~ならしのの風に乗って~

二人三脚で綴る夫婦の気ままな日記

遅ればせながら読んだ【永遠の0】

2015-04-09 07:16:17 | 小説・本
永遠の0 (ゼロ)
おはようございます。

今年の日本アカデミー賞は【永遠の0】が圧勝でしたね。
私は戦争ものが苦手で、とうとう映画は観ませんでした。
でもこの映画は興行成績がぐんを抜いていたし、戦争映画にしては随分ヒットしているなと思っていました。

日本アカデミー賞の受賞式で岡田准一さんが主演男優賞を取った時、映画の一部が映し出され、彼の熱演に心が打たれました。
数秒観ただけなのに、これはすごい!
賞を取るに値する演技だわと思いました。
そんなこんなで興味が湧き、原作を読んでみることにしました。

零戦の優秀なパイロットだった宮部久蔵の孫たちが、第二次世界大戦の終戦間際に特攻隊で戦死した祖父のことを調べていく物語。
祖父の事を知っている元海軍の生き残った人たちに戦争の話を聞く形で進行していきます。


真珠湾攻撃、ミッドウェー、そして終戦までの流れがやっと少し分かりました。
日本が戦争をしたことは知っていても、日本に特攻隊という存在があったことは知っていても、
その惨状を知るのが怖くて、今まで戦争の事にあまり目を向けてきませんでした。
【永遠の0】はそんな私でも、戦争の悲惨さも含めてなんとか読み進めることが出来ました。

零戦パイロットの祖父のことを『あいつは臆病ものだった』という証言から始まります。
孫にとってはショッキングな話です。
孫でなくても本当はどういう人だったのか知りたいと思いました。

また孫と同世代のジャーナリストからは『特攻隊は9.11のテロリストと何ら変わらない同種のテロリストである』という衝撃的な意見も。。。
序盤から度肝を抜かれます。
『特攻隊は9.11のテロリストと何ら変わらない同種のテロリストである』いう意見については後半、元海軍中尉の武田貴則の話の中で見事に違うものであると言い放ってくれ、溜飲が下がりましたが・・・。

人間魚雷や特攻飛行機。
こんなものを兵器にしてまで日本は本当に戦争に勝たなきゃいけなかったのか?!
参謀たちの無能さに腹が立つと同時に、こんな無能な作戦で命を落とさなくてはならなかった兵士たちが哀れ。

でも実際にそういう戦争を日本はして、その時代に懸命に生きた勇敢な日本人がいたから、今私たちが平和に暮らしていられるということを今更ながら実感しました。
忘れてはいけないと思いました。

そして【永遠の0】は、ただの戦争ものではないと思います。
命が使い捨てられるような理不尽な時代を描くことで人間の【念じる】という精神の強さが、より一層浮彫りになっているヒューマン小説だと感じました。

優秀な零戦のパイロットであるにもかかわらず、一部では臆病者と陰口を叩かれる宮部久蔵。
死ぬことが当たり前のような感覚の時代にあって、生き延びることをただひたすら考えていた男。
それは、生きて帰ると約束をした妻と娘への愛情と責任の念。もう執念です!
その執念で幾度となく戦火を乗り越え、生き抜いてきたのに、何故終戦の一週間前に宮部久蔵は特攻で死んだのか。。。

後半はその辺のことが明かされ、また彼の”生きて帰る!”との【念】が生んだドラマの結末に感動!!
宮部久蔵という一人の男の美学に触れ、未だにその世界の余韻に浸っています。
読んで良かったと思う一冊でした。
 


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2 コメント

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Unknown (yukko&yasu)
2015-04-11 10:10:35
「永遠の0」は、テレビの放映で観ました。この小説とは奇妙な出会いでした。書店で宣伝用ビデオの画面から「宮部! 宮部!」と呼び声がするのを、誰かに呼ばれたかと思って振り向いたのが発端でした。実は私の姓は宮部です。この姓は生命順位1,580位、全国で10,000人強しかいなくて、既製の印鑑やシャチハタネームが店頭に無いことも度々の少数派です。呼び出し放送で呼ばれているのを聞いたこともなく、突然の「宮部!」に私が呼ばれたと思ってしまいました。
戦争や特攻の話は、小中学校時代に軍歴のある先生が多く、当事者としての色々な思い出話を聞きました。
「永遠の0」は当事者ではなく後の世代からの観点で進めることで、より強く訴えるものを感じました。
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Unknown (narakaze )
2015-04-11 20:33:56
yukko&yasuさんへ
宮部さんという姓は全国で意外に少ないのですね。
私は”永遠の0”を読んでから宮部久蔵さんという名前が頭にしっかりとインプットされてしまいましたよ。
映画も観てみたいと思っています。


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