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英国におけるロタウイルスワクチンの定期接種化の影響(一医療施設の報告)

2015-12-07 | Vaccine トピックス

Eurosurveillance, Volume 20, Issue 48, 03 December 2015
ASSESSING THE IMPACTS OF THE FIRST YEAR OF ROTAVIRUS VACCINATION IN THE UNITED KINGDOM

英国は定期接種にロタウイルスワクチン(Rotarix GSK)を定期接種に2013年7月に追加した。
2012-2014年のロタウイルス性胃腸炎の流行期において、Bristol Royal病院の小児救急外来を急性胃腸炎の症状で受診した小児に対して、便検体のPCR検査、臨床転帰を記録した。
院内感染症例は胃腸炎の診断がされていない患者が入院から48時間以上経過した後にロタウイルス検査が陰性になった症例と定義した。
ロタウイルスワクチン導入以前と比較して、導入初年は急性腸炎と診断された受診者が48%減少し、入院患者が53%減少し、総計で330病床・日の稼働が減少した。
ロタウイルス検査陽性の便検体は1歳未満の小児で94%減少し、ワクチンを接種できなかった小児においても65%の減少を認めた。
ロタウイルスワクチン定期接種化初年において、より年長の小児において認めた相応の集団免疫効果によって、急性腸炎患者と入院患者における広範な減少を認めた。
この知見を英国全体に換算して推計すると、導入初年に二次的に軽減された医療費は750万米ドルとなる。
ロタウイルスワクチンの定期接種化における長期的な影響を評価するには継続的な調査が必要となる。


コメント:
情報が公開されていないがワクチンの定期接種導入に要した費用についても評価したいところ。
上記の報告では、医療費削減効果のみで間接経費が含まれていないが、日本の状況に当てはめると、
英国の人口は日本の約半分6410万人なので、倍の医療費(1500万米ドル=18億円)が軽減されたとしても、
直接的な比較では、100万人にロタウイルスワクチンを接種するために必要な費用を下回る。
社会的な間接経費や死亡を含む重症例のインパクトを勘案する必要があるか。 

 


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