蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

伝えるということ―

2015年10月24日 23時54分30秒 | 日記
サンクス用キッズ台本脱稿!

タイトルは『教室はまちがうところだ』

蒔田晋治(まきたしんじ)さんのこの詩は有名らしい。

最初読んだ時、何となくお説教臭い気もしたんだけどね…

自分の言いたいことや発言すべきときに
発言できない人が増えているなぁと
実感することが多々あって

そういうことが何度も重なった後に
この詩を読んだ時、素直に

 そうだよね
 本当にそうだよね

と思ったんだよね。

で、是非とも小学生のうちに、この詩を暗唱できるように
なってもらいたいと思うようになった。

発表の場があると、詩の意味も掘り下げられるし
寸劇仕立てにして、作品を作っていくと
意味自体を自分の中に落とし込むことも出来る。

教育的だと思う人もいるかもしれない。

が、そういうことじゃないんだよね。

まちがってもいいんだ!

まちがった意見だと思うのは
判断基準が異なるから。

人それぞれ価値観が異なると考えれば
異なる感想も異なる意見も
存在するのが当たり前。

お互いに思ったことをしっかり発言して
相手の意見に耳を傾け
理解したい相手であれば
理解して欲しい相手であれば
諦めずに一生懸命伝えることが
大切な人を失わない唯一の方法なんだよね。

けど、大切だと思いながら、相手の意見が違うと
早々に諦めて貝のように心を閉じてしまうケースがある。

自分が良ければいいんだよ、それでも。

けど、大抵の人が相手のせいにして
グチグチ引きずってたりする。

自分がどこまで相手に伝える努力をしたかを顧みずに…

相手は、もしかしたらわかってほしくて
意見を言っていたのかもしれないのに…ね。

それって、なんだか悲しいよね。

もし、小学生のうちに、この詩を暗唱するくらい読みこんで
何が大切か理解していたならば、その後の人生が
変わるんじゃないかって思うわけ。

小学生~中学生時代に覚えた詩って忘れないんだよね。

年をとって非常に忘れっぽい私だけど
未だに小学校~中学校で覚えた詩や歌は覚えている。

10代前半までに、脳内に何をインプットするかって重要かもね。

そんなことを考えて、今回のサンクスのキッズ発表は
この作品に決めたのでした。


因みに、青年の短編劇は当初「崖っぷちシリーズ」のうち
未だに再演したことがない作品を
上演してみようと思っていたのだが
改めて読み返して見るとね…
この作品一本だけの上演を考えた時に
サンクスという場は相応しくないと思うようになり…

楽しみにしていて下さった皆さん
大変申し訳ありませんm(__)m

いずれこの崖っぷちシリーズの
全編上演をしたいと思っています。

それまでどうぞお待ちくださいm(__)m

で、上演を決定したのが下記

 『ここに弟あり』

岸田國士シリーズ第2弾です!

昨年のサンクスに引き続き
今回も岸田國士氏の戯曲に挑戦することに。

時代背景は相当昔だけど
内容は普遍的、現代でも十分通用する内容。
ここが岸田國士氏作品の凄いところだ。

時代を経ても舞台化可能な戯曲の上演は
役者のみならず、演出家としても勉強になる。

そして勉強の域を超えて
お客様に楽しんでいただきながら心に残る作品として
提出できるように精一杯取り組んでいく!

もしかしたらニュートラルな自分に戻るための
最適な方法かもしれないな~と思ったり.。o○


今日の稽古-

キッズは早速台本の本読み。

いやはや驚いたわ~

何がって?

キッズたちのテンションの高さと
理解力の早さに驚いたのだ。

初見にもかかわらず
スラスラ読めるというだけなら
他の子でもあることだろうけど
それだけじゃなかった!

読みながら状況を瞬時に判断して
それぞれが面白がって感情を乗せて
台詞にしていたんだよね。

事前に台本の内容・構成を
知らせてあったということもあるだろうけど
それにしても、マジびっくりだったわ。

これは逆に…本当の…本質を掘り下げることに
重点を置いた方がいいかもしれないな…

サンクスまで後一カ月―

キッズクラスの稽古時間は週1回僅か一時間なので
抜き稽古を日曜日入れることにした。

みんなの理解が深まるように
楽しく演じることが出来るように
指導していきたい(^^)

青年クラスは、サンクスの企画の検証。
企画の実験を行い、どうすればスムーズに進行できるかを
話し合って、詳細を決めて行く。

みんな意見が言えるようになって来た。
いい傾向だね(^^)

役者もね―
伝えたいことがあるから台詞を吐くんだよね。
伝えたい相手が存在する場合もあれば
今ここには存在しない相手
あるいは自分自身に語りかける場合もある。

言葉を発するときは、大抵理由がある。
自分じゃ理解していない場合もあるし
無口設定だったら、表出しないかもしれないけど
きっと心中では、何かを誰かに(何かに)
語りかけているのではないかな?

伝えたいことがあって、伝えようと頑張った経験があると
お客様への伝わり方が違うんじゃないか、という結論に
私は今のところ至っている。

年齢を重ねると存在感が出て来るのは
年齢を重ねることで、発言をする必要に迫られたり
判断しなければならない状況になったりと
自分で考え決断する機会が増え
そのおかげで、少しだけ面の皮が厚くなって
風格が出て来るのかも??

若い役者が重厚な役を演じるのが難しいのは
上記の理由が大半を占めるように思う。

ここで問題が一つ。
伝わりやすいのが言葉ではなく
感情であるということ。

感情をぶつけてしまうと相手は言葉を聞けなくなる。

これは私もいっぱい体験済み(笑)

そして、他者にいっぱい体験させて来た(汗)

いいんだよね、感情が乗ってしまっても。
言えなくなるより、よっぽどいい…
と、誰もが思えるようになるといいんだけど
なかなかそうは問屋が卸さない。

相手が傷つけるような言葉を吐くときは
きっとこちらも傷つけるような言葉を吐いている。
理由もなく攻撃に転じる人は
そんなに多くはないはず。

ああ…
利害関係が生じると、難しいかもな…

けど、友人関係や公的に対等な関係においては
誰も嫌われたい人はいないと考えれば
成立するんじゃないかな。

なんてことを考えつつ、団員の変化を楽しんでおりまする(笑)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
伝える! (ゆかり)
2015-10-29 22:52:45
難しいです。今やってる芝居、私の中のテーマです。いろいろ試行錯誤中~
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ゆかりさんへ♪ (yuria)
2015-10-30 01:52:15
確かに難しいですよね。
けど、もしかしたら単純なことなのかもしれません。
言葉が整っていなくても、つたない単語の羅列でも、伝わる時は伝わります。
相手に受け取る気持ちがあり、自分自身が何を伝えたいか…があれば、大抵伝わるかと。
耳を傾けてくれる相手なら、伝えることはそんなに難しいことではありません。

耳を傾けてくれない相手にどうしても聞いてもらいたいなら、短気を起こさず焦らずじっくりと時間をかけて、耳を傾けない理由を探り、そのシコリをほぐしていく必要があります。
ただこれは相当根気が必要ですね。

芝居の場合は、お客様はお話の内容を知りたいですし、台詞も聞きとりたいと思っていて下さる方が8割以上ですから、役者側に伝える気があれば、必ず伝わると私は思います。
ただ役者の場合、声量・滑舌などの基本が最低ライン出来ていないと、気持ちだけあっても、広い会場では伝わらない可能性があります。

試行錯誤をすることはとても良いことだと思います。
諦めずにコツコツ…ですよ~(^^)
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