ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

3DCGで人物モデリング ~2023年「ビーチの日」~

2023-07-31 23:07:35 | 3DCG

本日7月31日は、「ビーチの日」。

ということで昨年も3DCGをやりましたが、今回はその発展バージョンということで動画を作ってみました。

3DCGで人物モデリング ~2023年「ビーチの日」~

昨年と同様、背景は画像素材サイト写真素材 - フォトライブラリー photolibrary からダウンロードしてきた「はての浜」です。
やはり動画にすると背景との関係が難しく……カメラの動きにあわせたつもりだったんですが、ちょっと不自然になってしまいました。
データが重く、私がもっているPCのスペックではきちんとプレビューができないので、どういう仕上がりになるかはレンダリングしてみるまでわからないのです。そのレンダリングにもかなり時間がかかるので、何度もやり直しはできないという……
さらに、blender というソフトにはフリーソフト特有の難しさもあります。ちゃんとした取説があるわけではないので、なにか予期せぬトラブルが起きた場合には、自分でその原因を探って対処しなければならないのです。今回も、そういったトラブルがちょっとあって、その解決に時間をとられてしまいました。



あと、モデルとなっているフィギュアのほうですが、こちらも細かい修正・調整がまだ必要です。
ただ、先日も書いたように「左右対称にモデリングする」ということと「アーマチュアで自由にアニメーションさせる」ということを両立させる技術は確立しました。これまではそこがネックで行き詰っていたところがあるので、この問題をクリアしたからには、修正・調整も遅滞なく進めていけるでしょう。
というわけで、これからさらにクオリティをアップさせていきたいと思います。




Little Feat, Dixie Chicken

2023-07-29 22:46:39 | 音楽批評

前回に引き続き、音楽記事です。

前回はアリス・クーパーでしたが……同じくフランク・ザッパ関連アーティストということで、今回とりあげるのはリトルフィートです。

ザッパのバックバンドであるマザーズ・オブ・インベンションにアリス・クーパーが一時在籍していたという話でしたが、リトルフィートも、このマザーズから派生したバンドといえます。マザーズにいたローウェル・ジョージを中心として作られたバンドなのです。


リトル・フィートは、いわゆるミュージシャンズ・ミュージシャンといわれるようなタイプのバンドです。

一般受けはあまりしないものの、ミュージシャンの間ではリスペクとされているという……
バンド名の feat というのは、「妙技」といったような意味ですが、「ちょっとした妙技」というのがまさにぴったりなバンドといえるでしょう。



例によって、「今年で50周年を迎える名盤」ということで、『ディクシー・チキン』。

 

リトルフィートの代表作といえるアルバムです。
元マザーズ組のロイ・エストラーダが脱退し、ケニー・グラッドニーを新ベーシストに迎えて制作したアルバム。
初期のアルバムは商業的にぱっとしませんでしたが、この作品でリトルフィートは注目を集めるようになりました。
その表題曲のライブ動画を以下に載せておきましょう。

Little Feat - Dixie Chicken (Skin It Back)



リトルフィートがミュージシャンたちから受けているリスペクトというのは、そのメンバーたちがほかのアーティストの活動に参加しているところからもうかがうことができます。


たとえば、私の敬愛するジャクソン・ブラウン。
ローウェル・ジョージとビル・ペインは、ジャクソン・ブラウンのアルバム『プリテンダー』に参加しました。
その二人が参加した曲 Your Bright Baby Bules です。

Your Bright Baby Blues

ローウェル・ジョージは代名詞ともいえるスライドギターを弾きつつ、コーラスもやっています。
ビル・ペインは、印象的なオルガン。
リトルフィートとはずいぶん毛並みが違いますが、ギターも鍵盤も、これはこれで聴かせます。

ちなみに、この曲では鍵盤としてピアノも入っていますが、こちらは、ブルース・スプリングスティーンのバックバンド、Eストリートバンドの鍵盤として知られるロイ・ビタン。
この『プリテンダー』というアルバムはとにかく参加アーティストが豪華で、他にもTOTOのジェフ・ポーカロやイーグルスのドン・ヘンリー、このあたりの西海岸人脈つながりでJDサウザー、後にリトルフィートに加入するフレッド・タケット、CSNからデヴィッド・クロスビーとグレアム・ナッシュ……といった錚々たるメンツが集まりました。リトル・フィートの二人も、こうした人たちに劣らぬ豪華ゲストなのです。

このアルバムが発表された3年後の1979年にローウェル・ジョージは死去しますが、その際ジャクソン・ブラウンはボニー・レイットとともに追悼コンサートを主催しました。
こうした経緯をみても、ローウェル・ジョージがいかにリスペクとされていたかがわかります。



もう一つ、別の例としてレッド・ツェッペリンを挙げましょう。

ジミー・ペイジは、最も尊敬するギタリストとして、ローウェル・ジョージの名を挙げています。
また、バンドとしてのツェッペリンも、リズムの面でリトルフィートに大きな影響を受けているといわれます。
そのリズム感がよほどツボなのか、ロバート・プラントはソロ活動でのドラムにヘイワードを起用しました。
ツアーに帯同するだけでなく、レコーディングに参加した作品も多数あります。
そのなかの一曲を載せておきましょう。

Trouble Your Money (2006 Remaster)

ヘイワードは、ほかにもセッションミュージシャンとして多くのアーティストのレコーディングに参加しています。

そのリストには、エリック・クラプトン、ドゥービーズ、ボブ・ディラン、ポール・ロジャーズ、トム・ウェイツ……と錚々たるアーティストの名前が並びます。これもやはり、いかにリトルフィートが大きなリスペクトを受けているかを示しているといえるでしょう。

そのリッチー・ヘイワードですが、2010年に死去しています。

バンドを50年以上もやっていれば、メンバーの死去ということも時には起きてくるわけで……2019年には、ポール・バレアが死去しました。

ローウェル・ジョージ、リッチー・ヘイワード、ポール・バレア……彼ら世を去ったメンバーたちへの敬意を表して、今年リトル・フィートは新たなMVを公開しています。
曲は、Time Loves a Hero。

Time Loves a Hero 2023 (Official Video) - Little Feat

「時は英雄を愛する」――まさに、ミュージシャンたちの尊敬を受けて半世紀以上やってきたバンドにふさわしいといえる曲でしょう。
リトルフィートはまさに、ウェストコーストにおける伝説の英雄なのです。



Alice Cooper - Billion Dollar Babies

2023-07-26 18:52:22 | 音楽批評

今回は、音楽記事です。

依然として、「今年で50周年を迎える名盤」シリーズをやっていきましょう。

今回とりあげるのは、アリス・クーパーの『ビリオンダラー・ベイビーズ』です。

 

アリス・クーパーは、現在は「アリス・クーパー」というソロミュージシャンとして活動していますが、本来はバンド。その中心人物がアリス・クーパーということになります。
この人はフランク・ザッパのバックバンドであるマザーズ・オブ・インヴェンションに一時在籍していたことがあって、ザッパの影響を強く受けていました。初期のアルバムは、ザッパの主宰するストレート・レコードから出してもいます。しかし、そこから独立して活動していくうちに、独自の音楽世界を構築したのです。
デトロイトの出身というのが、一つのポイントかもしれません。KISSの、グランドファンクの、そしてMC5のデトロイト……その気風がアリス・クーパーにも受け継がれているでしょう。それがザッパのひねくれにひねくれた音楽と混淆してできあがったのがアリス・クーパーではないでしょうか。本人はザッパの音楽的影響を否定しているそうですが、その複雑に屈折した音楽世界にはたしかにザッパの遺伝子も含まれているように私には感じられます。
グランドファンクとフランク・ザッパは水と油のようなものに思えますが、それを無理やり混ぜ合わせて化学変化を起こさせれば、強力な毒劇物ができあがるでしょう。
それが、結果としてアメリカのメジャーシーンではあまりいないタイプの音楽となりました。
アリス・クーパーはグラムロックのアーティストともいわれますが、グラムロックといえばやはり英国が本家であり、アメリカでそういうことをやるバンドは、少なくともメジャーシーンにはあまりいなかったと思われます。


ここで、『ビリオンダラー・ベイビーズ』について。

このアルバムは、今年で50周年ということなので、1973年の発表です。
アリス・クーパーが初めてチャートで一位となったヒット作。のみならず、イギリスのチャートでも一位を獲得し、アリス・クーパーの代表作といえます。

前作『スクールズ・アウト』も代表作としてよく知られており、そのアルバムではレコードに紙製のパンティがはかせてあるというギミックになっていたという話を以前紹介しました。そういう遊び心は『ビリオンダラー・ベイビーズ』にも発揮されていて、アルバムタイトルにちなんで「10億ドル札」がジャケットに封入されていたそうです。

収録曲の中では、 No More Mr. Nice Guy がもっとも有名でしょう。
この曲はアリス・クーパーの代表曲としてよく知られており、メガデスがカバーしたりしてました。
また、「アリスは大統領」という歌があって、このプロモーションのために大統領選に出馬したというエピソードも。

それらの曲の中から、ここではタイトル曲を紹介しましょう。

Alice Cooper - Billion Dollar Babies (from Alice Cooper: Trashes The World)

これはライブの映像ですが、オリジナル音源にはドノヴァンがコーラスで参加していました。たまたま同じスタジオでレコーディングしていたからということですが、やはり奇才の二人だからこそ通じ合う何かがあったんじゃないでしょうか。


奇才であるがゆえのコラボといえば、アリス・クーパーはシュルレアリスムの画家サルヴァドール・ダリとの交流でも知られています。

ダリはさまざまなロック系アーティストと親交がありましたが、そのなかでもアリス・クーパーはお気に入りだったようで、アリス・クーパーをモチーフにした作品も制作しました。
作品として長く残せるようなかたちのものではありませんでしたが、それを紹介してくれている動画があります。この作品が作られたのも、『ビリオン・ダラー・ベイビーズ』発表と同じ1973年のことでした。

Alice Cooper and Salvador Dali


さて、アリス・クーパーといえば、だいぶ前にこのブログでジーン・シモンズの「ロックは死んだ」論に対する反論というのを紹介しました。

「ロックは死んだ」論に対しては、先日、スコーピオンズのクラウス・マイネによる反論も出てきました。
今でもロックを信じる者たちが何百万人もいる――というのがマイネの反駁でしたが、アリス・クーパーは、ある意味その反対ともいえる、逆説的な反論を展開していました。
たしかに、かつてに比べればロックンロールを聴くものは減っている。しかし、そもそもロックンロールという音楽は辺境的なものであり、悪ガキがこっそり隠れて聴くようなマイノリティの音楽だった。リスナーが減っているということは、ロックンロールがその本来あるべき場所に戻ったということなのだ――というのです。
グラムロックという、ロックンロールリバイバル的なことをやっていたアリス・クーパーだからこその慧眼だ、というようなことを当該記事では書きました。

ロックンロールの初期衝動……アリス・クーパーはつねにそれを追求してきたアーティストであり、それは今でも変わっていません。彼もまた、ロックの火を燃やし続ける者の一人なのです。

その一つの表れといえるのが、ハリウッド・ヴァンパイアーズというバンドです。

これはアリス・クーパーが主宰しているバンドですが、この顔ぶれがすごい。
エアロスミスのジョー・ペリー、そして、ジョニー・デップがいます。ジョニデはミュージシャンとしても活動している人なので、こういうところにも出てくるのです。

先日フェイセズの記事を書きましたが、そのフェイセズのロン・ウッドがハリウッド・ヴァンパイアーズのライブにゲストとして参加している動画があります。
今年亡くなったジェフ・ベックへのトリビュートという意味合いで、曲はThe Train Kept A-Rollin'。ロックスタンダードであり、ヤードバーズがカバーし、エアロスミスもやっていました。まさにこの場にふさわしい一曲といえるでしょう。
(※この動画は、YouTubeに飛ばなければ視聴できないようです)

Hollywood Vampires feat. Ronnie Wood (& Imelda May) - The Train Kept A-Rollin: O2 Arena 9.7.2023

ジェフ・ベック追悼ということでは、別のステージでデヴィッド・ボウイのカバーHeroes なんかもやっていました。

Hollywood Vampires - Heroes (David Bowie cover), live in Bucharest, Romania, 08.06.2023  

この曲は、今年いくつものバージョンをこのブログで紹介してきました。
以前からジョニー・デップがリードボーカルをとる歌としてこのバンドのレパートリーに入っている曲ですが、このステージでジョニデは歌の前に「俺たちのヒーローの一人であるジェフ・ベックに捧げる」と宣言しています。


ついでにハリウッド・ヴァンパイアーズをもう一曲。
これも今月のライブで、トニー・アイオミを迎えてブラックサバスの Paranoid をやっている動画。

Tony Iommi play’s Paranoid with the Hollywood Vampires Birmingham 11th July 2023

こうして並べてくると、往年のロックンロールファンにはたまらないものになっています。
観客撮影のもの(海外アーティストのライブは撮影OKの場合が多い)なので画質音質ともによくはありませんが、その粗ささえも一つの魅力に感じられてくるのです。それがつまりは、ロックンロールの炎を燃やし続けるということでしょう。

そのきわめつけが、My Generation です。

HOLLYWOOD VAMPIRES 'My Generation' - Official Video - New Album 'Live In Rio' Out June 2nd

このブログのタイトルの由来(の半分)であり、つい先日ゴーリキー・パークのカバーを紹介しました。
これは、偶然ではありません。
ロックンロールの初期衝動を追求するのなら、ロックンロールの炎を燃やし続けようというのなら、たどり着くべくしてここにたどり着くのです。


最後に……アリス・クーパーは、近々ニューアルバムを発表することになっています。
このフリ、最近の音楽記事では何度か繰り返してきました。
前に、「このブログでは古いアーティストを扱うことが多いので、新譜を紹介することはあまりない」といったようなことを書きましたが、これが案外あるもので、最近そういう話がいっぱい出てきています。
まあ、ローリングストーンズすらニューアルバムを制作し、ビートルズさえ新曲を出すといっているわけなので、アリス・クーパーの新作発表などなんら驚くことではないともいえるでしょう。
そのニューアルバムのタイトルは、Road。
収録曲のいくつかがYoutubeで先行公開されていますが、そのなかの一曲White Line Frankenstein の動画を載せておきましょう。

ALICE COOPER 'White Line Frankenstein' feat. Tom Morello - Official Video - New Album Out August 25

動画のタイトルにもあるとおり、この曲にはトム・モレロがギターとして参加しています。
トム・モレロという人は、このブログで何度か登場してきました。この人が参加しているということは、アリス・クーパーがロック史においていかに輝かしい存在であるかを示しているといえます。
モレロがやっていたオーディオスレイヴの Original Fire という曲を、今年このブログでとりあげました。原初の炎……まさに、それです。
Original Fire の記事あたりから数か月にわたって書いてきた記事中に登場する人名や曲名がいくつも出てくるのは、決して偶然ではないのです。



あと、ついでに……本当にどうでもいいことなんですが、このアルバムが発売される8月25日は、私の誕生日です。
アリス・クーパー、そこにあわせてきたのかな(笑)



森村誠一さん、死去

2023-07-24 22:51:29 | 日記



作家の森村誠一さんが亡くなりました。

また、大きな訃報です。

こうした話があるたびにリアクションしていたらきりがないということで、最近はあまり訃報に関する記事を書かないようにしており、個人的にとりわけ大きな訃報があった場合には触れるというスタンスにしていましたが……それでも、先日PANTAさんの死があり、いま森村誠一さんが亡くなるとは……ジャンルは違いますが、今年の三月に亡くなった大江健三郎さんのことを想起します。森村さんも、小説にとどまらず、社会的なテーマを扱ってきた方でした。
小説としての代表作は何といっても『人間の証明』でしょうが、そのいっぽうで『悪魔の飽食』に代表されるドキュメントも手がけました。731部隊をとりあげた『悪魔の飽食』は、戦争というものの狂気をこれでもかというほどに教えてくれる一級のドキュメント作品でした。

あらためて、冥福をお祈りしたいと思います。



フェイセズ「いとしのシンディ」(Faces, Cindy Incidentally)

2023-07-21 23:20:49 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

“今年で50周年を迎える名盤”の流れを継承していきます。

プログレというところからはもう完全に離れますが……今回のテーマは、フェイセズの『ウー・ララ』です。


フェイセズは、フーと並んでモッズを代表するバンドだったスモールフェイセズがもとになっています。

スティーヴ・マリオットの脱退という事態を受けて、ジェフ・ベックグループをやっていたロッド・スチュワートとロン・ウッドを迎えて生まれ変わったバンドが、フェイセズということになります。
厳密にいえば、その途中に「クワイエット・メロン」というバンドがあって、ここにはロン・ウッドの兄であるアート・ウッドなども参加していましたが、このバンドは一枚のアルバムを出すこともなく消滅し、幻のバンドに。そしてそれが発展して、フェイセズとなりました。

そのフェイセズの最後のスタジオアルバムが、『ウー・ララ』。

 

代表作といってもいいでしょう。
レコード発表時、このアルバムジャケットは人物の目を動かすことができるというギミック仕様になっていました。こういうセンスに、モッズの無軌道感とつながるところがあるかもしれません。

その収録曲として、「いとしのシンディ」のライブ動画を載せておきましょう。

Faces - "Cindy Incidentally" live - February 24, 1973 LWT Studios, London UK TV "Russell Harty Plus"

先ほど、この『ウー・ララ』がバンド最後のスタジオアルバムになったと書いたように、このアルバムはフェイセズ解散の引き金になった作品でもあります。
スーパーバンド的なかたちで登場したフェイセズでしたが、バンドと並行してソロシンガーとしても活動していたロッド・スチュワートの存在感がどんどん大きくなっていき、ほかのメンバーが添え物扱いのようになったことで、メンバー間の関係がぎくしゃくしていたようで……これがつまりはバンド内の権力闘争みたいなことにつながったようです。
本来バンドの中心人物であるロニー・レインの主導で制作されたこのアルバムを、発表後にロッド・スチュワートが批判したことで、亀裂は決定的なものになりました。ロニー・レインはバンドを脱退し、軸を失ったバンドは空中分解していくのです。

その後、ロッド・スチュワートを前面に押し出してロッド・スチュワート&ザ・フェイセズとして活動し、日本人ベーシスト山内テツを迎えて活動を継続しましたが……しかし、そうした弥縫策ではいかんともしようがなく、フェイセズは消滅してしまいました。


フェイセズ自体はそこまでビッグな存在となりませんでしたが、後のロック史には大きな影響を与えているともいわれます。
パンク系のアーティストのなかには、フェイセズに影響を受けた人も少なくないとか。
いわゆるモッズはパンクに影響を与えたといわれますが、そのモッズを代表するバンドの一つであるスモール・フェイセズから派生したフェイセズもまた、そういう雰囲気があったということでしょう。

また、そうした間接的影響にとどまらず、フェイセズにいた人たちはもっと直接的なかたちで後にロック史のいろんなところに顔を出してきます。
ロン・ウッドがローリング・ストーンズに参加しているというのが、その代表的な例でしょう。ロッド・スチュワートもいろんなところに出てきますが、ドラムのケニー・ジョーンズがキース・ムーン亡き後のフーに参加したりもしています。ケニーは、フーのドラムとしてライブエイドにも参加しました。
その姿を確認できる動画を一つ。

The Who - Won't Get Fooled Again (Live Aid 1985)

また、鍵盤のイアン・マクレガンも、セッションミュージシャンのようなかたちで幅広く活動。ストーンズが電子音を取り入れた作品として知られる Miss You という曲がありますが、その電子ピアノを弾いているのはイアン・マクレガンということです。

Miss You (Remastered)

また、ロニー・レインは、1983年のARMSコンサートで主催者的な立場にいました。
彼は多発性硬化症という難病を患っており、その研究を支援する目的でチャリティ・イベントを計画。それが、ARMSコンサートです。
この場で、いわゆる三大ギタリストの初共演があったというのは、以前このブログで書いたと思います。
それとは別に、ジミー・ペイジが『天国への階段』をやってる動画がロニー・レインのチャンネルにあったので、それを載せておきましょう。(ボーカルはなし)

Jimmy Page Solo ~ Stairway To Heaven Ronnie Lane ARMS Concert 1983

ちなみにロニー・レインは、長い闘病の末、1997年に51歳で死去しています。
 


最後に……フェイセズは、現在再結成してのニューアルバムを制作中といいます。
結集したのは、ロン・ウッド、ケニー・ジョーンズ、ロッド・スチュワートという顔ぶれ。
ロニー・レインはすでに世を去っているわけですが、ベースはロン・ウッドが兼任というかたちになっているようです。彼は、ジェフ・ベック・グループではベースを弾いていた人なので、そのあたりは問題ないというところでしょう。もう一人のオリジナルメンバーである鍵盤のイアン・マクレガンは2014年に死去。つまり、存命のメンバーは全員集まっていることになります。

ただ、2021年にそういう話が出てきて、今なお制作中ということで、順調に進んでいるとはいいがたい状況です。ロン・ウッドはストーンズの新作のほうもやらないといけないはずなので、そのあたりがどうなのか……本当にこのニューアルバムが完成するかどうかというところも含めて、要注目です。