今週の月曜日にやっと映画〈ボレロ 永遠の旋律〉を観に行ってきました。
ボレロはボレロ=ラベルと、すぐに思い浮かぶほどに有名な曲ですが
実はラベル本人には、それほど思い入れのある曲ではないばかりか
あまりにもボレロが有名になり過ぎて、ボレロに翻弄される人生を苦々しく思っていたらしいです。
映画は、主にボレロを作曲する際の苦悩について描がかれています。
ボレロは、パトロンでもあったバレエダンサー、イダ.ルビンシュタインから
バレエのための音楽をと言うことで依頼されたのですが
なかなかはかどらない作業
憂うつ、ため息
その中で、ラベルは今までラベルに起こった過去の出来事に思いを馳せます。
ずっとラベルにとってミューズのような存在だった、
人妻のミシア.サートとの関係
曲を依頼してきたイダ.ルビンシュタイン
音楽上のパートナーであり友人のマルグリット.ロング
ローマ賞に応募するも5度も落選したこと
第一次世界大戦への参加(映画では病院勤務となっていましたが、実は輸送隊であった)
最愛の母親の死
アメリカ巡業(この巡業で、ラベルは大成功を収める、そしてアメリカでジャズに触れたことで大きな影響を受けている
後の左手のためのピアノ協奏曲ではその影響が見て取れる)
そんな様子がラベルの数々の名曲と共に流れるシーンがとても美しく感銘を受けました。
そして、苦悩の末にやっと書き上げた曲〈ボレロ〉
ラベルは、ボレロで踊るイダを劇場に観に行きます。
規則正しく繰り返される工場の機械音にヒントを得て
文明への批判を込めて作った曲を
イダはこれでもかと言うくらいにエロティックに踊ります。
怒りがこみ上げてくるラベル
そのラベルの思いに反して観衆は口々に「ブラボー」と叫び立ちあがってスタンディングオーベーション。
周りの人からの「おめでとう」に複雑な思いを抱くラベル。
そして、終盤
記憶障害の進行と手術の失敗によるラベルの死
それでも、ボレロは今も15分に一度は演奏される名曲として残っていく。
ラストシーン、死を迎えたラベルの姿が映し出され
次の場面では、オーケストラの演奏に指揮棒を振るラベルとボレロを踊るバレエダンサーが映し出されます。
私自身は、そんなにボレロと言う曲が好きなわけでもありませんでしたが
映画の最後に流れるボレロを聴いてやはり名曲だな、と感動しました。
もちろんラベルの曲をすべて知っているわけではありませんが
映画の中で流れる
ラ.ヴァルス
水の戯れ
亡き王女のためのパヴァーヌ
マ.メール.ロワ
などなどを、素晴らしい演奏と音響で聴くことが出来てとてもよかったです。
ピアノ演奏は、アレクサンドラ.タローだそうです。
繊細なラベルの曲をフランスの香りいっぱいに弾いていらっしゃったように思いました。
愛し合っているラベルとミシア
しかし、ミシアがラベルにキスをしようとするとラベルは拒む。
「キスは誰にでもできる、が、私は君に音楽を捧げたい。」それは僕にしかできないことだから、、、
何度も娼婦の館に出向くラベル
しかし、娼婦を抱くことはない。
ミシアがはめていた絹の手袋を娼婦に「はめて欲しい」と頼む場面がありました。
(追記)
記憶障害に陥り、自分が作曲した曲のことも分からなくなったラベル
ボレロを聴き「誰が作った曲?なかなか良い曲だ。」
と、つぶやきます。
が、私はどこかで〈亡き王女のためのパヴァーヌ〉を褒めた、と読んだことがあります。
真実はどっちなんでしょうか。
ラベルの〈亡き王女のパヴァーヌ〉が好きで、昔Eテレで放送していた〈ラララクラシック〉で
ラベルのことを二度ほど放送していたのを見ていました。
それも何度も見ました。
なので、ある程度ラベルのことを知っていたのであまり混乱せずに見ることが出来ましたが
何も知らないと、ラベルの過去のことが時系列バラバラで出てくるので
分かりにくいかもしれません。
事前にWikipediaででも調べて観に行くと良いと思いました。