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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

猫に小判

2009年11月09日 | 家・わたくしごと
 昨晩、実家に戻ったおり、父と弟と三人で久しぶりにお酒を飲んだ。弟はヨーロッパ暮らしが長かったせいかワインに詳しい。弟が買ってきた一本目のフランス・ワインが空になると、実家に保存されているワインを飲もうということになり、持ってきたのが、「シャサーニュ・モンラッシュ 1997、プレミア・クリュー」という銘柄の白ワイン。私は聞いたこともないし、うまく発音できず、何度言ってもシャサーニュが、サシャーニャとロシア人の名前風になってしまう。
 弟曰く「ブルゴーニュ地方のひじょうに高価なワイン」であるという。店で飲むと何万円かするらしい。私はブルゴーニュと聞くと、ワインよりも先に1944年の上陸作戦を思い出してしまう。コルクを開けると、確かに琥珀色に輝いてみえる。うすく黄色味をおびたワインとは見た目も大違いだ。そして飲ませてもらうと、確かにおいしいと思う。そんな気がする。おいしいのだ、と言われているわけだし。
 しかし悲しきことかな、私はワインの味を識別できる味覚を持ち合わせておらず(それは、人間が後天的に獲得する極めて文化的な味覚である)、よくわからないのである。さほどお酒も飲まないし、後天的に獲得してこなかったのだから仕方がない。猫に小判とはこのことだと思うのだが、舌の記憶でなくても、おいしいとされているお酒を父と弟と楽しく飲むことができたという記憶はしっかり体に刻みこまれた。記憶の代価としてはちょっと高かったかもしれないが。