ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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アマゾン・オーディブルが仕様変更へ

2018-07-30 22:00:56 | 日記
アマゾン・オーディブルが、仕様変更を発表しました。

定額聴き放題制から、コイン制に移行するというのです。

これまでこのブログで何度かアマゾン・オーディブルについて書いてきましたが、これはなかなか衝撃的な発表でした。

どんなふうになるのか、文書による説明だけではいま一つ把握しづらい部分もあるんですが、毎月コインが付与され、そのコインでコンテンツをダウンロードするということになるようです。

つまり、これまでのように定額でいくらでもダウンロードというわけにはいかなくなるのか……

まがりなりにも書く側の立場にいる人間としては、複雑な気持ちですね。

もちろん定額制サービスは違法ではありませんが、作り手の側に一定の譲歩を強いるものであることもまたたしかではあるように思えます。

コイン制という仕組みは、ある程度そのあたりの状況を改善するのかもしれません。

また、定額制によって作り手の側が二の足を踏むということもあったのかもしれません。コイン制にすることによって、それならばということで作り手側からの進出が増えれば、結果としてラインナップを充実させられる……ということなんでしょうか。

そのあたりは、想像するよりほかありませんが、やはり、オーディオブックという媒体自体がまだ過渡期ということなんでしょう。

これが、娯楽の一つの形として定着するか、それともあだ花として終わるのか、その分岐点に差しかかっているのかもしれません。

鷹の祭典 ホークスvsマリーンズ

2018-07-27 01:35:30 | スポーツ
ヤフオクドームで行われた福岡ソフトバンクホークスvs千葉ロッテマリーンズ戦に行ってきました。

“鷹の祭典”期間中で、ユニフォームをゲットしての観戦です。



私としては、球場に見に行った試合は一度も負けていないという“不敗神話”の継続がかかる試合でした。

前半から中盤までのホークスは、まったくいいところなし。

打線は振るわずひたすらゼロ行進が続き、6回表には先発投手が攻略され、連打を浴びて4点を失います。

その後8回裏に一点を返すものの、直後の9回表に1点返され、再び点差は4点となります。

満塁でデスパイネという絶好のチャンスもあえなく無得点となるなど、さすがにこの試合はもうだめだな、俺の不敗神話もいよいよここまでか……と私はほとんど諦めていました。

しかし、そこから驚きの展開が待っていました。

土壇場の9回裏、なんとか1点を返し、さらにツーアウトながらランナーが二人という状況……
ここで、バッターは上林。

彼の打った打球が、ライトスタンドへ飛んでいきます。

ホームラン性の当たりでは決してありませんでしたが……これが、ぎりぎりでテラススタンドに飛び込みます。
起死回生の同点3ラン。
球場が、一気に沸き返りました。まさに“祭典”にふさわしいお祭り騒ぎです。

下は、場内アナウンスで同点ホームランをたたえられ、それに応える上林選手です。



こうして試合は振り出しに戻り、延長戦へ。



延長十回。
マリーンズの攻撃は、三者凡退に終わります。
こうなると、ホークス側はもう押せ押せムード。
再びランナーを二人置き、バッターボックスに中村晃という場面。
ここで、マリーンズ側は敬遠を申告し、満塁で松田との勝負を選択します。

敬遠でまわってきた打順……バッターとしては奮起するところです。

私は、彼がバッターボックスに入ったところを撮影しました。



ここはマッチが決めてくれる。
この画像は「試合を決めた男がバッターボックスに向かうところ」としてブログに載せられる……という確信があったからです。

彼は、その期待を裏切りませんでした。

追い込まれたカウントから打ちにいった打球は、右中間へ。

これも、普通ならヒットになるかどうかきわどい当たりだったかもしれません。
イチローだったら捕っていたかもしれません。
しかし、バックホーム体制で外野陣は前進守備をとっていました。
その頭上を越えるようにして打球は飛んでいきます。
外野手も、もう追うのをあきらめたようでした。

これがサヨナラヒットとなり、6-5でホークスの勝利。

4点差をひっくり返す逆転劇でした。



これはひょっとしたら、自分史上のベストマッチかもしれません。

やっぱり、最後まであきらめてはいけないんですね。

諦めたらそこで試合終了ですよ……とは安西先生の言葉ですが、逆にいえば、あきらめないかぎり勝負は終わらないんです。

最後まであきらめずに戦う……その姿勢を教えてくれるような、熱い試合でした。


「生産性」発言

2018-07-25 16:05:28 | 時事
自民党の議員が、雑誌への寄稿で、同性カップルについて「『生産性』がない」と書いたことが問題になっています。

この件に関しては、釈明の余地はまったくないでしょう。

ツイッターなどでも、批判の声があがっています。

人間の価値を「生産性」で測るということ自体がおかしい。
それはナチスの思想であり(実際彼らは同性愛者も迫害の対象としていた)、福祉施設を襲撃して大量殺人を行った犯人と同列の思想である……

じつにその通りです。

こういうことを国会議員が堂々という。もう日本という国はめちゃくちゃになってきているな……と思わされます。

そもそも、人間の営みの中で“文化”と呼ばれるものは、生産性とは関係ないところから出てきたのだと思います。

女性は、ある程度の年齢に達すると、生物学的な意味での「生産性」が失われます。つまり、生殖という点では“生きている意味がない”状態になります。しかし、その“生殖という点では生きている意味がない”状態である高齢の女性の生活から、“文化”は生まれた……という説を聞いたことがあります。高齢の女性が物語の語り部となったり、手芸品を作ったりすることが、“文化”のはじまりだというわけです。

人はパンだけで生きているわけではありません。

もし人の価値が「生産性」を中心にして測られるとしたら、小説も、音楽も、ずいぶん寂しく空々しいものになるでしょう。映画や漫画なんかは、なくなってしまうかもしれません。

問題の議員の言葉ですが、こんなことが起きるのも、日本という国が落ち目になってきている表れだと思います。
この国はもう根っこから腐りつつあるなあ……と思わされた今回の騒動でした。

『盲獣vs一寸法師』

2018-07-22 21:36:21 | 映画
今回は、映画関連記事です。

このブログでは、映画系記事としてvsモノをいくつか扱ってきましたが、その延長で、『盲獣vs一寸法師』という映画について書きましょう。



原作は、江戸川乱歩。
乱歩の「盲獣」と「一寸法師」という短編をミックスして一つの映画にしたものです。

「一寸法師」のほうは、このブログで一度言及しました。
乱歩自身はこの作品のできに不満で、一時的に休筆してしまったほどですが、世間的にはそれなりに評価されたようで、この作品は何度か映画化もされています。
また、盲獣のほうも過去に何度か映画化されてるみたいです。

しかしながら、現代にこれをやるのはある種のチャレンジですね。
時代の変化というものがありますからね。昔は特に問題にされなかったことが、今では問題にされるということがあります。

乱歩作品では身体障碍あるいはそれに類するものが描かれることは珍しくなくて、現在では“不適切”とされてしまうであろう表現が多々ありますが、2000年ごろでもこれは結構ギリギリだったんじゃないかと思えます。

内容については、単に2つの作品をミックスしただけではなく、内容にも若干変更が加えられています。特に、「盲獣」のほうはラストの部分がかなり変わっていて、どうしてこんなふうに変えたんだろうなと考えさせられます。

ちなみに、「vs」といってはいますが、盲獣と一寸法師が直接対決するわけではありません。
両者が、競い合うようにして犯罪を重ねていく……というような話です。原作だと、「盲獣」に明智小五郎は登場しないのですが、この映画では「盲獣」のほうも明智探偵が関与します。

その明智小五郎を演じているのは、塚本晋也さん。
この作品では、監督としてではなく、俳優として出ています。
そのほかにも、園子温さんなど、多くの映画監督が俳優として出演しています。
そして、ワトソン的立場の小林紋三役をつとめるのは、リリー・フランキーさん。これが映画初出演なのだそうです。

監督をつとめるのは、石井輝男さん。
この映画を見るまで私は知らなかったのですが、カルト映画の世界では巨匠なのだそうで。
石井監督にとっては、この作品が遺作となったそうです。

ほかにも、某女性政治家の先生が出演していて……といった、話の内容以外のことでいろいろと話題になった作品でもあります。

そういうもろもろを考えると、じつは結構すごい映画です。

しかしながら、画質というか、映像のクオリティに関しては、賛否両論あるようですね。

監督の主宰する映画塾のようなものの塾生が中心になって作った作品で、良くも悪くも自主制作っぽさが濃厚に出ています。
私もかつて自主制作映画の手伝いをやってたことがありますが、まさにああいう感じですね。そのスタイルで昔を舞台にした映画を作るのがかなり難しいこともよくわかります。見ようによっては、かなり苦しいシーンがあるのも事実でしょう。

とはいえ、カルト映画界の巨匠が監督というだけあって、そのカルト感はものすごいですね。
グロ系の演出はチープですが、こういう映画はむしろいかにも作り物というチープな感じのほうが味があっていいと思います。ただ、いくらインディー系とはいえ、画質はやっぱりフィルム画質にしてほしかったな……と、そこだけはちょっと残念です。

サイボーグ009の日

2018-07-19 16:39:37 | 漫画
今日、7月19日は、“サイボーグ009の日”だそうです。

そんな日があったんですね。

タイトルに数字が入ってるんですから、その数字で記念日にしたいところですが……009では、それも難しかったということなんでしょう。
1964年に連載が開始された日付をもって記念日としたそうです。

以前『笑ゥせぇるすまん』についての記事で、何十年も前からやっていて今でもときどきアニメ化されるような作品はめったにない……といったことを書きましたが、009もそのわずかな例のなかに含まれるかもしれません。石ノ森章太郎も、藤子不二雄とはほぼ同世代のトキワ壮出身者で、漫画界のジャイアントですね。画面構成の斬新さなど、漫画を革新したという点では、手塚治虫と比肩される存在でもあるようです。

子供の頃、我が家には昔の名作漫画がいっぱいあって、009もその一つでした。
全巻そろっていたわけではないので読んでない部分も結構ありますが、子供心に燃えた作品でしたね。

私が読んだ中に、009をはじめとするサイボーグたちがベトナムへ行くというエピソードがありました。
ベトナム戦争の時代のことで、作者の問題意識を反映したものでしょう。昔の漫画は、少年向けであっても、そういう社会的なメッセージを込めたものが結構あったように思います。そのへんのところもふくめて、時代が変わったなあ、と感じさせられますね。