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黛信彦の時事ブログ

リー・アイアコッカ

2008年12月05日 | 政治・政局

米国自動車産業ビッグスリーは、危機からの脱出と建て直しのために、臆面もなく議会に公的資金を求めている。
しかし、法律・政策の動機は恤民の心、民の心に響かないものは、議会の理解を得ることはできない。
いずれにしても、ビッグスリー救済問題は、クリスマスが山場となるだろう。

小欄は、第二次オイルショックで破綻しかけたクライスラーを、ムスタングの名以上に有名なリー・アイアコッカがどのように立て直したか、もう一度彼の自叙伝『わが闘魂の経営(発行:ダイヤモンド社、訳:徳岡孝夫)』を読んでみた。

1978年、イラン危機に端を発した第二次オイルショック。
日本ではあまり大きな影響を蒙らなかったが、米国自動車業界は大きく揺れた。
中でも、リー・アイアコッカ率いるクライスラーは破滅寸前に追い込まれる。
アイアコッカは、議会に対して債務保証を求めるが、競合するフォードなどの苛烈な反対に遭い進展しない。

アイアコッカは、新型車の写真を載せる広告ではなく、クライスラーに対して消費者の心にわだかまる疑問を次のように、文字だけの新聞広告にした。大見出しは
『クライスラーが倒産すれば、アメリカは幸福になれるであろうか?』
そして、続けた
・クライスラーの車は、燃費が悪い。それは衆知の事実ではないか?
・クライスラーの大型車は、大きすぎるのではないか?
・クライスラーは、なぜ小型化に遅れたか?
・クライスラーは、見当違いの車を作っているのではないか?
・クライスラーの問題は、最早解決不能なのではないか?
・クライスラー経営陣には、再建する能力があるのか?
・クライスラーは、十分に自助の努力をしているのか?
・クライスラーに未来はあるのか?
アイカコッカは、これらを解決する決意の言葉の末尾に自らのサインを入れて訴えた。

これは大衆の心を打ち、債務保証法案の採決日には大方の議員を味方に付けるまでになっていたが、評決直前に下院議長ティップ・オニールが議長席から降り、マサセッツ州選出の一議員として演壇に立ち、大恐慌下の1930年代ボストンで失業者が雪かきをしながら生計を立てた話を引き合いに、感動的なスピーチをした。
「私は、100名の職を救うにも全力を尽す。今日ただいま、50万以上の家庭が、我々の表決を待ち受けているのです。そんなときに、漫然と議論を続けるが如き行為は、どこか間違っているのではないだろうか」
下院では2対1でクライスラーの復活を決し、上院でも可決された。

債務保証法案はクリスマス直前に通過し、多くの家庭に心から祝えるクリスマスをプレゼントした。1980年のことである。
2週間後、米国政権はカーターからレーガンに移った。

経営の失敗を認めず、金の無心ばかりのビッグ3に「自主再建」は可能か【町田徹コラム】(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2008-12-05 19:16:31
同じことの繰り返し。反省のないサルにまた3兆円か?それで息をつないでも半年後にまた数兆円だ。
恥を知らない文化。反省のない文化。この10年トヨタははいぶりっとを開発しアメリカ国民の心を捉えた。ビッグ3はなにをしていたんだ?ただ大きいだけの、アイアコッカ以前、アイアコッカ当時を続けただけ。偉くもなんともない。恥を知れ!
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