設計士の仕事は、簡単に言えばその敷地に対して最高の間取りを提案する事です。
私は住宅設計を主に手掛けていますが、住宅はご要望をいかに周辺環境と調和
させるかが重要になります。
一般的に、部屋の配置は方位が優先されます。南側に居室を優先させるのは感覚的に誰でも思っていることだと思います。
理由は、日当たりがいいから。
しかし、道路が北側に面する土地で、南側に3階建ての住宅でも建っていれば、その土地の南側はおそらく日当たりは良くないです。
実際に現場に立ってみればすぐに分かるんですけど、外注設計任せの建売住宅や規格住宅(企画住宅)などの周辺環境が反映されていない住宅では、意地でも南側に居室が配置されています。
ウン千万円もする住宅で、ちょっと気をつければ解決できる事が解決されずに建てられちゃうと、ホント悲しくなってしまいます。そもそも、建築基準法の採光チェック
してるのかなと疑っちゃうプランも以前見かけた事がありました
。
つまり、周りの建物によって、その敷地の日当たりは大きく変わるので、現地調査を十分に行った上でのプランニングが非常に重要になるのですが、それ以前に、南側は日当たりがいいという概念を少し外さなければなりません。
私は、直射日光が入り易いのは南側で、採光自体は東西南北から採れると考えています。
当たり前と言えば、当たり前です。同じ窓の大きさであれば、入ってくる量は方位で違いはありますが、それを補う工夫をするのが設計士の仕事です。
と、間取りと方位の相関性はない様な話でまとまりつつありますが、私の中で唯一方位にこだわりたい部屋があります。
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多くの方が一日の始まりは朝からですが、意識していても、無意識だとしても、まず起きたら天気を気にしませんか?
朝、一番採光できるのは東側です。言い換えれば、天気を確認しやすいのは東側。
そして、朝日を浴びながら朝食を作ったり、食べたりできれば一日のスタートとしてスイッチが入れやすいですよね。
つまり、最初に書いた通り、日中の満遍なく入れる均一な明りはどの方位からも入れられますが、一日のスイッチとなる明りは東側だけで、その明りを取り入れたいのは、生活のスタート地点になるキッチン(またはダイニングキッチン)じゃないかなと。
セオリー通り行く部分とセオリーを崩す判断力。
セオリー以外の設計士のこだわり。
この様な要素が絡み合う中で、どの設計士と巡り合えるのか。結婚相手を見つけるような確率に近いものがあります。
しかし、結婚相手と長く過ごす場所を探している訳で、だからこそ、気の合う設計士と出会う事が大切だと思います。
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