Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

本が出ます

2009年11月10日 | 
 Pの本『バリ島ワヤン夢うつつーー影絵人形芝居修業記』(木犀社)が、今週刊行されます。東京では今週末、大手書店に並びますが、沖縄の書店はやっぱり東京から距離があるので、来週18日頃になります。
 装幀家の菊地信義さんによる素敵なカバーになりました。表紙の写真はデレム(右)とサングト(左)。悪役の従者です。でも、そんな悪者に見えないですよね。ワヤンの登場人物は、意外に憎めないキャラクターなのです。
 この表紙のデレム、実はシワ神の怒りをかったために首を切り落とされてしまったのですが、その後、再び付けられたという神話があり、ワヤン人形も首と胴体は別々に作って、ビスで繋ぎ合わせています。首と胴体を別々に作る人形は、このデレム一体だけなのです。
 カバーの全貌は本のブログの方をご覧くださいませ。

中目黒銀座

2009年11月10日 | 東京
 中目黒に行くのは本当に久しぶりで、20年以上も前に、東京の古書店帖を持って古書店散策をしていた時代、中目黒に行った記憶がある。そのとき、古書店があった中目黒銀座へ久しぶりに足を踏み入れたのだった。
 銀座とは、中央区銀座とは関係がないし、銀が鋳造されていた「銀座」でもない。ようは、「賑やかな通り「ということなのだろう。○○銀座という商店街は全国にあるのではなかろうか?
 中目黒のこの通りは、20年たって少し寂しくなった気がした。気のせいかもしれない。でも渋谷まで電車で二駅だし、小売店の並ぶ商店街は中目黒に限らず、どこも大繁盛というわけにはいくまい。それにしても、この道を歩いて中目黒駅に向かいながら、不思議な気持ちになった。昔からある商店街の上には複雑な交差した電線がクモの巣のように張り巡らされるが、その向こうには、天にそびえるような円柱形の大きなビルが見えるのである。歴史を積み重ねたような電線の網の目、突然、現代社会に登場したビル……。時間の流れがあまりにも違う。
 アンバランスでありながら、都会という風景の中でバランスがとられているような不思議な風景。ビルというのは、その階を上へ上へと積み重ねていくことができない。50階建の建物を経てれば、それが朽ちるまで、破壊するまで基本的にはそのままだ。電線を少しずつ張り巡らせていくようなゆるやかな時間が流れていない。これが都会だ。そして、そこに住む人間は、そんな二つの時間の中を行き来したり、無視したり、あるいはどちらかの時間に寄り添うように生きている。