蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

天網恢恢疎にして漏らさず

2012年02月21日 23時16分44秒 | 日記
昨日の午後3時、最高裁にて「光市母子殺害事件」の判決が下された。

この事件は、1999年4月に山口県光市で発生した凶悪犯罪。
当時18歳の少年が母子を殺害…
事件発生から13年という長い年月が過ぎていた。

事件当時の被告の年齢が18歳1カ月…
少年法が適用される年齢のため、議論を呼んだ。
少年法には、下記の下りがある。

  犯罪を犯した時に18歳未満であった少年の量刑に関して
  51条1項は、死刑をもって処断すべき場合は無期刑にしなければならないとする。
  そして、同条2項は、無期刑をもって処断すべき場合でも
  10年以上15年以下の有期刑にできるとする。

未熟な年齢を考慮し、更生の機会を与えるということのようだが…

今回、最高裁が出した判決は「死刑」
以下、その判決骨子

  甚だ悪質な犯行で、動機や経緯に酌量すべき点は全くない
  落ち度のない被害者の尊厳を踏みにじり、冷酷、残虐、非人間的で、結果も極めて重大だ
  遺族の被害感情は峻烈を極めている。不合理な弁解を述べ、真摯な反省の情はうかがえない
  犯行時少年だったことなどを十分考慮しても刑事責任はあまりに重大。死刑はやむを得ない
  「精神的成熟度の審理尽くせ」と裁判官1人が差し戻しの反対意見

ご遺族のM氏は、判決に満足していると言いながらも
喜びというような気持ちはなく、厳粛に受け止めていると…

事件発生からの13年間、ある刑事さんから教えていただいた言葉

  天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)

を心の支えとして来たと…

この意味は

  天が悪人を捕えるために張りめぐらせた網の目は粗いが
  悪いことを犯した人は一人も漏らさず取り逃さない。
  天道は厳正であり、悪いことをすれば必ず報いがある。

裁判所の判決がどう下されるかわからないが
悪いことをした人間には必ず天の裁きがある…
と考えることで、心の均衡を保ってこられたのかもしれない。

  罪を憎み人を憎まず

という言葉がある。
私は、これをいつも心の片隅に置いているが
実際自分の近しい人に刃が向いた時
これを心底まっとうできるのか…
絆が強ければ強い程、それを断ち切られた時の衝撃は大きく
その断ち切った対象が目の前にいたら
憎しみや恨みの感情が湧いてくるだろう。

その感情をどう処理していくのか…
難しい問題だよね…

長い年月を経て、徐々に記憶が薄れていくのを待つ…
あるいは、視点を変え、考え方で処理していく…

時間と言う薬でゆっくりと癒していくか
論理を構築し感情をコントロールしていくか…

今は、それくらいしか思い浮かばない。

「天網恢恢疎にして漏らさず」は有名なことわざだが
再度調べてみたら、老子の「天網恢恢、疎ニシテ失ワズ」に
基づいているとの記述があった。
更に調べていくうちに、孔子と老子の違いに興味を持った。

老子(道家の思想)は無為自然という考えで
自然であることが万物の根源である「道」に通じると。

無為とは何もしないことではなく
「何もしないことを為す」とのこと。

老子の無為自然主義に対して、孔子は理想社会を想定し
規範を設けてそれを全うする。
老子の思想を現実主義とすれは
孔子の思想は理想主義とうことになるか。

孔子は「智の人」を善しとして、老子は「明の人」を善しとする。

下記は、老子の言葉である。

  人を知る者は智、自ら知る者は明なり。
  人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し。
  足るを知る者は富む。

夢や目標は、人間が生きていく上で大切なものだと思う。
ただそれと同等に大切なのは
ゴールに向かって歩む道筋…
道を間違えるとゴールが遠のくこともあるし
行きつけないこともある。

司法は、人間がより良い社会を構築するために
生み出したものだ。
不完全な人間が考えたものだから
完全と言えるものでもなく…

社会の置かれた環境や状況に基づき
その時一番良いと思われる道筋を選択していく

これは自己においても同じこと…