ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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NOFX - Linoleum

2023-03-29 21:58:56 | 音楽批評

今回は音楽記事です。

最近、音楽カテゴリーではパンクの話をしていて、エピタフなんかのほうに寄っていっていました。

そこからさらに延長で、今回のテーマはNOFX。

エピタフと並ぶハードコア系インディーズレーベルの雄として、ファット・レック・コーズがあります。
そのファット・レックの総帥、エピタフでいうバッド・レリジョンにあたるバンドが、NOFXです。

なぜだか、ここでもまた、最近の訃報がからんできます。
先日ハイスタンダードのドラム、恒岡章さんが亡くなりましたが、ハイスタのデビューは、ファット・レックからでした。
NOFXは、まさに、そのハイスタにも通ずる暴走・爆発・無軌道系ハードコアといえるでしょう。
路線としては、フーやラモーンズの側といえます。決して小難しいことはいわない。しかし、そのあり方自体がラディカルな反逆になっているという、そんな存在です。
その方向性は、エピタフとは一線を画しているようでもありますが、案外エピタフとも友好関係にあるようです。エピタフは、パンク・オー・ラマというコンピレーションアルバムを出していますが、そこにNOFXが参加したり、逆に、ファット・レックのコンピレーションアルバムにバッド・レリジョンが参加していたりします。

NOFXの代表曲といえば、Linoleum でしょう。

NOFX - Linoleum (Live at Resurrection Fest 2014)

超高速ギターリフ。直球のメロコアサウンド。
そして、「財産なんて俺には何の意味もない」からはじまる歌詞……このカラッとした空虚さが、いかしてます。

この曲は多くのアーティストにカバーされており、それをまとめた動画があります。

NOFX - Linewleum [Featuring Avenged Sevenfold] (Official Video)

この動画には、アヴェンジド・セヴンフォールドが登場。
アヴェンジド・セヴンフォールドといえば、超高速シュレッダーとして知られるシニスター・ゲイツ。こんな人からもリスペクトを受けているのです。


そんなNOFXですが、40周年を迎える今年で活動を終了することになっており、ファイナルツアー開催を発表しています。
まだ引退するような年齢でもないと思うんですが……やはり、これだけの高速メロコアになると、ほかの音楽ジャンルよりも年齢の影響が大きいんでしょうか。
あるいは、純粋に経営学的な話かとも考えられます。
配信の比重が高くなっていく状況はインディーズレーベルにとってかなり深刻な問題らしく、ファット・レック・コーズの経営が苦しくなっているというような話も仄聞しました。昨年川本真琴さんのツイートで話題になったサブスク問題がここでも……ということかもしれません。


しかしながら、バンドのNOFXが終了するとしても、中心人物であるファット・マイクには、プロデューサーとしての顔もあります。最近では、フィッシュボーンを手がけるなどといったこともあり、おそらくそうした活動も続けていくでしょう。
そして彼は、すでに新たなプロジェクトを始動させています。
その名は、Codefandants。

Codefendants - Suicide by Pigs (Official Music Video) Episode 1

「ヒップホップ、ニューウェーブ、フラメンコ、ビートルズを掛け合わせた、ジャンル流動的な音楽集団」ということです。なんとも興味深い謳い文句じゃないでしょうか。この新たな試みにも、要注目です。





Pennywise - "American Lies"

2023-03-25 22:22:56 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

ちょっと前に、ミュージックの日ということでパンク特集をやり、そこでエピタフの名前が出てきました。
そこには名前が出てきませんでしたが、エピタフといえばはずせない、というバンドがあります。
PENNYWISEです。
というわけで、今回は、このペニーワイズについて書こうと思います。

ペニーワイズは、現在はエピタフを離れていますが、もともとはエピタフから出てきたバンドです。
バンド名は、スティーヴン・キングの『IT』に登場する例のピエロから。

政治的なメッセージを込めた曲が多く、そういう意味ではバッド・レリジョンの方向性を色濃く継承しているバンドといえるでしょう。ラディカルな政治的主張というのは、パンクの一つの基本要素としてあるものなので、ある種王道ともいえます。
ただ、バッド・レリジョンは毒や皮肉といった要素が強いのに比べて、ペニーワイズはもっとストレートな告発という感じがします。
いまちょうどジャクソン・ブラウンが日本ツアーをやってますが、感覚としてはジャクソン・ブラウンに近いように思えます。もちろん音楽的にはだいぶ違いがありますが、真っ向からのアメリカ批判という姿勢は共通しているといえるでしょう。
それが鮮明に出ている曲、American Lies です。

Pennywise - "American Lies" (Full Album Stream)

「アメリカの嘘」ということで、いかにもジャクソン・ブラウンが歌ってそうな歌じゃないでしょうか。
この曲は、5年前にリリースされた最新アルバム Never Gonna Die に収録されてるんですが、結成から30年経ってもなおこうして尖り続けているのは、頼もしいかぎり。やはり、パンクの世界にはこういう存在もいて欲しいのです。

先ほどの動画は、静止画のオーディオでしたが、ブログ記事にMVを載せようとすると、ちょっと問題が生じます。
Youtubeの公式チャンネルにアップされている動画のいくつかは、攻撃的、不適切云々という警告文が出るものになっているのです。
歌詞が政治的な内容を扱っていて、戦争や暴動などの動画がMVに出てくるからということなんですが……そんなんものかな、と私としては思います。まあ、この警告メッセージはジョン・レノンのハッピー・クリスマスにさえ出るものなので、ロックンロールにとってはある種勲章のようなものなんじゃないでしょうか。
しかし、gooblogにリンクさせると、ブログ内では試聴できないようになってしまうので、今回は“自主規制”し、この警告が出ない動画を選んで載せておきます。

Pennywise - Homesick

この曲は、アメリカの銃社会を告発する内容となっています。
やはりこれも、ジャクソン・ブラウン流という感じじゃないでしょうか。この動画に警告メッセージが出ないのは、戦争などに比べればそこまで政治的に物議をかもすイッシューではなく(もちろん大きな問題ではありますが)、また、実際の映像を使っていないためと思われます。だとすれば、その判断基準ははたして妥当なのだろうかとも思わされます。
こんなふうに、物議をかもすからこそ、世間の常識がもつ欺瞞性が暴き出される……これが、ロックンロールというものの一つの作用なのです。




WBC日本優勝

2023-03-22 22:02:46 | スポーツ


WBCで日本代表が優勝しました。

決勝戦、途中から見てたんですが、最後まで目が離せないしびれる試合でした。

前回王者アメリカが相手の決勝戦というのも舞台が整ってますが、その最後が大谷VSトラウトという対戦になったというも、どこかできすぎというか……とにかく、今大会はいろいろドラマがあったなという印象です。

振り返れば、2006年、2009年の大会もドラマがありました。
やはり、役者をそろえ、舞台が整い、ドラマを起してこそ立てる頂点ということなんでしょう。
そういう意味では、本気のアメリカと正面からぶつかって勝利した今大会の日本代表は、歴代最強レベルだったんじゃないでしょうか。



ミュージックの日 パンク特集

2023-03-19 21:25:26 | 日記

今日3月19日は「ミュージックの日」。
この日付にあわせて、拙ブログでは毎年ひとつのテーマに沿って音楽関連動画を紹介しております。
で、今年は……最近の音楽記事がパンクの方向に流れてきているので、「パンク特集」ということでやっていこうと思います。


最初に、ランシド。
前回の記事には彼らの名前を入れてませんでしたが、この人たちもラモーンズトリビュートに参加しています。

Rancid - Bloodclot [MUSIC VIDEO]

ランシドは、エピタフレコードを代表するバンドの一つといえるでしょう。
エピタフレコードは、Bad Religion のミスター・ブレットが創設したレコード会社で、アメリカにおけるパンクの梁山泊ともいうべき存在です。
その総帥バッド・レリジョンの曲を。

Bad Religion - New Dark Ages

ラディカルな主張を、メロコアの曲にのせる。いかにもバッド・レリジョンらしい一曲です。


エピタフつながりで、L7。
エピタフが、はじめてバッド・レリジョン以外のアーティストとして売り出したのが、L7でした。

L7 - Fast and Frightening (Official Video)

しかしながらこのバンドは、早々にエピタフを離れ、サブ・バップというインディーズレーベルに移籍します。このサブ・バップというところは、ニルヴァーナのBleach を発表したところでもあります。サウンドガーデンもここに所属していて、グランジを代表するインディーズレーベルなのです。
このあたり、パンクとグランジの関係みたいなものも見えてくるかもしれません。


ここで、ラモーンズに話を戻します。

件のトリビュートアルバムにはグリーンデイも参加していたわけですが、彼らのラモーンズ愛は相当に強いようで、ロックンロール栄誉の殿堂でラモーンズの曲をカバーしています。しかも三曲をメドレーで。

Green Day Performs "Teenage Lobotomy," "Rockaway Beach" and "Blitzkrieg Bop" in 2002

このイベントは、「栄誉の殿堂」などといっているぐらいなので、例年お行儀のいい感じで、ミュージシャン側が煽ってもオーディエンスはあまりのってこないことが多いように見受けられるんですが、この回では、いかにもなパンクキッズが二人前に出てきてノリノリになってます。それをディナーテーブルで座ってみている観客たちとの温度差……これが、アメリカにおけるパンクの姿を可視化した像のようにも思えるのです。


で、本家ラモーンズの動画。
祖先をさかのぼっていく感じで、ラモーンズがフーをカバーしている動画をのせておきましょう。
曲は、「恋のピンチヒッター」です。Substitute(代理)という原題に「恋のピンチヒッター」という斜め上からの邦題がつく……そんなのどかな時代にあって、パンクの前適応ともいうべきバンドがThe Who だったのです。

Ramones - Substitute



フーの話が出てきたので、UKパンクのレジェンドへ。
モッズの直接的な後裔ともいわれる、ジャムです。

The Jam - In The City

そして、UKパンクのレジェンドといったら、やはりはずせないのはクラッシュ。

The Clash - Complete Control (Official Video)


ラモーンズの前にはデッド・ケネディーズの記事も書いてましたが、せっかくなので、最後に彼らの曲も一つ。
曲調のハードさにくわえて、歌詞がじつに辛辣で、いかにもデッケネらしい一曲となっています。

Dead Kennedys - Moral Majority (In Studio)




Ramones, Blitzkrieg Bop

2023-03-16 21:05:59 | 音楽批評


今回は、音楽記事です。

前回の音楽記事では、デッド・ケネディーズが登場しました。
オーディオスレイヴのOriginal Fire のPVに出てきたアーティストということだったわけですが……同じく Original Fire のPVに登場したパンクバンドということで、今回取り上げるのはラモーンズです。

ラモーンズといえば……とにかくストレートなパンク、というイメージでしょう。
まさに、そのとおりです。
そして、そのストレートきわまりないパンクということが、パンクにとって不毛の地であるアメリカでパンクたりうるもう一つの道だった私には思われるのです。

ラモーンズがやったことは、19世紀以降の大衆文化による反逆である、と私は見ています。

それはすなわち、小難しいことをいう“芸術”に対する大衆文化の反逆です。
19世紀以降、“大衆”が歴史の主役となり、音楽、絵画といったあらゆるジャンルにそれが反映された――というのは、以前どこかで書いたと思います。

そこでは、「小難しいことをいわない」ということ自体が、小難しいことをいう権威への反逆となるのです。

「カウンターカルチャー」と呼ばれるものは一般的にそういう傾向を持っていて、20世紀の音楽においてその最前衛に立ったのがロックンロールだったというのも、どこかで書きました。

UKパンクでそういう方向性を持っていたのがダムドで、ゆえに、UKパンクでもっともラディカルだったのは実はダムドではないか、ということになるわけです。

そしてアメリカにおいては、その方向性こそが、パンクをパンクたらしめる一つの道でした。
デッド・ケネディーズとはまったく違った方向性において、ラモーンズはアメリカでパンクが生きる道を切り開いたといえるのです。

そんなわけで、ラモーンズというバンドは、アメリカにおけるパンクを代表する存在ともなりました。

そのことを示すかのような、ラモーンズへのトリビュートアルバムがあります。

 

参加しているのは、豪華なアーティストたちです。
KISS、メタリカ、レッチリ、プリテンダーズ、U2、マリリン・マンソン、パール・ジャムのエディ・ヴェダー、オフスプリング、グリーン・デイ……といった具合。そして、こんな大物たちが集まるかと思えば、トム・ウェイツというミュージシャンズ・ミュージシャン的な人もいます。愛されるラモーンズなのです。
ちなみに、ライナーノーツは作家のスティーヴン・キングが書いているという……こんなところからも、ラモーンズがいかにリスペクトされているかがわかるでしょう。
先ほどトム・ウェイツの名前が出てきましたが、ラモーンズがトム・ウェイツの曲をカバーしたものもあります。
I Don't Wanna Grow Up 
その、本人バージョンの動画を載せておきましょう。

Tom Waits - "I Don't Wanna Grow Up"

そして、ラモーンズにはバンド名をタイトルにしたR.A.M.O.N.E.Sという曲がありますが、この曲はモーターヘッドのレミー・キルミスターが提供したもの。モーターヘッドまで出てきたら、もうおなかいっぱいです。
モーターヘッドがその曲をやっている動画が、こちら。

Motörhead - Ramones (Video)

最後に、ラモーンズ自身の曲を。
ラモーンズの代表曲はといったら、やはりこれになるでしょう。
Blitzkrieg Bopです。ライブバージョンで、かなりアップテンポになってますが……

Ramones - Blitzkrieg Bop (Official Music Video)