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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説:慰安婦記事、朝日が取り消し

2014年08月10日 | 政治・政局

5日付の朝日新聞が、従軍慰安婦問題の報道に関する検証記事を特集し、「事実関係の誤りがあった」と、記事の一部を取り消した。

慰安婦問題に関する同紙の報道指針である「強制連行」説の羅針盤としていた吉田清治氏発言、「慰安婦を強制連行した」という証言が虚偽だったと認めざるを得ず、32年ぶりに取り消したのが最大の特徴である。 朝日は済州島で再調査したものの期待する「強制連行」はなかったことが判明したというのだ。 

10日放送のフジTV・新報道2001でもこの問題が語られ、フジTVが済州島で取材した結果、吉田発言で『海女20人を木剣で脅し強制連行』という話は地元で誰も知るものがなく、また『貝ボタン製造工場から女工を連行』との発言についても元従業員は「過酷な現場で女性にできる仕事でなく男性しか働く者はなかった」と語っていた。

番組に出演した橋下徹大阪市長は、『朝日はしっかりしてくれよ。 朝日の国際版をつくって「強制連行はなかった。 性奴隷はありませんでした。」と全世界に配信して国際社会に対してお詫びすべきですよ』などと持論・正論を述べた。

5日、石破茂自民党幹事長は記者団の質問に対して「検証を議会の場でも行うことが必要かもしれない」などと述べている。

政府は6月、有識者による「いわゆる従軍慰安婦問題に関する河野談話(以下、談話)」作成過程等の検証結果について「強制性の裏付けはなく、韓国の修正要求を入れ、両国トップが合意して作成された」と明らかしたものの「談話は見直さない」こととした。 これはこれとして、朝日記事の国会検証が行われなければ「報道の自由」の真意が捻じ曲げられる。 

以下は、朝日の記事取り消しに対する6日付の産経新聞と読売新聞、7日付の毎日新聞の社説の抄録である。 なお、6月21日付社説で「河野談話の論議打ち止めに」と書いた日本経済新聞は論評をひかえている。

●産経新聞:朝日慰安婦報道 「強制連行」の根幹崩れた

真偽が確認できない証言をこれまで訂正せず、虚偽の事実を独り歩きさせた罪は大きい。

菅義偉官房長官は「客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成されることを望んでいる」とした。その通りである。事実を歪(ゆが)めては国際的な信用は得られない。

●毎日新聞:慰安婦報道 国際社会に通じる論で

不確かで行き過ぎた報道がこの問題を冷静に議論する場を奪ってはならない。

慰安婦問題とはそもそも、戦時下において女性の尊厳が踏みにじられたという、普遍的な人権問題だ。国際社会に通じる感覚と視点で議論していくことが求められる。 にもかかわらず、朝日新聞が吉田証言を前提にした報道を続けたことで、国内論議は慰安婦の強制連行の有無にばかり焦点があてられた。その結果、女性の人権という問題の本質がゆがめられたのは残念だ。もっと早く訂正すべきだった。

ただ、「旧日本軍の関与」という言葉で政治決着させた河野談話を安倍政権が引き継ぐと世界に約束した以上、広義の強制性か狭義の強制性か、といった国内論議に改めて時間を費やすのでは、国益を損ねる。戦時下の女性の尊厳というグローバルな問題と捉え、日本の取り組みを再構築していくべきだろう。 

●読売新聞:朝日慰安婦報道 「吉田証言」ようやく取り消し

朝日新聞は1982年9月、「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」とする吉田氏の発言をうのみにして報じた。

これが韓国の反日世論をあおっただけでなく、日本について誤った認識が、世界に広がる根拠の一つとなった。今回、吉田証言を初めて虚偽と判断し、それをめぐる記事をようやく撤回した。

もっと早い段階で訂正されるべきだった。92年には疑問が指摘されながら、20年以上にわたって、放置してきた朝日新聞の責任は極めて重い。 

疑問なのは、「強制連行の有無」が慰安婦問題の本質であるのに、朝日新聞が「自由を奪われた強制性」があったことが重要だと主張していることだ。 朝日新聞は当初、吉田証言などを基に、慰安婦の強制連行を問題視してきた。だが、強制連行の根拠が崩れると、慰安婦が慰安所に留め置かれていたことに強制性があると主張するようになる。

今回も、問題の本質は、「慰安所で女性が自由を奪われ、尊厳が傷つけられたことにある」としており、その主張は基本的に変化していない。


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