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狭いベランダで育てているバラのこと、趣味のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

NHK日曜美術館『ミケランジェロ“人間”のすべてを彫る』

2018-07-20 11:08:15 | 美術・芸術・絵画教室
7月15日の日曜美術館は偉大なルネサンスの彫刻家〈ミケランジェロ〉を取り上げていました。

道なき道を行く、生涯をかけて自分の心の中にある真実を追求する姿にとても感動しました。

記録として残しておきたいので簡単に画像中心となりますが
内容を書いておこうと思います。





素晴らしい彫刻作品の数々に若い頃から神のごときと称賛されていたそうです。


二十歳の時の作品、〈若き洗礼者ヨハネ〉修復の後がありますが、それがかえって私には魅力的に見えました。


有名なダヴィデ像、これはレプリカ。
世界のいたるところにレプリカが飾ってあるそうです。
本物はフィレンツェのアカデミア美術館にあると言う事です。


24歳の時の作品、〈ピエタ〉
ピエタ(イタリア語:Pietà、哀れみ・慈悲などの意)とは、聖母子像のうち、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリア(聖母マリア)の彫刻や絵の事を指す(Wikipediaから)

人の手で彫られたとは思えないほどの精巧さと溢れ出る芸術性







確かに見たときにマリア様はキリストの母親であるはずなのに、若い、と感じました。
まだ若いミケランジェロにはマリア像はこのような印象だったのでしょうか。


古代ギリシャの彫像、〈ラオコーン〉ギリシャ神話に登場する神官の名前だそうです。
アテナ―という神からの怒りを買い、息子共々殺されてしまう場面、発掘にも携わったミケランジェロはもだえ苦しむ様子の彫像に感動し強く影響を受けたそうです。


そのころ若くして名声を得たミケランジェロをわが物にしようとしたローマ教皇ユリウス二世は、自分の墓をミケランジェロに依頼します。

喜んだミケランジェロは綿密な下絵や石の採掘まで準備したのですが、わがままなユリウス二世は、墓の制作を中止し

システィーナ礼拝堂天井画の制作を命じます。

ミケランジェロは絶望し、彫刻家であって画家ではない自分にそのようなことが出来るのか、と父親に手紙まで出したそう。

しかし、奥行き40メートルの天井にほとんど自分一人で4年の歳月をかけ300人の人物を描いたと言う事です。








人間を生み出したことに怒りを覚えた神が、人間界に大洪水を起こしそれによって苦しみ恐怖する人間の様子を描いた部分
ラオコーンの影響が認められる、とナレーションが入っていました。

そして、制作に明け暮れていた52歳の時、フィレンツェで革命が勃発します。

ミケランジェロは、革命軍に身を投じ一時期制作は途絶えます。

様々な体験を経て70歳の時に再びピエタを制作します、フィレンツェのピエタ













背後に見える老人はミケランジェロ自身だと言われています、ミケランジェロは、これを自分の墓に設置するつもりだったそうです。

そして、80代に制作した最後のピエタ、88歳で死を迎える6日前まで手を入れ続けていたロンダニーニのピエタ







若いころに彫ったピエタとは似ても似つかない、粗削りに彫られたやせ細ったキリストは顔の表情も曖昧、母親と子の身体は溶け合い互いを支えあっているよう

この像は本当はもっと大きな像になる予定でしたが、自分が本当に表現したいものを求めノミを入れ続けた結果、このような形になったそうです。

向かって左に見えるのは最初に彫っていた時のキリストの腕

ゲストの彫刻家…舟越桂さんは

「この腕を壊そうと思ったら金づちのようなものでバーンと叩いたらすぐに壊れます、でもそうしなかったのは、この腕を残したかった、と言う事だと思います。」

と、おっしゃっていました。

これはまるで現代美術の世界、名声に溺れることなく新たな世界を求め続けそれこそもだえ苦しみながら歩んだミケランジェロは

最後に自分の思っていた世界に到達できたのでしょうか?

全てをそぎ落とした最後のピエタ、たどり着いた先は、真の美しさは美しい肉体に宿るのではなく心であり精神に宿るのだ、と言う事、それは間違いないでしょうと思います。

番組を見て何か追い求めるものがあるのは幸せな事、という感想を持ちました。

現在東京にある国立西洋美術館で〈ミケランジェロと理想の身体〉展が開催されています。
機会があれば是非実物を見てみたいです。


記事の中の画像および情報はすべてNHKで放映された「ミケランジェロ “人間”のすべてを彫る」からお借りしました。






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