蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

演劇大学 IN にいがた 2014

2014年09月01日 15時34分20秒 | 日記
昨日は、朝6:00に長野市を出発し
上信越道をひた走り、新潟へ向かった。

運転手はもっちゃん、同行者はサリア。

目的は「演劇大学 IN にいがた 2014」
開催会場は新潟大学 五十嵐キャンパス

これは、『演出家・俳優養成セミナー』で
日本演出者協会の中心事業のひとつである。

昨年に引き続き2回目の参加である。

3日前の木曜日から、劇団員・ケンジ君が
演劇大学を受講中。

今回、彼は『演劇虎の穴』に参加。
『演出で芝居は変わる!』を実感して
『演出を知る!』がテーマの講座。
3人の演出家と俳優チームが
同一戯曲を使い4日間で芝居を創るとか。

課題戯曲は岸田 國士(きしだ くにお)作「紙風船」

岸田氏は、明治23年生まれ。
明治―大正―昭和を生きた劇作家であり
小説家・評論家・翻訳家・演出家でもある。

演劇人で岸田國士氏を知らない人はモグリ
と言ってもいいくらい、演劇界では著名な人物。
中でも「紙風船」は名作と言われている。

 戯曲を読もうね

と言ってもなかなか読まない若者にとって
興味を持つきっかけとなりそうな機会である。

前夜、青空文庫からダウンロードした「紙風船」を
往路の車の中でリーディングし
もっちゃんとサリアに聞かせた。
(サリアは寝ていたようだけど)

結婚1年で倦怠気味な夫婦の会話劇。
声色を男女で変化させ、バーっと読んでいく。

私は、読みながらおかしくて大笑い。
もっちゃんも、聞きながらおかしくて大笑い。
短いので、あっという間に読み終わった。

この作品が出来て、来年で90年になるそうだ。
古い言葉はあるが、夫婦のやり取りは
現代と変わらない。

小津安二郎監督の映画やホームドラマの夫婦の会話の
原型と言える作品とのこと。

岸田作品は、以前に上演を勧められたこともあり
何作も読んだことがあった。
紙風船も読んだはずなのだが
忘れっぽくてダメですわ~

時々手にとって読むようにしよう。

9;00前、現地に到着。
ケンジ君と合流して新潟大学のキャンパスに入っていく。



もっちゃんとサリアと私は、下記のWSを受講。

スタニスラフスキー・システムが体験できる
「発声」と「身体」の表現ワークショップ。
昨年、もっちゃんとサリアは受講し
私はちょっとだけ覗いて、別の講座に移動したが
今年は、私も一緒に受講させていただいた。

久しぶりに受講生側になり、非常に楽しかった♪
心と体が開放されていく心地良さを体感し
心身ともにリフレッシュされた感覚♪

先週、オープンエアシアターを終えてから
体調が優れず、体は浮腫み、全身の倦怠感と頭痛・胸痛
寝れば治ると思っていたが、未だ全快には至らず。
けど、気持ちは前向きなので、やってみたら
案外気持ち良く出来てしまった。

やっぱり私は体を動かすほうが性に合っているね(笑)

お昼をコンビニで済ませ、午後から「虎の穴」の発表会見学。

同作品を複数人の演出家及び演出志望の受講生が演出。
当然のことながら、演出が違うとキャラクターも印象も変わる。

和田先生がご指導された受講生の演出は
いたってシンプルな会話劇だったが
どこをクローズアップしたいのか、よくわかった。
若干退屈な時間もあったが…

平塚さんの演出は一人の妻を3人が演じるというスタイル。
とても面白かったし退屈しなかった。
が、どちらかというと演出が勝ち過ぎて
妻の情感や悲しさが見えにくかった…ように思う。

七緒さんの演出は、現代的で視覚的に楽しかったし
ゴムの使い方が効果的だった。
ある時はフレーム、最後は夫婦の在り方に囚われ
がんじがらめになった夫婦像を見せてくれた。
が、情感や哀れさなどが、見えにくかったかも。

僅か4日間(実質は3日間だったとか)だものね。
深められるわけもなく、そう考えるとどの作品も
昨年より断然面白い作品に仕上がっていたと思う。

一つ思ったのは、演出をつけることで
本来クローズアップされるべきシーンや台詞が
沈んでしまう可能性があるということ。

これは収穫だった。

面白くて退屈しない演出に囚われると
大切なことが見えなくなる危険性がある。

面白くて退屈もせず、そして重要な台詞やシーンが
浮き上がる演出を目指したい!

改めて、そう思った。

他に「3日間で短い戯曲を書いてみよう」というWSを
受講したメンバーの戯曲リーディング発表もあった。
私は前日2時間ほどしか寝る時間がなくて
ついウトウト睡魔が襲って来てしまい…(汗)
発表者の皆さま、ごめんなさいm(__)m

後で聞いた話だが、いくつかのキーワードを元に
戯曲を書くという方法だったらしい。

修了後、シンポジウムの会場へ移動。

「日本の演劇環境について考えよう」

日本演出者協会理事長・和田先生をファシリテーターに
劇作家、演出家の坂手洋二氏、演劇評論家の村井健氏
スタニスラフスキーシステムの第一人者・西村洋一氏
俳優・演出家の小林七緒さん
劇作家・演出家・俳優の平塚直隆氏が
上記のテーマで、海外での体験等を通して語ってくださった。

日本は俳優修業のシステムが成立しておらず
皆、独自の手法で俳優を育てているため
優秀な俳優を排出することが難しい。
まずは、本当の意味での演劇専門学校が必要…とも。
海外での成功例がそのまま日本で成立するとは限らない。
なぜなら文化も土壌も違うから…

聞けば聞くほど、前途多難だ…と思ったが
だからこそ、諦めず知恵を出し合って
現状打破、未来への展望を打ち出していかねば…と。
同志とタッグを汲む必要性も痛感。
まずは、同志を探すことが急務だね。

日本の演劇の未来について考えさせられた貴重な時間だった。

18:00、シンポジウム終了。

新潟駅前に移動して、盛大に交流会を開催。



お話しをしたかった和田先生とは
一次会で席が離れ話せなかったので
二次会では近くの席をゲット。
お陰様でゆっくりお話を伺うことが出来た。
村井先生とも色々お話でき、活動に関する
有難いご助言もいくつかいただいた。
西村先生には、長野に来ていただき
スタニスラフスキーシステムを
夢幻の団員に伝授していただく機会を
本気で作りたいなぁ…と。

新潟の演劇人の皆さんとも対話させていただき
具体的に交流をする機会を作りたいと考え始めている。
実現したら面白いな~

新潟の皆様、講師陣の皆様、ありがとうございました!

午前2時頃、もっちゃんの運転で一路長野へ。
自宅に到着したのは午前4:30過ぎ。

もっちゃん、サリア、ケンジ君、お疲れ様でした。
もっちゃん、往復の運転、ありがとうございましたm(__)m

にしても…非常に内容の濃い一日でした♪

何歳になっても、学ぶ姿勢を忘れたくないよね(^_-)-☆


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