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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

「街中の狭小二世帯住宅」見えないところ。

2016-08-29 20:14:24 | タッチザスカイ!
海の中にはこんな生物もいるわけです。

目の前に見えているものだけがすべてじゃない。

かつて、どこぞの偉い人が言ってそうな言葉です。

新潟市内で家を建てようとしたら1500万位からでしょうか。
上はキリがないですね。

一体どこにそんな差が出るんだ。
だっていい材料使ってるもん。
ぐらいだったら分かり易いんですけど、新築住宅の見積書を見ていただくと分かりますが、単価は数十円のものから数万円のものまで様々です。
そして、その部品のほとんどが完成時には見えなくなってしまうと言っていいでしょう。
目に見える部品はわずかです。


先日の砕石敷きが無事終わり、その上にコンクリートを流し込みました。

これは基礎ではありません。
よって、構造の一部でもありません。

名前は「捨てコンクリート」通称「捨コン」
いらないコンクリート捨てたわけじゃないですけどね。

捨コン打たなくても家は建ちます。

じゃぁ、何のためにって言ったら、基礎を設計図通りに作るためです。
私は、べた基礎のスラブ厚さを15cmで構造計算しました。

これを確実に守ってもらうためには、下が平らでなければいけません。

基礎って言ったら、砂利(砕石)の上に作るものと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、砂利は凸凹です。転圧しながら敷均したって平らにはなりません。

これは、捨コン打つ前。きれいに砕石が転圧されていますが、これから配筋作業で人が歩き回れば、結局凸凹になります。

それをキープするために捨コンを打つ。
どの場所もすべてスラブ厚が15cmになるように。
ひいては鉄筋のかぶり厚さが6cmになるように。

これが守られないと、設計した意味がなくなります。




ちなみに砕石の上にポリエチレンフィルムを敷いてから捨コンを打ちました。

理由は地盤の湿気が上がってこないように。




分かります?
フィルムにびっしり水滴がついているの。
これフィルムを敷いて、わずか10分くらいの出来事です。
地面からはとんでもない量の水蒸気が上がってきています。
これをフィルムでシャットアウト。

ん?
何か異変に気が付いた方いらっしゃいますか。

二番目の写真はよく見ると、杭の上にはポリエチレンフィルムがありません。
どうしても、捨コンの高さと杭の高さが違うので、杭の上にはフィルムが敷けなかったはずなんですが、上の写真にはフィルムが敷いてあります。
っていうか、捨コンの上にさらになんか敷いてるぞ。



断熱材敷いてました。

その断熱材を敷く前にフィルムを1枚被せておけば、建物の自重で完全密着。
水蒸気の上昇を防ぐことができます。

しかも、写真奥に道具が見える通り、掃き掃除しながら敷いています。

掃き掃除しながら。

だって、ごみが落ちてる凸凹の上に断熱材敷いたら、断熱材が傷つくじゃないですか。
断熱材も平らなとこに敷かないと。

ようやくここから一般的な基礎工事が始まります。
基礎の下に砕石-ポリエチレンフィルム-捨コン-断熱材の4層の下地を作りましたが、これを見れるのは工事期間中のわずかです。

こんなところから住宅の性能は違ってきます。

というよりも、住宅ってこんなところばかりです。
図面に何が描いてあるのか、そして、それが図面通りに施工されているのか。

住宅は、金額通りに複雑っていう事です。

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