福島原発事故は、廣島、長崎に原爆を落とされた日本にとって「2度目の大きな核の被害」とし、今回は「自らの手で過ちを犯した」との厳しい見方を示した。
過ちの原因は「効率」「優先」の考え方だとした上で、政府と電力会社が「効率の良い発電システム」である原発を国策として推進した結果、地震国の日本が世界第3の原発大国になったと指摘。 原発に疑問を持つ人々は「非現実的な夢想家」として退けられたと批判した。
その上で「われわれは持てる叡智を結集し原発に代わるエネルギー開発を国家レベルで追及すべきだった」とし、それが廣島、長崎の犠牲者に対する「集合的責任の取り方となったはずだ」と述べた。
村上さんはまた、復興に際し建物や道路と違って簡単に修復できないのは「倫理や規範」だと指摘。 「倫理や規範の再生はわれわれ全員の仕事だ」とした。 「夢を見ることを恐れてはいけない(効率)や(便宜)という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはならない。われわれは力強い足取りで前に進んでゆく( 非現実的な夢想家)でなくてはならない」と締めくくった。
同世代人の認識として、全くの同意を感じる。このような著名な人々の発言が世論の大勢に少しでも影響を与えてくれたらと思う。
村上春樹は以前イスラエル大統領の面前でも、エルサレム文学賞受賞スピーチで「壁と卵」を寓意としたイスラエル批判を展開したことがある。同時代人の持つ犠牲的精神は今度の(非現実的な夢想家)に通じるもののように思える。
これからは時代を表現する著名な人々がどんな発言をしているのかを、一人一人検証してみようと思う。
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