楽しかった、素敵な時間を過ごせたと、
そう思えるようなツアーになりますように。

事故やトラブルなどなく、諸事情で中止になったりすることなく(笑)、
無事にツアーを終えることができますように。
社長と副社長の帰社を、東京でお待ちしております。



8月11日 さらば青春の光単独公演『野良野良』

2013-09-04 02:35:04 | 単独ライブ
・OPコント 路地裏
借金の取り立て(森田)に必死に謝っている男(東口)
男に殴りかかろうとすると、
東口「やめてください、どうか、どうか顔だけはやめてください!!」
森田「……それ何?」
東口「顔だけはやめてください!!」
森田「そこまで言うなら、こっちも言わせてもらうけど……、そないやで?」

さらば青春の光というコンビをとっても端的に表現しているいいコント(笑)
自己紹介的というか、言ってしまえばこの単独用、OP用のネタだろうに、
それでも3回公演で全部セリフやくだりを増やしていて、千秋楽が一番いい出来っていうことを普通に出来ちゃう二人。
どんなところでも手を抜かないんだなぁ。


・OPVTR
このVTRめっちゃよかった!本当によかったー!!
ポスターと同じ格好をした二人が、コントのタイトルが書かれたダンボールを街の中に落としていく。
それを拾うのは、そのコントの衣装を着た二人。
つまり、各コントの登場人物がOPVTRに登場するような感じと言ったらいいのかな。
もうこれが、本当に、わくわくが止まらなかった!!
元々私は、プラン9の九馬さんが主宰されている「月刊コント」というライブが大好きで。
そのライブは、各コンビのネタが、最後の合同コントでつながっていくという感じなのですが、
コントの中の人物が、その枠を超えて新しいストーリーの中で動き出す感じが、とってもわくわくして好きなんです。
今回もそれと同じようなことを感じた。
どのコントも、森田さんと東口さんが演じているのには変わりがないし、二人だからこその個性が出てくるものですけども、
それでも、「そこにその人物が本当に存在している」という感覚になる。
こういうことができるのはすごいと思うし、
そういうコント師しか好きになれないんだろうなぁ私は。


・早食い
<これっすか?いけそうっすけどねぇ?>
このネタは、7月の「まっさら」が初出し。(あーこの感想書けてないなー)
初めの笑いが来る場所での、面白さと同時に、「そういうことかー!」という気持ちよさ。
笑うのと同時に、なんて人達なんだろうと感嘆してしまう。
ネタの冒頭を見て、客の頭になんとなく浮かぶ「こういう仕掛けなんじゃないかな」ということを、
森田さんが自ら先に言ってしまって、そして東口さんが否定して、その選択肢を消してしまう。
「じゃあなんだろう?」と、いやがおうにも客のハードルを上げておいて、
それを楽々飛び越えてくるんだもんなぁ。
いいところで挟み込まれてくる東口さんのセリフも完璧。
今回の単独ももちろんいいネタばっかりでしたが、二人の才能を一番感じたのはこのネタだったかもしれません。


*ブリッジ漫才 バカにしたやつを見返す
舞台上にはサンパチマイク、「どうもー」と出てくる二人。ここまではまあ普通。
ところが漫才の冒頭、
森田「今回はね、ブリッジが漫才ということで――」
……いや、おかしい(笑)
それはただただ漫才をやっているわけで、ブリッジとは言わないよ(笑)
というわけで、今回の単独は、ストイックにブリッジを漫才と言い張り、3本やりきっていました。
初日公演では、森田さんの発言に、なぜかにやにや笑っている東口さん。
森田「なに?二人で決めたことやろ?」
東口「まあそうやね。事務所のこともね」
森田「え?なんですか?」
東口「事務所やめるってこともね」
森田「それはお前が勝手に決めた」
またそういうこと言って(苦笑)

今回の漫才3本の中で、私が一番好きだったのはこれでした。本当に大好き!
基本になるフレーズは「バカにしたやつを見返さんと」というこれだけなのに、これを使ってどんどん多彩にストーリーが変化して行く。
東口さんが全く感情が見えない役に徹しているのがいいと思う。
森田さんの、直接言うわけではない、呟くようなツッコミも素敵だった。
あと、中盤の「芸歴だけ重ねて~」っていうくだりは、多方面への嫌味を含んでいて、その性格の悪さに大笑いしてしまいました(笑)


・監禁
<やっと目が覚めたか……>
あーしつこい!ひたすらしつこいネタ!!(笑)
でも、それが飽きるに変わることはなくて、絶妙な間とタイミングで次々と新しい展開が出てくるから、
最後までずっと楽しませてもらいました。
さらばのコントは、簡単に言うと「振り回す側と振り回される側」に分かれると思うんですが、
その振り回す側に悪意がなくて、でも振り回される側はきれいに振り回されて、かわいそうになってしまう、
っていうコントほど面白さが増してくる感じがします。


・忘れ物
<探してもらえないですかね?>
個人的に言わせてもらうと、若干ハマらなかったコント。
いや、正式に言うと、細部がどうも引っかかってしまってあまり入りこめなかったというか。
例えば森田さんのセリフに、「ボケとかじゃなくてー!」っていうのがあるんですが、
この状況で東京人は「それボケてるでしょ?」とは聞かないんじゃないかなぁなんて。ノリの違い。
あと、同じく森田さんで「表参道でやらせてもらってるオシャレな店」みたいなセリフがあったと思うのですが、
普通、表参道に、こんな関西弁バリバリの店長のお店なんてあるかなぁとか(笑)
多分、もっと若手のコンビのネタを見たら、そんなところまで気にならないんじゃないかと思う。
でもやっぱ、さらば青春の光だから。
他のコンビに求めるレベルとはちょっと違う。
普段、そういう細かい違和感をほとんど感じさせずにいさせてくれる人達だから、余計に気になってしまうのかもしれません。
それにしてもちょっと細かいかもしれないけど。
ただもちろん本筋のストーリーはとっても面白かったです。
東口さんの、ピュアなのにイタいキャラは天下一品だなぁ。



*ブリッジ漫才 刑事ドラマ
6月のまっさらで初出し。
このネタは、東口さんの初めの笑いどころのセリフでどれだけウケるかで、後の空気もだいぶ変わってきますねぇ。
ちょっとイチかバチかみたいなところもあるかもしれない。
あと私は勝手に、東口さんの「それ何が面白いの?」っていうセリフが、なんとも性格悪くて大好きなんですが(笑)、
このくだりを入れたのは初日だけでした。ちょっと残念。
これを漫才ライブとかでやったら、あちこちから嫌われるだろうなあ(笑)


・食い逃げ
<……皿洗いせぇ!>
こちらも6月のまっさらより。
だいぶくだりが厳選されてて、スッキリ見れるようになっていた感じがしました。
最初の方の何気ないセリフがフリになっていたりして、こういう見せ方本当に上手いなぁ。


・気功
<空手の方が強いってところ見せたる!>
最高に面白かったー!
大好きなネタだなって飛び跳ねたくなるくらい好みでした。
同じことの繰り返しのように見えるけども、きれいに起承転結で一本のストーリーが見える感じ。
二人の息がぴったりで、本当に気功で動かしている、動かされているように見せることができるのもすごい。
そして、急激な角度からの下ネタオチ(笑)いいですけど(笑)
ばかばかしいのに上手い。親しみやすいのにすごいことやってる。


*ブリッジ漫才 どう思う?
こちらも7月のまっさらより。
振り回される森田さんの表情が豊かでとってもかわいらしいなぁ。
「夏の森田フェア!?」


・Rock
<そんな人生幸せですか?>
今回の単独、全てのネタ本当に面白かったし、客席もよく沸いていたんだけど、
このネタはちょっともう、明らかに飛び抜けていた。
ウケ具合のレベルが違った。
笑い声のボリューム…ともちょっと違う。
笑い声の、重さが違った。
それを肌で感じた。
このブログを書いている現在、彼らがKOC予選にこのネタで挑んだことを知っている今だからこそ言ってしまうけど、
もしかしたら、今回の単独は、このネタを試したいがためにやったんじゃなかろうか。
どのネタもみんな面白いのに、それすらもこのネタの前座のような扱いにしてしまうような。
それくらいすごい爆発力でした。
そしてもう一つ、すごいなと思ったところ。
私は正直なところ、初日にこのネタを見たときには、そこまで好きではありませんでした。
もちろん面白いけども、まだちょっとやりとりが定まっていなくてふわふわしているところが若干あったように感じられたし、
それに、ちょっと森田さんきっかけのセリフが多いと思ってしまって。
東口さんきっかけのくだりが、もう少しあればいいのになぁと感じていました。
そうじゃなきゃ、せっかく面白いのに、あまりにも森田さんばかりだとワンマンになってしまう。
という考えを持ちながら、次の日の日曜の昼夜どちらも見たのですが、
前日に私が気になっていたところを、まさにその通りに修正してきていて、東口さんきっかけが増えて。
そうそう、こういう感じが見たかったんだ!って思った。
さらばに関して、彼らの所属とか処遇に関する安心感はまるでないけれど、
きっと面白いものを見せてくれるだろう、さらに面白いものを見せてくれるだろうっていう安心感は揺るがない。
本当にすごい人達だ。


・EDVTR
「映像制作 AD石尾」の文字に心が躍る!(笑)
素敵なVTRを作って頂いてありがとうございました!!
日曜日よりの使者に合わせて、街へ飛び出していった野良二匹。


・エンディング



前回の単独の時には、色々な意味合いがどうしても出てきてしまうし、こちらもどうしても構えて見てしまっていたし、
もちろんそれは忘れられない単独ライブになったのですが。
でも今回は、純粋に、楽しそうに、全力で思い切りネタを披露し続ける二人を見て、
当たり前だけど、舞台の上が一番似合う人達だなぁなんて、改めて感じてしまった。
パワーあふれる単独ライブ、とってもよかったです。

私が今までメインで好きになった人は、そこまで闘志をあらわにする人達ではなかった。
だから今回の単独で、
森田「賞レースを意識して、ネタ時間も短めに」
とか、
東口「この中から賞レースでやるかもしれませんので、アンケートにぜひ好きなネタを書いて下さい」
とか言っている二人を見て、
本当に賞レースしか見据えていない二人に、心がひりひりした。
今まで私、こういう人達好きになったことないから、すごくすごくドキドキしてしまう。
ただ、まぁ、私に出来ることは、面白いもの見に行って、自分が楽しむことだけなんだけどもね。

さて、彼らの2013年の夏は、どんな夏になるだろう。
どんな結果で、この夏の終わりを迎えるだろう。

7月27日 ライス結成10周年記念傑作選ライブ 『スイップ』

2013-08-17 01:48:40 | 単独ライブ
ライスの結成10周年を記念する単独ライブ、スイップに行ってきました。
この発表があった時、嬉しさと同時にほっとしたという感じでした。
5月にジューシーズの単独に行った時に、単独ライブでしかできないことを存分にやりきっていて、
本当に楽しかったのと同時に、うらやましくて、
ライスは次にいつになるのだろうと泣きたくなってしまって。
今年はもうないのかもしれないと思っていた。
だから本当に、本当によかった。
たくさんの芸人さんがいる中で、このような盛大なお祝いライブをして頂けたことに本当に感謝です。

毎度のことながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、感想だけになっています。
ネタのタイトルは、お笑いナタリーさんの記事に掲載されているものに合わせました。
タイトルの後に、
<このような>
カッコ書きをしてあるものは、簡単なネタのあらすじです。
(以前の単独の感想で私自身が書いたものをそのまま使っています)
今回は傑作選ということで、過去にやったネタなので、
自分が以前見た時と変わってるところ、逆に変わってないところもメモしていきます。
あまりネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。
……あー、ライスの単独でこれ書くの久しぶりだ。
やっと、やっと書けたよ。

今回は、先にこの単独を取り上げてくださったレポートを貼っておきます。
それと、こういう客観的なレポートとは比べ物にならないのですが、
一応、私が今まで見てきた単独の感想も貼ってみます。
改めて見返してみて、本当にちゃんと書いてきてよかったと思ったー。
皆様にお見せするほど価値はないですが、
今回興味を持って下さった方が、当時の雰囲気を知りたいと思った時に役立てて下されば幸いですし、
そして何よりも、自分のためのデータベースとして。


ライス結成10周年傑作選ライブ、グローブ座で万雷の拍手(お笑いナタリー)

【ライブレポート】ライス結成10周年記念傑作選ライブ「スイップ」(よしもとニュースセンター)


~ライス単独ライブ~
3rd  『キリ・バト』 (2009.2.18)
4th  『鈴虫のお腹』 (2009.10.17)
5th  『ビリンバウ』 (2010.3.18)
番外 『己的好選 2008~2010』 (2010.9.12)
6th 『コモク』 (2011.6.16)
7th 『カヴィ』 (2012.1.29)




・オープニング
ポスターと同じ衣装で登場する知姫と仁様。
何か起こる度にお腹を抱え、いちいち踊りだす二人。
初めに登場した時、テーブルに食器を置いていく知姫の手がすっごく震えていた(笑)
そりゃ緊張するよねぇ。
最後はポーズを決めて、
田所「10周年だな」
関町「ええ、そうね」
の声で暗転。


・OPVTR
様々なところで撮られた仁様と知姫の写真。
グローブ座の格調高い雰囲気に合うオシャレな音楽と映像。


・動き屋 (2012.1.29 7th カヴィ) 
<あの…動きを、買いたいんですけど>
これが一本目で本当に嬉しかったー!
カヴィの時にも書きましたが、初期の頃のライスっぽいというか、
「ライスといえばこういう感じ」というのをそのまま表現したようなネタで。
まさに、こういうコントが好きだからライスのことが好きになりました。
世界観があってスタイリッシュなのに、後半からエロでバカバカしくなってくるのがライスっぽくてとてもいいですね。
カップルのくだりはまるっと削除でちょっと残念でしたが、それでも10分以上はやっていたと思います。
田所さんの美しいマイムと、関町さんの無機質で人間味を感じないあたり、このネタにぴったり。
「こういう基本動作が一番高いんですよ」というセリフは、何度見ても何だか深くておぉっと思ってしまうし、
「パイオツサンセット」という無駄にオシャレな語感がたまらなく好き(笑)


*ブリッジ
今回のブリッジは、終わった直後のネタの解説が英語で流れるというものでした。女性の声で。
この単独ライブが、普段なかなか披露する機会がないネタを集めるという趣旨だったので、
いつの単独で披露されたものか、なぜ他の場所で出来ないか、やらないか、ネタの裏話などが主な内容。
そして、後半に行くに従って、汚い言葉で二人をののしることが増えてくるというものでした(笑)
全くオシャレなことをしてくれますよねー!
本当にもっと英語勉強しておけばよかったと何度思ったことか。
なのでここでは、ナタリーさんに解説の一部が載っていたのと、私の英語力でかろうじて聞き取れた(でも自信ない)ことを書いていきます。
このネタは、長すぎて他の場所ではなかなかできない、というようなことを言っていたような。
そうですよね。フルでやると17分かかるんだもんね(!)
それにしても、「設定が古い」と思っていたということはびっくりだなぁ。
いいじゃない、こういう、いわゆる「正統派シュールコント」みたいなもの、私大好きよ。


・BOF ~BATTLE OF FIGHTERS~ (2011.6.16 6th コモク)
 <ボクサーvs……>
あーいいネタ。こうやって、パターンを最初に見せて、その枠に当てはめて行く感じのネタが本当に好き。
海女のところでは時事ネタも取り入れていて、ライスでそういうことをやるのは珍しいなと思ったりして。
「隣に引っ越してきました」がかなり好きです。
あと、最後にエクセレントで使ったあの大型カボチャも登場して、これはもちろんコモクの時にはなかったもので、
ここで繋がってよかったねぇなんて感慨深くなったりして。


*ブリッジ
「野菜をたくさん使っているのでコストがかかっている」


・銀行にて (2011.6.16 6th コモク)
<強盗だ!変態だ!>
本当に本当にいいネタ!!
なんて表現したらいいかわからないくらいいいネタ。
最初の「強盗だ!」に至るまでが、このネタがどういう内容だかわかっているからこそ、
来るぞ来るぞ、というわくわく感がたまらなくて。
関町さんが完全にフリに徹しているところもいいし、
改めて見ても、美しい対句のワード選び。
テンポも心地よくて見ていて本当に楽しい。
思ったことは2年前と全く同じでした。
パターンだけ見たら正統派コント師で、こんなにいいネタなのに、
賞レースでは絶対に出来ないというジレンマがつらい(笑)


・魔王 (2012.1.29 7th カヴィ)
<この手紙を読んでいるということは……>
このネタのチョイスは個人的にちょっと意外だったかもしれません。
でも改めて見てみると、田所さんのセリフがしっかりフリになっているんだなぁと。
笑っちゃうのにちょっと切なくなっちゃうような、ライスらしい一筋縄ではいかないところも魅力。
田所さんのアニメっぽい表情にも磨きがかかっていました。


*ブリッジ
「このネタの鎧は関町が元々持っていたもの」的なことを言っていたような。


・気絶まで10秒と11秒 (2008.8.11 2nd サボコ)
あの、別にいいんですけど、わざわざブリッジの時間取って、わざわざ着替えて、
たったこれだけのことをやるなんて(笑)
ネタとしてのバカバカしさと、そこまでしてやりたいの?というバカバカしさが一緒になって大笑いしました(笑)
また、これを見せてから、この後のネタがハンカチってのが卑怯だよねぇ。
一回完全に油断させて、気を抜いておいて、その後がっつり感動させる9分の大作を持ってくるんだもん。
本当にずるい人達。


*ブリッジ
「このネタはケガをする(injured)確率が高い」と言っていたようですけども、
その「ケガ」は、どちらの意味なんだろう?(笑)
ほら、ひざを地面に擦っちゃうっていうのもあって。
……どっちもかな?(笑)


・CM (2012.1.29 7th カヴィ)
<いつもそこには、ハンカチがありました>
このネタ見たいと思っていた。
でも私は、どうしても攻めまして日米が見たくて、
もしやってくれるとしたら、それとハンカチを2本ともやるのは重いから、こちらは外すんじゃないかと勝手に思っていて。
だから、もうあの音楽が流れてきた時点で、胸がいっぱいになってしまった。
これからあのネタが見れる、
ライスを愛する700人と一緒に、この素敵な劇場で、広い舞台で見れるって思ったら、
その時点で満たされたような思いでいっぱいになって、涙があふれてしまった。
そして今回見てはじめて気付いたのですけども、このネタって、本当に音楽と一体化しているんだなぁと。
曲調が盛り上がるところでストーリーも盛り上がり、曲調が変化するところでストーリーも切なくなり、
曲調が落ち着いてシンプルになるところでストーリーも柔らかくなる。
OPやED、それにブリッジの楽曲を制作されている高橋さんのツイートによると、
この曲は高橋さんの担当ではないそうで!
だから本当にびっくりです。
このネタどうやって作り上げてるの……?
曲に合わせてストーリーを考えたのか、ストーリーに合わせて曲を多少編集したのか……。
いずれにしても本当にすごいなぁと感嘆しきりでした。
一つだけ言わせてもらうとすれば、今回はカヴィの時よりも、各暗転のタイミングが、ほんのちょっとだけ早かったかなと…。
あと1秒だけでいいから遅くしてほしかったかも。若干余韻が。
ただそれをのぞいても素晴らしすぎた。
オチの、いい意味での「裏切られた!」という爽快感が、客席の大きな拍手を誘って、
それがしばらく鳴りやまなくて、本当に気持ちがよかったです。
今回披露したコントは全12本。
6本目のこのネタは、折り返し、前半のトリにふさわしいものでした。


*ブリッジ
これは、東京ガスのCMに影響を受けて作ったネタだという裏話が明かされました。
(英語解説なのに、やたらと「東京ガス」を強調する女性の声。)


・後天性特定音域過敏症 (2009.2.18 3rd キリ・バト)
<ある日突然発症し、有効な治療法もない症状にかかって……>
これは当時配信でもやっていたので、結構お馴染みのネタかもしれませんね。
やっぱり何度見ても導入が好きだ!
あらゆる音を聞かせておいて、見ている側に、これかなこれかな?と思わせる。
その間が絶妙で、こちらもわくわくしながらどんどん引き込まれる。
導入だけじゃなくて、このネタはもちろん前から面白いけれど、
時が経つにつれて、二人の細かな見せ方も上手くなっているんだなぁということを、ここでとても実感しました。
間の取り方も、見せ方も、空気が落ち着いた時のシリアスな言い回しも。


*ブリッジ
実際に会場で聞いていた時に、「この頃は単独を年に2回やっていた」という趣旨のことを言っていたのはわかったのですが、
後からナタリーさんに掲載されていた、
『この回を機に単独ライブを年2回から年1回のペースにしたという噂があるくらい、ライスの2人にとってこの単独は納得がいってないよう』
という記述を読んで、衝撃で震えあがりました。
いや、確かにね、実際「キリ・バト」の時、エンディングで特に田所さんがちょっと悔しそうだったのを覚えているし、
ネタ終わりに拍手が来ないコントもあって、初めてライスの単独に行った私はお客さんのハードルの高さに驚いたし、
過去の単独を振り返る時も「あの単独はちょっと」みたいに悪い例として引き合いに出されることが多いし、
更新していたブログも、今からは考えられないくらいなんというかちょっと、言い訳がましい…けども……(笑)
でも、好きなコントもたくさんあった。
私はすごく楽しかったですよ、キリ・バト。
初めて行ったライスの単独ライブ。大切な大切な想い出です。


・イメージ (2010.3.18 5th ビリンバウ & 2010.9.12 番外  己的好選 2008~2010 )
<すぐに吐かなかったことを後悔するぜ……>
正直私はこのネタがとっても苦手(笑)
でも、会場はとってもよく沸いていました。
確か、ビリンバウ&好選の時は、コントが始まる前に「イメージ」とタイトルが表示されていたのですが、
今回はネタ前のタイトル出しはしてませんでした。
だからなのか、以前はイメージの映像には何のテロップもなかったと思うのですが、
今回は「※この映像はイメージです」というテロップが付いていました。
これがとってもよかった。
このテロップがなんだか安っぽさを演出していて、さらに実際の過酷な状況とのギャップが出ていた気がします。


・エロイ (2008.3.12 1st マフェ&バザバザ & 2010.9.12 番外  己的好選 2008~2010)
 <8年ぶりに帰ってきたふるさとは、何もかもが変わっていた……>
苦しくなるくらい笑ったネタだったらこれが断トツです(笑)
もう、何もかもくだらない。
仰々しく怖がる関町さんの演技力の無駄遣い。
田所さんの帽子の違和感が最後に明かされるという伏線の仕掛けの無駄遣い。
こんなにバカバカしいことを全力でやる二人が大好きです(笑)
あーおかしかった!!


・それいけ!シロッペ (2009.10.17 4th  鈴虫のお腹 & 2010.9.12 番外  己的好選 2008~2010)
……見るの多分4回目だったと思うんですけど、もう本当にダメでした怖い(笑)
シロッペの不気味さがパワーアップしている感じがしました。
悲鳴に包まれたグローブ座(笑)


*ブリッジ
「バカじゃないのか。こんなネタをやるからテレビに出られないんだ」という感じの、至極真っ当な意見を言われる(笑)
"too outsocial!!"
この解説を聞いて、こちらのインタビューを思い出していました。
若手芸人だより。よしもと編 第八回 ライスの王国
まさに私が聞きたいことがつまっている素敵なインタビュー。企画して頂いてありがとうございます。
とても読み応えがありました。
この記事の番号10,11辺りで鈴虫単独について語っているんですが、もう本当にその通りだなと(笑)
当時はそこまで意識してなかったのですが、エンタやレッドカーペット、レッドシアターなど、今から考えたらお笑い番組全盛期の時期に、
こんなネタやってたら、そりゃテレビに出れないよね(笑)


・転校生 (2011.6.16 6th コモク)
 <みんなと同じように……>
コモクの時は「無知無知」というタイトルでした。
このチョイスは個人的には、またまたちょっと意外だったかもしれません。
でも、淡々と進んで行って、最後はやりたい放題、みたいなネタは、確かに二人は好きそうではあるかも。
結局、最後まで何の仕組みも明かされないままの不条理な感じが、気持ち悪くも面白い。
そして、ここからは完全な余談になるのですが。
今回の私の席が、前方の端の方だったので、袖が少し見える位置で。
それでこのコントの時に、田所さんは先にハケてオチは関町さん一人なのですが、
その先にハケた田所さんが、袖にいる時に一瞬舞台の方に振り返って、ニヤっと笑ったのが見えたんです(笑)
関町さんに、「後は頼んだぞ」と言っているように見えました。


*ブリッジ
「彼らは狂ってるのか?これで11本目だけどまだやるの?もう眠くなっちゃったよ~」的な。


・攻めまして日米 (2008.3.12 1st マフェ&バザバザ & 2010.9.12 番外  己的好選 2008~2010)
<敵は、アメリカ>
……本当に、本当に嬉しかった。
それしか言葉がない。
たくさんの人にこのネタを、この作品を、見てもらえる。
たくさんの人と一緒に見れる。
見たことがある人もない人も、共通していたのはきっと、
ずっと見たいと待ち望んでいたことだ。
だから本当に、本当に嬉しかった。

このネタのどこが好きかと言われたら、私は夜通し語れる自信がある。
でもそうなるとキリがなくなるし、
それにあまり語りすぎるとこのネタの魅力を落としてしまう気がする。
だから少しだけ、少しだけ書くことにする。

色々あるけれど、このネタの魅力の一つには、間違いなく、「ライスがやるからこそ」というのがあると思う。
このネタでは、田所さんが2役、関町さんは3役やっているわけで、
こんなにこなしていたらごちゃごちゃになりそうだけれども、それぞれのキャラクターがしっかり見えてくる。
特に今回は、私自身が見るの3回目で、もうストーリーが頭に入っているからというのがあるかもしれないけど、
それにしても、今まで見た中で一番、役の演じ分けが出来ていて、それぞれのバックグラウンドまで見えた感じがした。
その上で、
やっぱりこの物語の核となってくるのは、戦争側の彼なんだ。
心優しい友人でも、必死にボールを追う選手でも、頼りないキャプテンでも、非情な上官でも、
この物語の主人公には成り得ない。
戦争側にいる彼が、一人だけ浮き上がってくるように見せることができる、二人の演じ分け、そしてパワーバランス。
ライスが、やるからこそだと、思うのだ。

今回の単独、一つのネタが終わるごとに、そのネタの解説が英語で流れるわけで、
私は英語が大して出来る訳じゃないけど、それでもとてもわくわくした。
それは例え英語とはいえ、このネタの解説が聞けるって思ったから。
攻めまして日米が、どういう経緯で作られたのか、どんなことを思って作ったのか、
その裏話が聞けるって思ったから。
そしたらさ。
このネタが終わったらすぐにエンドロールに行ったから、唯一このネタだけ、解説がなかったのだ。
あぁ、ずるい、ずるい。
全くもって、ずるい人達だ。

まだまだ言いたいことはあるけれど、ここら辺で止めておきます。
でも確実に言えることは、このネタに出会っていなかったら、今の私はいないってこと。
やっぱりこれ以上好きなネタに出会えることって、私、一生ないんだろうな。


・エンドロール
温かい拍手の中、余韻覚めやらぬ中、流れたエンドロールなんですけど、

   ライス
 田所仁 関町知宏


ここにきて!!
関町さんの「知弘」の字が違う!!
こんなことって!!(笑)
ある意味最高のオチかもしれませんね(笑)
そしてみなさんお待ちかね、今回の、作家・鶴さんの名前の表記はこんな感じ。

  北
東 鶴 西
  南

……風見鶏なの??


エンドロールが流れた最後には、仁様と知姫が再び登場。
ポーズをとると、後ろのスクリーンに映し出されていたバラの花の絵に、
二人のシルエットが隠されていたのでした。


・エンディング
万雷の鳴りやまない拍手。
田所さんは何度も頭を下げて感慨深い様子。
あまりにも鳴りやまないので、関町さんが指揮のようにしてやっと止まりました(笑)

こんなにたくさんのお客さんに入ってもらって……。
と、圧巻の客席を見渡す二人。
関町「この拍手……吉本関係者の方、見てたでしょうか?」
その言葉に、さらに拍手と笑いが巻き起こる。
そうだよ、本当にそうだよ。
関係者の方達、見てますか?
「単独ライブ」というものの価値を理解していない全ての関係者の人達、見てますか?
こんなすごい単独を出来る人達が、会場抑えられなかったって理由で、
単独できなくなるなんて、ありえないですよ、本当に、本当に!

そして彼らは、「セッキー&ひとし」としてこれからも頑張るそうです(笑)
満面の笑顔で、本当に楽しそうにはけていく二人に、より一層の拍手が送られたのでした。



私が、ライスのことを気になり始めたのは、2008年の8月頃。
だから10周年の彼らの歴史の、半分しか知らない。
全てを見てきたわけじゃない、全てを知ってる訳じゃない。
でも私は、この人達が、本当に素敵なコント師だってことを知っている。
5年間、ライスのおかげで本当に幸せでした。
たくさんのものを与えてもらいました。
ライスに出会っていなかったら私どうなっていたかなんて、想像もできない。
今までありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。
10年先も、ライスの単独ライブが見たいです。


私は、いいライスファンではなかったと思う。
何か起きるたびに、落ち込んだり、文句を言ったり、もうファンでいるのがつらいと言ったり。
やめりゃあいいじゃんねぇ。そんなこと言うんだったら。
ライスのことを好きでいたことに対して後悔はない。
ただ、パッと思い出す出来事は、楽しかったことよりも、つらかったことの方が多いかもしれない。
それでも、10の苦しさが、1の楽しさで吹き飛ぶような人達でした。
そういう人たちだったから、魅力的だったから、好きでいさせ続けてもらいました。

もっと、堂々としていればよかったんだと思う。
周りの評価なんて気にせずに、自分が好きだってことに自信を持って、
一つひとつに落ち込んだりしなければよかったんだと思う。

もっと、彼らのことを信じて来れればよかったんだと思う。
何があっても、ライスなら大丈夫って、そう思えればよかったんだと思う。
上手くいかないことが多くても、攻めまして日米を見て、ハンカチを見て、そういうライスを信じて、
いつかきっと多くの人に認められる日が来る、わかってもらえる日が来るって、そう信じて来れればよかったんだと思う。
こんなに素敵な作品を作り上げることが出来る彼らを、
こんなにたくさんの人の心を打つことが出来る彼らを、信じて来れればよかったんだと思う。
それが出来れば、いちいち「好きでいることがつらい」なんて、騒いでこないで済んだんだと思う。

でも、それが出来たら苦労はしない。
今になってわかったことなんだ。
一番それが必要な時には、気付かないし、出来ないんだ。
一番入れ込んでいる人には、どうしてもそうなってしまうんだ。
皮肉だけど、少し落ち着いた頃にやっとわかるんだ。
私にはそれが出来なかった。
そして多分、これから好きになる人にも出来ない。

ただ、そうやって脇目も振らず好きで居続けたことで、感じられたこともたくさんあった。
落ち込んだ時にライスの笑いに元気をもらった。
「心震える瞬間」っていうものに、何度も立ち合わせてもらった。
今回の単独は、もちろんネタを楽しんでいたんだけど、
その上で、それぞれのネタをBGMにして、私の5年間を振り返ったような気持ちになった。
ネタを見ていると、走馬灯のように、その当時の自分が何をしていたか、思い出して来たんだ。
キリ・バトの時に初めてライスの単独に足を運んだこと、
鈴虫の後に会場を出た時に吹きぬけた爽やかな秋風の温度、
ビリンバウの時の関町パラパラの残像、
好選の後ロビーでたくさんのお客さんがアンケートを書いていたのを見てKOCの悔しさを晴らしたこと、
コモクは精神ずたぼろの時に行ってでも行ってよかったと思ったこと、
カヴィ終わり、ライスが好きで幸せだと思いながら電車からぼんやり見つめた外の風景。
これは、他の誰のものでもない、私だけの想い出だ。
それをこれからも大事にしていきたいと思う。


最後に、関係者のみなさんに一つだけお願い。
今回、見たくてもどうしても来れなかった方もいらっしゃると思うんです。
そういう方々にも、ライスの魅力が伝わるように。
DVD出して下さい。
やっぱり私はライスが好きだ。
ライスの描き出す世界が好きだ。
私は、ライスを好きになって、人生が変わったんです。
大げさじゃなくて、本当に。
彼らは、もっとテレビに出たいとか、新しい仕事をやってみたいとか、色々考えているんだと思う。
それを否定するつもりはない。
でも、やっぱり彼らが一番輝くのは、単独ライブだと思うから。
語弊を恐れずに言えば、彼らが売れるか売れないかなんて、
そんなの正直、どうでもいい。
DVD出して下さい。
そしてあの時の私と同じように、多くの人の世界を変えてください。
私はその日を、ずっと、ずっと、待っています。


ライスが好きだ、大好きだ。
心の底から幸せだ。
届け、届け、この想いよ届け!
まだライスの単独に来れたことがない方に届け、
まだライスの魅力を知らない人に届け、
仕事をしないよしもとの人達に届け、
肩書き第一の業界関係者に届け、
「単独ライブ」というものの価値を理解していないあらゆる関係者に届け、
ライスを好きでいることがつらくて仕方なかったあの頃の私に届け、
いつか何年か経って、この文章を読んでくれているあなたに届け、
彼らを愛する全ての人の心に届け、
華はないし、引きもないし、自虐ばかりだし、
でもそんな中でも、ずっとずっと進化し続けて、単独のクオリティは絶対で、
きっとこれからもわくわくさせてくれる、そんな彼らの心に、
この想いよ、届け、届け!!

5月3日 さらば青春の光単独公演『野良』 東京公演

2013-05-23 02:25:43 | 単独ライブ
さらば青春の光単独「野良」、東京公演の感想です。
前回のエントリで書いたように、各ネタの細かい感想は大阪公演のエントリで。
今回は、大阪東京間の違いをメモするのと、全体の感想を主に書いていきます。




・課長
<コピーしておいてくれたまえ>
はぁ……本当にため息が出るくらい面白い。
さらばのネタって、ちょっと好き嫌いが分かれるんじゃないかって思うネタも時々あるんですが、
これはもう老若男女問わずみんなにハマるんじゃないでしょうか。
なんやかんやあった後の2月に初めておろしてから、まだそんなに時間も経ってないのに、この安定感恐ろしい。
大阪とオチ変えていました。こちらの方がストンとしっかり落ちてる感じ。


・合同捜査
<はい、もしもし……>
渋谷署と新宿署に変えていたりする細かいところも。
本当になんというか、展開に何の隙もないコントですね。
一つの話題で引っ張ってるという感覚すらなくなってくるくらい、きれいに一本のストーリーの流れが通ってる感じがする。


・遭難
<寝るな!寝たら死ぬぞ!!>
ちょっとくだりを増やしたりはしたけど、基本は大阪とほとんど変わらず。
3日昼公演のウケ具合ったらすごかったなぁ!
そして千秋楽は東口さんが全力の全力。
ちょっと鳥肌が立つくらいの全力。心がざわつくくらいの全力でした。


・手術
<主治医として当然のことをしたまでです…>
もちろんすごくウケてたんだけど、何となく大阪の方が笑いが大きかったかなぁという気もしたり。
回を重ねるごとに、冒頭の芝居パートが安定してきて緊張感が増してる感じがしてぞくぞくした。


・辞表
<何やお前、会社辞めたいんか?>
大阪の時よりも間が安定していて、さらに緩急がしっかりした感じがして、もうとにかく好みでした!
やっぱりオチの衝撃で全部持っていかれちゃうけど(笑)、それまでの、同じパターンで延々とループして行く感じ、
あー、こういうの私大好きだなぁ、大好きだなぁって改めて。
みんなの「来るぞー!次来るぞー!!」っていう期待感がわくわくする(笑)


・オカリナ
<すごいよ…?>
これは大阪初日からもう仕上がっていたけど、それでも回を重ねるごとに、さらにさらに磨かれていった感じ。
東口さんのキャラが本当に素晴らしい。なんて愛おしいバカさ加減(笑)
森田さんも、本当はもっとセリフで説明しようと思えばいくらでも出来るのに、それをせずに表情と口調だけで全てを表現してしまうのがすごすぎる。
そして、私はちょっと後方の席に座っていたのですが、このコントの時に、この席に座っていて本当によかったなぁと思うことがあって。
東口さんがオカリナを吹いた瞬間、私の席から、お客さんがどっと沸いたのが見えるんです、すごくよくわかったんです。
こうやって、緊迫した空気から一瞬で爆笑を起こせるって、本当にかっこいいなぁって。
この景色は、演者さんには見えない。特に東口さんは目をつぶってるから見えない。
見る側にしかわからないこともある。とっても素敵で贅沢な景色でした。
千秋楽ではなんだか、このネタを赤坂BLITZでやっている姿が見えたような気がした。
そこまで勝ち上がれるかだってわからないし(もちろん上がれると思うけど)、そしてこのネタをかけるかどうかだってわからない。
でも、あの黒い背景で、無機質で、でもとっても広くて大きな舞台で、そこを勝ち上がればゴールデンのキラキラのステージが待っているという、
その赤坂BLITZで、このネタをかけて、爆笑をとっている姿が見えたような気がしたんだ。


・小豆島少年野球団
<初めての試合が決まりました!>
これも最高に面白かったー!
大阪よりも東口さんのセリフを足して、結構わかりやすくなった感じ。
あとは、中盤にちょっとほっこりするくだりが増えていたので、さらに最後が際立つ感じになってよかったかも。


・ラグビー協会
<全ラグビー選手を代表して>
前半の東口さんのセリフがさらにキレを増していました。
「節目や!」「お前、節目逃しとんねん」が大好き(笑)


・タイ料理屋
<本格的なタイ料理屋って言ったら……>
前半のチュアさんは何回見ても笑ってしまう。頭空っぽにして笑える(笑)
そこからのあの空気の変わりっぷりがたまらない。
東京バージョンは、少しくだりを減らして、中盤がだれないようにシンプルになっていた感じ。
こちらでもすごくウケていたし、そしてあの何とも言えない切ない空気もしっかり伝わっていたような気がしました。


・エンディングコント
まさかここを変えてくるとは思っていなかったなぁ。
大体の流れは一緒でしたが、首を切られてからが違う。
(首を切られてからっていうのも相当なワードですけど・笑)
大阪では、東口さんが森田さんの首を持ってカッコつけてポーズをとって、
森田「売れるんちゃう?」
東口「イケるなぁ」で終わり。
東京では、森田さんの首を東口さんが自分の肩に乗せる。そして、
森田「『どうもー!さらば青春の光でーす!!』これ、売れるんちゃう?」
東口「いや、売れるか!」
と言って、首を床に投げつけて暗転。
確かに、こっちの方がコントとしてちゃんと落ちてる感じはするんだけど、
個人的な感情から言えば、大阪バージョンの方が好きだったかなぁ。


・エンディング
昼公演では、
森田「この回を持って黒字になりました!」
東口「あなたが追加やろうって言わなければ、昨日の時点で黒字だったんですから」
千秋楽では、
森田「この回は、まるっと儲けのお客様です!」
お金の話ばっかり(笑)
私、お金の話も女性の話も好きじゃないのになぁ、なんでそういうコンビを好きになっちゃうのかなぁ(笑)
東口「あなた、泣かなくていいんですか?前から、千秋楽では泣くって言ってたじゃないですか」
森田「泣く思てたんですけどね、いざお金がちらつくとね~」
そう言って満面の笑み(笑)
最後に、改めてお客さんとか、支えてくださった方々へ感謝の言葉を。
そして、
東口「これから、死ぬ気で頑張りますんで」
そう、はっきり言っていた。
私は、二人がどういう経緯でこの決断をしたのかはわからないし、もっといい方法がどこかにあったのではないかと思ってしまうけど、
ここまで思っているなら、もう言えることは何もないのかもしれない。
笑顔でハケる東口さんと、ちょっと目が潤んでいたように見える森田さんを見送りながら、そんなことを感じていた。





単独開催が発表になって、そして詳細がわかってからずっと、HEPホールSPACE107のホームページなどに記載されている、
『今まで誰も見たことがなかったコントの世界』
というふれこみの文面が気になっていました。
実際見てみて、あぁ、確かにその通りだなぁと。
本物のチェーンソーをぶっぱなす単独ライブなんて、前代未聞(笑)
……いや、そういうことじゃないですよね、多分。
最後のコントで、首を切られた→事務所をやめることになった、を表しているのかなと。
そう考えると、この単独全体が、まさに今の彼らの全てを暗示していたのかなと。
「遭難」の冒頭、森田さんの「諦めるな!俺もしんどいよ!」と、東口さんの「お前じゃなかったら、もう諦めてたかもしれない」にドキっとさせられたりとか。
「辞表」の東口部長の、「お前、ここ辞めたらどこ行くんや?行くとこないやろ?」とかに反応してしまったりとか。
最後のコントの大阪バージョンのオチは、東口さんの「イケるなぁ」だった。
(クビじゃないけど)クビになっても売れてやる、という決意の表れだったりして。
単独全体で、そのメッセージを伝えようとしていたのかなぁなんて。
だとしたら、まさに、「誰も見たことがなかったコントの世界」だ。


私は以前から、うしろシティのことを、「新時代のコント師」とか「新しい道を作っている」などと色々書いてきました。
今までのよくあるコントは、例えば変な店員さんにツッコむお客さん、みたいな感じで、どちらかが変な人のネタが多かったけれど、
うしろシティの場合は、どちらも別に変な人という訳ではない。
一見すると普通の二人が、なぜかタイミング悪く出会ってしまい、おかしな方向に話が進んでしまう。斬新だけどとってもリアル。
だから、新しいスタイル、新しい時代のコント師だって。
今回、この単独を見て、さらばにも同じことを思った。
うしろシティとは、また全然違う意味合いだけど、
今まで誰も歩いたことのない、新しい道を作ってる。
ぬかるんだ地面を駆け抜けて、生い茂る草むらをかきわけて、
野良犬はどこまで走れるか。
困難も、しがらみも、大人の事情も飛び越えて、
「面白い」という武器だけで、どこまで戦っていけるのか。
とってもスリリングだけど、とってもわくわくします。


好きになるタイミングが選べるなら、絶対に今は選ばない。
「今でしょ」っていう言葉が流行ってる今だけど、絶対に今は選ばない。
いくら言っても仕方がないけど、もっと前に好きになりたかった。
もっと前から、ちゃんと見に行っていればよかった。
今までちゃんと見に行っていないのに、こんなに長々と偉そうに頭のおかしい感想を書いているのが恥ずかしくて仕方がない。
本当は恥ずかしくて書きたくない。
嫌だ嫌だと言いながら、こんなに長文を書く人が一体どこにいるんでしょうか。本当に頭がおかしい。
じゃあ書くなという話なのに、それでも書きたくなっちゃう自分に自己嫌悪がとまらない。
だからもっと前に好きになりたかった。
それか、何年か後でもいい。
何年か後、二人の状況がもう少し安定して、どこかの事務所に所属が決まって、その頃に好きになって、
へぇ、さらば青春の光って、昔松竹にいたんだね、うしろシティと一緒に動いてたりしてたんだね、事務所やめるときちょっと大変だったんだね、へぇそうだったんだね……
……って、それでもいい。
どう考えても今ではない。
それくらい今がしんどい。
どうしてこんなにしんどいのか、上手く言葉に出来る気がしないから今は書けないけれど、本当にしんどい。
だから、何年か後に好きになりたかった。
今、好きにはなりたくなかった。
だけど、結局、今しかなかったんだと思う。
好きになるタイミングって、自分の意思で選べるわけじゃないから。
好きになろうって決めて、好きになるわけじゃないから。
もっと前から見ていたとしても、今この状況に納得できていたかどうかはわからないし、
何年か後に好きになっていたら、今この時に、この最高に泥臭くて、でも最高にかっこよくて、素敵な単独は見れなかったから。
結局、今しかなかったんだと思う。
色々と苦しかったし、これからも色々あるとは思うけれど、
今、この素敵なコンビを好きになれて、本当によかったです。


4月28日 さらば青春の光単独公演『野良』 大阪公演

2013-05-22 01:53:04 | 単独ライブ
やっと、やっと見れた、さらば青春の光の単独ライブでした。
色々な思いが抑えられなくて、勢いで大阪まで行ってしまいました。
芸人さんの単独ライブを見に大阪に行くのは、2年半ぶり2回目。
あの時と変わらず、道頓堀は賑やかで、水辺は穏やかで、お好み焼きはおいしくて。
変わったのは、誰を見に行くのかということだった。
一体、私は、いつからこんなにさらばを好きになっちゃったんだろう。

最初にお断りしておきますと、私は頭が悪いので、「思ったことを素直に言葉で表現する」と「でもそこまで書いたら野暮」の境界線がわかりません。
あまりなんでもかんでも書くのは、趣がないということはよくわかっています。
でも今は、「ちゃんと書かなかった」ということを後悔している周期なので、
出来るだけ言葉には気を付けつつも、基本的には感じたこと、思い切り書いてみたいと思います。
なので、単独見に行かれて、ご自分の感想を大切にされたい方は、この先お読みにならない方がいいと思います。
あと、単独行かれていない方にとっては何が何だかわからない文章になってしまいますので、お読みにならない方がいいと思います。
じゃあ一体私は誰に向けて書いてるんでしょうかね。


毎度の事ながら、今後この中のネタをやることもあると思いますので、感想だけになっています。
オープニングとエンディングのコントは、今後他では見れないかと思いましたので、簡単に流れを書いてみました。
あまりネタバレになるようなことは書かないつもりでおりますが、どこかで見るまで待ちたいという方はご注意ください。
また、東京公演とは分けてアップしたいと思います。
こちらの大阪公演のエントリでは、各ネタの感想が中心、
東京公演は、主に大阪との変更点、そして全体の感想ということにさせて頂きます。



・オープニングコント
何やら言い争っている様子の父親(森田)と息子(東口)。
「いらん言うとるやろ!」
「なんでだよ、飼ってあげようよー」
「野良犬?いらんねんそんなの」
「公園に、段ボールに入れられて、2匹捨てられてたんだよ」
「2匹も?」
「1匹は、なんか汚らしくて、歯が出てるけど、もう1匹はめちゃめちゃシュッとしてるんだから!!」
「……犬は大体シュッとしてるんちゃうんか?」
「前の飼い主からの手紙も入ってたんだよ」
「手紙?」
「そう。なんだったかな…?えっと、『彼らの活動を支えることが不可能――』」
「……硬いなー!!」
「硬いよ!それになんか怖いよ!!」
最初っから、こちらの想像を遥かに超えるぶっこみっぷり(笑)
ここまで潔くネタにされてしまうと、もう笑うしかないよね(笑)
あの恐ろしく冷たい文面に対するショックが、やっと昇華された気がする。
そしてこの人達は、多分別に、嫌味を言おうとしていたわけではないんだろうなって。まぁ多少はあるかもしれませんが(笑)
それよりも、ただ、面白いか面白くないか、盛り上がるか盛り上がらないか、判断軸はそこなんだろうな。
2日目のオチは、
「なんで怒ってるのか、今から聞きに行こうか?」
「じゃああれ聞きに行こう、イタトンの着ボイスのギャラ、あれいつ振り込まれるのか聞きに行こう!」
ということでした(笑)この大阪2日目のオチは東京でも継続。


・OPVTR
モノクロで、裸足でアスファルトの上を歩いていく。泥臭いのにかっこいい。
最初にコントのタイトルが全部出るのも、ワクワクが高まっていいですね。


・課長
<コピーしておいてくれたまえ……>
オープニング明け一発目にこのネタ。本当に思い入れのあるネタ。
私は、2月の終わりに、オジンオズボーン・うしろシティ・さらば青春の光でのDVD発売イベントに行っていました。
本当はこの時の感想も書きたいと思っていたのに、結局上手く言葉がまとまらず断念してしまったのですが。
このイベントでは各組一本ずつネタを披露していたのですが、この時にさらばがやったネタがこのネタでした。
もうこの時、本当にすごかったんです。
舞台でネタをする、ということ自体が一ヵ月ぶりだったはずなのに、すごいウケっぷり。
ブランクがあっても、人前に出れなくても、「面白い」というものに対する感性は全く鈍っていないんだ、と肌で実感させられて、ちょっと恐ろしくなるくらいでした。
この時の衝撃と感動、絶対忘れないだろうなぁ。
そして単独でももちろん面白く。抜群の安定感。
ここがおかしいんだ、ここがポイントなんだ、って客席に理解させる上手さ、提示する上手さ、
そこから振り回す側と振り回される側の主導権が鮮やかに移り変わっていく感じ。
同じことを思いついても、他の人はここまで上手く、笑いどころをきれいにしぼって提示できるだろうかと思うし、
それができちゃうのがさらばの魅力なんだろうなぁ。


・合同捜査
<はい、もしもし……>
展開の妙。すっごくきれいな起承転結。
詳細な説明を徹底的に省いて、森田さんの表情だけでストーリーを理解させる感じ。


・ブリッジ 野良犬を拾う①
今回のブリッジは、VTRではなく、短いコントを間に挟む形式。
「合同捜査」に出ていた森田刑事が、段ボールに入った野良犬を見つける。


・遭難
<寝るな!寝たら死ぬぞ!!>
冒頭の、じっくり演技を見せるところの見応えったらない。すっごくよかった。
でもそれも、すべて後半の笑いを生かすための緩急。
2人の普段のキャラを知っているからこそ成り立つネタですね(笑)


・手術
<主治医として当然のことをしたまでです…>
これはなぁ…。
本当に個人的なことを言わせて頂くと、これは正直、私はアウトだったなぁ…(笑)
もちろん、何が面白いかはわかるんだけど、どうしても「こういうのを笑いにしちゃっていいの?」というのが先に立ってしまうというか。
最初の一笑いが起こるところで感じた、何とも言えない不気味さったらなかったなぁ(笑)
私は、DVD「なにわナンバー」に入っている「病室」のネタもどうも苦手で、それは「こういう状況が本当にあったら嫌だ」と考えてしまうからなんだろうなぁと思うんですが、
でも多分二人の出発点は逆で、「ありえないけど、もしもこういう状況があったら~」っていう感じなのかなと。
さっきも言ったけど、彼らはとても客観的な軸で笑いを判断していて、
だからそれがタブーじゃないかとか、感情的に考えてどうかとか、そういうことは考慮に値していないのかな、という気がした。


・ブリッジ 野良犬を拾う②
「手術」のお医者さん、森田さんが、また捨てられてしまった野良犬を拾う。


・辞表
<何やお前、会社辞めたいんか?>
今回の単独、個人的に一番好きなネタはこれでした!
本当に本当に最高に好み。
「静と動」とか、「冷静と情熱」とか、「クールな東口さんに振り回される必死な森田さん」とか、そういう次元を超越しているというか。
もはや、東口さんのキャラは「感情が不明」という新しいジャンル(笑)
先に言ってしまうと、このコント、オチで本物のチェーンソーが登場したんです(笑)
信じられない。そんな単独ライブ聞いたことない(笑)
だから初日は、オチの衝撃で全部持っていかれてしまって、あまりこのネタ自体の印象が残っていなかったのですが(笑)、
でも大阪2日目、そして東京と見ていく度に、あー本当に私が大好きなパターンのネタだなって。
あるフレーズがきっかけになって、どんどんループしていく感じ。
これを書いて誰に伝わるんだという感じですが、ライスだと「転換」「殉職」みたいな感じと言ったらいいのかな。
私は少し前まで、さらばのネタにあまりハマらないことが多くて。
それは、どうしてもしつこさやゲスさや、ギスギスした心理戦が前面に出てきてて、その印象ばかり受けてしまったからだと思うんですが、
ネタの大枠というか、パターンだけ見てみたら、とにもかくにも私が無性に大好きなパターンだったんだなって。
これに、もう少し早く気が付いていればよかったのにな……。
とにかく、何回もリピートされていって、客席も「次来るぞー!」と分かっている感じが気持ちよくて(笑)
予想つかない方向に展開していくのがさらばのネタだけど、こうやって、みんなが待っているところにちゃんと落ちていくのも気持ちいいね。
またその間が絶妙だから、きちんと笑わせられちゃうんだろうなぁ。


・オカリナ
<すごいよ…?>
全部のコント面白かったのですが、特にここからの後半4本は、本当に圧巻の面白さでした。
このコントよかったなー!大好きだったー!!
「そこを選ぶのか!」という、誰もついていなかったところを持ってくるのが本当に上手い。
それに、明示的な説明は一切していないのに、ちゃんとお客さんにどこがポイントなのかを見せるのが本当に上手い。
さらにこのコントは、だんだん東口さんのキャラが愛おしく感じられてくるのも魅力で。
本来の笑いどころに行く前の、東口さんのセリフだけで、徐々にクスクス笑いが広がっていくのも本当に楽しい(笑)
実は私、このコントを、大阪初日の4日前の、「ペイジワンZ」というライブで見ていました。
もちろんその時も十分面白かったのですが、たった4日間で相当細かく修正を加えていて。
そして、前はこんなキャラじゃなかったのにって思うほど、社長のキャラが確立されて、強調されてて。
もちろん最初から面白いけれど、何回もやっていく中で磨いていく方たちなんだなぁと、改めて。


・ブリッジ 野良犬を拾う③
「オカリナ」の東口社長が、またまた捨てられてしまった野良犬を拾う。


・小豆島少年野球団
<初めての試合が決まりました!>
まず、タイトルだけで、すとーんと恋に落ちた感じ。心を全部持っていかれた!
さらばのネタは、「会社」とか、「ラーメン屋」とか、「親子」とかシンプルなタイトルが多いので、
まずOPVTRでこのタイトルが出た時、もうワクワクが止まりませんでした。
そして、そのワクワクにたがわず、最高に面白かった!!
愛しくてかわいくて平和で、頭からっぽにして大笑いできる感じ。
ちょっとギスギスした心理戦のネタが続いた後だったので、このタイミングでのこのネタはちょうどよかったかも(笑)
でも、全体を振り返ってみると、改めてこのネタの異質さにびっくりします。
他のネタが、時間をフルに使って、いろんな展開やいろんな笑いどころを入れようとしている中で、たったこれだけで!?っていう一つだけで勝負している。
丸腰で戦いに行くようなものですよこれ(笑)
でもそれで確実に戦える、圧倒的な技術と、ハートの強さ。
ぼったくりバーの時にも思ったんだけど、一つの仕掛けだけで勝負しに行く。
たっぷりと間をとっても微動だにしない。迷いがない。
そうやって、普通ちょっと勇気がいるようなことを果敢にやり切ってしまうからこそ、芸人さんからの人気も高いのかもしれないね。


・ラグビー協会
<全ラグビー選手を代表して……>
森田さんが徹底的にヘンな人で、東口さんは淡々とツッコミ、という、きれいにボケとツッコミが分かれるネタ。
じわじわと笑いどころが明らかになって行くのもいいけど、こうやって、一言でパーンと笑いがはじけるのも楽しいね。
東口さんの一言ひとことのワードの切れ味も鋭くって素敵。
そして、以下は書こうかどうか迷ったのですが、ちょっと試しに書いてみようかと思います。
どこかしらから批判が来たらすぐに消します(笑)
このネタ、すっごく、チュートリアルみたいだった。
チュート見てるみたいな気持ちになった。
元々、私は東口さんのことを、福田充徳さんに似てるなぁと、ずっと思っていました。
どこがとかなんでと聞かれると上手く答えられないから、今までここに書いたことはなかったのですが、
例えば口調とか、笑い方とか、穏やかそうに見えて結構頑固なところとか、ちょっとわちゃわちゃしてる中でのツッコミの仕方とか、失礼な発言をした相方をいなしているようで実は自分も乗っかってる感じとか、相方をはたく時のバリエーションの豊かさとか、相方を蹴り飛ばす時の躊躇のなさだとか、まあまあのエピソードトークを全力で話して微妙な空気にするところとか、
まあいくつか失礼なことも申しあげましたが(笑)、とにかく本当に似ているように私には感じられていたんです。
そんなことを思っていた矢先、最近QuickJapanのうしろさらばのインタビューを改めて読み返してみたら、
「よく見ていた芸人さんは?」という質問に、東口さんが「チュートリアルさんとか」と答えていたもんだから、もう私は衝撃だった。
読んだはずだったのにすっかり忘れてた。そうだったのか。
何だか、遠くに放り投げて、もう投げたことすら忘れていたブーメランが、戻ってきたような感じだった。
意識して真似している訳ではないだろうけど、自然と見てきた感覚が体に染み入ってるのかもしれないですね。
そして私がそれを感じ取ったのは、同じように私も見てきた人で、上手く言葉に出来なくても同じ感覚があったからなのかもしれない。
同じ人を見てきた人が、演じる側になって、
私はまたその人を見て、その頃と同じように、ライブに足を運んで、感想を書く日々。不思議な感じ。
長くなってしまいましたが、まあそうやって、個人として東口さんと福田さんが似ていると思ったことは前からあったんですが、
ネタ見て、コンビとして、チュートに似ていると思ったのは初めてでした。
一人は平然とおかしなことを言い続けて、一人がそれにツッコむんだけど話通じなくて、そして後半からは二人とも変な方向に走っていって、
みたいなパターンは、言ってみればよく見るものって言えばそうなんだけど、
それなのに、ここまで私にチュートを思い起こさせるものは何なのだろう。


・ブリッジ 野良犬を拾う④
「ラグビー協会」の東口会長が、またまたまた捨てられてしまった野良犬を拾う。


・タイ料理屋
前半のチュワさんの陽気っぷりに苦しくなるくらい笑った(笑)
私も、身近にチュワさんみたいな人がいる行きつけのお店があればなぁ、とか思っちゃうくらいに楽しんでいたのに、
東口さんの一言で一気に空気が変わるこの感じ!!
笑いと悲鳴が同居するカオスな会場(笑)
そして後半のチュワさんの独白素晴らしかったー。
何かこれを見ながら、2年前のしずる単独、そしてライス単独に感じたことと同じことを思っていました。
コント、なんだけども、コントの枠におさまりきらない感じ。この、多くの人が感じたことのあるような、言い表しようのない切なさを表現しているところ。
もしかしたら、世代とか環境に関係なく、いつの世もコント師が最終的に目指すところは、そういう人間の奥深さみたいなものの表現なのかもしれない、
なんてことを感じてしまいました。
まったくもって的外れかもしれないけれど。


・エンディングコント
森田さんとネタ合わせの約束をしていたはずの東口さん。しかし森田さんは見当たらない。
すると、大きなダンボールを見つける。
貼り付けてある手紙を読むと、どうやら2匹の野良犬は、ラグビー協会の会長にも捨てられてしまったみたい。
今までよりひときわ大きな段ボール、それを東口さんが蹴飛ばしてみると、中から「おいっ!」と森田さんの声が聞こえる。
「えっ!?森田?」
「そう、オレここに住もうかと思って。犬と一緒に」
「段ボールに?まぁ、お前らしいっちゃらしいけど……。
 でも、お前にしては大きすぎるんちゃう?贅沢やわこんなん」
そう言って東口さんが袖から持ち出したのは、あのチェーンソー!
「森田?行くで!」
そう言って、笑顔でチェーンソーを動かし、舞台上で本当に段ボールに切り込みを入れていく東口さん(笑)
森田さんは「危ない、やめろって!わー!!」と大騒ぎ。
すると、段ボールの中から、森田さんの首がハネられて飛んでくる!!!(笑)
(森田さんそっくりの、顔のマスク?と言ったらいいんだろうか)
「うわぁ、ごめん!」と謝る東口さんですが、
「何してくれてんねんホンマー!!」と、首切られてもめちゃめちゃ喋る森田さん(笑)
2日目では、
森田「お前はやりすぎるところある、ホンマそういうところある!今回だって、オレはやめることはないと思ってた!!」
わき上がる笑いと悲鳴(笑)
森田「あ、ちょっと待って。オレの首、ラグビーボールみたいに持ってみてくれへん?」
東口「え?こんな感じ?」
と言って、森田さんの首を持って、いろいろかっこつけてポーズをとってみる東口さん。
森田「このコンビ、売れるんちゃう?」
東口「……イケるなぁ」


・EDVTR
日曜日よりの使者を聞きながら、あぁ、やっと見れた、って思ってました。
ずーっと見たかった単独、やっと見れました。


・エンディング
初日、本当に大きくて温かい拍手に胸がいっぱいになったし、
二人はそれ以上に、思うところも感じるところもたくさんあったんじゃないかなと。
大阪のお客さんに感謝の言葉をのべ、そしてたくさんの人が支えてくれたからできたんだと言っていました。
ところがその次の瞬間には、東京初日がいかに売れていないかを切実に話し出す(笑)

2日目の最後の挨拶では、森田さんが、
「また、また大阪でもライブが出来たらと思っていますんで!」と、力強く言っていた。

「東京進出」という言葉には、いつもちょっとした苦さを感じる。
私は東京にいる人間なので、大阪の芸人さんがこちらに来てくれて、見れる機会が増えるというのは、もちろん喜ばしいし、ありがたいことなんだけど、
それでも、いつも複雑な思いは残る。
6年前、チュートリアルの時も、そうでした。
極端な言い方をしてしまうと、今まで関西の方々が応援して、支えてきたのに、
こちらがいいとこどりをしてしまう感じがして、なんだか引け目を感じてしまう。
特に、今回の場合はさらに複雑で。
普通は東京進出と言ったら、売れてきた頃にするものだから、
拠点が東京になって、大阪でライブをする機会が少なくなってしまっても、まあテレビで見れる機会は増える。
でも、彼らは多分、しばらくはそういうわけにはいかない。
だから関西の方々の気持ちを勝手に考えてしまって、勝手に申し訳ない気持ちになってしまう。
私が、そこまで気にすることないんだけど。
そこを気にしていたって、私に出来ることはいつもと同じように、ライブに足を運んで、少ない稼ぎの中からだけど好きなものにお金を落として、応援すること以外に、ないんだけど。
私には出来ることなんて何もないけど、ただこれからも、大阪でもライブが時々出来るといいですね、と心から思った。



これだけ書いて、まだ書くことあるのかとお思いでしょうが、なんとそれがあるんですよ(笑)
続きは東京公演のエントリで。