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ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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アニメ『地獄先生ぬ~べ~』

2025-04-04 21:24:27 | アニメ


『地獄先生ぬ~べ~』が、今年の夏に再びアニメ化されるそうです。

『地獄先生ぬ~べ~』 本PV第1弾

もとは、原作・真倉翔、作画・岡野剛というコンビによる漫画。
よくも悪くもジャンプ黄金時代の雰囲気を強く残す作品で、後にスピンオフ作品や続編も制作され、今回のアニメリメイクに合わせてか、漫画のほうでも新作読み切りが発表されるとか。

私個人としても、感慨深いものがあります。

前に紹介した『ダイの大冒険』なんかもそうですが、自分が十代のころにリアルタイムで触れていた作品が、こうして数十年を経てリメイクされるというのは、それだけでもこみあげてくるものがあります。
そして、このぬ~べ~という作品は、私がもっと子供のころに呼んでいた名作漫画に対するリスペクトにあふれた作品でもあるのです。
登場人物の一人、まことの名が、楳図かずお先生の『まことちゃん』からとられているという話を前に書きましたが……ほかにも、漫画史に残る名作群へのオマージュが随所にちりばめられています。ドラえもんのエピソードをほぼそのまま持ってきたような話もありました。


ただ、今回のアニメリメイクに関しては、近年のいわゆるコンプライアンス的なところで厳しいと思われる部分も多々あります。
最近のリメイクアニメは大抵どれもそうですが……ぬ~べ~もなかなか強烈です。90年代に一度アニメ化されているわけですが、その当時でも、おそらく問題にされる描写は多々あったものと思われます。ましてこの令和の時代には……ということになってくるでしょう。また、ぬ~べ~の場合はいわゆるお色気的な描写とは別に、オカルト、スピリチュアルといった部分でも問題視される部分があるのではないかと想像され……果たして大丈夫なのだろうかとちょっと心配しています。

ただ、そこで少し考えるのは、果たしてこの十数年ぐらいで進んできたいわゆるコンプラというものの意味です。
“コンプラ”というのは、コンプライアンスという言葉の本来の意味からかなり拡大解釈、ないしは逸脱してきているように思われます。そうしてコンプラが強化されたことで、果たして社会はよりよくなったのか、失われてしまっているものもあるんじゃないか……『ぬ~べ~』の原作をたまに読み返したりすると、そんなことも考えさせられるのです。そのあたりの微妙なところを、今回のリメイクが果たしてどういうふうに扱うのか、そういったところも注目したいと思います。





アニメ『悪魔くん』

2023-10-22 22:52:17 | アニメ


今日10月22日は、「アニメの日」。

ということで、ひさびさにアニメ記事を書こうと思います。

去年のこの日は「デビルマン」について書きましたが……そこからの悪魔つながりということで、今回は『悪魔くん』(1989年版)です。


『悪魔くん』は、水木しげる原作のアニメ。

水木先生の作品世界において『ゲゲゲの鬼太郎』と双璧をなすライフワークといっていいでしょう。
世間的な認知度としては鬼太郎のほうが先行していると思われますが、先にブレイクしたのは「悪魔くん」のほう。1960年代に実写ドラマがヒットし、そのことで水木しげるという漫画家が注目されるようになり、それまでぱっとしなかった鬼太郎も人気が出るようになったといわれています。


鬼太郎がそうであるように、悪魔くんにも複数のバージョンが存在しています。
私もそのすべてを知っているわけではないんですが……そのなかの一つに、80年代『コミックボンボン』で連載されたバージョンがあって、1989年のアニメ版はこれとリンクしていました。
その第一話が東映アニメの公式チャンネルで公開されているので、貼っておきましょう。

【公式】悪魔くん 第1話「魔界の見えない学校!!」

一応簡単に内容を説明すると、「悪魔くん」と呼ばれる主人公の少年が十二使徒の力を借りて地上に楽園を築くために戦うという物語です。
大雑把な説明ですが……先述したようにこの作品には複数のバージョンがあって、それぞれに設定がかなり違っています。主人公の本名さえ異なっており、共通している部分をとりだすと先ほどのような簡素な説明にならざるをえないのです。


そして、今年。
悪魔くんは、ふたたびアニメとして復活します。

以前ちょっと書きましたが、水木しげる生誕100周年ということで種々のプロジェクトが展開されており、その一環として悪魔くんの新アニメが制作されているのです。その予告PVも貼っておきましょう。

『悪魔くん』予告編PV - 2023年11月9日(木)よりNetflixにて世界独占配信!

11月9日から、ネトフリで配信とのこと。
ネトフリか……というところで頭を抱えてしまうんですが。


さて、この新アニメがはじまるということで、東映のYoutubeチャンネルでは、旧アニメのエピソードをいくつか期間限定で公開しています。で、私はそれを見てるんですが……これが、なかなか面白い。それぞれに特殊な能力をもつ十二使徒を適宜召喚して戦うというスタイルは、今の時代から見ても結構斬新でよくできてるんじゃないかと思えます。
そして、作品の根底にあるテーマ。ほぼ同時期に鬼太郎のアニメ第三期が放映されていたんですが、あの時代の空気感というか、それが実にピュアなかたちで凝縮されているのです。

世紀末の90年代を経て21世紀の世界は断絶と対立の時代に入った、というのが私の歴史観ですが、『悪魔くん』や第三期鬼太郎で描かれるのは、宥和と理解です。人間と悪魔(あるいは人間と妖怪)が共存する世界という夢……その理想を実現しようとする姿が描かれました。悪の存在であっても、その夢に共感し、悔い改め、そして赦される……そういうやさしさのある世界です。

それから30年ほど経った今、世界の断絶と対立はますます先鋭化しています。
ウクライナ戦争があり、そしていま、パレスチナ紛争の再燃があり……旧版の『悪魔くん』は、そんな時代にこそ輝きを放つ作品なんじゃないかと思います。



アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』

2022-11-09 23:32:37 | アニメ


今回は、アニメ記事です。

テーマは、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』

このカテゴリでは、誕生50周年を迎えたレジェンドアニメを2作とりあげましたが、『ダイの大冒険』も、アニバーサリー的な感じ。
旧アニメが終了してから30周年ということになるのです。
終了してからというところが微妙ですが……

もう一つのしりとり要素として、前にとりあげた『ガッチャマン』とのつながりもあります。
というのは、旧アニメで音楽を手がけたのが、『ガッチャマン』の劇場版で音楽を担当していたすぎやまこういちなのです。
この人はゲームのドラゴンクエストで音楽を担当しているわけですが、その延長ということでか『ダイの大冒険』でも音楽を担当していました。



この『ダイの大冒険』、リメイク版が制作されており、つい最近最終回を迎えたことでも話題になりました。
旧アニメは、原作の進行との関係で、中途半端なところで終わってしまっていましたが、リメイク版は、きっちり最後まで描かれています。最後までやると、切り詰めても全100話。およそ二年間にわたる放映となり、アニメが終了した際にはネットのニュース記事になったりもしていました。

この作品、なぜか最近ちょっとマイブームになってて、ひさびさに原作を読み返したりしてたんですが……やはり、なかなか熱い黄金期ジャンプ王道バトル漫画でした。
勇気、正義、友情の世界です。
まあ、この系統の漫画の常で、精神論・根性論でバトルに勝ってしまうみたいな部分も多々あり、今この年齢になって読むと、そんなにうまくはいかんだろうと感じてしまったりもしますが……


ストーリーは、正義の勇者が悪の大魔王を倒すというきわめてシンプルな物語ではあります。

しかし、90年代という時代……私見では、これは“正義”という概念が大きく揺らぎ始めた頃です。『ダイの大冒険』にも、終盤の展開にその影響がかすかに見られるような気はします。
ただやはり、この作品においては、“正義”というところからはずれはしなかったと思います。
「力こそが正義」という大魔王バーン。
強大な力を誇るバーンを、さらに上回る力で圧倒するダイは、こういいます。

  これが正義かっ!!?
  より強い力でぶちのめされればおまえは満足なのかッ!!?
  こんなものがっ…!!!
  こんなものが正義であってたまるかっ!!!!

そうして、最後に「太陽になってみんなを天空(そら)から照らすよ…!!!」と、渾身の一撃を繰り出すのです。このラストバトルから、最後の展開は、しびれました。


おまけで、3DCGを。
今回は、ゴールデンメタルスライムのゴメちゃんを作ってみました。
一見ただのモンスターですが、実は、こいつはすごいやつなんです。






この『ダイの大冒険』、続編の噂というのもかねてからあります。
一応、続きを作ろうと思えば作れる終わり方にはなっていて……まあ30年も経つとさすがにもうないかなという部分はありますが、今回リメイクアニメが好評を博したということもあったので、もしかしたらワンチャンあるんじゃないか、と期待したいところです。



『科学忍者隊ガッチャマン』

2022-10-29 21:12:52 | アニメ

今回は、アニメ記事です。

前回このカテゴリーでは、『デビルマン』について書きました。

そこで、デビルマンは今年で誕生50周年と書きましたが……
そのデビルマンと同様、今年で誕生50周年を迎える名作アニメがあります。

それは……
『科学忍者隊ガッチャマン』。

いわずとしれた、タツノコプロを代表するアニメ。
「誰だ、誰だ、誰だ~」の主題歌は、不朽のアニソンアンセムとなっています。

後のSFアニメや特撮もふくめたヒーローものなどに大きな影響を与えたといわれ、『ガッチャマン』自体も、現在にいたるまで数十年にわたって続編や実写映画、スピンオフ作品などが作られてきました。日本アニメ史に燦然と輝く名作といっていいでしょう。

タツノコプロのYoutubeチャンネルから、その第一話の動画を載せておきましょう。

【科学忍者隊ガッチャマン】 第1話 「ガッチャマン対タートル・キング」 ≈

1978年には、テレビ版を編集した劇場版が作られましたが、そこでは、東宝が誇る巨匠・岡本喜八監督が制作総指揮となっています。(ただし、名前を貸しただけで現場には一切タッチしていないともいいますが)

じつは私もテレビ放送エピソードは数話しか見たことがないんですが……この劇場版で、一応大まかなストーリーはつかめることになっています。

劇場版の音楽は、故すぎやまこういち氏が担当。
また、『ガッチャマン』のキャラクターデザインには、当時タツノコプロに在籍していた天野喜孝さんがタッチしていました。
いわばドラゴンクエストとファイナルファンタジーがコラボしているようなものであり、この点をとってもものすごいことなのです。

ストーリーとしては、正義のヒーローであるガッチャマンが悪の組織ギャラクターと戦うという非常にシンプルなものですが、なにしろ、この頃のアニメは熱い。絵柄もくどい感じですが、それに負けないぐらいに物語も濃厚です。
あまり見ないのでわからないんですが、最近の漫画やアニメは、ここまで“正義”に熱くなれるのか……そんなことも考えます。正面から正義を語り、熱くなれた時代……そんな時代のアニメともいえるんじゃないでしょうか。


ちなみに……

意外な雑学として、子供のころの忌野清志郎がよくタツノコプロに遊びに行っていたという話があります。
清志郎には画才もあって、子供のころに漫画を描いてタツノコプロに持って行って見てもらうことがあったんだそうです。こうして忌野清志郎もからんでくるということで、ますますレジェンドということになるのです。



『デビルマン』

2022-10-22 20:46:20 | アニメ


今日10月22日は、「アニメの日」だそうです。

日本初の国産アニメ『白蛇伝』が公開された日……

ということで、ひさびさにアニメ記事を書こうと思います。

とりあげるのは『デビルマン』。
その第一話の動画を載せておきましょう。ただし、Youtubeに飛ばないと視聴できないようですが……

【公式】デビルマン 第1話「悪魔族復活」 <1970年代アニメ>

アニメ放映は1972年。

すなわち、今年で50周年となります。
そのアニバーサリーにあわせて、Youtubeの東映アニメーション公式チャンネルで全話期間限定配信ということをやっており、私はそれをほぼ全話観てみました。

原作のバッドエンドは有名ですが、果たしてアニメのほうはどうなのか……という興味もあって観ていたところ、アニメは原作とは違う終わり方になってました。
ネタバレということにもならないと思うので書いてしまいますが、敵ボスとの決着がつかないまま、これからも戦いは続く……みたいなラストです。
最終回は39話。3クール目の終わりということで、ひょっとすると打ち切りみたいな感じだったんでしょうか。
そのあたりの事情はわかりませんが……しかしアニメの最終回は、ある意味で原作に対するアンチテーゼのようでもあり、これはこれで深い印象を残すものでした。


『デビルマン』の原作はいうまでもなく永井豪先生ですが、この方は手塚治虫を強くリスペクとしておられます。

以前宝塚の手塚治虫記念館にいった記事を書きましたが、そこで上映されている映像資料に永井先生が手塚治虫について語っているものもありました。一緒に渡米したことがあるんだそうで……『デビルマン』のヒロイン牧村ミキの「牧村」という姓は『火の鳥』宇宙編に登場する牧村の名からとられたというような話をどこかで聞いたような気もします。
そんな手塚治虫へのリスペクトがあってこそ、『デビルマン』原作のあのバッドエンドがあるのかとも思えます。

アニメ版はそれとは違う終わり方になっているわけですが、これはそもそも、漫画連載とアニメ放映がほぼ同時にスタートし、それぞれが独立した別のストーリーとして展開していったためということがあります。
永井豪作品でいえば『ドロロンえん魔くん』や『キューティーハニー』なんかもそうですが、あの頃の漫画原作アニメは原作とまったく違う話をやっていることが多い印象も。『デビルマン』も、そんな時代に生み出された名作といえるのではないでしょうか。