ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

桜とコロナ

2020-02-19 17:58:15 | 時事

 

 

「桜を見る会」の追及が、いよいよ正念場になってきています。

 

ANAホテルの説明と総理の国会答弁との間に食い違いがあり、総理の答弁の信ぴょう性が大きく揺らいでいます。一流ホテルが空欄のある領収書を発行するのか、ANAホテルに嘘をつく動機があるのか――といったことから考えて、反証しなければならない立場にあるのは安倍総理のほうでしょう。

 

この件について、追及する側である野党を批判する声も根強くあるようです。いまは新型肺炎のほうが問題だろう、と。

 

しかし、この点については、それとこれとは話が別だろうといっておきたいと思います。

 

まず第一に、野党は新型肺炎の問題にもきちんと取り組んでいます。

 

前回の記事でも書いたように、野党側は124日の時点で厚生労働委員会を緊急に開催するよう要請していました。それに応じなかったのは与党の側です。

また、国会は別に桜問題だけを扱っているわけではありません。並行していくつもの問題を扱っています。そのために国会議員がおよそ700人もいて、いくつもの委員会にわかれているわけです。「桜を見る会」の問題は決してないがしろにできるものではないので、新型肺炎問題と並行してきちんと糺すべきところは糺す必要があります。

 

また、もっと大きな観点から、「野党は批判ばかりしている」という意見にも反論しておきたいと思います。

 

常々このブログで書いているように、民主的な社会であるためには、いつでも政権交代が起こりうるという状況が必要です。まずいことをやったら次の選挙で負けてしまう……そうであってこそ、政権与党にも緊張感が生まれるでしょう。

 

そして、政権交代が起こりうるためには、政権与党ではない政党、すなわち野党が必要です。

 

当然ながら、野党は、政権についていないのですから、政権運営に直接関与することはできません。政権についていない野党のするべきことは、与党側の政権運営をチェックし、問題があれば批判することです。

 

つまり、野党は、野党という立場である以上、批判するのが仕事なのであって……そのことをもって「野党は批判ばかりしている」という態度は、有権者として問題があるといわざるをえません。

 

有権者は、その批判が妥当かどうかを判断し、妥当であるなら与党側の政権運営を是正するように働きかける必要があるでしょう。

 

「野党なんか必要ない、一つの政党が政治をするほうが安定している」という意見もあるかもしれませんが、それについてはこのブログで以前一度書きました。戦前の日本は、その考え方が主流をしめて実現された結果、壊滅してしまいました。日本だけの話ではなく、一党独裁体制というのは、一時的にうまくいっているようにみえても、いずれ必ずどこかで行き詰ります。

 

“有権者”という言葉が示すように政治参加は権利ですが、それは同時に、きちんと社会をメンテナンスして次の世代に受け渡す義務もともなっているはずです。

 

いまの国会における与党側の答弁をみていて、この国の有権者はその責任を果たしているといえるのか。

この点に、私は強い懸念をもっています。

 

 

 

コメント

トランプ大統領の非常事態宣言を振りかえる

2020-02-18 16:28:15 | 過去記事
 
トランプ大統領の非常事態宣言

アメリカのトランプ大統領が、非常事態を宣言するといっています。公約としていたメキシコ国境の壁建設が進まないため、非常事態を宣言して、国防予算の一部を壁建設に転用するというのです......
 

 

およそ一年前の記事です。

最近の新型肺炎問題で、「だから緊急事態条項が必要なんだ」という論があるそうですが……緊急事態条項とか非常事態宣言とかいったものが、政府に都合のいいように利用される危険があるという実例です。

 

そもそも、緊急事態条項なんかなくても、初期の段階でもっといろいろやれたはずでしょう。

1月24日の段階で野党側が新型コロナウィルス対策で緊急の厚生労働委員会開催を求めていたにもかかわらず、与党側はそれに応じませんでした。

こうした姿勢は、新型肺炎問題を矮小化しようという意図に基づくものと指摘されています。そういう態度であれば、たとえ緊急事態条項があったとしても、結局まともな対応はできないでしょう。

コメント

吉川晃司 「SAMURAI ROCK」

2020-02-16 16:26:35 | 音楽批評



今回は、音楽記事です。

このカテゴリーでは前回岡村靖幸さんについて書きました。
そこで、尾崎豊とのつながりに言及しましたが、この二人とともによく語られるもう一人の“同期”である、吉川晃司さんを今回は取り上げます。


吉川晃司、尾崎豊、岡村靖幸の3人は、1965年生まれの“同期”。
ということは、吉川晃司さんのミュージシャンとしての活動歴はずいぶん長いということになるわけですが、最近もかっぱえびせんのCMに起用されるなど、まだまだ前線で活動しているロッカーです。

いかにもロックという感じの見てくれだけでなく、アクション俳優としての顔も持ち、ライブではシンバルを回し蹴りするというパフォーマンスも有名です。

また、社会派的な側面も。
特に、広島出身で被爆2世という生い立ちもあり、原発問題に非常に関心を持っているといいます。

原発問題にかぎらず吉川さんは現政権を批判する姿勢を鮮明に打ち出していますが、これこそロッカーというものでしょう。先日過去記事で名前が出てきたブライアン・メイもそうですが、ロッカーは横暴な権力を批判してなんぼです。そうでなければ、ステージでの熱唱も派手なパフォーマンスも、しらけて見えてしまいます。歯に衣着せず政権批判の発言をしているからこそ、ロッカーとしてのパフォーマンスにも説得力が出てくるわけです。

そんな吉川晃司大兄が2013年に発表したのが、SAMURAI ROCK。

 
良くも悪くも80年代臭が漂うハードロックナンバーとなっています。
レコード会社のプロモ画像を貼り付けておきましょう。

吉川晃司 - 「SAMURAI ROCK」特報映像第4弾

今の人からすると「ダサい」となりかねませんが、あえてこういう曲を2010年代に発表したのも、大兄の矜持かと思えました。
そこが原点であり、その原点をずっと軸として持ち続けているということなんでしょう。そこがかっこいいんです。私としては、この時代によくこそこれをやってくれたと思ってます。

今はたぶん、こういうのは「暑苦しい」「カッコ悪い」みたいに感じる人が多いんじゃないかとも想像しますが……いまの日本には、この「暑苦しさ」が必要なんじゃないかと思いました。

コメント

松本清張『点と線』

2020-02-14 17:07:17 | 小説

 

 

松本清張の『点と線』を読みました。

 

小説カテゴリーの記事で前回高木彬光について書いた際に名前が出てきたので、ひさびさに読んでみようかと思った次第です。

 

もちろん清張作品はそれなりに読んだことがあるんですが……意外に有名な作品をスルーしていて、松本清張にとって推理小説第一作といえるこの作品は未読でした。それが本屋にいってみると置いてあったので、チョイス。

 

読んでいると、松本清張のミステリーを読むときにしばしば感じる「歪み」のようなものが、この作品にしてすでに感じられました。

 

清張は社会派推理小説の先駆と目されているわけですが、そもそも森鴎外とかそういうところを向いている人なので、ミステリーにおける仕掛けは結構トリッキーであり……ありていにいって、ちょっと無理があるんじゃないかと思えることが少なくないのです。

まあ、これは私自身が本格よりの立ち位置にいるのでそう思えるのかもしれませんが……それにしても、そのトリッキーさが“社会派”としてのテイストと齟齬をきたしているんじゃないかと感じることが多々あります。それは、この『点と線』でも同様でした。その点でいくと、以前取り上げた高木彬光『白昼の死角』と比べて、ひっかかりを覚える部分があったことは否めません。

 

ただ、この作品の主眼はアリバイ崩しにあります。

 

最初に出てくる“プラットホームの見通し”に関する気づきが発想の出発点だったのではないかと想像しますが、そこから練り上げていった結果が、こうなったんでしょう。

その出発点は秀逸ですが、この文庫についている平野謙の解説では、そこに潜む瑕疵も指摘されています。

その部分も、「無理がある」の一環かも知れません。まあこれは、書き手の側からすると、「これはおいしい」という着想を得たら、そこに関するちょっとした問題点はあまり気にならなくなってしまうというというところもあったんじゃないかと思いますが……たしかに、いわれてみれば説明不足ではあります。

 

その後に出てくる種々のアリバイとそれを崩していく手つきについては、いいものもあり、筋が悪いものもあるという印象です。ネタバレになるのでその一つ一つについては書きませんが……ただ、総体としてはやや強引な感も個人的にはありました。

 

 

ここで、社会派的な側面についても触れておきましょう。

 

松本清張は意外にも太宰治と生年が同じなんですが、太宰の同時代人という印象はあまりないと思われます。

それは、彼が作家としてデビューしたのが40過ぎてからと遅咲きだったためですが、それまでの間に清張は世の中の辛酸をなめてきているわけです。そのことが、彼独自の視点につながっているというのは、よく指摘されるところでしょう。

 

その独自の視点は、『点と線』にも発揮されています。

 

印象的なのは、その結末です。

 

この作品で扱われる事件の背景には、ある省庁の汚職事件があり、その追及をなんとかして逃れようとする高級官僚の策謀があります。

事件を追う刑事たちは執念で真相を突き止めますが、結果としてその黒幕的な位置づけにある高級官僚の罪を問うことはできないまま物語は終幕。彼らの策謀は成功し、とかげの尻尾を切って逃げ切ってしまうのです。どころか、問題の高級官僚とその彼を手助けした役人は出世栄転を果たしさえします。

 

なんだか、どこかで聞いたような話……この寒々とした結末が、つまりは清張のなめた辛酸というところなんでしょう。

出世の希望から上役に忖度する役人、そして、「目をかけられている上司に、自分の供述で迷惑が及ぶことを恐れ」、不正のもみ消しに協力する役人。そして結局、殺人さえ犯して事件をもみ消した側が、逃げ切ってこの世の春を謳歌する。現実は、必ずしも正義が勝つというわけにいかない――これが、松本清張のリアルなのです。

 

ただ、それで、世の中そんなものさで終わってしまったのでは、ますます荒涼とした世の中です。

やはり、検察や警察といった人たちは、権力の側にいる人間の犯罪を執念で追及してもらいたい。そうでなければ、存在価値がない。ときに徒労であるとしても、刑事や検事はこの作品の登場人物を見習ってもらいたいと思います。

 

コメント

ブライアン・メイの呼びかけを振り返る

2020-02-12 17:18:16 | 過去記事
 
ブライアン・メイ、辺野古埋め立て中止の署名を呼びかける

沖縄・辺野古の基地問題に関して、クイーンのギタリストであるブライアン・メイが埋め立て中止を求める署名を呼びかけた件が話題になっています。ツイッターやインスタグラムで「米軍基地拡......
 

 

およそ一年前の記事です。

最近クイーンの来日公演やなんかでまた話題になっているブライアン・メイですが、こんな呼びかけもしていました。

やはり彼は、ああ見えて熱いロッカーなのです。

その真摯な呼びかけに対して、はたしてこの国のリアクションはどうなのか……辺野古の現状を思えば、なんとも残念なものがあります。

コメント