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黛信彦の時事ブログ

党首討論、5大紙社説のベクトル近づく

2009年08月13日 | 政治・政局
13日付5大紙は、21世紀臨調が主催して12日に行われた総選挙前の党首討論(麻生太郎首相VS鳩山由紀夫代表)について論評した。
『自民党に対する「不満」と民主党に対する「不安」。今回の衆院選は有権者がそのどちらを重視するかの選択だという指摘がある。その意味では不満も不安も解消されなかった討論といえるだろう。(毎日)』

社説タイトルでは、朝日が「もっと大きな論点」で議論せよと注文した。
その論点とは、産経が「国家像を知りたい」と、日経が「国の将来ビジョン語れ」と指摘したことと同じであり、
具体的に言えば、読売が書いた「財源と安保の論議を深めよ」ということである。
毎日は、これらが語られなかったことに「もどかしさだけが残る」と、不満を示した。

30日の投票日、国民は究極の選択を迫られるが、国政を論ずる5大紙のベクトルが、これほど方向性を近づけた社説を、小欄は初めて読んだ思いがした。
末尾に、毎日の社説全文を記録しておく。

■各紙の社説タイトル
▲朝日新聞(社説)09総選挙・党首対決―もっと大きな論点で
▲産経新聞【主張】党首討論 国家像をもっと知りたい
▲日本経済新聞(社説)09衆院選 政策を問う 両党首は国の将来ビジョンを語れ
▲毎日新聞(社説)09衆院選 党首討論 もどかしさだけが残る
▲読売新聞(社説)党首討論 財源と安保の議論を深めよ

■麻生首相について
▲朝日:「責任力」を強調したが、それではなぜ、これまでの自民党政権がそれらを実現できなかったのか。そこを語らなければ、いくら新しい政策、意欲を並べられても有権者は納得できまい
▲産経:「この国に責任を持つ」という繰り返しだけでなく、どういう日本にするかを語ってほしかった。
▲日経:(消費税について)首相はまずは景気優先で臨む考えを繰り返し、増税時期の言質は与えなかった。
▲毎日:一方の麻生首相は周到に質問の準備をした節はうかがわせた。がもはや野党になったかのように民主党批判を続ける首相もほめられたものではない
▲読売:「可処分所得を10年で100万円増やす」としていることについて、首相は、実現に向けた具体的な道筋を示す必要がある。

■鳩山代表について
▲朝日:信用してくれというなら、それなりの根拠、説得力を見せてほしかった。
▲産経:民主党は党首討論に先立ちマニフェストを修正したにもかかわらず、引き続き財政健全化目標への言及がないなど、マクロ経済政策への取り組みの弱さが大きな課題といえる。
▲日経
▲毎日:とりわけ精彩がなかったのは鳩山氏だ。従来のメッセージを繰り返したが、麻生首相に対する質問は鋭さを欠いた。
▲読売:社会保障費は毎年約1兆円のペースで増え続ける。歳出削減だけで財源を確保できるのかどうか。

■討論会の優劣(☆=麻生首相、★=鳩山代表)
▲朝日:☆☆☆☆☆★★★★★
▲産経:☆☆☆☆☆☆★★★★
▲日経:☆☆☆☆☆★★★★★
▲毎日:☆☆☆☆☆☆★★★★
▲読売:☆☆☆☆☆★★★★★

■毎日新聞(社説、090813)09衆院選 党首討論 もどかしさだけが残る
 もどかしい1時間半だった。もちろん、12日行われた麻生太郎首相(自民党総裁)と鳩山由紀夫・民主党代表との党首討論のことだ。今月30日の衆院選投票日まで、「次の首相」を争う両氏だけの討論は恐らくこれが最初で最後となる。それだけに消化不良で終わったのは残念だ。
 自民党に対する「不満」と民主党に対する「不安」。今回の衆院選は有権者がそのどちらを重視するかの選択だという指摘がある。その意味では不満も不安も解消されなかった討論といえるだろう。
 とりわけ精彩がなかったのは鳩山氏だ。基本的には官僚主導でなく政治主導の体制を作る一方、「心の通った政策」を実現するとの従来のメッセージを繰り返したが、麻生首相に対する質問は鋭さを欠いた。
 例えば天下り問題だ。最近、駆け込み的に相次いでいる幹部官僚の関係独立行政法人などへの天下りや「渡り」人事をなぜ、首相が止めないのか、鳩山氏はもっと具体的に追及すべきだった。自民党も天下り禁止を表明しているが、本当に実行できるのか疑わせる話だからだ。
 一方の麻生首相は周到に質問の準備をした節はうかがわせた。民主党への最大の反撃材料は子ども手当などの財源問題と見ているのだろう。鳩山氏は一般会計・特別会計全体で予算編成を見直し、無駄な支出や不要不急の予算を削減して財源を作る考えを改めて示したが、もう少し具体的に説明しないと今後も守勢に回ることになるだろう。
 インド洋での海上自衛隊による給油活動など外交・安全保障政策に関しても、首相が攻勢に転じた形だ。「安保政策に一貫性がない政党に任せられない」という首相に対し、鳩山氏は「給油以上にアフガニスタンの平和に資する政策がある」などと反論したが、これも抽象的だった。
 もっとも、もはや野党になったかのように民主党批判を続ける首相もほめられたものではない。前回の衆院選以降、深刻なテーマとなっている格差問題などをどう総括しているか語ることなく、自画自賛のように成果を強調するだけだった。経済成長戦略の重要性をアピールするものの道筋は明確でなかった。
 今回の討論は21世紀臨調が主催したものだ。「衆院選は政権と首相を選択する選挙」との流れが定着しつつある中、実質的に「次の首相」を争っている2人だけの討論会は有権者の重要な判断材料となったはずだ。ところが、自民、民主以外の各党への配慮などからテレビの地上波では中継されなかった。これも残念なことで今後に重い課題を残した。

『日本の未来が危ない』自民党のネガティブキャンペーン

麻生首相・鳩山代表、財源巡り激論 解散後初の党首討論(朝日新聞) - goo ニュース

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