ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

2021年の終わりに

2021-12-31 23:03:47 | 日記


いよいよ、2021年ももうすぐ終わりというところまで来ました。

結局コロナ禍の終息をみないまま越年ということになりましたが……また新たにオミクロン株の拡大という状況をみると、まだ長期戦を覚悟しなければならないようです。

思えば、今年はいろんなアニバーサリーの話を紹介してきました。

まあ毎年なにかしらあるんでしょうが、今年は何かこうビッグなものが多かった気もします。
あるいは、下一桁が「1」の年は、新たな十年代の始まりということで何か斬新なことを始めようというような雰囲気があるのかもしれません。
2020年代はコロナ禍のなかで幕を開けたわけですが……ここからの2020年代が暗い時代とならないことを祈るばかりです。




モスラ60周年

2021-12-30 22:33:55 | 日記


いよいよ、2021年も残りわずかとなってきました。

今年はいろんなアニバーサリーの話をしてきましたが……ここで、もう一つその類の話をしておきたいと思います。
それは――「モスラ60周年」。
1961年、映画『モスラ』でモスラが銀幕に初登場して、60年が経つのです。
アニバーサリーにあわせて、映画公開当時のかたちをデジタルリマスターで再現するプロジェクトも。
これによって再現された復刻版『モスラ』は、現在上映中です。残念ながら私はちょっといけそうにありませんが……その紹介動画をのせておきましょう。

『モスラ』4K復活プロジェクト ~デジタルリマスター作業完全密着~

モスラといえば、東宝特撮が誇る怪獣。
その存在感は、ゴジラと双璧をなすといっても過言ではないでしょう。ゴジラが死の象徴だとすれば、モスラは生の象徴という、そういう対称性をもった怪獣であり、ゴジラシリーズにおいてゴジラをのぞけばもっとも多く登場した怪獣でもあります。
ゆえに、平成モスラシリーズというものもあって、水中モードモスラなんていうものも生まれました。こちらは、そのフィギュアです。




モスラは生の象徴だといいましたが、その英語スペル Mothra は、Mother に似ています。すなわち、母性の象徴でもある……モスラの命名には、そういう意味合いも込められているそうです。
今後もし令和版ゴジラというものがまた作られていくのだとしたら、やはりそこにはモスラの姿もあることでしょう。また新作でその姿を見られる日を待ちたいと思います。




「上を向いて歩こう」60周年

2021-12-29 15:26:27 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

このブログでは、今年のいろんな「〇周年」について書いてきましたが……

もうひとつ、大きなアニバーサリーがありました。

それは、「上を向いて歩こう」60周年です。
1961年にこの曲が発表されてから、もう60年が経ちました。これについて記事を書こうとずっと思いつつ、なかなかそのタイミングをつかめずにいたんですが……もう2021年も残すところあと数日というところまできたので、いよいよ書こうと思います。

歌っているのは、いうまでもなく坂本九。

この人が一時ドリフターズにいたという話は以前書きました。
ドリフターズがお笑いメインになる前の話です。

そのドリフターズにいた関係から、彼は曲直瀬信子と出会います。
この方は、日劇ウェスタンカーニバル開催に関わり「マダム・ロカビリー」と呼ばれた渡辺美佐の妹。
この出会いから、「上を向いて歩こう」が生まれるのです。


時代は、テレビが普及しつつあった頃。
映画ではなく、テレビのスターというものが出てきます。そこで求められる明るさや親しみやすさといった資質を持っていた坂本九は、「勝手口のスター」となっていくのです。

その坂本九の代表曲が、「上を向いて歩こう」。

ちょっと前にこの歌を取り上げたテレビ番組があって、そこでちょっとびっくりするような話がありました。
というのは……われわれの知っている「上を向いて歩こう」は歌いだしの一拍目が休符になっていますが、当初中村八大が書いた譜面では、そうではなかったというのです。
つまり、「ッうえをむーいて」ではなく、「うーえをむーいて」だったと……
これはかなり衝撃的な事実だと思います。
実際に坂本九が歌う段になって、すりあわせしていくなかで一拍目が休符になったそうです。それによって、いわゆる裏拍を強調した、どこかはずむようなリズムが生まれたということでしょうか。まさに、高度成長にむかっていく時代をとらえていたといえるのかもしれません。


もう一つ、時代ということでいえば……この歌の背景として忘れてならないのは、60年安保です。

永六輔によるこの詞には、60年安保の挫折感が投影されているといわれます。
上を向いて歩こう、涙がこぼれないように……
以前ちょっと触れましたが、かぐや姫のヒット曲「神田川」は、70年安保の挫折を背景にしているといわれます。戦後日本歌謡曲史における屈指のヒット曲二曲が安保闘争の敗北を背景としている、そこにあるのは“敗北の美学”である――といったようなことを書きました。
そういう意味でも、「上を向いて歩こう」は時代を代表する曲といえるでしょう。

この曲はアメリカでもヒットし全米チャートで一位になったことでも知られます。まさに、日本の歌謡曲を代表する一曲となったのです。
そんなわけで、国内外で多くのアーティストにカバーされ、忌野清志郎などもレパートリーに加えていました。
それら多くのカバーバージョンのなかから、いくつかを紹介しましょう。
まずは、Charさんによるカバー。

上を向いて歩こう - Char 【 "STAYING ZICCA"先行予約盤限定DVDより 】


今から10年前には、なんと、ベン・E・キングが日本語でカバー。
2011年、東日本大震災を受けて、日本への支援の意を込めて発表されました。

ベン・E.キング - 上を向いて歩こう

この2011年というのがつまりは「上を向いて歩こう」50周年ということになるわけですが、実はベン・E・キングの代表曲「スタンド・バイ・ミー」も同じ1961年発表で50周年でした。ということは、今年は「スタンド・バイ・ミー」60周年でもあるという……

最後に、最新のカバーとして、来年テレビドラマ『となりのチカラ』に使用される上原ひろみさんのピアノバージョン。

【主題曲解禁!】テレビ朝日 木曜ドラマ『となりのチカラ』1月20日スタート毎週木曜よる9時放送 主題曲(「上を向いて歩こう」上原ひろみ)ver.PR

「上を向いて歩こう」は、60年にわたって、打ちひしがれた人々に寄り添ってきました。
まさに、戦後日本が誇る名曲といえるでしょう。





横溝正史没後40年

2021-12-28 21:49:01 | 日記

今日は12月28日。

なんの日かというと……横溝正史の死去した日です。

1981年12月28日のこと。ちょっと前に一度書きましたが、今年は没後40年にあたります。
こんなところにも“アニバーサリー”がありました。これにあわせて、横溝が戦中戦後に疎開していた岡山県の倉敷市では「しのぶ会」が行なわれたそうです。

この日本ミステリー界における巨星については何度か書いてきたので、今さらまた何かを書くということもないんですが……まあ、せっかくなので、横溝作品を一つ紹介しようと思います。

『三つ首塔』です。


このタイトルだけでも不気味な感じが伝わってきますが、そればかりではありません。この作品の仕掛けには、感心させられました。
ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、これは結構斬新だったのではないかと思います。
同種の趣向はそう珍しいものでもないですが、そこに加えた一ひねりというか――それも、よくよく考えてみれば、某有名作家の一作品に似たような仕掛けがあり、また、それをさらにアレンジしたような作品を過去に読んだこともあるんですが――しかし、そこはやはりさすがの横溝大先生で、その調理の仕方が絶妙なのです。横溝ワールドでこうこられると、やられた感もひとしおになってきます。
……と、なんだか奥歯にもののはさまったような言いぶりになってしまいましたが、ミステリーについて書く場合にはこれは致し方ないところ。
興味をもたれた方は、実際『三つ首塔』を読んでみてください。




クリスマスソング特集 

2021-12-25 16:19:09 | 日記


今日は12月25日。

いうまでもなくクリスマスです。

オミクロン株でコロナ第六波の兆候がみえるなか、あまりクリスマスを祝う気分でもありませんが……
しかしそんななかでも一筋の希望を、ということで、今回はクリスマスソング特集をやりたいと思います。


私のなかでクリスマスの定番といえば、ジョン・レノンの「ハッピークリスマス」。
ちょっと前にジョン・レノンの記事でも登場しましたが、今回はサラ・マクラクランによるカバーを。

Sarah McLachlan - Happy Xmas (War Is Over) (Clear Channel Stripped Raw and Real)


続いて、ブルース・スプリングスティーン。
この人も、今年このブログでよく登場しました。あまりクリスマスという感じのシンガーでもありませんが、なにせキャリアが長いのでクリスマスソングもいくつか歌っています。そのなかから、「ブルー・クリスマス」を。

Bruce Springsteen - Blue Christmas (Live At The Carousel, Asbury Park, NJ - 2010)


クイーン。
今年は、フレディ・マーキュリーがこの世を去ってから30年という年でもありました。

Queen - Thank God It's Christmas (Official Animated Video)  


プリテンダーズの2000 Miles。
これは、MVもふくめて、いかにもクリスマスという感じです。

Pretenders - 2000 Miles (Official Music Video)


Do They Know It's Christmas?
この曲は、バンドエイドのオリジナルバージョンやそのカバーを紹介してきました。ポール・マッカートニーの記事で紹介した「ライブ8」にあわせてバンドエイド20によるカバーもありましたが、今回はそこからさらに10年後の、Band Aid 30 バージョンを。

Band Aid 30 - Do They Know It’s Christmas? (2014)

「ウィルスを止めよう」というスローガンがついていますが、これは2014年の曲なので新型コロナのことではありません。エボラ出血熱の話です。
グローバル化が進んだ21世紀、人類にとっての脅威は戦争や飢饉より疫病なのかもしれません。


ここから、クリスマススタンダードを。

O Holy Night。
Libera という少年合唱団による歌。

Libera - O Holy Night

この歌は、一説に、録音技術が開発されて歴史上はじめて録音された歌だともいいます。


サイモン&ガーファンクル「山の上でつげよ」。
この二人が歌うクリスマスソングといえば「きよしこの夜/7時のニュース」がよく知られていますが、今回はこちら。

Go Tell It on the Mountain

この歌は、ピーター、ポール&マリーも歌い、そのバージョンをボブ・マーリィがカバーしたりもしました。
ただし、PPMのバージョンは歌詞がだいぶ変わっています。
PPMのメンバーはユダヤ教徒であるため、キリストの生誕を祝う歌を歌うのは宗教上よろしくなかったということらしいですが……しかし、それをいったら、じゃあポール・サイモンはどうなのかという話にもなってきます。
まあ、そもそも論でいえばクリスマスがキリストの誕生日だというのも間違いなわけであって……ただ、その虚構のなかに一つの真実がある。それは、宗教のこととはまた別の話だと私は思ってます。サイモン&ガーファンクルがこの歌をとりあげたのも、宗教云々とは別の次元からなんじゃないでしょうか。


ジャスティン・ビーバーによる、Little Drummer Boy。
生まれたばかりの王(イエス・キリスト)に、自分には贈り物が何もないので太鼓をたたきます……という歌。
このイノセンス感は、ジャクソン5でこれをやっていたマイケル・ジャクソンに通ずるものがあるかもしれません。ラップが入ってくるところでガラッとイメージが変わりますが……

Justin Bieber - Drummer Boy ft. Busta Rhymes (Official Audio)


最後に、日本代表として、桑田佳祐「素敵な未来を見て欲しい」。
PVのイメージではわかりにくいですが、歌詞中にクリスマスという言葉が出てくるので、クリスマスソングに数えていいでしょう。

桑田佳祐 – 素敵な未来を見て欲しい(Full ver.)

ロックスターは道化師の仮面の奥にピュアな心を持っている……とこのブログではいってきましたが、桑田佳祐という人はそれが実に鮮明です。