蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

今夏の救世主は―

2016年08月27日 10時07分33秒 | 日記
今年の一番の救世主は……

マッチ!

彼は元夢幻の団員。

現在は、東京で殺陣を学びつつ俳優業を続けているが
去年に引き続き、今年もオープンエアへの出演が決定し
7月末から長野に帰省して、ご実家から連日
稽古場に足を運び、積極的に小道具や甲冑製作も
手伝ってくれて、殺陣のアドバイザー的な役割も。

キャスティングが決まってからのエントリーだったため
マッチの配役をどうするか、マジ悩んだ。
が、大きな役を2役演じる予定だったガンちゃんが
7月下旬に稽古中に怪我を(・・;)
その瞬間、稽古場にいたみんなの顔が青くなった。

台本を修正した結果、ガンちゃんが演じる白雲斎の役の重みが
更に増したこともあり、2役のうちの一役を
マッチに演じてもらえれば…と思い、早速連絡。

マッチから快諾をもらえて助かった。

生身の体を扱う舞台は、本当に恐ろしい。
役者が怪我をしたり、病気になれば
上演不可能になるケースだってあるのだ。

私も以前、所属していた劇団で
本公演のキャストが発表された直後
大きな病気が発覚し緊急手術を行うことになった。

病名は胃癌―

医師は

 癌は出来たら取ればいいんですよ。
 定期的に検査をして、早期に発見し
 出来たら切除、そうすれば何も恐いことはない。

と。

私は早期ガンとのことだったが、手術をしたところ
思いのほか腫瘍が深く、もしかしたら転移の可能性も・・・
と脅され、抗がん剤を服薬し様子を見る日々。

劇団側は私の代役を誰に頼むか・・・ということで
色々考慮してくれたのだが、東京からプロの役者を
招聘するには予算が必要で、その予算組みが出来ず
舞台を取りやめることになってしまった。

不可抗力とは言え、周囲に多大な迷惑をかける結果となった。

私はすぐにでも舞台に復帰したくて
術後、歩く許可が出てから毎日病院内を散歩して
抜糸後は、すぐに筋トレを開始。

退院してからは、すっかり筋肉が落ちてしまった足を
元に戻すために、トレーニングマシンを購入し
毎日、一時間、トレーニングを行なって
術後2カ月頃には、以前と同様に動ける身体に戻した。

驚いたのは、筋肉の落ちるスピード。
僅か一週間、寝たきりだっただけなのに
足の筋肉が全くなくなり、一気に細くなった。
胃を切除して、ご飯を食べられなかったせいもあるが…

舞台は身体が資本―
一人でも欠けたら成立しないのが舞台―

ということを、痛感した出来事だった。

私はすぐに劇団活動に復帰したかったが
病気が病気だったため、演出家のくるま先生は不安のようで
一年近く、舞台に復帰させてもらえなかった。

けど、私は逆に病気が病気だけに
入院中に今後の人生を深く考えるきっかけをいただき
二つの結論に至っていた。

①子どもたちが成人するまで何としても生きる。
②社会人として今の私に出来ることは「演劇」
 演劇で社会貢献をしていく。

故に、舞台に向かうエネルギーは更に強くなっていた。

くるま先生の不安は分かり過ぎるほどわかる。
舞台が一つポシャッてしまったのだから…

けど……
私は舞台に立ちたい・・・

ちょうどそんな折に、私と一緒に舞台を作りたいという
メンバーが現れて、私は彼らと一緒に市民演劇祭に参加し
私が長野に越してきて以来、初の演出作品を創作。

この作品が好評で、動員も300人を超えた。
この出来事が、夢幻を旗揚げするきっかけになり
翌翌年の秋、古巣の劇団を退団し、夢幻工房を立ち上げた―

あの病気のおかげで、今の夢幻工房がある。
まさに人生の転機だった・・・

何しろ演劇を始めたのは小学校4年生の時。
日本児童劇団に入団し、中学・高校は演劇部
高校2年の時に、アルバイトで貯金したお金で
劇団東俳に入団し、東俳の初期メンバーとして活動。

結婚して6年ほどブランクがあったが
長野に引っ越してきてすぐ、くるま先生と出会い
子育てと仕事をしつつ女優として舞台に立ち続け・・・

振り返れば演劇一色の人生。
そんな私が社会貢献できるのは「演劇」

今もその思いの延長線上で生きている。

話がずれた(^_^;)

ガンちゃんの怪我は、そこまで酷いものではなく
安静にしていれば治るとのことだったので、ホッ。

けど、マッチの登場で、ガンちゃんも一役に集中出来ることになり
殺陣が得意な彼は、殺陣振付のケンジの片腕として動いてくれた。

甲冑製作も自分の仕事として受け止めてくれて
連日連夜、製作し続けてくれた―

オープンエアシアター2016の救世主は“マッチ”

彼がいなかったら、どうなっていたか・・・

本当にありがとうm(__)m



今日の夜こそは、何としても通さねば・・・

うーむ…雨が心配だ・・・

トリプル台風の影響で強風が吹くのも危険・・・

舞台の出来、不出来も重要だが
今はひたすら無事故であることを祈る―

事故が起きれば、どんな良い舞台でも
みんなの心に傷が残ってしまう。

心の底から笑顔にはなれないだろう。

それだけは何としても避けたい。

夢幻の草創期を支えてくれた元団員が
2人も出演してくれるこの舞台・・・

大勢の皆さんのお力添えで成立しているこの舞台・・・

……

もしや…

八百万神(やおろずのかみ)に試されているのかも…

ふとそんなことを思った。

今はやれることを精一杯やるのみ。

結果は後からついて来る・・・はず――


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