ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

メフィストへの挑戦を振り返る

2018-11-28 23:37:18 | 過去記事
過去記事の振り返りです。

投稿時代に、メフィスト賞に挑戦した時のことを書いてます。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話・番外編 ~メフィストへの挑戦~
今回は、『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話シリーズの番外編です。前回は、『ホテル・カリフォルニア』がこのミス大賞で最終候補に残ったものの落選した……というところまで書きま......


ガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』

2018-11-26 16:08:47 | 小説
「読書の秋にオススメの小説」として、ガストン・ルルーの『黄色い部屋の謎』を推したいと思います。

ガストン・ルルーは、『オペラ座の怪人』で有名な人ですが、ミステリー作品として『黄色い部屋の謎』も高く評価されてます。

この作品は、ミステリーにおけるいわゆる“密室”モノの金字塔といわれています。

密室を扱った作品はそれ以前にもありますが、密室の謎に焦点をあてて、長編ミステリーに結実させ、密室モノを一つのジャンルとして確立させたのはこの作品ではないでしょうか。
また、それ以前にPやD(一応ネタバレを避けるためにイニシャルにしてます)が描いた密室は隙間があり、ある意味では不完全な密室なんですが、この作品で描かれるのは、隙間のない完全な密室です。その解決法もなかなか手がこんでいて、現代の目から見てもかなり高度と感じられます。
ミステリーマニアの方であればすでに読んでいるでしょうが、これからミステリーの世界を探索したいという方には、マストアイテムといえるでしょう。


あとついでに……密室モノのミステリーとして、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』もどうぞ。

プロコル・ハルム「青い影」(Procol Harum, A Whiter Shade of Pale)

2018-11-25 21:33:35 | 音楽批評
今回は、音楽記事です。

以前、映画『オブリビオン』の記事で、プロコル・ハルムの「青い影」に言及しました。

そこで今回は、この「青い影」について書きましょう。

原題は、A Whiter Shade of Pale

この曲のことでまず思い出すのは、印象的なオルガンのイントロですね。
あれは、バッハの「G線上のアリア」を引用したものといわれます。
そのイントロだけを聴くと伝わりにくいんですが、実はプロコル・ハルムはバリバリのサイケデリックバンド。この曲も、歌詞はかなりサイケデリックな感じになってます。
この曲が発表された60年代当時は、まだプログレとかハードロックとかそういうジャンル分けが不明瞭で、サイケデリックっぽい傾向をちょっと取り入れるようなバンドが結構ありました。ディープ・パープルなんかも、最初期のころはオルガンを主体としたサイケデリックなサウンドをやってたんですね。


この曲は、松任谷由実さんに強くインスピレーションを与えたということでも知られています。

ユーミンさんは、プロコル・ハルムの面々と一緒にいろいろやってるみたいですね。詳しくは知らないんですが、デュエットバージョンの「青い影」もあるらしいです。

他のアーティストのバージョンということでいうと、意外な感じがしますが、ザック・ワイルドが自身のバンド Black Label Society でカバーしたやつなんかもあります。
ザック・ワイルドといえば、オジー・オズボーンのバックギタリストとして有名ですが、サイケデリックやハードロックが不分明だった時代から、70年代ぐらいに分化していく過程で、ディープ・パープルやブラックサバスといったバンドにもクラシック志向みたいなものが継承されていたということでしょうか。そういえば、ディープ・パープルの Burn も、バッハの曲からコード進行を借用していたりして、プロコル・ハルムの発想に通ずるものがあるかもしれません。そういう趣向が行きつくところまで行きつくと、イングヴェイみたいになるんでしょう。まあ、あそこまでいくとさすがに別枠のような気もしますが……

応募締め切り前の日々を振り返る

2018-11-23 15:59:25 | 過去記事
過去記事です。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』のもととなった作品を『このミス』大賞に応募した際のことを書いています。

『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話 ~応募締切前の日々~

『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話シリーズの記事です。今回は、『ホテル・カリフォルニア』をこのミス大賞に応募した経緯を、前回とはちがう観点で振り借りたいと思います。以......


『オブリビオン』

2018-11-21 19:56:44 | 映画
『オブリビオン』という映画を見ました。

2013年の作。主演はトム・クルーズで、ボンドガールを務めた女優でもあるオルガ・キュレンコが出ています。

SF大作……といっていいんでしょうね。

トム・クルーズに加えてモーガン・フリーマンも出ていてたりして、キャスティングだけ見てもかなり豪華です。

舞台は、近未来の地球。
異星人の攻撃を受けて、壊滅的なダメージを受けた地球で、ある任務にあたっている地球人が主人公です。


これはちょっとネタバレ気味になってしまいますが、この作品にはある種のどんでん返しが用意されています。
しかし、そのどんでんの返し方が、どうにも微妙です。
この手の作品を見慣れている人なら、最初の十数分で設定が提示された時点で、一つの可能性を考えるでしょう。そして、それは間違っていないのです。

まあ、自慢ですが、私は見抜きました。
なので、真相が明らかになった時にも、やはりそうか、とにやりとしたものです。

しかし、実際のところ、これはそんなに自慢できることでもありません。先述したとおり、おそらく真相に気づく人は少なくないんでしょう。

作品自体も、そこはもう看破されてしまうことをある程度織り込み済みなんじゃないですかね。
どんでんは、もう中盤あたりで返されてしまいます。そこがまた中途半端に思えるんですが、しかし、じゃあその後どうするか……というところが、この映画のもう一つの見所でしょう。

敵のラスボスのもとへ乗り込むときの突破法なんかは、うまく練られていたと思います。
ただラストは、ううん、これはどうなんだろうな……と思ってしまいましたが。

もう一つの見所は、廃墟と化した地球の光景でしょうか。
地上は荒廃し、巨大な装置が海水を吸い上げる……ここは、劇場のスクリーンでみたら迫力があるでしょう。

あと印象に残っているのは、作中でプロコル・ハルムの「青い影」が流れるシーン。
個人的に最近この曲に密接に触れる機会があったので、その偶然に驚きました。まあ、これは完全に個人的な事情ですが。