Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

バリ島における1928年録音 Vol. 1

2009年11月07日 | CD・DVD・カセット・レコード
 バリのガムランのまとまった初期録音としてよく知られているのが、1928年のバリ各地のさまざまなガムランの商業用の録音である。この選曲にはワルター・シュピースが関わっており、当時、ひじょうによく知られた村々の録音が収録された貴重な録音である。このごく一部はすでにCD化されているが、今度、これがまとまってCD5枚としてリリースされるという。そして、その1枚目が出たばかりである。
 最初のCDはゴング・クビャルの録音で、バドゥンのブラルアン集落、タバナンのパンクン村、ブレレン西部のブスン・ビユ村の三村落の演奏が収録されている。1928年の録音だから、ノイズカットをしたとはいえ、そこには限界があり、良質な音であるとは言いがたいが、ガムラン愛好家、研究者には貴重な録音であることはいうまでもない。
 個人的には、自分が勉強していたタバナン県の、パンクン村の録音にたいへん興味を持った。現在、ゴング・クビャルは20世紀につくられた楽器であるにもかかわらず、パンクン村では神聖な楽器として扱われて、儀礼時以外にに人々の前で演奏に用いられることはない。ここで演奏されているGending Longgorとは、北部のlonggoran(ロンゴラン=音楽様式名)と関わっているのだろうか?
 一枚のCDからさまざまな興味が湧き出てくる。このCDは輸入版であるが、日本で発売されているものには星川京児さんによるライナーノーツの翻訳が付されている。バリ・ガムランマニアの方にお勧め。(すでに私の友人二人は購入しました。)