国際医療について考える

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MCQs in Travel and Tropical Medicine 3rd edition Section6 (Fish Hazards)

2010-04-04 | MCQ in T&TM
S6-1,2☆
Ciguatera poisoning(シガテラ中毒) の特徴

南太平洋やカリブ海で最も多く、米国においてサカナ関連の食中毒の半数以上
400種類以上の魚で起こりうるが大きい魚の方が有害物質が蓄積し、それを食べる人で起こる
Ciguatoxinは脂溶性、熱に安定、酸耐性な神経毒素
細胞膜の電位依存性ナトリウムチャンネルを開き、細胞膜の脱分極を起こす
Maitotoxinはciguatera関連の毒素のひとつで、カルシウムイオンの流入を引き起こす
Scaritoxinはナトリウムチャンネルの透過性を亢進させてノルエピネフリンやアセチルコリンの放出する
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=10485519
摂取3-6時間で消化器症状がおき、潜伏期は最大でも30時間
神経症状は摂食3-72時間後から、知覚障害、歯痛、排尿時痛、霧視、反転温度等がみられる
過去に暴露があると症状は重篤化する
感染性の魚で被害が広がることもある
市場に使用可能な抗体検査はない

米国CDCからNYCでの流行報告あり
http://www.cdc.gov/mmwr/pdf/wk/mm6204.pdf

S6-3
Scombroid fish poisoning(サバ科中毒)について

細菌に対する反応で大量のヒスタミンが放出されて起こるアレルギーでmackerelサバ(tunaマグロ)摂取後すぐに起きる
魚に火が通ってよく調理されている場合にも起こりうる

S6-4
フグ毒(tetrodotoxin poisoning)について

フグ毒は卵巣、肝臓に最も多く、その他にも腸、皮にみられる
フグpuffer fish、マンボウocean sunfish、porcupine fishハリセンボンは日本海岸によくみられる
水様性の神経性毒素である点は類似するが、フグ毒はストリキニーネ(マチンStrychnos nux vomicaの実から精製される猛毒の白色結晶アルカロイド)の50倍の毒性がある
症状はフグ毒の摂取量にもよるが、摂取直後から生じる
呼吸障害による死亡は6時間経過後に起きることは稀
フグ毒によって麻痺、舌の痺れ、多幸感が生じることがあるが、フグそのものの味はふつう

S6-5, 6, 7, 8
魚と毒素の関係

Scombroid - Histamine
Amnestic Shell fish poisoning - Domoic acid
Ciguatera - Maitotoxin
Fugu - Tetrodotoxin

Amnesic shellfish poisoning (ASP) は1987年にカナダでムール貝を食べた107人にアウトブレイク(4人死亡)があり、最初に報告された
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=1971710
domoic acidは熱に安定の毒素で、diatom珪藻(通例、単一細胞から成る珪藻綱Bacillariophyceaeの微細な藻類)と呼ばれる単細胞の植物から産生される
貝を摂取することで下痢、疝痛に引き続き、頭痛、物忘れ、見当識障害が生じる
重症例では反射低下、眼筋麻痺、意識障害、死亡に至る
改善例でも順行性健忘が見られることがある
治療は消化管除染、痙攣などに対する支持療法
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=1971709
[Handbook of Clinical Neurology, deWolff, FA (Eds), Elsevier Science B V, New York 1995. p.149]

S6-9
貝の中で濾過摂取であるもの

牡蠣
濾過摂取の貝は内部に微生物や毒素を蓄積する

S6-10
毒をもった魚に刺されたときの対応

痛みが激しいので部分的に神経ブロックやリドカインの局所注射を検討する
多くの海洋生物の毒は熱に変化しやすいので熱湯が有効であることが多い
食用酢が刺胞(毒針)が打ち出せれるのを予防(蛋白の凝固?)するために使用されるこ(ハブクラゲの場合)
ただし、カツオノエボシやウンバチイソギンチャクなどの場合には食用酢で刺胞が誘発される
http://www.youtube.com/watch?v=v5AcnKMI1aY
http://painusima.com/pdf/kikenseibutsu.pdf
毒素に対する血清を使用することは稀だがオーストラリアでは利用が可能

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