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吉村昭『冬の鷹』

2009-09-04 | や・ら・わ行の作家
人生50年の時代に、50を前にして、オランダ語習得を目指した

『解体新書』の訳者、前野良沢(まえの・りょうたく)が主人公。


良沢は派手なことは好まず、人嫌いなため、親しい友もいない。

近づきがたい学者肌だ。

良沢はオランダの医書『ターヘル・アナトミア』(解体新書)を苦心の末

翻訳するのだが、訳者として本に名前が刻まれたのは、杉田玄白であった。

無名の医師であった玄白が『解体新書』により、富と名声を得ていく一方で

良沢には次々と不幸が襲う。


さて感想。


オランダ語研究者として生きようとした良沢。

医師として、人体の構造を世に示そうとした玄白。

二人の間の深い溝。

まるで、光と影。

あまりにも対照的な人生でした。

面白かったです。


が...真面目だが、偏屈で不器用すぎる良沢も、機転がきき人あたりは

良いが、したたかで抜け目のない玄白も、どちらも好きになれず^^;

(たぶん著者は玄白が大嫌い。まぁ「ええとこどり」やからなぁ)


良沢は決して自分に満足することはありません。

学問に対する情熱は、ものすごいです。

人生を賭けるものに出会えるって、本当に素晴らしいなぁと感じました。


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