トランプがアメリカの大統領になった。大方の予想と希望はクリントンの勝利だった。
それが平等と正義と民主主義の国アメリカの良識だと疑わなかった。
日本のマスメディアの報道しか見分しない僕らにとっては、それが一般的であった。
この後、自分なりに情報を検証してみた。
選挙2週間前の報道でトランプ勝利を予測し、あるいは予測している人の事を報道していたネット関連ニュースが幾つか有ったのを知った。
一つはビデオニュースドットコムであり、一つは田中宇国際ニュース解説(ラジオディズ対談)である。
ビデオニュースドットコムでは、映画監督マイケルムーアがトランプ現象を追いかけたドキュメンタリーを通じて出した結論からトランプ勝利を予言したニュースであった。
ここで語られたことは、アメリカの良識がどのように変化しているのか、どこに向かっているのかということであった。
僕たちがアメリカの良識という場合、それは圧倒的な比率の中間層を抱えたアメリカであり、戦後日本やその他の国に比較して裕福な中間層のアメリカ人のことであった。
これが、経済のグローバル化の進展に伴い生産拠点の国外移転や競合国の台頭を後押しする自由貿易政策や、低賃金をもたらす大量の移民政策などの結果、アメリカ国内の中間層が脱落して今や貧困層と化している現実があるのだそうだ。
この現実がトランプ現象として此処まで進行している事を、大方のエスタブリッシュメント(指導的階層)が認識していないのではないかとの指摘を、マイケルムーアはしているのである。
今まで、それなりに富裕なミドルクラスが、例えば日本のトヨタに市場を奪われ、工場閉鎖から失業へと転落した結果、もう政治への希望ではなく現状の変化あるいは破壊を求め始めたということだ。
トランプが場当たり的に、敵だと言い、自分たちを貶めた者たちをやっつけると言い、仕事を奪った者たちを追い出すと言う。
ここにあるのは民主主義とか平等だとか博愛だとは後回しで、自分の怒りと憤懣を政治の場で表現してくれるものを支持するというアメリカの良識とは全く異なるものである。
これは、ナチスの台頭の状況と同じではないのだろうか?
世界の指導的大国が大きく変わろうとしている。
そして、もう一つ、日本のマスコミ報道のいい加減さを再確認したものである。マスコミは真っ当な報道をしている訳はないものと警戒心を持って常日頃見ているつもりでも、無意識の内にトランプが勝つ訳は無いと信じ切っていた自分の甘さを再認識した今度の事件であった。
アメリカの殆どのマスコミや情報産業アマゾンやツイッター、フェースブック等がこぞってクリントンを支持していた実態を早くから指摘していたネットニュースも幾つか有った。
この情報を鵜呑みにして、きちんとした検証もなく垂れ流す日本のマスコミ体質は、全く大本営発表と変わらず、国会記者クラブでの官邸発表を垂れ流す体質そのままなのだろう。
クリントンを勝たせたい側からの情報だけでは正確である訳は無い。
この結果が、生んだ日本全国寝耳に水だったのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます