映画『エルヴィス』を観ました。
先日の映画記事はエルトン・ジョンを描いた『ロケットマン』をとりあげましたが、こちらはエルヴィス・プレスリーを描いたドキュメンタリーとなっています。これもアマプラに入っていたので、視聴してみました。
公開は、2022年。
『ボヘミアン・ラプソディ』が売れたから2匹目のどじょうを狙って作られた作品か……と私は思ってたんですが、どうやらそういうことではないようです。ウィキ情報によれば、作品の構想は2014年頃からあったんだとか。
その予告動画です。
映画『エルヴィス』US版予告 2022年7月1日(金)公開
この映画は、エルヴィスのマネージャーであったパーカー大佐の視点で描かれます。
エルヴィスを食い物にした悪徳マネージャーというようなイメージで見られることも多い人物です。そのパーカー大佐の回想というかたちで映画ははじまり、大佐の回想というかたちでの語りが折に触れて出てきます。この構造が、エルヴィス・プレスリーのドキュメンタリーとして適切であったかどうかというのは、議論の余地があるでしょう。私個人としては、それによってフォーカスのブレが生じているようにも感じられました。エルヴィスという人物を描くにあたって重要視されるべき要素がうまくフォーカスされずに焦点がぼやけてしまっているような……まあ、今さらエルヴィスの映画を作るのに普通に作っても新味がないということでこうなったのかもしれませんが。
結果として、この映画においては、ロックンロールの革新者としてのエルヴィスというよりも、その影の部分のほうが色濃く映し出されているように思われました。
成功のかげでドラッグに溺れ(といっても、エルヴィスの場合は違法薬物ではなく合法な薬物の濫用ということだったようですが)、家庭は崩壊し、放蕩が祟って経済的にも苦境に陥る……都会に出て堕落する、いわゆる“フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド”の典型であり、『ロケットマン』で描かれたエルトン・ジョンの姿にも相当に重なるところがあります。『ロケットマン』では、そこからの再生が描かれましたが、エルヴィスの場合、再生のための時間は十分に残されていませんでした。パーカー大佐の桎梏から逃れることができないまま、1977年に死去。エルトン・ジョンが別れを告げた“黄色いレンガ路”からエルヴィスはついに脱することができなかったのかもしれません。
ここで、音楽について。
音楽について、というと微妙ですが、本作にはゲイリー・クラークJrが出演したりしています。観ているときには気づきませんでしたが……
ゲイリー・クラークJr といえば、ビートルズの Come Together をカバーしている動画を先日紹介しましたが、このゲイリー・クラーク版のCome Together が劇中で使われているらしいです。これも気づかなかったんですが……
そして、映画のエンディング曲では、豪華なアーティストが楽曲を提供しています。
まず一組目が、エミネムとシーロー・グリーンがコラボした The King and I。エルヴィスの「監獄ロック」をベースにしたヒップホップとなっています。
そして最後に登場するのが、マネスキン。
今もっとも勢いのあるバンドといってもいいでしょう。そのマネスキンが、エルヴィスの
If I Can Dream をカバーしています。
先述したような映画の構成上の問題で、この曲に関してはほんのさらりとしか劇中で触れられないんですが……
マネスキンのYoutubeチャンネルから、動画を載せておきましょう。
映画を踏まえたビデオとなっています。
If I Can Dream (From The Original Motion Picture Soundtrack ELVIS) (Official Video)
余談ながら、マネスキンのボーカルであるダミアーノは、エルヴィスと誕生日が同じなんだそうで……そういったこともあっての起用でしょうか。