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ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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ウクライナ戦争開戦から3年

2025-02-24 22:21:28 | 時事


今日で、ウクライナ戦争の開始から3年が経ちました。

短いようで、長い年月という気がします。


開戦から3年ということは、太平洋戦争でいえば、もう日本側の海軍力はほぼ壊滅していて、反撃などどうやっても望むべくもない状態になっていたときです。それを考えれば、ウクライナ戦争は相当に膠着しているといえるでしょう。
ロシアが崩壊寸前、あるいはウクライナが崩壊寸前というような話はこれまでに何度も出てきましたが、いずれも実際にそうはなりませんでした。放っておけば、このまま何年も続いてしまうかもしれない……ということで、最近停戦の機運も出てきているようです。
停戦の話も、これまでに何度も出てきて実現していないわけですが……今回はそれなりに具体性もあるように見えます。ウクライナのゼレンスキー大統領が、場合によっては辞任するというようなことをいったりもしています。
ただ、トランプ米大統領が主導して “ディール”というかたちでやってしまうのはちょっと危うい気も。
やはり、軍事侵略に報酬があってはならない。そこは、枉げるべきではないだろうと。
とりあえず停戦ということにはもちろん反対しませんが、ロシア側に政治的・経済的なプレッシャーはかけ続ける、同じことが起こらないようにする、という工夫をしてもらいたいところです。



Michael Schenker Group, Are You Ready to Rock

2025-02-21 23:03:52 | 音楽批評


先日、ピロウズの解散という話がありましたが……

この件に関連するウェブ上の記事を読んでいたら、さわおさんがロックの方向に進むきっかけとして、マイケル・シェンカーの名が出ていました。

中学生の時にマイケル・シェンカー・グループのAre You Ready to Rockに出会い、これをギターで弾いたことが、大きな経験だったといいます。

Are You Ready to Rock (2008 Remaster)

「ロックの準備はできているか?」という問いかけに、さわおさんはイエスと答えたわけです。

ピロウズとMSGというのはちょっと意外な組み合わせという気もしますが……そこがさすがのマイケル・シェンカーということでしょう。この人は“神”とも称されるギタリストであり、ジャンルを問わず多くのアーティストにインスピレーションを与えてきたのです。


ここで一応、マイケル・シェンカーという人の基本情報。

マイケル・シェンカーは、スコーピオンズのルドルフ・シェンカーを兄に持つギタリストです。
代名詞のフライングVも、もともと兄がもっていたフライングVをちょっと借りて弾いたことがきっかけといいます。本人が「Vを探し求めたのではなく、Vが俺のところにやってきた」と語るように、出会いは偶然だったわけですが、Vの部分に足を差し込むようにして固定することでビブラートをより豊かに表現できる……というふうに、音楽上の利点もあるそうです。
シェンカー兄弟はドイツ出身でありスコーピオンズはドイツのバンドですが、マイケルがギタリストとしてワールドワイドに売り出したのは、ブリティッシュ・ハードロックのバンドUFOにおいてでした。
UFOは、ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンといったレジェンド世代の存在です。このブログで以前書いたように、もうフェアウェルツアーをやって活動終了という状態ですが、再結成の噂もささやかれています。
昨年マイケルは、50周年を記念してUFOの楽曲をカバーするアルバムをリリースしています(自身が加入して初のアルバムとなるPhenomenonがリリースされたのが1974年で、そこを起点として50周年ということのようです)。
収録曲のいくつかはこのブログに載せてきたと思いますが、ここではRock Bottomの動画をリンクさせておきましょう。ハロウィンのカイ・ハンセンが参加しています。これも、前にどこかで紹介したような気はしますが……

MICHAEL SCHENKER - Rock Bottom feat. KAI HANSEN

私事ですが、ちょっと前に地元のライフハウスにいったら、そこでこの曲をカバーしているバンドがいました。もう半世紀も前の曲ですが、それがこうやって今でも演奏されている……マイケル・シェンカーというのは、そういう存在なのです。


この“神”にまつわる伝説はいろいろあるわけですが、オジー・オズボーンのバックギタリストに誘われたというのも、大物ぶりを示すエピソードでしょう。

オジー・オズボーンのバックギタリストとして知られるランディ・ローズが飛行機事故で死去した際、マイケルは、オジーから直々に後任の打診を受けていたといいます。
しかし、結果としてこれは破談に。
このときマイケル・シェンカーがプライベートジェットを要求したという話がありますが、マイケル本人によれば、これはわざと法外な要求を出して破談にもっていくためだったとか。その当時は状況的にオジーのバックにつくことが難しく、うまく断ることもできずにそういうふうにしたというのです。さすがにマイケル・シェンカーVSオジー・オズボーンともなれば、話のスケールが違います。



今年は、来日も予定されていますが……マイケル・シェンカーは日本にも結構愛着をもってくれているようです。
昨年は、先述した50周年記念の一環として、メインギターとして使用してきたギターDean V を日本のモバオクに出品するなどということもありました。このオークションの結果がどうなったのかというのはよくわかりませんが……悪質な転売屋の手に渡っていないことを願うばかりです。


最後に、もう一度さわおさんの話ですが、マイケル・シェンカーという人の考え方は、どことなくさわおさんに通ずるところがあるような気もします。

マイケルは自らを「音楽の修道士」と表現し、「本当に自分がやりたいことをやるだけ。誰かの真似をするのではなく、自分で選んだ方法でそれをやる場所にいるだけなんだ」と語っていますが、この言葉はピロウズのNEW ANIMAL という曲を思い出させます。

the pillows / NEW ANIMAL

この歌のなかでさわおさんは「審査員は自分自身のほかに誰もいらない」「誰かになりたいわけじゃなくて、今より自分を信じたいだけ」と歌いました。この孤高こそが、彼らを真のアーティストたらしめているものなのでしょう。

ちなみに、ここでさわおさんが弾いている白黒のV字ギターは、まさにマイケル・シェンカーへのリスペクトを示すものでしょう。さわおさんといえば白黒カラーのサイクロンも知られていますが、それだけマイケル・シェンカーにはリスペクをもっているわけです。ただそれは、歌詞にもあるとおり、マイケル・シェンカーの真似をしたいということではありません。自分がやりたいことをやる、誰かの真似をするのではなく――そういうアティチュードを共有するということなのです。だからこそ、彼らは力強いロックを奏でることができたのでしょう。



西の都、日本遺産降格……

2025-02-13 22:38:58 | 日記


今日2月13日は、「日本遺産の日」です。

この日本遺産というものに、福岡、佐賀の史跡が認定されているという記事を
3年前に書いたんですが……



日本遺産「西の都」

2月13日は、「日本遺産の日」だそうです。日本遺産……これは、世界遺産の国内版といったところでしょうか。日本各地の有形・無形の文化財を「日本遺産」と認定し、その魅力を発信して......

最近、それが取り消しになったというニュースがありました。

複数の構成資産の間で連携がとれておらず、誘導ができていないといったことが理由として挙げられているそうです。
結果、候補地域に格下げに。これは、日本遺産認定制度が始まって以来初の降格だとか。
まあたしかに、大宰府天満宮は突出して有名ですが、その周辺にある施設はともかく、そこからちょっと離れたところに足をのばすかといえば……なかなかそうはならないのかな、という気もします。福岡、佐賀の二県にまたがっているのも、連携を難しくしているところでしょう。実際私も、3年前に当該記事を書いた際に、佐賀のほうへは行きませんでした。ここからこんなふうにすれば行けるというような案内がわかりやすくなされていなかったというのは確かにあると思います。
2026年度になればまた再申請できるということなので、そのあたりを見直して、また挑戦するのもいいんじゃないでしょうか。
まあ、認定されることにどういうメリットがあるのかというも正直よくわからないんですが……




フジ問題から見えるこの国のかたち

2025-02-11 22:54:40 | 時事


今日2月11日は、建国記念の日です。

その日付にあわせて、このブログでは社会問題的なテーマについて書いたりもしています。
たいていは、悪い話になってしまうことが多いわけですが……今年もそうです。現在、大きな社会問題といってまず思い浮かぶのは、なんといってもフジテレビ問題でしょう。

昨年末に中居さんの報道が出た時には、まさかこれほどの大騒動になるとは思いませんでしたが……今やフジテレビのみならず、テレビ業界、芸能界全体を揺るがす大事件になってしまいました。

このタイミングで同じような話が暴露されたりして、当事者がそれを事実と認めるようなケースもあり……そうなってくると、業界にそういった闇の慣行が存在したことはある程度否定できないことなんじゃないでしょうか。


一連の騒動を見ていると、ジャニーズ問題がどうしてもオーバーラップしてきます。
そこには、この国の病理が垣間見えるのではないでしょうか。
もちろん、権力をもっている存在がアンタッチャブルになって好き勝手なことをし始めるというのは、程度の差はあれ、どんな国のどんな業界にもあることでしょう。しかし、日本という国はその度合いがかなり高いのではないかという気もするのです。
その背景には、このブログでたびたび書いてきた“正義リテラシー”の欠如があるのではないかと私は思っています。普遍的な正義とローカルな正義が衝突したときに、しばしばローカルな正義のほうを優先させてしまうという……それがつまりは、組織を守るために不正を隠ぺいするという行動につながるわけです。
これもたびたび書いてきたことですが、そういったあり方が戦前の軍部を暴走させ無謀な戦争に突き進んでいった背景でもあると思われ……この国が克服しなければならない宿痾であると感じるのです。



ビートルズの日2025 Help!

2025-02-04 22:08:38 | 日記
 
今日は2月4日。

ビートルズの日……ということで、今年もビートルズ記事です。

このシリーズでは、60周年を迎えるアルバムを紹介するというようなかたちが続いていますが、その流れでいくと、今回は65年発表のHelp!ということになります。

 

以前のビートルズ記事でもちょっと言及しましたが、この頃のビートルズは、渡米してボブ・ディランの影響を受け、そこから内省的な方向を出すようになったといわれます。
ビートルズが本格的な変化を見せ始めるのは次作Rubber Soul からだと私は認識していますが、たしかにこのHelp!でも、それまでになかった側面を見せ始めてはいるでしょう。それは、収録曲のカバーなどを見ていても感じられます。ということで、それらのカバーをいくつか見てみましょう。



まず、タイトル曲を、ディープ・パープルがカバーしています。
以前このブログでそのMVを紹介しましたが、今回はアルバム音源のバージョンで。

Help

ディープ・パープルが当初サイケデリック系のバンドだったというのは、何度か書いてきました。その時期の彼らがHelp!を取り上げたのは、そこにサイケデリックに通じるものを感じていたからでもあるでしょう。


ディランの影響ということでよく言及される「悲しみはぶっとばせ」。
私の敬愛するジャクソン・ブラウンがカバーするバージョンがあります。

You've Got To Hide Your Love Away

2011年に行われたジョン・レノントリビュートイベントでのパフォーマンス。
2011年というのはつまり、東日本大震災の年ということで、そのチャリティ的な意味合いで、イベントの収益から日本赤十字に寄付されているということのようです。
「悲しみはぶっとばせ」というタイトルはその趣旨にふさわしいように思えますが、実は歌の内容はそういう感じでもなく……日本語ではそんなタイトルになっているということで選曲したんでしょうか。そのあたりの事情はわかりませんが、ボブ・ディラン、ビートルズ、ジャクソン・ブラウンとつながってくるのは、たしかにフォークロックの魂を感じさせます。


ディランに勝るとも劣らぬロックンロールのレジェンド、エルヴィス・プレスリー。「イエスタデイ」をカバーしています。

Yesterday (Live)


「涙の乗車券」。
ヴァニラ・ファッジのカバーするバージョンで。
この曲は、カーペンターズのカバーも有名だと思いますが、ヴァニラ・ファッジなんかもやっていたわけです。

Ticket to Ride

余談ながら、ここでドラムを叩いているカーマイン・アピスは、後年はHR/HM方面でも活躍していて、先日死去したジョン・サイクスとも一緒に活動したことがありました。


アルバム中唯一の非オリジナル曲Dizzy Miss Lizzy。
ここはカバーではなく、オリジネイターであるラリー・ウィリアムズのバージョンを。

Dizzy Miss Lizzy

ラリー・ウィリアムズといえば、ビートルズのSlow Downという曲も、オリジナルはこの人です。Slow Downは、ジャムがカバーしたりもしていました。

……といふうにこの記事で出てきたアーティストの名前を見て来ると、ジャンルがじつに多彩です。
オールディーズ系から、フォーク、ハードロック、ヘヴィメタル、パンク……それらがまだ混然一体だった時期から、次第に細分化し始めるのが60年代の終わりごろ。Help!は、それを先取りするような作品ともいえるのではないでしょうか。