~ならしのの風に乗って~

二人三脚で綴る夫婦の気ままな日記

高橋克彦さんの「北斎殺人事件」

2015-04-13 07:16:16 | 小説・本
私(おじさん)の読書日記です。

今日は、先週に引き続き(こちら)、高橋克彦さんの”浮世絵三部作”の2番目、「北斎殺人事件」の紹介です。

1番目の「写楽殺人事件」では、津田が”秋田蘭画”の中に東洲斎写楽の書き込みがあったということから、写楽が秋田蘭画の浮世絵師ではという推理と、津田の周りで発生した殺人事件の絡んだ謎が解かれていくという設定でした。

北斎殺人事件 (講談社文庫)
今回の「北斎殺人事件」は、その3年後、大学を辞めて郷里の中学教師になった津田のところに、有名な画家の娘で、画廊を経営している女性から”北斎隠密説”の調査依頼が舞い込み、それを追いかけている段階で殺人事件に巻き込まれていきます。

しかも、津田はその10歳も年上の女性の妖艶さにも惹かれそうになる設定です。
津田の微妙な心理にも最初はハラハラさせられます。

途中から、もう一人の(いや本当の?)主人公、塔馬双太郎が登場してきます。
塔馬の協力で進める”北斎隠密説”の調査とその推論は、なかなか説得力があります。
北斎が、川村家というお庭番に関係しているということも・・・
お庭番の川村といえば、「妻は、くノ一」でも登場していました。(こちら)

結局、殺人事件の謎は、塔馬が解決していきます。
私は最初、津田が解決してくれるのもと期待していたので、何でそうしてくれなかったのかとても残念でした。

「写楽殺人事件」でも、解決は別の人になる訳ですから、どうも津田は探偵役というより被害者という感じの設定のようだと感じてきました。

「写楽殺人事件」のときも含めて、浮世絵や絵画の真贋の判別の難しさ、そして、現在の浮世絵美術界、いや浮世絵だけでなく美術界の雰囲気、状況が幾分なりとも分かってきます。

それから、このミステリーは第40回(1987年)日本推理作家協会賞を受賞しています。

高橋克彦さんの「北斎殺人事件」は、浮世絵の楽しさ、難しさも教えてくれる、本当に素敵な歴史ミステリーだと思います。
 


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