●小欄のKey Personとして細川護煕元総理が主賓で登場するのは 細川護熙(1) 細川・小泉新党急浮上 以来である。
17日に予定していた細川氏の東京都知事選出馬正式表明記者会見は20日以降に延期された。 理由は「記者会見で発表する公約などの準備が整っていないため」という。
国政引退以来、仙人を装ってきた細川氏に降って湧いたような東京都知事選挙である。 後述するように、発言に一貫性がなく、また佐川急便献金問題も不透明なまま、小泉純一郎元総理におだてられての出馬。
宮城谷昌光著『草原の風』の言葉を借りれば「善政とはよい言葉の政治である」。 仮に当選しても東京都知事は務まらず、都民のみならず国民の不幸につながると断じたい。
「降って湧く」は「天から降る」と「地から湧く」を合わせた言葉で、天から降り、地から湧くことが同時に起こることを言うらしい。 少なくとも、細川氏の東京都知事選出馬は、地から湧いた話ではない。 慎重な都民の支持は得られまい。
●ところで、小欄の部屋の壁には、細川氏が仙人期間中、週刊文春に5年間連載した『中国 詩心を旅する』の第20回、「夜、門を出でず」が、2009年末頃から、なぜか貼り付けられている。 その書き初めはこうだ。
~・~ 常日ごろ寝起きする部屋に。「日々の心得」として、十二箇条の自戒の言葉を墨書して掲げている。 読書を通じて接した先人の生き方に学んで抜き書きしたものからなっているが、その中に會国藩に倣った戒めもある。 こんな条々だ。
一、 即起
二、 不霑恋(ふてんれい)
三、 夜、門を出でず
「即起」と「不霑恋」は一連のもので、「黎明には即起し、覚めて後霑恋することなかれ」(朝、目が覚めたら直ちに起きだし、寝床でぐずぐずしてはならない)ということで、まず一日の初めに心すべきことである。 また「夜不出門」は、夜の巷に遊ぶことなく、家中で自らを深めることに励んで終わるという事で、自らに即して言えば、夜の会食などもできるだけ避けて、その実践を心がけている。 ~・~
真に、會国藩を倣った仙人期間を過ごしたならば、都知事選出馬を決意した時点で、都政の青写真を示せなければならない。 しかし「記者会見で発表する公約などの準備が整っていない」のだという。 「夜、門を出でず」の真偽は真に定かだ。
●16日付の読売新聞は、『過去に五輪返上論…細川氏、発言の一貫性苦慮』との見出しで次のように報じている。
~・~ 懸案となっているのは、細川氏の過去の言動との整合性だ。 特に東京佐川急便からの1億円借り入れ問題への説明が難題で、陣営内では「きちんと返しており、30年以上昔の話で問題がない」との楽観論もあるが、猪瀬直樹・前東京都知事が5000万円の献金問題で辞任した出直し知事選だけに、注目される可能性は高い。 陣営内には「最初に答えて、後の質問は『類似』として受け付けない」といった意見も出るなど、対応に神経をとがらせている。
また、昨年末に径(こみち)書房から出版されたジャーナリストの池上彰氏の著書でのインタビューで言及した「五輪返上論」も波紋を広げている。細川氏は東京五輪について、「安倍さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価が格段に違ったものになっていた」と語っている。
原発は国の政策だが、五輪は開催地の都知事が取り組む重要課題だけに、他候補から追及されるのは必至で、陣営関係者は「選挙にマイナスだ」と漏らしている。 ~・~
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます